鈴木拡樹、有澤樟太郎、健人ら出演、舞台『どろろ』東京公演開幕~「家族」という縁で繋がるストーリー
「鉄腕アトム」や「ブラック・ジャック」を生んだ巨匠・手塚治虫の名作「どろろ」。現在までに何度もアニメ化や舞台化がされているが、2019年1月より再びアニメ化、さらに3月2日より舞台の公演が大阪からスタートした。今回東京公演の開幕を前に出演者らが登壇する舞台挨拶が行われた。
両腕に刀を仕込む全身作り物の男“百鬼丸”は、その見えない瞳で襲い来る化け物を見据えていた。
奪われた身体を取り戻す旅をする男、百鬼丸を演じるのは鈴木拡樹。今年2月より公開された「映画刀剣乱舞」で三日月宗近を演じたことでも大きく世間にその名が知られることになった。体のあらゆる部分を奪われている百鬼丸がどうやって「生きている」のか一挙一動、そしてそれを取り戻した時「感じる」ということへの衝撃、説明されないでも観ている人に伝わるというこの演技はまさに彼にしかできない芝居だ。流れるようで一つの無駄な動きもない殺陣は圧倒的だ。また鈴木はアニメでも百鬼丸の声を担当している。
(C)手塚プロダクション/舞台「どろろ」製作委員会
百鬼丸の弟である多宝丸を演じるのは有澤樟太郎。昨年末の第69回NHK紅白歌合戦にミュージカル『刀剣乱舞』和泉守兼定役で出演も果たした。次期領主でもある多宝丸が百鬼丸の存在や父母の真意を知る時、彼が選択する未来とは……。ハイスピードかつ美しい刀捌き、特に百鬼丸との共闘・対峙には一瞬もまばたきをする猶予さえ与えてくれない。
画像左:多宝丸(有澤樟太郎)
鵺を追ううちに取り憑かれてしまう賽の目の三郎太(健人)、妖刀・似蛭に操られてしまう仁木田之介(影山達也)、戦で両親と生き別れた助六(田村升吾)ら、百鬼丸とどろろ(北原里英)が旅の途中で出会う人たち。また、百鬼丸の父母である醍醐景光(唐橋充)と縫の方(大湖せしる)、育ての親とも言うべき寿海(児島功一)や琵琶丸(赤塚篤紀)の想い、そしてその未来は。
左:仁木田之介(影山達也)
助六(田村升吾)
また、脚本・演出を務めるのは西田大輔。平面で何もなかった舞台上に変幻自在な舞台装置、照明、音楽、ダンサーの表現で、まるでページをめくるかのようにシーンを転換させる。
筆で書かれた「どろろ」のタイトル文字のように、荒々しい時代と、しかし家族や家族同然の存在となりえたものへの愛の暖かさを感じる公演だ。舞台「どろろ」は3月23日の三重公演まで全22公演を駆け抜ける。3月17日には東京公演の千穐楽ライブビューイングも行われる。
初日挨拶&フォトセッション 西田「この作品が「舞台である意味」を考えました」
百鬼丸役 鈴木拡樹:
「どろろ」という作品はとても愛されているなぁと、この舞台を通じてひしひしと感じております。たくさんのリメイク、アニメ化、映画化がされている作品です。数ある「どろろ」シリーズの中でも、今回舞台化にあたって見どころだなと感じたのは、今ここに登場しているキャラクターが「家族」という縁でつながっているストーリーを描いた作品になっているということです。「家族」というテーマをピックアップした「どろろ」を、できればご家族でも楽しんでほしいなと思って公演に臨んでおります。
どろろ役 北原里英:
今日の天気は残念ながら雨ですが、この「どろろ」も手塚治虫さんの傑作ダークファンタジーで雨が似合う話です。今日から東京公演が始まりますが、舞台の上でもみんなを照らす太陽のようなどろろとして元気いっぱい生きていけるように頑張っていきたいです。最後までケガのないようにみんなでひとつになって走り抜けたいと思います。
画像左:百鬼丸(鈴木拡樹)/右:どろろ(北原里英)
多宝丸役 有澤樟太郎:
この舞台は特に「生」の良さが全面に出ています。舞台ならではの迫力や、人間が描く生生しさ、そういうところに注目していただきたいです。大阪4公演を終えて、このまま東京、福岡、三重とこの勢いのままさらに上げていく気持ちで精一杯意最後まで頑張りたいと思いますので、最後まで応援のほどお願いいたします。
