flumpool 秘密の"屋根裏部屋"で展開された、レア曲も満載のプレミアムツアー・東京公演
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11月13日、「R→LOOF PLAN ~大人の屋根裏計画~」と題し、5都市限定で回るflumpoolのプレミアム・ツアー、その4本目がZepp DiverCity Tokyoで開催された。
開演前のステージには、いくつものLEDが設置され、屋根裏部屋を想起させる断片的なイメージが映し出されている。歯車、掛け時計、本棚、そしてレトロなブラウン管のTV……。開演時間を迎えると、クラシカルなBGMの中、チクタクと秒を刻む音が大きくなっていき、砂嵐のようなノイズがそれをかき消す。「ボーン」と、ついに開幕の時を告げる音が鳴った。客席を覆うほどのスモークにあわせ、デジタリックなSEがけたたましく響き……SEがバンドのアンサンブルに取って代わられたかと思うと、まだハッキリとは見えないステージから山村隆太(Vo/G)のボーカルが轟いた。オープニングナンバーは「ベガ~過去と未来の北極星~」だ。
「行くぜ! DiverCity!」
高らかに宣言する山村の気迫がスモークを切り裂くと、そこにはすでに臨戦態勢のメンバーの姿が。阪井一生(G)の胸騒ぎするようなリフに、サポートメンバー吉田翔平(Violin)の艶やかな旋律が絡む。2階席まで揺らすほど熱狂するオーディエンスを指差し、両手を広げる山村。さあ、祝祭の始まりだ。
そのままなだれ込んだ「Sprechchor」では目も眩むようなイエローとレッドのライトが明滅する中、観客のハンドクラップにあわせ、攻めのファンクネスを見せる。さらに、勢いをゆるめることなく「Hello」へと突入。ここからが本番とばかりに、山村も客席に「もっと!」と声を求める。めちゃくちゃカッコいいじゃないか。
息もつかせぬ勢いで3曲を叩きつけ、最初のMCが挟まれた。「DIverCity! 楽しんでますか? もう、めちゃくちゃ会いたかったですよ!」と、笑顔で語る山村に大きな歓声が沸く。
尼川元気(B)
「昔、ちっちゃい頃さ、なんか押入れの中で、こそこそ話したりとかあるやん? 布団かぶって、豆電球1個つけてさ。あれへん? やったことあるやろ? そういう秘密基地じゃないけどさ、好きな子とかさ、仲のいい友達とか呼んで、みんなでこっそり話し合おうよっていう。今日は初めてきた人もおると思うし、みんなでぎゅーっとなってコソコソ話みたいな。みんなで秘密の話できたらいいなと思ってます」
そんな風にライヴの趣旨を語る山村に続けて阪井が「今回、普段あんまりやらない曲もやっていこうかと思ってますんでね。友達に連れてこられたっていう人もいると思うけど、正直、今の3曲、全部知らんかったっていう人?」と客席に問いかけると、それなりの人数が手を挙げる。そう、この日のセットリストは、新旧の作品からライヴではレアな楽曲を盛り込んだ特別なもの。阪井は「な? 知らんよな? だからアルバム全部買って!」とちゃっかり宣伝して笑いを取りつつも、「こんなことあんまりやりませんから!」と、してやったりの表情だ。
阪井一生(G)
アットホームなMCを挟んで、ドラムのカウントから始まったのは「The great escape」だ。ディープに攻めた序盤から打って変わり、エヴァーグリーンなメロディがフロアを満たしていく。かと思えば、さらに急転直下の攻撃曲「この時代を生き抜くために」と、極端な緩急をつけてみせる。セットリストのセレクトといい、観客を驚かせ惹きつけるための構成に、ついニヤリとしてしまう。
過去の恋から着想したという「君のための100のもしも」では、残り続ける恋慕と、そんな自分も肯定する眼差しをアンサンブルで表現。フラッシュバックする記憶のようにリズミカルに跳ねる磯貝サイモン(Key)のシンセとギター、包容力のある尼川元気(B)のグルーヴ、そしてあくまでも穏やかな小倉誠司(Dr)のドラミングが、バイオリンの旋律をともなって優しい歌声に寄り添う。
「みんなの笑顔を見て出来た曲です」と始まった新曲「君が笑えば ~Just like happiness~」の、ゴスペルを思わせる“LOVE”という言葉のリフレインと、マイクスタンドを両手で握り、ひとつひとつの言葉を噛みしめるような山村の歌に、観客もゆったりと身を委ねる。おおらかで、あたたかい。これも、flumpoolの大きな魅力だ。
小倉誠司(Dr)
バラードブロックを終え、どことなくよそよそしい雰囲気で阪井が「さあ……みなさん楽しんでますか?」と話し始める。バラードの後は入り方が難しいのだそうだ(笑)。と思ったら、新曲がブルボン「アルフォートミニチョコレート」のCMに起用されているということで、関係者席に向かって「僕はアルフォートで出来てるようなもんなんで」とゴマすりアピール! 「やらしいわ逆に!」と山村に突っ込まれる姿に、笑いと拍手が起きる。そんなコントのようなMCを挟んで、ライヴはあっという間に後半戦だ。
