まつもと市民芸術館の人気作『空中キャバレー』今週末に開幕!
-
ポスト -
シェア - 送る
『空中キャバレー2013』より 提供:まつもと市民芸術館
まつもと市民芸術館では、俳優で演出家の串田和美が芸術監督を務めている。シアターコクーンの芸術監督時代、年末に芝居や音楽、サーカスをオムニバスで繰り広げる『ティンゲルタンゲル』(89~96年)という風物詩があった。稽古場では、役者もミュージシャンも、サーカスのパフォーマーもごちゃまぜになって必死のネタ合戦が行われたとか。串田が「面白い!」と首を縦にふらないと、いくらオンシアター自由劇場のベテラン俳優でもこの“大忘年会”に参加できなかったそうだ。
時は流れて2011年、『空中キャバレー』は生まれた。街をあげての大イベント、信州・まつもと大歌舞伎と交互に、2年に一度、どこからともなくやってくる蜃気楼のようなステージ。『ティンゲルタンゲル』と違うのは、芝居や音楽、サーカスばかりか、今度は観客までもが渾然一体となっているところ。なぁんて言ってみたところで、こればっかりは正直観てみなければ、参加してみなければわからない。だけど紹介してみる。
観客は搬入口から入場する。開場しミュージシャンの奏でる音楽に招き入れられると、そこは松本のアーティストや若手農家などが出店するマルシェ。買い物や飲食をしながら大道芸や胡散臭いゲーム、占いなどでも遊べる。まだ開演前なのに劇世界に放り込まれ、否応なく気分が盛り上がっていく。そして「空中キャバレーのテーマ」が演奏され、出演者たちが集合すると観客は彼らについて本会場にパレードするのだ。ただし客席はわずか。多くは広いステージ上に作られたアクティングエリアにそのまま座る。
アコーディオニストのcobaを中心とした生演奏、空中ブランコやアクロバットのパフォーマンス、笑いやペーソスに富んだ寸劇が次々と目と鼻の先で繰り広げられる。観客は片手に飲み物、片手には鳴り物のおもちゃを持って、演し物に合わせて中央に集まったり、パフォーマーを囲んだり、観客の合間をかきわけて行き来する役者たちとやりとりする。時には一緒に歌い踊る。出演者の向こうに見える観客の笑顔やほろっと流す涙など、その反応までもが作品の一部となって、『空中キャバレー』の時空間はできている。この心地良い非日常感に誘われ、県外からも多くの観客が駆けつけている。終演後、劇場を後にする観客はもれなく笑顔。そして現実の空間に戻っても、おとぎ話の世界にいるかのようなフワフワした感覚が抜けきらないから不思議だ。
そんな方は、劇場周辺のカフェやバー、雑貨店などに立ち寄ってほしい。公演期間中には“空中キャバレット”“空中キャラメール”“空中キャンバーグ”などの特別メニュー、作品をイメージした特製カクテルなど店主がアイデアを凝らしたサービスで『空中キャバレー』の魔法にかかった皆さんを待っている。題して、街中キャバレー!
さて、3年目となる今年はどうなるのだろうか。過去の2回はベースとなる台本があったものの、今回は出演者たちが数チームに分かれてのネタ合戦が、ついに始まったとか。松本出身でこれが3作目となる秋本奈緒美も、初参加の高泉淳子も、劇場を拠点に活動するTCアルプの若手たちも条件は一緒。ただ『空中キャバレー』の団長?役兼MCの串田和美だけは、悠々とそれを見守り笑っている。面白いのは、どんな個性が集まっても、『空中キャバレー』の世界観が変わらないことだ。
日時:2015年7月17日(金)〜7月26日(日)
会場:まつもと市民芸術館 特設会場
日時:2015年7月17日(金)〜7月26日(日)
会場:まつもと市民芸術館 特設会場
構成・演出:串田和美
音楽:coba
サーカス・アドバイザー:ジュロ
出演者:高泉淳子 大森博史 小西康久 内田紳一郎 片岡正二郎 秋本奈緒美 串田和美/近藤隼 佐藤卓 細川貴司 下地尚子
ミュージシャン:coba(19日~26日) 大熊ワタル 花島英三郎 ギデオン・ジュークス 熊谷太輔 杉山卓
サーカスパフォーマー:ロラン ロッタ スティーナ メリッサ サラ 金井ケイスケ 目黒陽介 宮野玲 ジェームス・ヨギ
・料金=全席自由 一般5,500円、U-25 2,500円/中学生以下1,000円[要年齢確認証提示]※4歳以上
・問合せ=まつもと市民芸術館 Tel0263-33-3800