堺雅人が17年ぶりに舞台に出演! サイモン・スティーヴンス新作戯曲、ショーン・ホームズ演出の舞台『スリーゴースト』が10月開幕へ
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(左から)ショーン・ホームズ、堺雅人、サイモン・スティーヴンス
劇作家サイモン・スティーヴンスが書き下ろした新作戯曲『スリーゴースト』が、ショーン・ホームズ演出、堺雅人主演で、2026年10月から東京・PARCO劇場ほかで世界初演されることが発表された。
トニー賞やローレンス・オリヴィエ賞など、名だたる演劇賞を多数受賞し、イギリス演劇界を牽引するばかりか、世界を股にかけて活躍を続ける劇作家サイモン・スティーヴンスが、数年後の世界をテーマに書き下ろした新作戯曲『スリーゴースト』。
サイモン・スティーヴンス脚本の舞台『FORTUNE』ワールドプレミア(2020年)の際に、PARCO劇場への新作を依頼してから6年。コロナ禍のオンラインミーティング、第一稿をもとに23年に来日ミーティング、24年にはロンドンで英語台本のワークショップ、25年には東京で日本語台本のワークショップ、今年2月東京で作品演出のワークショップを重ねながら温められてきた本プロジェクトは、日本人の俳優による日本語上演を目指して準備をしてきたという。そして、ブルーリボン賞、日本アカデミー賞をはじめ数々の受賞歴を持ち、名実ともに日本を代表する俳優・堺雅人を主演に迎えて、ついに本年秋の上演が決定した。
2月27日(金)、製作発表会見が行われた。その様子を写真とともにお伝えする。
(左から)ショーン・ホームズ、堺雅人、サイモン・スティーヴンス
ーーまずはご挨拶をお願いします。
サイモン・スティーヴンス(以下、サイモン):まずは今、感銘を受けております。日本の東京という、私が本当に愛してやまないこの街で、私が尊敬を抱いている演劇のプロデューサーでコラボレーターであるPARCO劇場、ゴーチ・ブラザーズの皆さんと一緒に新しいプロジェクトをできること、そして堺雅人さんという本当に素晴らしい俳優をお迎えして、長きにわたる大事な友人であるショーン・ホームズとともにこのプロジェクトを始められること、そして今ここにいられること。本当に心から感謝しております。
ショーン・ホームズ(以下、ホームズ):私からもサイモンが先ほど言ったことと全て同じことをお伝えしたいです。それに加えて、このプロジェクトが他にまたとない本当に特別なプロジェクトであることも伝えておきたいです。我々は、台本の開発のためにイギリスで英語の本読みのワークショップを2回行い、もう1年ほど前にはなりますが、昨年には堺さんにもご参加いただき、日本でも台本の発展のためのワークショップを行いました。そして、昨日までの3日間、またワークショップを行い、そこに雅人さんもご参加をいただきました。
私にとって、今回が日本のPARCO劇場とのコラボレーションで5本目の演出作品となります。その5本目を、このような特別なプロジェクトで迎えることを、とても嬉しく思っています。複雑で、でもとても美しく、素晴らしい戯曲に取り組めることを本当に嬉しく思っています。
堺雅人(以下、堺):ワークショップは僕も一緒に参加して、ショーンさんやサイモンさんとお喋りしながらやっていたんですけど、なんて言うんですかね、とても贅沢な時間で。いろいろな実験をやりながら、「ここをちょっと変えてみよう」とか「ここの動きをちょっと変えたらどうだろう」ということをずっとやってらっしゃって。
大学時代に早稲田大学の演劇研究会のアトリエにこもって、1日中、ああでもない、こうでもないと、仲間たちと演劇を研究というか、試行錯誤をして作っていたんですが、それよりもっと面白い遊びをお二人がなさっていて、いいなぁと思っていました。日本のPARCO劇場にお呼びして、3日間もこんな贅沢なワークショップができるなんて……もっと早くから参加したかったと思いつつ、とにかくワクワクしております。壮大な実験が始まるんだという感じがします。楽しい新しい遊びに混ぜていただく子どものような気持ちでワクワクしています。
皆さんにその成果を、数ヶ月後になりますが、楽しんでいただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
サイモン・スティーヴンス(右)
ーーサイモンさん、初めて日本のカンパニーから依頼があったと思います。PARCO劇場からの書き下ろしの依頼を受けたときのお気持ちをお聞かせください。
サイモン:もちろん怖いと言いますか、ちょっとビビるような気持ちはありました。でも、とてもとても光栄なことだなと思いました。と言いますのも、この10年で、私は日本という国が本当に大好きになりましたし、東京という街を本当に愛するようになりましたから。
