東京都江戸東京博物館で特別展『士 サムライ―天下太平を支えた人びと―』
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《薩摩藩の役人》 フェリーチェ・ベアト撮影 1863~1870年頃 個人蔵
特別展『士サムライ―天下太平を支えた人びと―』が、2019年9月14日(土)~11月4日(月・休)まで、東京都江戸東京博物館にて開催される。
日本をイメージするキーワードとして国内外を問わず多く用いられる「サムライ」。しかし、その言葉から何を連想するのかは人によって様々だ。武家・武士・侍・浪人など、サムライが表す人々について、歴史的な実態をふまえてこの言葉を使用しているとは言いがたいのではないだろうか。そこで本展では、現代のサムライイメージの原点である江戸時代のサムライ=「士」の暮らしや仕事のありさまを紹介し、サムライのイメージを見直す内容となっている。
本展覧会では、いわゆる武士道書に登場するような、抽象的なサムライの姿を紹介するにとどまらない。徳川将軍の居所として、当時、世界有数の大都市であった江戸で、サムライがいかに活動していたのか、絵画作品や古写真から浮き彫りにしていく。また、有名無名を問わず、サムライの家に伝来した所用品の数々から、江戸時代の人々が見聞きし親しんでいた生のサムライの生活を展観。当時、最大の武家人口を誇っていた都市江戸と、その近郊に暮らしたサムライの姿をここに再現する。
江戸に暮らしたサムライ、その素顔にせまる
「久留米藩士江戸勤番長屋絵巻」 酒宴の図 三谷勝波筆/戸田熊次郎序 明治時代 東京都江戸東京博物館蔵 [展示期間:9月14日~10月6日、左期以降は複製を展示]
風俗画や古写真、古記録、当時の道具類など、約200点の多彩な資料を駆使し、大都市江戸に生きたサムライの日常の姿を浮き彫りにする。なかでも幕末から明治初期に撮影された古写真は、かつて江戸で大屋根を連ねていた大名屋敷の規模の大きさや、サムライたちの素顔をリアルに物語っている。
いざ出馬! とはいっても、戦(いくさ)ではなく災害時の緊急出動
白羅紗地桐紋入火事装束 羽織・胸当・野袴 対馬宗家伝来 幕末~明治期 東京都江戸東京博物館蔵
天下太平の江戸時代、サムライたちの重要な任務のひとつは災害対応だった。「火事と喧嘩は江戸の花」の言葉の通り、火事が頻繁に発生した江戸では、サムライたちが火消しの統率にあたった。また河川の氾濫や浸水の際には二次災害を避けるため、いち早く出動したのもサムライたちだ。本展では、火事装束などによって彼らの災害時の活動に迫る。
サムライの息づかいを伝える所用品の数々、なかにはあの著名人のものも
野々村忠実肖像写真 於ニューヨーク 万延元年(1860) 東京都写真美術館蔵
サムライの家に伝来した道具や古文書から日常生活や非常時の振る舞いなどを明らかにする。特に、時代劇テレビドラマ『遠山の金さん』として親しまれる遠山景元、「幕末の三舟」の勝海舟、高橋泥舟、山岡鉄舟など、現代でも名の知れたサムライたちの所用品は必見だ。
いすみ市指定有形文化財 遠山金四郎景元画像 19世紀後半 遠山講蔵 千葉県立中央博物館大多喜城分館提供
鉄砲に注目、サムライの備えは刀剣ばかりではなかった
「雑兵物語」(部分) 東京国立博物館蔵 [展示期間:9月14日~10月6日]
鉄砲が実戦で多く使用された戦国時代を経た江戸時代。太平の世となってからもサムライたちは日々、鉄砲の鍛錬を怠らなかったことが知られている。武人としてのサムライの側面を刀剣以外の武具、特に鉄砲に注目して紹介。
イベント情報
会期:2019年9月14日(土)~11月4日(月・休)
会場:東京都江戸東京博物館 1階 特別展示室(東京都墨田区横網1丁目4番1号)
開館時間:午前9時30分~午後5時30分(土曜日は午後7時30分まで)
※入館は閉館の30分前まで
休館日:毎週月曜日(ただし9月16日・23日、10月14日、11月4日は開館)、9月24日(火)、10月15日(火)
※会期中に一部展示品の入れ替えがあります。