坂本昌行「『The Greatest Show Man』の主役をやらせてほしい!」 3年ぶり2度目のソロコンサート『ONE MAN STANDING 2019』開幕
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坂本昌行
2019年5月22日(水)、東京・Bunkamura オーチャードホールにて、坂本昌行のソロコンサート『ONE MAN STANDING 2019 The Greatest Symphony』が初日を迎えた。
2016年の坂本自身初となるソロコンサート『ONE MAN STANDING』では、これまで出演してきたミュージカルを中心に厳選した珠玉のナンバーをビックバンドによる演奏によって観客と一緒に楽しめるミュージカルコンサートとして大好評を得た。
待望の第二弾となる今回は、日本の女性アーティストのヒット曲を中心とした様々な楽曲を大胆にアレンジし、オーケストラをバックに、バラエティに富んだ音楽で構成された。
報道陣向けに公開されたゲネプロ(通し稽古)、並びに初日の模様をレポートする。
オーケストラの演奏が始まると、ステージ上には2基のミラーボールから光のシャワーが会場中に降り注ぐ。その後、坂本が拍手の中、ステージに登場した。
今回は「女心」をテーマに女性アーティストの曲を中心に「愛」を歌い上げる企画。竹内まりやの「駅」のように別れた人への想いを描く曲から高橋真梨子の「for you…」という溢れんばかりの愛を訴える曲まで、坂本はオーケストラの音色と共に自らの楽器「声」を会場いっぱいに響かせた。
時には男心を、と「Good-bye Day」(来生たかお)などを切なく、また坂本がこれまでに出演したミュージカル『TOP HAT』『THE BOY FROM OZ』のナンバー、そして昨年WOWOWで放送された「第72回トニー賞授賞式」で披露し、大きな話題となった『The Greatist Show Man』のナンバーもダンスを交えて贅沢に見せつける。特に『THE BOY FROM OZ』の「Don't Cry Out Loud」は劇中で坂本演じるピーター・アレンの母(演:今陽子)が息子に向けて歌い上げる名曲。最後に上演されてから10年以上ぶりに、しかも坂本の歌声で聴ける貴重な機会に場内からは拍手喝采、中には目頭を押さえるファンの姿もあった。
さだまさしが雪村いづみの歌手生活40周年の記念に書き起こした「虹~singer~」をさだがセルフカバーした「虹~ヒーロー~」も大きな感動を呼んだ珠玉のナンバー。一人のシンガーが歌手人生を振り返りながら、それでも一人の歌い手として生き続けたいと強く願う内容の歌を、坂本が自身の人生にも重ねるように魂を振り絞るように歌い上げると、鳴りやまないほどの拍手の嵐となった。
ボブ佐久間
坂本は曲中のMCも務める。ゲネプロでは指揮を務めるボブ佐久間に「オーケストラの人たちって起立した後、直立したままでお辞儀はしないんですね。要領がつかめなかった(笑)」と語る坂本。また初日では緊張のあまり、舞台『君が人生の時』の共演者がアレンジを手掛けた、という話を違う楽曲の紹介パートでしてしまい、途中で気が付き大慌て。先ほどまでカッコよくキメて歌っていた姿から一転しての、狼狽ぶりに会場からあたたかな笑い声が沸き起こっていた。
2時間にわたるゲネプロの後、場内ロビーで会見が行われた。
開口一番、「気持ちいいですねえ」と歌ってみての感想を口にした坂本。前回の公演でV6のメンバーから呼ばれるようになった“オーチャード・坂本”という呼び名を振られて吹き出しつつも3年ぶりのソロコンサートについて「同じ場所に立てる事だけでなくオーケストラの大編成を背負ってですから、こんなに幸せな事はないですね」とかみしめるように語った。稽古にはアレンジを担当した服部克久の姿もあったそうで、「緊張しました。でも先生から『大丈夫、大丈夫。好きなように歌っていいよ』と励ましていただき、また歌い終わった後『良かったよ。自信を持って歌えばもっと良くなるよ』と言われ、それだけでもホッとした」と振り返った。
スタイル抜群ですね!
なお、服部から「良かった」と言われた事で、「ついに坂本さんも女心を掴めたのか?」と恒例の(笑)独身ネタを聞かれると「ついに!?」という話の振られ方に笑い出し、「歌詞を読みながら少しは理解できたと思う。少なからず自分も恋をした事があったので」と余裕の返しを見せていた。
今回は昭和の曲が多い事に触れた坂本。「昭和、平成、令和と時代が変わっていけば歌詞の内容も変わっていくんだなと感じました。昭和の曲が多いのは僕が耳にしていた曲が昭和の曲だったので。新しい曲も考えてみたんだけど、なかなかピンとこなくて(笑)。大塚愛ちゃんの『さくらんぼ』とかも出たんですがしっくりこなくて、やはりしっとりと聴かせる昭和の曲になった」とセットリスト決定の舞台裏を明かした。
いちばん気持ちが乗る曲は? の質問に「高橋真梨子さんの『for you…』。“あなたが欲しい、あなたが欲しい”そして最後に“私を奪って”。こんなストレートな歌詞はなかなか男性(曲)では歌えないから」と笑顔を見せる。
ここでもリポーターから「“私を奪って”なんて言われた事があるか?」と詰め寄られたが「……言われた事がありますか?」とリポーターに逆質問をし、鮮やかにかわす坂本。
「曲を聴いて当時の思い出とかを振り返ってもらうのも今回のコンサートの楽しみ方の一つなんじゃないかな。僕が歌う曲を聴くだけではなく、皆が口ずさむような気持ちになるのもいいですね、なんなら終演後、カラオケにでも行っていただければ」と微笑みながら話を続けた。
ミュージカルナンバーの話になると坂本は『The Greatest Show Man』の楽曲はどうしてもやらせてほしい、と演出家に相談して実現した曲」と口にし「いつか日本に本作がミュージカルで上陸した際、是非主演でやらせていただきたい。関係者の皆さん、どうぞお願いいたします。衣裳はあります、身体もあります。あとは(出演)権利だけです!」と力強く訴える。
この公演のためだけに作ってもらったという“グレショー”の衣裳!
セットリストの中には今回坂本のオリジナル曲も含まれている。「前回歌った時より今回の方が愛に対する理解が深まっているか?」さらには「今、愛が傍にあるのか?」となおも問われた坂本は「歌詞は自問自答ですね。『で、お前はどうなんだ?』って」と一度はかわしたものの「で、どうなんだ(笑)?」とリポーターから追撃をかけられ「……答えがないんです~僕のここ、空いているんです」とオードリー春日俊彰のネタを真似て左脇の下を指差して苦笑い。しまいには「メンバーにも観に来てもらって両脇を支えてもらいたい。余生を頑張りたいです」と両脇を空けてメンバー(?)にアピールしていた。
メンバーの話から「今年の11月にV6も25周年の年に入ります」とコメント。「20周年の時は皆さんから『おめでとう!』という言葉をたくさんいただいたので、25周年はこちらから『ありがとう!』と伝えたい」と長年応援してきたファンに感謝の言葉を贈る坂本。「25周年記念コンサート、やるでしょう。やりたいです。僕らまだまだ踊りたいですから」と最後はV6のリーダーとして、今後の活動に期待を持たせていた。
取材・文・撮影=こむらさき