賽の目の三郎太役 健人:
今回この作品に関わらせていただいて本当に心から嬉しく思っております。大阪で幕は開けましたが、こうして東京公演初日ということで、初心の心を忘れず全力で戦っていきますので、どうぞ応援のほどお願いいたします。
画像左:賽の目の三郎太(健人)
仁木田之介役 影山達也:
雨男です(苦笑)。僕は今回が刀を使った殺陣が初めてなので怪我なく最後まで駆け抜けられるように頑張っていきたいと思っています。西田さんとこの作品の世界観を楽しんでいきたいと思います。
助六役 田村升吾:
「どろろ」はダークファンタジーと呼ばれていますが、たくさんの愛で満ちている作品になっていると思います。人生初の泥だらけの役です! 泥だらけになりながら、がむしゃらに一生懸命に生きていきたいと思います。初日よろしくお願いいたします。
画像左:寿海(児島功一)
琵琶丸役 赤塚篤紀:
手塚治虫先生の名作、そして天才・西田さんの演出。その「どろろ」の世界に出演させていただけるということで、誇りに思っております。思う存分楽しみたいと思っております。
寿海役 児島功一:
寿海は百鬼丸の育ての親です。先ほど鈴木拡樹さんがおっしゃった通り、家族の絆のお話になっていますので、そのあたりをしっかりとやっていきたいと思います。
画像左:縫の方(大湖せしる)/右:醍醐景光(唐橋充)
醍醐景光役 唐橋充:
醍醐景光は原作ではただただ冷血冷徹で悪であるんですが、舞台では父として家族として百鬼丸、多宝丸、そして妻である縫の方に、どう関わっていくかという視点で描かれており、百鬼丸とどろろの背景を彩る役どころでございます。鈴木拡樹さんのファンを公言している私ですが、本当に鈴木さんの百鬼丸は寂しくて切なくて、いろんなものを背負い込んでただただ純粋でダイナミックに優しい。今後後世に「どろろ」が例えば再演や新しい舞台化をされた場合には鈴木・北原版の「どろろ」が最高だった、伝説になるのではないかと今からの公演が楽しみであります。
縫の方役 大湖せしる:
人々の想い、絆、そして愛。様々な生きざまを見届けていただけたらと思っております。舞台「どろろ」がみなさまの心に長く残り続けるよう、私も一生懸命全力で縫の方を生き抜いてまいりたいと思っております。
脚本・演出 西田大輔:
まず手塚先生のこの「どろろ」という作品に携わらせていただいて本当に感謝しております。今回の作品に関して「舞台である意味」ということも考えました。例えば舞台では暗転をしますが、それをこの舞台では暗闇ととらえて、その暗闇でも観客のみなさんに訴えかける何かがあるんじゃないかと思い、細かくひとつずつのシーンをみんなで作ってきました。鈴木くんと北原さんはじめ、俳優たちが本当に繊細に真摯に稽古に臨んでくださいましたし、アンサンブルのダンサーが舞台である意味を一緒に考えてくれたような稽古場でした。百鬼丸がどろろという太陽と出会って、すべてを失っている中で希望を手に入れるという物語になればと思います。たくさんの人に届きますように。
百鬼丸(鈴木拡樹)
(C)手塚プロダクション/舞台「どろろ」製作委員会
取材・文・撮影:松本裕美
公演情報
鈴木拡樹/北原里英/有澤樟太郎/健人 影山達也 田村升吾 赤塚篤紀 児島功一/唐橋充 大湖せしる
原作:手塚治虫
脚本・演出:西田大輔
<大阪>2019年3月2日(土)~3日(日) 梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ
<東京>2019年3月7日(木)~3月17日(日) サンシャイン劇場
<福岡>2019年3月20日(水) ももちパレス
<三重>2019年3月23日(土) 三重県文化会館大ホール
全席指定 8,900円(税込)
■企画制作: エイベックス・エンタテインメント/Office ENDLESS
■公式Twitter:@dororo_stage
放送情報
<キャスト>百鬼丸:鈴木拡樹 どろろ:鈴木梨央 琵琶丸:佐々木睦 ほか
公式Twitter:@dororo_anime