実在の無差別殺傷事件を被害者遺族の視点で描く……壮 一帆主演の舞台『大悲』37m編が開幕 「稽古場からずっと心が震えています」
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舞台『大悲』37m編
7月20日(土)、東京・新宿紀伊国屋サザンシアターTAKASHIMAYAにて、BS-TBS・オデッセー主催・企画・制作の舞台『大悲』37m編が開幕した。
劇団InnocentSphere主宰の西森英行氏が書き下ろした『大悲』は、小学校で起こった無差別殺傷事件をテーマにした舞台だ。実際に起きた凶悪事件をもとに、加害者の弁護士を中心に描く「31mm」と、被害者遺族を描く「37m」の、二つの視点で構成されている。
舞台『大悲』37m編
前日19日(金)に開幕した31mm編に続き、20日(土)から上演が始まった37m編は、壮 一帆が主演。凶悪な殺人犯に佐久間護(玉城裕規)が白昼の小学校に侵入し、8人の児童を次々に殺傷する事件が発生。長女・明日香(小野田華凜)の命を奪われ、母・清水結衣(壮一帆)、父・謙介(河相我聞)、兄で長男の秀斗(正木郁)のそれぞれが、「自分がこうしていればと明日香は命を奪われずに済んだのではないか」という思いの中、犯人に殺意を抱くもの、家族への信用を失っていくものなど、それぞれの葛藤が露わになっていいく。
舞台『大悲』37m編
「31mm」とは異なる緊張感に包まれた劇場では、愛する人の命を突然失った人間の心の機微が描き出される。事故であれ病であれ、身近な人の命の灯火が消えたとき、どんな形にしろ後悔の念を抱くはず。それが、殺人という凶悪な行為によるものであったら……そんな状況に一瞬にして引きずり込まれる緊張感をキャストの演技が生み出す。副題の「37m」の意味は、“涙無くしては語れない数字”なのだという。なお、「37m」編には、「31mm」編で主演した弁護士役の西村まさ彦、凶悪殺人犯役の玉城裕規が引き続き出演。裁判所のシーンでは、壮らが演じる家族と対峙するシーンも盛り込まれ、どちらのバージョンから見ても内容がわかる構成になっているとのこと。
舞台『大悲』37m編
舞台『大悲』37m編
舞台『大悲』37m編
主演の壮、脚本・演出の西森英行氏、丹羽多聞アンドリウプロデューサーのコメントは以下のとおり。
壮 一帆(「37m編」主演)
この作品を上演する意味は何か、ということを出演が決まった時からずっと考えていました。
台詞を覚えながら役を染みこませつつ、私は今、この事件を“体験”しています。
粛々と感じ、それを表現して行く…。
稽古場からずっと心が震えています。
西森英行(脚本・演出)
この作品は、実際に起こった事件を元にしています。
そして、その事件は社会に大きな衝撃を与え、教育・法律・精神医療、多くの分野に様々な影響を及ぼしました。
私はこの事件について十数年前から取材を続けてきました。
担当の弁護士さん、被害者ご遺族、当時の学校関係者、メディア関係者など多くの方々に話を伺いながら、この事件とは何だったのかを考え続けてきました。
自分とは違う価値観、自分とは違う立場、自分とは違う生い立ちに対して目を向け、知り、その心の営為を知る。
今回、そして、今という時代に、演劇というメディアを通してそんな時間を共有できることを願ってやみません。
丹羽多聞アンドリウ(プロデューサー)
この事件は実際にあった事件を下敷きにしております。
犯人や被害者家族たちはどんな事を経験し、考えてきたのか。
昨年から、脚本の西森さんとこのことを話し合ってきました。
彼は弁護士や被害者家族にも直接会っていたので、いろいろ遠慮が生まれると思い、彼が書きにくかったことを書いてもらうのが私の仕事と考えました。
もちろん取材はしたもののフィクション部分で相当に膨らませております。
『大悲』はふたつの舞台からなります。
ひとつは重大事件を起こした犯人と弁護士からの目線。もう一つは被害者家族の目線。
事件は一つですが、見方によって感じ方も変わってきます。
『大悲』37m編の公演は、7月29日(月)まで。