『BONE MUSIC展 ~僕らはレコードを聴きたかった~』が開催 冷戦時代・ソビエトで生まれた、レントゲン写真に録音したレコード
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ボーン・レコード (C) Photography by Paul Heartfield
『BONE MUSIC展 ~僕らはレコードを聴きたかった~』が、2019年4月27日(土)〜年5月12日(日)まで、東京・渋谷のBA-TSU ART GALLERYにて開催される。
冷戦時代のソビエトで本当にあった出来ごと。国家から聴くことを強く禁止された音楽があった。しかし音楽を愛してやまない人々は、それをどうしても聴きたかった。そして何とレントゲン写真に録音して、レコードを作ることを発明した。それがボーン・ミュージックの始まりだった。
1940年代から60年代のソビエト・冷戦時代。禁止されていた音楽を聴くために、音楽ファンは病院で不要になったレントゲン写真に、レコードのように“溝を掘り”、音楽を録音することを考え出す。 肋骨やあばら骨、頭蓋骨が映ったレコード盤。それが”骨の中の音楽”「ボーン・ミュージック」だ。
どんなコンテンツでもデジタル形式で入手できる現代。本展では、国家の弾圧にひるむことなく、”ただ好きな音楽を聴くため残した物語(ストーリー)”を、実物のボーン・レコードと、当時録音された音源とあわせて紹介する。
「BONE MUSIC」とは
ボーン・レコード (C) Photography by Paul Heartfield
舞台は、1940年代から60年代の冷戦時代のソビエト。現在のロシアにあたるこの国では当時、音楽を含む全てのカルチャーが、国家によって検閲され、コントロールされていた。そしてアメリカのジャズ、ロックンロールや一部のロシア音楽を聴くことを強く禁止した。もし見つかれば間違いなく、”刑務所行き”という今では信じられない環境のなかで、それでもリスクを犯してでも、どうしても好きな音楽を聴きたかったアンダーグラウンド・サブカルチャーシーンの音楽ファン達。彼らはなんと病院で不要となったレントゲン写真に、自作のカッティング・マシーンを使い音楽を録音し、「ボーン・レコード」を製作した。こうして国家に抵抗するソ連の音楽文化のアングラ 、「ボーン・ミュージック」は誕生した。
ボーン・ミュージックストーリー、国内・アジア初の企画展
過去海外での展示風景 Photo: Ivan Erofeev (C) Garage Museum of Contemporary Art
この「ボーン・ミュージック プロジェクト」は、本展キュレーターであるスティーヴン・コーツ氏、ポール・ハートフィールド氏両人によってキュレーションされ、2014年にロンドンで初めて展覧会として行われた後、約3年間に渡りイタリア、そしてこのストーリー誕生の地である旧ソビエト、現ロシアでの開催を経て、昨年のイスラエルに続き、日本での企画展としてアジアに初上陸することになった。
作曲家、音楽プロデューサーでもあるスティーヴン氏は、音楽活動を続ける傍ら、ロシアへの旅行中、サンクトペテルブルグの蚤の市でミュージック・トラック付きの骨盤のレントゲン写真に出会い、その見た目に衝撃を受けた。その後、ボーン・レコードのストーリーが生まれた歴史背景等の研究を進め、「X-Ray AudioProject」として始動し、展覧会だけで無く、ドキュメンタリー、オンラインアーカイブ、図録やライブイベント等の手法によっても表現の場を広げている。
過去海外での展示風景 Photo: Ivan Erofeev (C) Garage Museum of Contemporary Art
今回の展覧会では、スティーヴン氏、ポール氏両人のコレクションであるビンテージ・ボーンレコードを中心に、貴重な録音機となるカッティングマシーンを展示。会場 BGM にて実際にボーン・レコードに録音された当時の音源も聴くことができる。
イベント情報
会期:2019年4月27日(土)〜5月12日(日)
会場:BA-TSU ART GALLERY 150-0001 東京都渋谷区神宮前5-11-5
公式ホームページ:http://www.bonemusic.jp