BRAHMAN、20周年締めくくる熱演「俺たちの旅は間違ってなかった」
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BRAHMAN(Photo by Tsukasa Miyoshi[Showcase])
BRAHMANが結成20周年を記念して11月14、15日に千葉・幕張メッセ国際展示場9~11ホールでライブイベント「尽未来際 ~尽未来祭~」を開催。この記事では2日目公演の模様をレポートする。
ベテラン勢が貫禄のライブを見せつけたり、SUPER STUPIDが劇的な復活劇を繰り広げたりした前日から一転、2日目はBRAHMANの後輩バンドを中心にフェスの常連組とも言える11組が集結した。この日オープニングアクトを務めたJOHNSONS MOTORCARはバイオリン、ギター、ベース、ドラムという編成のアイリッシュロックバンド。MARTIN(Violin, Vo)は異国情緒あふれるサウンドに乗せて陽気な歌声を届け、オーディエンスを大いに踊らせた。「Endless Sorrow」でライブの口火を切ったHEY-SMITHは、次々とアップテンポナンバーを投下していく。猪狩秀平(G, Vo)はBRAHMANの20周年を祝福したのち「でもステージに立っている以上先輩後輩は関係ない! ぶっ潰しにきました!」と宣言した。
SiMはキラーチューン「KiLLiNG ME」を1曲目にプレイし、観客のテンションを一気に引き上げた。MAH(Vo)は「90年代、2000年代初頭(の音楽シーン)はよかったと耳にタコができるぐらい聞いてきました」と話し始める。そして「でも今日呼んでもらえて、俺たちもBRAHMANと一緒の時代を生きてるんだなって実感できました。俺らとかHEY-SMITHがバトンを受け取りに行かなくちゃと思ってるけど、あえて……30周年も期待してます!」と大先輩にエールを送った。エレファントカシマシは薄暗い照明の中「うつらうつら」でライブをスタートさせる。宮本浩次(Vo, G)は石森敏行(G)をステージ前方に引っ張り出したり、高緑成治(B)の帽子を勝手に取り上げて自身でかぶったりと、自由にパフォーマンスしながら力強い歌声を届けていった。
ACIDMANは浦山一悟(Dr)のカウントから「Stay in my hand」で力強くパフォーマンスを始める。大木伸夫(Vo, G)が「みんなでお祭りみたいにBRAHMANまでつなげていこう!」と声を上げ、軽やかなギターリフをループさせたのち、バンドは「FREE STAR」を美しいアンサンブルで届けた。続いて登場したのはストレイテナー。MCでホリエアツシ(Vo, G, Key)は「BRAHMANを初めて観たのは19歳のとき。そして今肩を並べてお祝いできるなんて思ってなかったです」と感無量の様子で語る。その言葉に続き、バンドはBRAHMAN「THERE'S NO SHORTER WAY IN THIS LIFE」のカバーをアグレッシブにプレイした。
THE BACK HORNのステージでは「20年間、勝ち続けてきたBRAHMANの皆さんにTHE BACK HORNから」と松田晋二(Dr)が説明し、彼らからBRAHMANへ特製のチャンピオンベルトを贈呈する一幕も。TOSHI-LOW(Vo / BRAHMAN)がベルトを受け取りにステージに登場し、山田将司(Vo)がTOSHI-LOWにベルトを装着すると、場内から祝福の拍手が送られた。「オオカミ、ハジメマス!」という言葉からライブを始めたのはもちろんMAN WITH A MISSION。彼らは「コンナバンドニナリタイト思ッテタバンドに呼バレテ光栄デス」とBRAHMANに招集されたことを何度も喜び「Emotions」「FLY AGAIN」といったナンバーを連投。観客を大いに踊らせた。
