注目の劇団「THE ROB CARLTON」に直撃!

SPICER
THE ROB CARLTON(村角ダイチ/ボブ・マーサム/満腹満)

THE ROB CARLTON(村角ダイチ/ボブ・マーサム/満腹満)

「お客様に見せる所はホテルっぽく、劇団の精神性はラグビーです」(ボブ)
 
高級ホテルや貴族の邸宅などを舞台にした、くだらなくも上質なシチュエーション・コメディで、今関西の演劇ファンの間で人気急上昇中の劇団「THE ROB CARLTON(ザ・ロブカールトン )」(以下RC)。奇しくも先月のW杯で一躍ラグビーに注目が集まり、時代の流れすら味方に付けた観がある。そのROBの主宰で作・演出の村角太洋a.k.a.ボブ・マーサムと、所属する役者の村角ダイチ(ボブの実弟!)、満腹満に話を聞いた。
 
 
THE ROB CARLTON 5F『スカイ・エグゼクティヴ』

THE ROB CARLTON 5F『スカイ・エグゼクティヴ』

「全然意味ない、この会話!」というのがカッコいいなあと。
 
──RCには前身となる集団があったそうですね。
 
ボブ 「洛西オールドボーイズ」という、洛西高校ラグビー部OB中心の団体です。最初はラグビーをするつもりだったんですけど「せっかくみんな集まったのでお芝居しようか」って話になりまして。
村角 自分が芝居をしたかったから。
ボブ そう、やってみたかったんです。洛西高校って、文化祭で各クラスが絶対に芝居をしないといけなかったので、みんないろいろやっていて。その延長で「あれ楽しかったから、自分たちだけでやってみよう」ってなったんです。ただそれは半分遊びで、お客様も身内だけでしたね。最初の頃はラグビーもやってたんですけど、そっちはだんだんみんなが集まらなくなったので…。
 
──芝居だけが残ったと。
 
ボブ でも就職とかでそれも解散して、僕はホテルで働いてました。でも芝居はちょくちょく観に行ってて、どっかのタイミングで「やっぱり芝居したいな」と思ってホテルを辞めたんです。ただ「洛西…」はリセットして、今トーカツ(制作)をしている酒井と弟に声をかけました。
村角 僕はその頃バンドをやってたんですけど「他に何かないかな」と考えていたタイミングで、ボブが芝居をやると言い出したんです。最初は裏方ぐらいかと思ってたら、知らん間に役者をやらされてて、気づいたらメインでやってました。
ボブ で、他にも誰かいないかってなった時に、満腹が思い当たったんです。毎週一緒に映画を観に行ったりしてつながっていたし、常に暇なんで。
満腹 いや、就職してたよ(笑)。でも、ちょうどそこを辞めた時だったので、暇は暇でしたね。
 
──当時から今のような、ハイソサエティーの世界を舞台にしたシチュエーション・コメディだったんですか?
 
ボブ そうですね。僕がホテルで働いていたというのもあって、「洛西…」の時からハイソサエティーというか、地下のバーみたいな大人の世界の話を作ってました。
 
 
THE ROB CARLTON 7F『ザ・シガールーム』

THE ROB CARLTON 7F『ザ・シガールーム』

──RCは仕掛けとか構造ではなく、会話中心で笑わせる劇団が久々に出たという点で、逆に新鮮でしたね。
 
ボブ そうですね。古いスタイルをもう一回持ち出したというのはあるかもしれません。でもそれは別に、意図したものじゃなかったんですよ。
村角 そういうものやと思ってたもんね、お芝居って。
ボブ そうそう。割と僕が観ていたのが、あまり間がなくて、会話がポンポンポンって行くような芝居ばっかりだったかもわからないです。あと、アメリカのコメディ映画の影響もあります。すごくどうでもいい会話を、ずっと間髪入れずにしゃべり続けているという。
 
──RCの特徴である「そんなんどうでもええわ」みたいな内容の会話がずっと交わされるスタイルは、それが影響してたんですか。
ボブ ですね。改めてアメリカのコメディ見たら「全然意味ない、この会話!」って思いましたよ(笑)。でもこういうのが一つのウィットなのかな? と思ったし、すごくリズムが良くてカッコいいとも思ったんです。
 
──しゃべり口調が妙に翻訳調なのもその影響?
 
ボブ そうです。基本的に洋画って字幕で見ちゃうじゃないですか? 字幕で会話が頭に入ってくるんですよね。だから(日本語会話の)言い回しとしては変。
満腹 客演さんがうちに来たら苦労しはるもんね。
村角 でも僕は、ボブと同じ物を観て育ったんで、それが僕の…僕らの中では当たり前で、逆に外で(客演)やった時に、どうしていいかわからなかった(笑)。RCの世界は、普段しゃべってる感じでは全然空気が作れないから、ああいう口調にするしかないんです。
 
──じゃあ、その空気感を最初から飲み込んでいる身内が劇団にいたのは、自分の世界を具現化する上ですごくありがたかったのでは。
 
ボブ 一番大きいかもしれないです。感性がやっぱりね、割とツーカーな所はあります。
満腹 でも僕は、2人が通ってきたようなものは通ってなかったんですよね。
ボブ だから最初は、演じていて大変だったと思います。ダイチには「こんな感じで」って言えば何となく成立するけど、満腹は「…お、おっ?」ってなってました。今でこそ、僕らのニュアンスが伝わってますけど。
 
 
THE ROB CARLTON 8F『STING OPERATION』

THE ROB CARLTON 8F『STING OPERATION』

「ラグビーを知らしめていく」という使命感が出てきています。
 
──RCは「ホテルとラグビー」が劇団コンセプトになってますが、これは後付けですか?
 
