有名カレーブロガーカレーおじさん\(^o^)/によるカレーと音楽のフェス「CURRY & MUSIC JAPAN 2019」イベントレポート
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CURRY & MUSIC JAPAN 2019
CURRY & MUSIC JAPAN 2019 2019.06.29,06.30 横浜赤レンガ倉庫特設ステージ
2019年6月29日、30日と、横浜赤レンガ倉庫で「CURRY & MUSIC JAPAN 2019」というタイトルの通りカレーと音楽のイベントが開催された。
筆者は、本業はミュージシャンで、若い頃にバンドでメジャーデビューしたのをきっかけに、現在は制作、育成、指導と、裏方メインで音楽を生業としており、また、カレーが生き甲斐で、2006年から毎日カレーを食べ続けている。カレーおじさん\(^o^)/という名前でTVや雑誌など様々なメディアでカレーについて発信し、カレーイベントのプロデュースなども手掛けているところから今回のレポートの白羽の矢がたった。
本イベント初日。梅雨真っ只中ということもあり、雨が降る中辿り着いてまずはカレーエリアへ。カレーのお店が15店舗揃い踏みとなっており、キュイエール、ちぃりんご、キッチンY、シナモンガーデンの4店舗は神奈川のカレーマニアには有名なお店であり、それぞれそもそも好きな店でもあった。
シナモンガーデン
みのりんごは原宿にあるお店だがが、ちぃりんごはそこで働いていた方のお店なので、このコラボはカレーマニア的にも嬉しい所。
ちぃりんご&みのりんご
まずは「ちぃりんご&みのりんご」のイベント限定メニューのカレーと、「シナモンガーデン」のスリランカワンプレートを食す。どちらもお店の個性がちゃんと出ていて美味しいもので、特にシナモンガーデンのスリランカカレーは、音楽好きだけどカレーのことはあまり知らないという方には驚くべきカレーだったのではないだろうか。カラフルな副菜が乗ったプレートは見た目も華やかで味も本格的。新たなカレーと出会えるきっかけとなっていて欲しいなと感じた。
今回のイベントは、カレー店舗スペースとライヴスペースは壁で分かれており、ライヴスペースは別
ライヴスペース内にはテーブルと椅子もあり、こちらでカレーを食べながらライヴを見ることができ、とても気持ち良が良い。そしてその流れで体感した、印象に残ったライヴを書いていきたい。
小雨が降りしきる中、気持ちは青空とばかりにブルーの照明の中から笑顔で登場。踊れるジャズバンドということで基本インスト曲なのだが、縦横無尽にうねるリズムが心地良く、要所要所で掛け声もあってインスト慣れしていない人にも訴えかける要素を十分に感じるステージとなっていた。
サンプラザ中野くん
言わずと知れた爆風スランプのヴォーカリスト。この日はギターに同バンドメンバーであり、カレー好きとしても知る人ぞ知るパッパラー河合さんも迎え、「Runner」や「大きな玉ねぎの下で」といった大ヒット曲もしっかりと披露。
MCでは得意の健康トークにも触れて会場を和ませていた。
原田珠々華
元アイドルネッサンス。現在はシンガーソングライターとして活躍する17歳。夏が待ち遠しくなるようなセットリスト。この日の衣装の真っ白なワンピースのように爽やかでどことなく儚さも感じさせる歌声は、濃い面子が多かったイベントの中で癒し的存在となっていた。
ワタナベイビー(ホフディラン)
小宮山雄飛(ホフディラン)
本イベントアンバサダーも務める小宮山さんは鮮やかなレモンライス色のシャツで登場。そして横浜市出身のワタナベイビーさんは、「差し歯が取れる勢いで歌います!」と気合十分。ワタナベイビーさんが横浜に住んでいた頃に書いたという、「スマイル」はじめ初期曲中心のセットリストで会場も温かい雰囲気に。最後は横浜カレーを歌った曲の中で「今夜はブギー・バック」が入ってくるアレンジ。会場も大いに盛り上がりをみせていた。
KIRINJI
リハーサルからそのまま自然にライヴへ突入。どことなくゆるい雰囲気だったのだが、「それはカレーのせい」とのこと。男女ツインヴォーカル的編成は、例えるならカレーのあいがけのような多幸感。スティールパンが良いスパイスとなっていて、シティポップ的心地良さを会場に伝えていました。
CURRY & MUSIC JAPAN 2019
ライヴの合間にはカレー界の重要人物達によるカレートークショーもあった。小宮山さんを中心にカレー女子としても知られるNegiccoのMeguさん、横濱カレーミュージアムの初代名誉館長小野員裕さん、そしてタンドリーズは俳優の竹中直人さんの番組であり、その出演者達も集まってカオスなカレートークが展開されていた。竹中さんがどんどん話を脱線させていくのがとても面白く、もはや何のトークなのかわからない展開に。出演者の皆がカレーのことを話し出すと止まらず、カレーから色々な話題に変わっていくのもカレーマニア故か。なぜなら筆者も同様であるため共感がもてる。
