「NHKバレエの饗宴2019」みどころを徹底紹介~日本のバレエの“いま”を味わい尽くそう!

2019.3.14
コラム
クラシック
舞台

「NHKバレエの饗宴2018」より©瀬戸秀美

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2012年開始の「NHKバレエの饗宴」は春の休日の一日、東京・NHKホールに日本のバレエを代表するバレエ団/アーティストが集い、バレエの多彩な魅力を披露する公演だ。その時々の旬な作品やダンサーが集まる催しとして定着しているのでご存知の方も多いだろう。そしてクラシック音楽方面からも見逃せない(聴き逃せない)。バレエ音楽だけでないさまざまな楽曲がオーケストラを中心に生演奏されるのも見物だ。ここでは2019年4月6日(土)に行われる「NHKバレエの饗宴2019」(指揮:井田勝大 演奏:東京フィルハーモニー交響楽団)で上演される5組の作品についてご紹介する。日本バレエの“いま”を味わい尽くしたい。

ヒューストンからの若い風、見参!

近年日本から国際バレエコンクール受賞をきっかけに海外で飛躍するダンサーが増えている。本年はカリーナ・ゴンザレス & 吉山シャール ルイ・アンドレ(ヒューストン・バレエ団プリンシパル)『ロメオとジュリエット』からバルコニーのパ・ド・ドゥ(振付:スタントン・ウェルチ、音楽:プロコフィエフ)が登場。吉山は2007年のローザンヌ国際バレエコンクールにおいてコンテンポラリー賞を受賞し、現在アメリカで活躍中で、今回はヒューストン・バレエ団の芸術監督のウェルチが2015年に振付した人気作品のハイライトを同僚のゴンザレスと踊る。若々しくドラマティックな踊りがみられそうだ。

カレーナ・ゴンザレス&吉山シャール ルイ・アンドレ『Other dances』より©Amitava Sarcar

「ボレロ」を異才たちが料理すると・・・

新しい創作を紹介していることも「NHKバレエの饗宴」の大きな意義で、金森穣、森優貴、平山素子ら当代一流の気鋭振付家が秀作を発表した。今年はC/Ompany(大植真太郎、辻本知彦)『bolero/忘れろ』(構成:大植真太郎、音楽:ラヴェル 振付・出演:大植真太郎、辻本知彦)だ。ハンブルク・バレエ団などで踊った大植を軸としたC/Ompanyは「談ス」と称するシリーズを発表し、言葉も使いユーモラスで不思議な独特の世界観を生んでいる。大植と2018年末の「NHK紅白歌合戦」で大きく注目された米津玄師のミュージックビデオの振付などでも知られる異才・辻本が、ラヴェルの名曲を用い、どのように絡んでくるのか興味は尽きない。

バレエと音楽の密なる関係、豊かな躍動美

バレエと音楽は切っても切り離せない。それは『白鳥の湖』などの古典全幕や物語バレエに限らず筋のないアブストラクト・バレエでもそうだ。その系譜において音楽と緻密に結び付いて一体化し“音楽を見る歓び”に満ちた珠玉の傑作が東京シティ・バレエ団『Octet』(振付:ウヴェ・ショルツ 音楽:メンデルスゾーン)である。ショルツは早逝したドイツの振付家で音楽性豊かな数々の名作を遺し、同作はメンデルスゾーンの「弦楽八重奏曲 変ホ長調 Op.20」を扱った1987年初演作品。緩急自在な調べと共に岡博美、清水愛恵、キム・セジョン、石黒善大、沖田貴士、中弥智博ほか同バレエ団の精鋭が躍動する瞬間瞬間に胸躍るはずだ。

東京シティ・バレエ団『Octet』©鹿摩隆司

音楽の視覚化”を極めたバランシンの名品

バレエと音楽の密な関係性といえば東京バレエ団『セレナーデ』(振付:ジョージ・バランシン 音楽:チャイコフスキー)は名作だ。20世紀バレエの巨匠バランシンが1933年、チャイコフスキーの「弦楽セレナード ハ長調 Op.48」を用いたアブストラクト・バレエで、流麗な踊りやポーズが緩急に富む音楽と溶け合い、感動がじわじわと押し寄せてくる。東京バレエ団は2018年に同作をバレエ団初演したばかり。上野水香、川島麻実子、秋元康臣という綺羅星のようなプリンシパルや、よく揃う自慢の群舞を配しているだけに名演に期待したい。

東京バレエ団『セレナーデ』 ©Kiyonori Hasegawa

古典の王道をゴージャスに

「これぞ古典バレエ」という演目が牧阿佐美バレヱ団『ドン・キホーテ』第3幕(演出・振付:アザーリ・M・プリセツキー、ワレンティーナ・サーヴィナ[プティパ、ゴルスキー版に基づく] 音楽:ミンクス)である。クラシック・バレエの様式を確立したプティパが1869年に初演したこのバレエは陽気で華やか。上演場面は主人公のキトリとバジルの結婚を祝すところで、踊りに次ぐ踊りを堪能できる。なかでも主役の阿部裕恵と清瀧千晴が踊るグラン・パ・ド・ドゥは高度な技巧が散りばめられた大きな見せ場で、ゴージャスに盛り上げるだろう。

牧阿佐美バレヱ団『ドン・キホーテ』第3幕 ©山廣康夫

文:高橋森彦

公演情報

「NHKバレエの饗宴2019」
 
■日時:2019年4月6日(土)15:00開演
■会場:NHKホール(東京都)
■出演:
カリーナ・ゴンザレス&吉山シャール ルイ・アンドレ(ヒューストン・バレエ団プリンシパル)
『ロメオとジュリエット』から バルコニーのパ・ド・ドゥ
振付:スタントン・ウェルチ
音楽:プロコフィエフ

C/Ompany(大植真太郎、辻本知彦)
『bolero/忘れろ』

構成:大植真太郎
音楽:ラヴェル
振付・出演:大植真太郎、辻本知彦

東京シティ・バレエ団
『Octet』

振付:ウヴェ・ショルツ
音楽:メンデルスゾーン
出演:岡博美、清水愛恵、キム・セジョン、石黒善大、沖田貴士、中弥智博 ほか

東京バレエ団
『セレナーデ』

振付:ジョージ・バランシン
音楽:チャイコフスキー
出演:上野水香、川島麻実子、秋元康臣 ほか

牧阿佐美バレヱ団
『ドン・キホーテ』第3幕

演出・振付:アザーリ・M・プリセツキー、ワレンティーナ・サーヴィナ(プティパ、ゴルスキー版に基づく)
音楽:ミンクス
出演:阿部裕恵、清瀧千晴 ほか

<指揮>井田勝大
<管弦楽>東京フィルハーモニー交響楽団

(出演者・五十音順)

■お問合せ:03-5790-6438(平日10:00~17:00)※NHKプロモーション内
 
■公式ホームページ:https://www.nhk-p.co.jp/ballet/index.html