続く10-FEETのアクトでは途中でTAKUMA(Vo, G)がフロアに降り、TOSHI-LOWと同じようにオーディエンスの上に乗ってTOSHI-LOWを真似たMCを展開する。そのクオリティの高さにオーディエンスから笑いが起こる中、TAKUMAは毎年BRAHMANを「京都大作戦」に誘うも、TOSHI-LOWに「~去年は台風でごめんな祭~」などのサブタイトルが不要だという理由で断られ続けていることを暴露。そしてTAKUMAは「でもBRAHMAN幕張、蓋を開けてみたらサブタイトル『~尽未来祭~』……お前が付けてんじゃねえか!」とユーモアたっぷりに叫んでみせた。バンドはその後、ライブアンセム「RIVER」やBRAHMAN「SEE OFF」のカバーなどを熱演したのち、「goes on」でライブを締めくくった。続いてはBRAHMANと親交の深い細美武士率いるthe HIATUS。彼らは優美なサウンドで場内を彩っていく。MCでは細美が「本人たちはそんなつもりないんだろうけど、知らないうちにBRAHMANは上の世代と下の世代をつなぐ存在になっている」と言い、「これからも好き放題やってもらいたい」とエールを送る。さらに彼は「俺、広い会場ってあんまり好きじゃなかったんだけど、今日のメッセは楽しいです」と笑顔を見せた。最後にバンドは息の合ったプレイで“仲間の歌”だという「Silver Birch」を届けた。
いよいよ2日間を締めくくるBRAHMANのアクトへ。前日に8月発売のベストアルバム「尽未来際」のうちDISC 1「THE EARLY 10 YEARS」を曲順通りにプレイした彼らは、この日は同アルバムのDISC 2「THE LAST 10 YEARS」収録曲を曲順通りにプレイしていく。「其限」ではRONZIの繰り出す軽快なドラミングに乗せたTOSHI-LOW(Vo)、KOHKI(G)、MAKOTO(B)によるシャウトの掛け合いが場内の温度をさらに引き上げる。また「鼎の問」ではTOSHI-LOWがまっすぐ前を見据えて優しく歌い上げるなど、4人はエモーショナルに演奏した。彼らの演奏は後半になるにつれてどんどん熱を帯びていき、「警醒」ではTOSHI-LOWがフロアへ飛び込みファンに支えられながら熱唱する。続く「PLACEBO」ではフロアに姿を現した細美とともに、しっとりと同曲を歌い上げた。
一気に19曲を駆け抜けるとTOSHI-LOWが観客に支えられた格好でゆっくりと語り始める。彼は「20年前、なんにもわからないままこのバンドを始めて」と結成時を振り返り「『この1回のライブが、この1回で終わってしまうかもしれない。この1回のライブが人生最後のライブなんじゃないか』と思って、このライブで何が伝えられるだろう、何ができるだろう、そればっかりを考えてきた」と明かす。さらにこの20年間について「地図も何も持ってない旅みたいだった。けどそうじゃなかった。ステージの袖にいる一緒に(ライブを)やったバンド、仲間、友達、あいつらがどんな顔で俺らのライブを観てるかっていうのを地図にして。それから、俺らの前で暴れたり、後ろのほうでじっと観ているお前たちがどんな顔をしてるかっていうのをコンパスにして今日までやってきた」と述べる。そして湧き上がるフロアを見渡し「この光景……俺たちの旅は間違ってなかった!」と咆哮。さらに「俺は20年間、怖くて次の言葉が言えなかった。約束を破ってしまうんじゃないかと思って。ただ今日だけは言わせてほしい」と前置きし、一息置くと「また……ライブで会いましょう!」と呼びかけ、観客からの大きな拍手や歓声を浴びた。そしてTOSHI-LOWが「明日からまた21年目の若手、がんばります」と意気込みを語ったところで、バンドはライブを再開し「霹靂」「虚空ヲ掴ム」を続けた。ここでライブは終了かと思いきや、TOSHI-LOWが「『尽未来祭』、アンコール始めます!」と叫び、バンドは続けて「TONGFARR」をプレイ。4人は力を振り絞るようにプレイし、最後にはTOSHI-LOWが感謝を伝えるかのように手をあわせてしゃがみ込んだ。そしてメンバーがステージを去ると、場内に設置されたビジョンにイベントのエンドロールが映し出され、感動的なムードの中「尽未来際 ~尽未来祭~」は締めくくられた。