劇作家として戯曲を書くときは必ず、どんな戯曲を書くときでも、そこには自分の愛するものがその根っこにあるように思っています。今回の『スリーゴースト』というこの戯曲も同じ。これはある意味、ゴーストストーリーと呼んでいいかと思っていますが、もちろんゴーストストーリーなので、人間の心や考えることのダークな部分も描きつつも、でもこれはラブストーリーでもあると考えております。これは日本について書いた戯曲では決してなく。私の愛する、どこか不思議で、でも美しくて、そしてどこか亡霊が漂っているような日本という国から感じたことに呼応する形で書いた戯曲になります。
ーータイトルに込めた思いを教えてください。
サイモン:このタイトルが何を示しているかというと、どんな生きている人間にも3人のゴーストがいるということを描いたタイトルになっています。1人目のゴーストは、その人物に警告を与えます。2人目のゴーストは、その人を慰めたり、3人目のゴーストは「そろそろあなたの番ですよ、そろそろ終わる時ですよ」と伝えてくる。
ーーそれはイギリスの言い伝えのようなものなんですか。
サイモン:いえ、僕の想像力で僕が作り上げたものです。
ショーン・ホームズ
ーーショーンさんは過去4作品は名作戯曲の上演でしたが、今回は日本初演のオリジナルストーリーです。依頼されたときにどう思われましたか。
ショーン:新作の演出に取り組むということは、まずはとてもエキサイティングなことだと思っています。先ほど雅人さんが仰ってくださったように、本当にいろいろなことを試しながら、みんなで探りながらやるということをすごくとても楽しみにしております。もちろん、ここにいる我々は、これまでたくさんの仕事をしてきましたし、経験も積んできましたけれども、そんな我々にとっても、今まで経験したことのないような、本当に特別なプロジェクトです。
先ほどサイモンも少し言っていたように、この作品はロンドンでもない、東京でもない、何かその間のどこか我々の現実とは少し違う世界に漂っているような、そんな作品だと思っています。先ほど雅人さんが仰っていたことにとても僕も感銘を受けたのですが、大学時代にいろいろと探ったり試したりしていたことを思い出すと。僕も本当にその通りだなと思います。アーティストとしては、そうやって新しいものを発見し続けていくこと、探求し続けていくことがとても大事ですが、この度、素晴らしいプロフェッショナルな俳優の皆さんにご参加いただき、本当に素晴らしい戯曲をサイモンさんが書いてくださり、そして、きっと「OK」と言っていただけるぐらいの僕の演出がそこに加わって、ダークな面もあるけれども、ユーモアもあって、ファニーで、そして美しさのあるストーリーをみんなで描き出せればいいなと思います。
素晴らしいステージのデザインも今まさに探求しているところ。これを実現するためにはプロデューサーの皆さんのサポートがあったこともお伝えしておきます。みんなでここからいろいろ探求し続けていくことで、お客様にもこれまで見たことのないような作品をお届けできるのではないかと思っています。
ーーこの作品のために、イギリスと日本でワークショップやリーディングなどを重ねてこられたと。手応えの方はいかがでしょうか。
ショーン:あまり自信たっぷりになってしまうことは避けた方がいいとは思いますし、ちょっと恐れがある方が健康的でしょうが、昨日までやった最後のワークショップを通して、ここから台本の最後の大きな推敲に向かえるなと思っています。というのも、いわゆる舞台上での表現の方法であったり、世界観を探っていくワークショップを経たことで、サイモンさんが稽古前のドラフトとして、脚本に磨きをかける最後の作業がここからできるのではないかと。大きな大理石の塊があって、みんなでそれを掘っているというか、何か彫刻を作っていってるような、そして今ちょうど本当に最後の部分をみんなで掘っている。そんな感覚です。
堺雅人
ーー堺さんは17年ぶりの舞台出演ということですが、あらためて今どんなお気持ちでいらっしゃるのですか。
堺:僕はメディアによって演技の使い分けができるような俳優ではないので、17年ぶりと聞いて……前の劇団☆新感線(『蛮幽鬼』2009年)のときにはすごく立ち回りがいっぱいあって、早乙女太一さんよりも強い役という、めちゃくちゃな役だったんですけど(笑)、それ以来(舞台出演は)ないらしいんです。ただ、17年間も何かが変わったってわけでもなく、もともと高校の演劇部から始めて、そんなにモチベーションが変わらず、ずっとやってきているので、やり方がそれで変わるようなこともないですし。だから、そこはちょっとシームレスに、特に分け隔てなく入ることができるんじゃないかなという気がします。
ーー久しぶりの舞台で、セリフ覚えなど不安になることは?