後半はキュイエールとキッチンYのカレーをあいがけスタイルにして食べながらイベントを引き続き堪能。お腹一杯になってまた翌日の参加。
キュイエールとキッチンYのあいがけ
そして2日目。あいにくの天気だったものの、ライブ巧者たちの演奏が印象的だった。
Caravan
アコースティックギター弾き語りとスティールギターという組み合わせで、どことなく南国的な雰囲気を醸し出す。「その瞬間」演奏中には、突然振り出した雨に対してアドリブで歌詞を変え、会場のテンションを逆に上げていたのが印象的だった。
PUFFY
雨も少し弱まったこともあり、会場の人数は二日間通して一番多く詰めかけていたようにみえた。ドラムにboboさんを迎えた攻めのバンドによるPUFFY流ロックチューンが、雨上がりの蒸し暑さを心地良い熱さに変えていく。ラスト3曲は畳みかけるように「これが私の生きる道」、「渚にまつわるエトセトラ」、「アジアの純真」とヒット曲を連発。会場も大合唱となった。
真心ブラザーズ
真心ブラザーズ
雨が強くなってきたこともお構いなしに、マイペースにスタート。ステージ上のメンバーは皆笑顔でとても楽しそう。客席側もその気持ちを共有できている雰囲気でライブは進む。YO-KINGさんの「皆さんこの天気の中よく頑張りました! ここからは誰もが知っている曲をやります!」のMCから、「どか~ん」、「ENDLESS SUMMER NUDE」と続き、最後は「愛」で締めくくり。良い意味で力の抜けたライヴでありながら、それでも満足感が得られるのは楽曲の力あってこそ。ベテランの腕利きシェフが、肩の力抜いて適当に作っているんだけど結局美味しいカレー。そんなライヴだった。こういうライヴができるのは本当にキャリアの賜物なのだろう。
そしてこの日もライヴの合間にカレートークショー。
CURRY & MUSIC JAPAN 2019
この日の出演は前日に引き続き、小宮山さん、小野さん、そしてカレー界では知らぬ者はいないであろう水野仁輔さん、さらには筆者も非常に仲良くさせていただいている一条もんこさんと村田倫子さんというメンバーだった。前日のカオスなトークに比べるとこの日のトークは順調にカレーについて語られており、安心してみれる展開。第2回について言及する場面もあり、このイベントがさらに進化発展していくと良いなと感じられた。
イベント全体通して感じたのは、家族連れのお客さんが多かったこと。子供たちが音楽を楽しんでレインコートで踊る姿が沢山見れたのが印象的だった。未来の音楽業界もまだまだ暗くないぞと思える光景だった。
ここ数年、カレー業界は空前の盛り上がりを見せている。カレーと音楽の親和性の高さはカレーマニアの間ではよく語られる事象であり、カレーと音楽のイベントも増えてきてる昨今。事実筆者もそのようなイベントをプロデュースしているが、ここまで大きな形で開催されたのは「CURRY & MUSIC JAPAN 2019」が初ではなかったのではないだろうか。
今後、もしこのフェスが続いていき、更にカレーマニアから注目されるにはどうすべきかと考えると、カレー店舗のより一層の充実が必要不可欠かと感じた。
やはりせっかくの横浜、バーグやHI,HOW ARE YOU、保昌やトリステッサといったお店が呼べたらなぁ。サリサリは難しいにしても極楽カリーなど。あた今は閉店してしまったが音楽好きで知られるシャリランカカレーもこういうイベントの為なら復活してくれるかもしれない。
更には音楽好きとカレー好きをつなげるには、やはりカレーが大好きで仕方がないというアーティストがもっと出てくれたら良いなとも感じた。
例えばゴスペラーズの黒沢さん、SOPHIA、MICHAELのジルさん、若手なら浜端ヨウヘイさんやSHE IS SUMMERのMICOさんなどなど、カレーマニアの筆者から見ても超ド級のマニアと思える方が何人もいる。そしてそんなカレーマニアなアーティストのファンの皆さんの多くもカレーマニアであることが多く、そんな人達がみんな喜べて楽しめるイベントであれば、カレー界と音楽界が良い形で融合していくのではないだろうか。
もし第二回があるのなら、そんな面子を揃えて欲しい。もちろん大きなイベントだからできないことも多いとは思うが、やるからにはカレー愛と音楽愛でそれを乗り越えて欲しいと願う。筆者も溢れ出さんばかりのカレー愛と音楽愛で、このイベントの発展を見守っていきたいなと思っている。
いずれにしてもこのイベントが意欲的な取り組みであったことは間違いなく、雨の中、素敵な音楽を聴きながら食べた美味しいカレーの味は、きっとこれからも忘れないだろう。
このイベントをきっかけに、音楽の楽しさやカレーの楽しさに気づく方が増えていくことが、どちらの世界の発展にもつながっていくのではないだろうか。
取材・文=カレーおじさん\(^o^)/