the shes goneが特別な街でおこなった初ワンマン『シズゴの日』
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the shes gone 撮影=コンノリナ
シズゴの日 2019.4.25 吉祥寺WARP
結成から3年。『RO JACK for COUNTDOWN JAPAN 17/18』で優勝し、幕張メッセでMOON STAGEに立ってから1年4ヵ月。ファースト・ミニ・アルバム『DAYS』をリリースしてから3ヵ月。2019年4月25日、the shes goneが初めてのワンマン・ライブ『シズゴの日』を、吉祥寺WARPにて行った。
3月の『DAYS』の東名阪リリース・ツアーに続き、本公演もソールドアウト。『DAYS』収録の8曲と、それ以前の曲3曲、全11曲がプレイされる。「恋」をモチーフにした曲も、そうでない曲もあるし。男目線からの曲も女目線からの曲もある。物語風の曲もあれば、独白みたいな曲もある。さまざまな方向から、さまざまな方法を用いて、コミュニケーションのうまくいかなさ、自意識のままならなさを描いていく。
the shes gone 撮影=コンノリナ
マイクに向かう兼丸(Vo/Gt)の表情は、少年のように無垢に見える瞬間もあれば、すべてを悟った人のように淡々としているように目に映る瞬間もある。マサキのギターもDaishiのベースも、熊谷亮也(サポート・メンバー)のドラムも、兼丸のとっちらかった感情をそのまんまトレースしたみたいに、混沌としている。
the shes gone 撮影=コンノリナ
「緑とレンガ」「サプライズ」「ラブストーリー」の頭3曲を終えたところで、兼丸は、「着飾っても意味ないんで、僕ららしいワンマンにしたいと思います」「吉祥寺で生まれた曲がたくさんありますんで。今日はできる限りのことをしたいと思います」と言った。二回目のMCでは、「初めての感情が、今日はずっとこみあげてですね……」と言いながら自分の胸を撫で、「初めて作った曲です」という紹介で、6曲目の「歩道橋」に入った。
渋谷や新宿、下北沢でライブをやることが多いが、吉祥寺で結成して吉祥寺のリハスタで練習してきたバンドであること、だから初めてのワンマンの場所として吉祥寺WARPを選んだこと、駅からスタジオに向かう時の気持ちが曲をやっていると蘇ってくること──など、この街に対する思いを、何度も口にした。
the shes gone 撮影=コンノリナ
そして、後半のMCでは、「いちばんそばにいてほしい存在になれればと思っています……こんなことを本心で言えちゃうバンドのために来てくれて、今日はありがとうございました」と礼を言い、しばらく後ろを向いたまま立ち尽くす。涙腺決壊で前を向けなくなったのだった。ベースのDaishiがその肩にそっと手を置くと、涙でぐしゃぐしゃの顔で振り向いた兼丸、「泣きそう」。「いや、むちゃ泣いてるやん!」とDaishiが瞬時につっこみ、笑いが広がった。
the shes gone 撮影=コンノリナ
結成から1年半で『RO JACK』で優勝、3年でUKプロジェクトから作品をリリースできて、東名阪ツアーを満員にして初ワンマンもソールドアウト、というのは、とても順調に思える。しかし当人たちにとっては決してそんなことはなかった、ゆえにもう本当にあらゆる気持ちを抱えて、この日のステージに上がっている、ということが、兼丸の言葉や、歌や、バンドの演奏の端々から感じられる、聴き手にとても強いものを残す時間だった。
「僕らのライブでは、ライブハウスらしく拳を挙げたりしないでもいい、あなたらしくいればいい」という兼丸の言葉どおり、オーディエンスはそれぞれの思いを抱えながら、そしてひとりひとりとても真剣に、ステージに対峙しているように見えた。
取材・文=兵庫慎司 撮影=コンノリナ
the shes gone 撮影=コンノリナ
セットリスト
1. 緑とレンガ
2. サプライズ
3. ラブストーリー
4. 最低だなんて
5. 化物
6. 歩道橋
7. shower
8. panorama
9. 甘い記憶
10. 想いあい
11. young
ツアー情報
2019/6/22(土)愛知 名古屋 RAD SEVEN 開場 17:30 / 開演 18:00
2019/6/23(日)大阪 心斎橋 DROP 開場 17:30 / 開演 18:00
2019/7/20(土)東京 渋谷eggman 開場 17:30 / 開演 18:00
※全公演ゲストバンドあり
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一般発売 5/18(土) AM10:00~