堺:セリフ覚えが不安なドラマもいっぱいあったので(笑)。最初に申し上げたように、演劇研究会というキャパシティー200人ぐらいの小さな劇場から出発しているので、目の前のお客様に育ててもらった感じがするし、気持ちとしてはずっと演劇や舞台の上で育ててもらったし、今も同じことをやっているというイメージなんです。17年ぶりだからという心配は、特に思いつかないですね。今回は周りの共演者がすごいので、僕が1行目からセリフがとんでも、なんとかしてくれるメンバーですし(笑)、なんとかなると思います。
『スリーゴースト』出演者(上段左から)堺雅人、倉科カナ、伊勢佳世、迫田孝也(下段左から) 段田安則、高畑淳子、sara、小日向星一
ーー堺さんにとっての舞台とは?
堺:僕が今までやってきた中で、舞台が素晴らしいなと思うのは、みんなで準備ができること。映像は1人で準備して、その答え合わせを現場でやる。そのスリリングさと楽しさはあるんですが、時間をかけてみんなで準備するというその時間が、何事にも代えがたい時間で。(先述のワークショップは)2日間しか僕はいなかったんだけど、みんなでああでもないこうでもないとやっているその時間が豊かで。結構いい年した人たちが、名のある方々が、まだこれをやっている。それはすごく希望でもあったし、楽しかったです。
(左から)堺雅人、ショーン・ホームズ、サイモン・スティーヴンス
ーーその名のある世界的なお二人が書き下ろしたオリジナルストーリーの舞台。その主演のオファーを受けた時のお気持ちは?
堺:幽霊の話で、ラブストーリーでもあって……あらすじをサイモンさんが仰った時に、皆さんの頭にクエスチョンが浮かんでいるのが壇上からもう見て取れたんですけど(笑)、僕もまさにその状態です。ただ、作っていく過程、変化していく過程がすごく面白そうだなと。誰も見たことがないものを作るというのは、本当にその通り。……サイモンさんがこれから最後の推敲に当たるんだけども、僕が演じる役の職業について「ちょっと考えているんだよね」と仰っていて、「え、そこも変わるんだ!」と(笑)。そこを変えたら全然違うんじゃないかなんて思いながら、とても楽しいです。
ーー職業は別として。現状、堺さんの役はどんな役柄なんですか。
堺:どんな役柄なんだろう(笑)。どれだけ変わるか次第ですけどね。でも、そんなに等身大で演じる役のような気が今はしていて。あと、台本を読んで、この間お亡くなりになった久米宏さんが浮かんだんですよ。久米宏さんの自伝を最近読んだからそう思っただけかもしれないけど……。
ーーまだ決まっていないこともあると思いますが、やはり堺さん自身がゴーストと向き合うことになるような物語である、と。
堺:だと思います。それは今までの人生を振り返ったり、自分の「後悔」という言葉をね、サイモンさんは仰っていましたが、いろいろなものを振り返る時間になる気がしますね。
堺雅人
ショーン・ホームズ(左)
サイモン・スティーヴンス
ーー17年ぶりの舞台出演というところで、舞台は俳優としてのキャリアをスタートさせた場所になるかと思います。近年は映像での活躍がメインになる中で、舞台作品の位置付けであったり、思い入れはあったりしますか。