後半ではまず「僕はここにいる」、「brilliant days」、「明日への賛歌」が続けて演奏されたのが、この流れが個人的にはこのライブのハイライトだったと感じている。まず、ビル群や人影、花々の姿、そして過去の4人がたくさんの扉から現れては消える映像の中で届けられた「僕はここにいる」。
〈立ち止まりもせず/心拍数をあげながら/涙で補給して/今日まで駆け抜けてきた〉
たくさんの迷いや壁を越えて、彼らが“ここにいる”ことを確かめる、そんな強い説得力を持った楽曲だ。続けては、過去を思いながらも未来へと進む意志を、楽器を置いた山村が叫ぶように歌い上げた「brilliant days」。「明日への賛歌」では、心臓の鼓動を思わせるドラムとどこまでも広がる壮大なサウンドに乗せて、“この先”を強く見据えるメッセージを届けた。サポートを含めたプレイヤー陣も、音のひとつひとつを慈しむようだ。過去、現在、そして未来の軌跡を3曲で描き出し、そのクライマックスで山村が叫んだ「みんな、一緒に歌おう!」という言葉はあまりにドラマティックで、心を揺さぶられずにはいられない光景だった。
そんな物語があって、今この場所がある。それを、全身で楽しもうじゃないか。そんな心意気を音で、フィジカルで納得させる情熱的なインストでフロアをダンスの坩堝に叩き込んだ後、続けざま野生的なビートが鳴り響く。Zeppを大きく縦に揺らした「Because... I am」、「MW ~Dear Mr. & Ms.ピカレスク~」と、アップテンポなナンバーをぶちかまし、ブライトな名曲「星に願いを」に繋げていく。近距離で向かい合って交わされるメンバー同士のアイコンタクトも、高々と拳を掲げ観客を煽る山村も、心から音楽を楽しむキッズそのものだ。
山村隆太(Vo/G)
銀テープが降り注いだ本編最終曲の「プレミアム・ガール」、そして「みんな大好きです」という直球な言葉とともに届けられたアンコールの「証」、振り回されるタオルが突き抜けたハピネスを彩った「イイじゃない?」まで全18曲。どこまでも真っ直ぐに音を奏で、客席に長く長く礼をして、晴れやかな表情でメンバーはステージから去っていった。
「屋根裏部屋」という言葉から、あなたは何を想像するだろうか?
山村が語ったように、それは誰にも邪魔されることのない秘密基地。大切な宝物をコレクションするギャラリーであり、小さな窓から夜空を見つめあの子を思うセンチメンタルの象徴であり、いつか来る未来に思いを馳せるための繭のような空間であり……。屋根裏は、そんな“少年期の原風景”として、誰もが思い浮かべる場所ではないだろうか。そして、この日のライブも、きっとそうだった。終演後、「あの曲めっちゃ良かったよね!」と語り合いながら、会場を後にするオーディエンスたち。遊び疲れて家路につく少年、少女のようにキラキラとした彼らの表情を見ながら、そんなことを思った。
flumpoolは 12月30・31日に、初の単独カウントダウン公演が決定している。場所は横浜アリーナ! しみじみと満足してる場合じゃない。4人はもう、次のでっかい遊び場で待っている。
撮影=古渓一道 文=矢野裕也
flumpool LIMITED TOUR 2015「R→LOOF PLAN ~大人の屋根裏計画~」
2015.11.13 Zepp DiverCity Tokyo
1. ベガ ~過去と未来の北極星~
2. Sprechchor
3. Hello
4. The great escape
5. この時代を生き抜くために
6. 傘の下で君は...
7. 君のための100のもしも
8. 君が笑えば ~Just like happiness~
9. Over the rain ~ひかりの橋~
10. 僕はここにいる
11. brilliant days
12. 明日への賛歌
−Band Inst−
13. Because... I am
14. MW ~Dear Mr. & Ms.ピカレスク~
15. 星に願いを
16. プレミアム・ガール
[ENCORE]
17. 証
18. イイじゃない?
flumpool COUNTDOWN LIVE 2015→2016
「ヒツジの皮を被ったサルたちの歌合戦」
30日公演 : 未の忘年会 2015年12月30日(水)
31日公演 : 申の新年会 2015年12月31日(木)
※12月31日は、年越しカウントダウンを実施
12月30日(水) 16:00開場/17:00開演/20:00終演 ※全て予定時刻
12月31日(木) 20:00開場/21:30開演/24:30終演 ※全て予定時刻
料金 6,500円(税込)※オリジナル年賀状プレゼント付き
発売 一般発売12月5日(土)AM10:00~
・4歳以上
・3歳以下 入場不可
・お一人様4枚まで
お問い合わせ キョードー横浜 045-671-9911(月~土10:00~18:00)