ユアネス『RUSH BALL 2019』クイックレポート ーー穏やかな夜に映える、独自の世界観に酔いしれる

『RUSH BALL 2019』【ATMC】ユアネス

昨年に続き、『RUSH BALL』2度目の出演となったユアネス。落ち着いた青の照明に照らされるなか、昂った熱を抑えるように「凩」からメランコリックなギターが響く。……と、思いきや小野貴寛（Dr）のハイハットが炸裂し、そこからエモーショナルなサウンドが鳴り響く。溢れる感情を豪快に放出するのではなく、一音一音を丁寧に紡ぎ、独自の世界観を作りこんでいく4人。「日々、月を見る」では吐息さえも音にするように、緩やかに穏やかな音を聴かせる。大勢の観客の前で歌っているのに、目の前で、いや横に座って歌っているような、そんな不思議な感覚があり、リリックに込められた切ない思いがじわじわと浸透していく。

「しんみりした曲が続いたので、次はロックな曲を」と、披露された「少年少女をやめてから」では先ほどまでとは一転。黒川侑司（Vo.Gt）、古閑翔平（Gt）が紡ぐ複雑ながらも流麗なバンドアンサンブルに刺激され、じっと聴き入っていたオーディエンスたちが次から次に手を掲げ、彼らの音を受け止める。田中雄大（Ba）のリズムもまたいい感じに体を揺らしてくれる。

ATMCは持ち時間が25分と、決して長い時間ではない。限られた時間のなかで、バンドの魅力を伝えたいと1曲でも多く楽曲を披露したいと思いを語り、「音楽の楽しみ方は簡単。好きなように楽しんで」と、そこからラストスパートへ。「Bathroom」「pop」と、昨年も披露した楽曲陣をプレイし、バンドの成長と揺るぎない世界観をしっかりと見せつけ全5曲のステージが終了。昨年はトップバッター、今年は夜に映える時間帯での出演。来年の『RUSH BALL』で彼らがどの枠に出演を決めるのか、期待したい。

取材・文＝黒田奈保子　撮影＝田浦ボン

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