『ドリアン・グレイの肖像』でヒロインを演じる! 舞羽美海インタビュー
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撮影/岩村美佳
19世紀、世紀末文学の傑作として知られるオスカー・ワイルド唯一の長編小説『ドリアン・グレイの肖像』。純粋無垢で圧倒的な美貌を持つ青年ドリアン・グレイが、自分の肖像画の永遠に変わらぬ美に嫉妬したことから起こる眩惑の世界が、8月に中山優馬の主演で舞台化される。その舞台で、美しいドリアン・グレイと恋に落ち、人生を急展開させていく天才的女優シビル・ヴェインを演じる舞羽美海。2012年の12月に宝塚を退団してから、女優として映像や舞台で活躍中の彼女に、女優としての現在やこの話題作に賭ける思いなどを聞いた。
撮影/岩村美佳
ドリアン・グレイとのすれ違いをドラマティックに
──『ドリアン・グレイの肖像』で、天才女優のシビル・ヴェイン役を演じることになった今の心境はいかがですか?
演出家のグレン・ウォルフォードさんにお会いした時、“とにかく純粋にいて欲しい”と。それは、知識を入れて固め過ぎずに、演出家に任せて欲しいということだ思いましたので、委ねようという安心感もありつつ、純粋にいるということの難しさも感じています。役柄が舞台女優なので、自分と通じるところもありますが、そういうシビルが「お芝居ができなくなる」ということがどういうことなのか、自分とどうやってリンクさせて作っていくかを模索しているところです。シビルは自分が恋をすることによって、舞台上で恋をする女性が演じられなくなってしまうのですが、それほど恋したドリアン・グレイからは「女優としての君が魅力的だったんだ」と言われてしまう。ドリアンにとってはシビルも美への執着の一つなんです。そのすれ違いが短い時間の中にとてもドラマティックに描かれているので、シビルとしての感情表現をしっかり出して行きたいと思います。
撮影/岩村美佳
恋するシビルとしてのときめきを持って
──タイトルロールを演じる中山優馬さんは、初主演ということですが。
美青年という言葉そのままの方なので、役柄にピッタリですよね。ポスター撮影の時に、メインキャストの男性の方は上半身裸で撮られたのですが、中山さんはまるで肖像画そのもののようでした。鍛えられて引き締まった見事な肉体美で、中山さん演じるドリアン・グレイが、美しいままで肖像画だけが年齢を重ねていく。どうやってそれが表現されるのか、私も楽しみなのですが、観てくださる方にもきっと素敵なときめきがあると思います。まだご挨拶をさせて頂いただけの段階ですけれど、初主演の時に舞台で生まれるパワーには、とても大きなものがあると思いますので、それに負けないように私自身も恋するシビルとしてのときめきを持ってぶつかっていきたいです。ドリアン・グレイの人生が変わる役どころでもありますから、自分が死ぬというところまで、大きな感情の振り幅を持って、しっかり務めていきたいです。
撮影/岩村美佳
たくさんの新しい出会いから刺激を受けて
──ところで舞羽さんは、宝塚退団後、様々な作品を経験してこられましたが、違いを感じることはありましたか?
毎回毎回、発見の連続でした。宝塚では同じカンパニーで、同じメンバーで、個々の成長によって役を作っていく。新しい作品であっても、お互いの信頼関係が出来ているところからの作品作りだったんです。でも退団してからは、常に初対面の方とお芝居をしていくので、今でも毎回緊張して、新しく共演させて頂く方の情報を得たり、勉強をしたりしています。それに「男性」とお芝居をすることには、まだまだ慣れないところがありますので、その違いも大きいですね。自分自身にリアルさを求めるようになりました。今までも自分ではリアルにやっていると思っていましたが、やはりそこには作っているところもあったのかな?ということがだんだんわかって来たので、芯の強い役作りをしていきたいと思っています。初めてお会いする方とお芝居をするのは難しさもありますが、慣れにならずにいつも新鮮に臨むことができるといういい面も大きいです。新しい出会いによる化学反応も起きるので、この作品も稽古場に入るのがとても楽しみですし、稽古場で得た最初のインスピレーションを大切にしたいです。
撮影/岩村美佳
憧れが現実になった意義ある2015年
──その中から目標や、目指すものは見えて来ましたか?
憧れて、やっとつかめたと言えるのが、帝国劇場の『ダンス・オブ・ヴァンパイア』に出演できることで、今まで雲の上の存在だと思っていただけに、自分にとってとても大きなことでした。私自身、ミュージカル界に関われるとは思っていませんでしたから。でも退団してから自分の歌唱を変えたくて、ヴォイストレーニングを重ねてきていました。この作品に出られるというチャンスを頂けたのは本当に大きな出来事です。ストレートプレイの『ドリアン・グレイの肖像』と、ミュージカルの『ダンス・オブ・ヴァンパイア』の2本に出られるというのは、一生を賭けてもいいんじゃないかと思うほど、私にとって大きな作品で、2015年は本当に大切な年になりました。人生を賭けてやりたい2本です。全く違うタイプの作品でもあるので、とても楽しみですし、その分恐怖やプレッシャーもありますが、怒られても何をしても自分を攻めていって、良い意味で変わりたいです。
撮影/岩村美佳
まいはねみみ○兵庫県出身。07年宝塚歌劇団入団。可憐な容姿の娘役として脚光を浴び、11年『ロミオとジュリエット』のジュリエット役を経て、雪組トップ娘役に就任。『黒い瞳』『フットルース』などで活躍、12年『JIN-仁/GOLD SPARK!この一瞬を永遠に』で退団、女優に転身。舞台や映像に活躍の場を広げている。退団後の舞台は『チョンガンネ』『SAMURAI 挽歌lll』『道頓堀パラダイス~夢の道頓堀レビュ~誕生物語~』。11月には帝国劇場での『ダンス・オブ・ヴァンパイア』ヒロイン・サラ役も控える。
【取材・文/橘涼香 撮影/岩村美佳】
原作:オスカー・ワイルド
脚本:G2
演出:グレン・ウォルフォード
出演:中山優馬/徳山秀典、舞羽美海、仲田拡輝(ジャニーズJr.)/金すんら ほか
●8/16~18、9/1~6◎新国立劇場 中劇場
〈お問い合わせ〉サンライズプロモーション東京 0570-00-3337
●8/22~26◎森ノ宮ピロティホール
〈お問い合わせ〉キョードーインフォメーション 06-7732-8888
●8/29~30◎キャナルシティ劇場
〈お問い合わせ〉ピクニック
公式HP www.dorian-gray.jp
東京・福岡公演
大阪公演