堺:思い入れがびっくりするぐらいなくて(笑)。でもそれはなんでなのかなと考えてみたんですが、200人ぐらいの劇場や普通の稽古場で、1対1のお芝居でずっと育っていたので、これが自分のお芝居をする上での主な筋肉になっているからだと思います。そのおかげで、どれぐらいの方でご覧になっていただくか、映画なのかテレビなのか違いがあるにせよ、1対1のコミュニケーションを取る。それを当たり前のように空気のようにやることがきっと根っこにあると思いますし、当時から見てくださったお客さんや共演者の方、演出家の皆さんに育ててもらった感性というかやり方で、もうずっとやっている気がします。今回はまた全然違う皆さんと一緒にやることになって、(芝居の仕方が)全然変わっちゃうかもしれないけれど、それはそれで面白いなとも思いますしね。とにかく、全く思い入れがない自分に驚いております(笑)
ーー17年間舞台に出なかった理由は何かあるのでしょうか。また、17年ぶりにやろうと思った1番の理由を教えてください。
堺:その理由もないんですよ(笑)。別に舞台が嫌いなわけでもないですし、本当に理由はないんですよ。番組で裁判所のシーンがあって、弁護士の役をやったときに、なんか舞台みたいだな〜と思ってましたね。傍聴席があって、相手がいて、そこでやり取りがあって。だからと言ってやり方が変わるわけでもなかったんですが……話しているうちにだんだん緊張してきました。失敗したらバレてしまうんですよね、舞台は。
ーー今回の全国ツアーでは故郷の宮崎でも行われます。
堺:僕の原点は宮崎です。宮崎の高校時代は演劇部から始まったので。本当に何にもないところで、民放も2局しかない。なんか退屈だなとずっと思いながら幼少期を過ごして、なんでもいいから自分の言葉で喋りたいなと思う欲求が多分高校時代の自分にあったと思うんですが、その場所を与えてくれたのが高校演劇部でした。本当に小さな部室でしたが、本当にそこから始まってますし、あのときと同じモチベーションで52歳までやっていますので、宮崎の皆さんにはぜひどうでしょうね、楽しんでいただけると本当に嬉しいですね。
またサイモンさんやショーンさんに触発されて、これを見た宮崎の若い方たちからまた新しい動きが出てきたとしたら、こんなに素晴らしいことはないと思います。何か恩返しができるように……だからといって普段と違うことではないんですが、今回、宮崎で公演ができること、そして宮崎の皆さんにお会いできることをとても嬉しく、楽しみにしております。
(左から)堺雅人、ショーン・ホームズ、サイモン・スティーヴンス
取材・文・撮影=五月女菜穂
公演情報
【東京公演】2026年10月PARCO劇場
【全国ツアー】2026年11〜12月(大阪、福岡、愛知、岡山、宮崎)
作:サイモン・スティーヴンス
翻訳:広田敦郎
演出:ショーン・ホームズ
美術・衣裳:ジョン・ボウサー
演出補:桐山知也
出演:堺雅人、倉科カナ、伊勢佳世、迫田孝也、sara、小日向星一/高畑淳子、段田安則
音楽:かみむら周平
ステージング:小野寺修二
照明:横原由佑
音響:井上正弘
ヘアメイク:佐藤裕子
美術助手:中根聡子
衣装助手:阿部朱美
演出助手:陶山浩乃・渋谷真紀子
通訳:時田曜子
舞台監督:津江健太
宣伝美術:河野真一
宣伝PR:る・ひまわり
宣伝映像:尾野慎太郎
プロデューサー:佐藤玄
制作:笹岡征矢
制作協力:伊藤達哉
制作協力:ゴーチ・ブラザーズ
企画・製作:株式会社パルコ