展覧会『エドワード・ゴーリーの優雅な秘密』が練馬区立美術館で開催 原画などの資料約350点を展示
《うろんな客》1957年 挿絵・原画 ペン・インク・紙 エドワード・ゴーリー公益信託 (C)2010 The Edward Gorey Charitable Trust
展覧会『エドワード・ゴーリーの優雅な秘密』が、2019年9月29日(日)~11月24日(日)まで、練馬区立美術館にて開催される。
アメリカの絵本作家エドワード・ゴーリー(Edward Gorey 1925-2000)のアイロニカルで少し不気味な独特の世界観と、繊細なモノクロームの線描は、世界中の人々を魅了している。近年、『うろんな客(The Doubtful Guest)』『不幸な子供(TheHapless Child)』などの絵本の翻訳が次々と発表されたことにより、日本でもその人気が高まっている。
《不幸な子供》1961年 挿絵・原画 ペン・インク・紙 エドワード・ゴーリー公益信託 (C)2010 The Edward Gorey Charitable Trust
ゴーリーは、新聞記者の父エドワード・リード・ゴーリーと母ヘレン・デュマのもとに、シカゴで生まれた。少年時代より読書好きで、イギリス古典文学にも親しんだ。美術を学ぶために、シカゴ・アート・インスティチュートに進学したゴーリーは、第2次世界大戦での従軍により学業が一時中断されたものの、終戦後にはハーバード大学へ進み、フランス文学を専攻。この学生時代に、美術と文学のみならず、歌舞伎やバレエなどの舞台芸術や様々な分野、地域の芸術に対する造詣を深めた。学生時代に養われた芸術への見識は、彼の創作の根幹を築いている。
《ギャシュリークラムのちびっ子たち》1963年 挿絵・原画 ペン・インク・紙 エドワ ード・ゴーリー公益信託 (C)2010 The Edward Gorey Charitable Trust
ゴーリーは、1950年から本の制作活動をスタート。彼の絵本世界は、幻惑的な物語と繊細で優雅なイラストで構成されている。文学に傾倒したゴーリーらしく、古語や造語、押韻などが散りばめられたテキストによって、複雑で謎解きのようなストーリーが組み立てられ、細いペンで描かれた個性的で不思議な登場人物たちが物語の世界を演じて見せる。
《キャッテ ゴーリー No.19》1972年 挿絵・原画 紙、ペン・インク・水彩・鉛筆 個人 蔵 (C)2010 The Edward Gorey Charitable Trust
また、ゴーリーが生み出したのは絵本の世界だけではない。舞台芸術を愛した彼は、それらの衣装や舞台デザインやポスターなども手掛けている。このようなゴーリーの世界観に、シュールレアリストのマックス・エルンストや映画監督のティム・バートンなど多くの芸術家や文化人が魅了されている。ゴーリー自身が、ファイン・アートからポピュラー・カルチャーまで、ジャンルに囚われず幅広く愛好したように、彼の芸術はあらゆる新しい創作の源泉となっている。
本展は、ゴーリーの没後に、エドワード・ゴーリー公益信託とブランディーワイン・リバー美術館によって準備された世界巡回の原画展を、日本ではじめて公開するもので、2016年より日本全国各地で巡回している。原画に資料や書籍などを加えた約350点から、ゴーリーの世界観を紹介する。
《輝ける鼻のどんぐ》1969年 挿絵・原画 ペン・インク・紙 エドワード・ゴーリー公 益信託 (C)2010 The Edward Gorey Charitable Trust
《キャッツ ポッサムおじさんの実用猫百科》1982年 表紙・原画 ペン・インク・紙 エ ドワード・ゴーリー公益信託 (C)2010 The Edward Gorey Charitable Trust