中国国立バレエ団が初来日~張芸謀(チャン・イーモウ)監督が自身の傑作映画『紅夢』のバレエ版を演出
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中国国立バレエ団(左)『白鳥の湖』(右)『赤いランタン ~紅夢~ 』
中国最大規模を誇るバレエ団、馮英(フォン・イン)芸術監督の率いる中国国立バレエ団が創立60年目となる2019年5月、待望の初来日公演を東京文化会館 大ホールで行う。演目は日本初演となる『赤いランタン ~紅夢~ 』と『白鳥の湖』の2演目だ。音楽は生演奏で、中国クラシック音楽界を代表する指揮者の一人、張藝(チャン・イー)が東京フィルハーモニー交響楽団を指揮する。
【動画】中国国立バレエ団・馮英(フォン・イン)芸術監督芸術監督よりメッセージ
5月10日に上演される『赤いランタン 〜紅夢〜』は、中国を代表する世界的な映画監督で2008年北京オリンピック開・閉幕式の演出も担当した、張芸謀(チャン・イーモウ)監督の映画『紅夢』(1991年/第48回ヴェネツィア国際映画祭銀獅子賞)をバレエ化した作品。初演は2001年5月。バレエ化にあたっては、張監督が自ら演出を手掛けた。振付はドイツ在住の王新鵬(ワン・シンポン)と中国優秀振付家の王媛媛(ワン・エンエン)が、音楽はフランス在住の陳其鋼(チェン・チーガン)といった、世界の芸術を呼吸した中国のアーティストがそれぞれ担当。大元の原作は中国の現代小説家・蘇童の『妻妾成群』で、バレエ版では映画にはなかった京劇の要素も取り入れられるなど、中国の様々な文化・芸術が結合したバレエ作品となっている。これまでにニューヨークやパリなど世界各地で約400回上演されてきた。
【動画】2019年2月『赤いランタン』ワシントン公演
物語の舞台は1920年代の中国。主人公の少女はとある富豪の第3夫人(映画では第4夫人)として嫁ぐ。その屋敷では夫と夜を共にする「栄誉」を受けた夫人の棟の軒先に赤いランタンが掲げられるが、少女はその灯りの中で悲劇的な一夜を迎える。性愛、あるいは哀しみの象徴である赤い灯りのもとで正妻、第2夫人と少女の、中国版「大奥」のような確執が繰り広げられる一方、ある日少女はかつての恋人であった京劇の小生(若い男性役)と再会する。少女の恋心に再び灯がともるが、しかしその恋は第2夫人に知られるところとなり、少女は不倫の罪を問われることとなる……。
映画でなまめかしくも哀しい映像美を描いた赤いランタンの光や、物語が展開するきっかけとなった麻雀のシーンもバレエの舞台で巧みに生かされており、少女や第2夫人、京劇ダンサーなど、登場人物の心模様が鮮やかな色彩とともに描かれる。
主役の第3夫人にはプリマ・バレリーナの王啓敏(ワン・チミン)。2001年第9回モスクワ国際バレエ・コンクール第1位の栄誉に輝いた彼女は、過去に新国立劇場バレエ団『白鳥の湖』や『ローラン・プティの夕べ』に客演し、日本での知名度も高い。そして、恋人の京劇小生役はプルミエ・ダンサーの馬暁東(マ・シァオドン)。2011年第1回北京国際バレエ・コンクールバレエ芸術基金大賞受賞者だ。
【動画】『赤いランタン』主役を踊るワン・チミンよりメッセージ
【動画】馬暁東(マ・シァオドン)よりメッセージ
一方、5月12日に上演される『白鳥の湖』は、『ラ・バヤデール』でも知られるナタリア・マカロワの演出・振付によるもの。このプロダクションが日本で見られる機会はあまりないだけに、是非この機会に目にしておくことをおすすめする。オデット/オディールを曹舒慈(ツァオ・シューツ)、王子ジークフリートを孫瑞辰(スン・ルイチェン)が踊る予定。
中国国立バレエ団(中国国立中央バレエ団)は1959年設立。『白鳥の湖』『ジゼル』といった古典作品のほか、クランコ振付『オネーギン』、プティ振付『カルメン』、ノイマイヤー振付『人魚姫』などの現代作品もレパートリーに持つ。今回の来日公演では、1997年第8回モスクワ国際バレエ・コンクール第1位のプリマ・バレリーナ、張剣(ジャン・ジエン)をはじめ、国際バレエ・コンクール入賞経験を持つ実力ダンサー達が揃うことにも注目したい。
【動画】中国国立バレエ団 2019来日公演CM 30秒
公演情報
【会場】東京文化会館 大ホール
【指揮】張藝(チャン・イー)
【演奏】東京フィルハーモニー交響楽団
【演目】
『赤いランタン 〜紅夢〜(全2幕)』
■演出:張芸謀(チャン・イーモウ)
■振付:王新鵬(ワン・シンポン)、王媛媛(ワン・エンエン)
■音楽:陳其鋼(チェン・チーガン)
■舞台美術:曽力(ジェン・リー)
■公演日時:2019年5月10日(金)19:00
『白鳥の湖(全3幕)』
■振付:ナタリア・マカロワ
■音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
■公演日時:2019年5月12日(日)15:00