ボブ いや、それはもともと考えてました。まず全体像としてホテルがあって、ラグビーというのは劇団の精神性ですね。お客様に対して見せる所はホテルっぽく作り上げて、僕らはラグビーそのままにチームとしてやっていくという。でもだんだん「ラグビーを知らしめていかなあかん」という使命感が出てきまして、ちょっとずつお客様に…たとえば前作(今年4月の公演)では「五郎丸」という役を出してたんです。
 
──今や時の人の。
 
ボブ それでお客様は、今になって「あれか!」と気づいたと思うんですよね。そんな感じで、ちょっとずつラグビーの単語とかを出して覚えておいてもらったら、多分こうなった時に「あれか!」と思ってもらえるだろうと。次の公演でも、今だからこそわかるラグビーの話題を入れています。
満腹 このブームが持続してくれたらね。
村角 でも、ただのミーハーと思われたらイヤやなって。特にボブは異常にラグビー好きですし。
ボブ:試合を見るためだけに、ニュージーランドまで行ったりしますからね。ここ、強調しておいてください。昔からちゃんと応援してたって。
 
──新作の『CREATIVE DIRECTOR』は、ラグビーに続いて、またしてもエンブレム問題で注目が集まった職業が出てしまいましたが。
 
ボブ:これも決めたのは、前回公演が終わった頃…エンブレム問題が出る前なんですよ。たまたまTVでクリエイティブ・ディレクターのドキュメンタリーを見て、会話の語尾がすごく面白いなあと思ったんです。「…じゃねえか」とか「…じゃないですかねー」みたいな。普通の会話ではあまり出ないけど、そういう職場でやると何か成立してるという面白さがあったんです。あと、いつか舞台に長い机を出したいと考えていたんですけど、そのディレクターの事務所に長い机があって、これはいいなと。
 
──じゃあ、今回は長い机ありきで? 
 
ボブ ありきでした。長い机もあるし、会話も面白いし、「クライアント」って言葉もいい。それでこの題材にしようと決めた矢先に、あの事件じゃないですか? たまたまラグビーも盛り上がってるし、ここはタイムリーな所を攻めて行こうと。でも、今まで僕らはクラシックな感じでやってたんですけど、今回は設定が現代っぽくなるんで、これまでとは違う雰囲気の芝居になると思います。
 
 
THE ROB CARLTON 9F『ELDER STATESMAN'S GARDEN』

THE ROB CARLTON 9F『ELDER STATESMAN'S GARDEN』

──演劇界の大先輩の川下大洋さんがゲストで出演されますが、感触はいかがですか?
 
ボブ 川下さんがこの台詞言ったら絶対面白いやろ、という台本を書いたつもりなんですけど、それがやっぱり面白いです。イントネーションとか、声のトーンとか、大洋さんならではの面白さ。もしかしたら、他の人が言っても全然面白くないかもしれない。
村角 ただ僕らみたいな駆け出しの役者からしたら、同じ土俵に立つのが恐ろしいですね。今までもずっとボブの台本でやってきたけど、やっぱり大洋さんが出た方が断然面白い。
満腹 経験値の差っていうのはね。
村角 そら親父と同い年やし(笑)。(註:村角兄弟の父親は川下の同級生)でもそこじゃなくて、意識の問題で絶対変わってくるから。役者としてもっともっとやらなあかんし、考えていこうという風に思ってます。
満腹 僕も今は飲み込まれてしまっているけど「大洋さんだけが面白かった」と言われないようにしたい。大洋さんをうちの世界観に引き入れるという風にしたいです。
 
──RCとしては、今後はどこを目指していきたいですか?
 
ボブ やりたいことは山盛りあるんですけど、たとえば家の芝居をするにしても、スーパー大富豪の話にするとか、衣装も舞台(美術)も非日常にしたいですね。日常的なリビングで起こるみたいなことは、多分ないと思います。
 
──でも設定はゴージャスなのに、登場人物たちの言動や思考はすごく庶民的っていうギャップも、RCの面白さですよね。
 
ボブ そこなんですよね。たとえば今回だと「クリエイティブ・ディレクターってこんな感じだろう」みたいな、お客様も含めて持っているイメージを、ファンタジックに作る…というやり方です。
満腹 「こんな会話してるんやろうなー」ということを。
ボブ だから本物のクリエイティブ・ディレクターが観たら、どうなるかわからない(笑)。そういう職業や立場の人たちに抱いてるイメージを、何となく組み立てているというファンタジーでもあります。ぼやっと、ぼやかして。それは重要ですね。
 
──あと目標にするとしたら、ラグビー関係者とのコラボとか。
 
ボブ いや、本当に2019年のW杯(日本大会)は、結構最初からフォーカスしてるんですよ。この年に、何かが僕らに起こるようにしようと。だから最終目標は、やっぱり「日本ラグビーフットボール協会presents~」の公演ですね。
村角 あと、ロックフェスにも出たいですね。
ボブ 「カルテットトリオ」(注:RCの別働隊的なミュージカル漫談ユニット)で、しれっとミュージシャンって言って出ようかな。全然ロックじゃないですけど。
 
 

 
イベント情報
THE ROB CARLTON 10F『CREATIVE DIRECTOR』
■日時:11月26日(木)~29日(日) 19:30~ ※28日=13:00~/17:00~、29日=13:00~
■場所:HEP HALL
■料金:一般=前売3,000円 当日3,500円 学生=2,000円(前売・当日共)
 
■作・演出:村角太洋
■出演:THE ROB CARLTON(村角ダイチ/満腹満/ボブ・マーサム)、古藤望(マゴノテ)、伊勢村圭太(夕暮れ社 弱男ユニット)、大石英史、渋谷勇気、澤田誠、川下大洋(Piper)
■公式サイト:http://www.rob-carlton.jp
シェア / 保存先を選択