森田剛、吉岡里帆が世界初上演舞台『FORTUNE(フォーチュン)』に出演決定 ゲーテの『ファウスト』を現代のロンドンに置き換えた意欲作
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2020年1月14日(火)~2月2日(日)、東京芸術劇場プレイハウスにてPARCO PRODUCE 2020『FORTUNE(フォーチュン)』の上演が決定した。
本作は『ブルーバード』『ポルノグラフィー』『オン・ザ・ショアー・オブ・ザ・ワイド・ワールド(広い世界の岸にて)』『ハーパー・リーガン』『真夜中に犬に起こった奇妙な事件』など、多くの戯曲を生み出し、トニー賞、オリヴィエ賞など多くの賞を受賞、2001年の『ヘロンズ(鷺)』では“オリヴィエ賞の最も有望な劇作家賞”にもノミネートされた、イギリス演劇界を率引する劇作家サイモン・スティーヴンスが、ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテの代表作『ファウスト』を大胆にも現代のロンドンを舞台に置き換えた意欲的な新作となる。
演出を務めるショーン・ホームズは、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーを皮切りに、ドンマー・ウエアハウスやオールド・ヴィック・シアター、ロイヤル・コート・シアターといった英国有数の劇場で数々の作品を手掛け、2009 年から約10 年間、英国を代表する劇場であるリリック・シアターの芸術監督を務めた。満を持して本作を、英国に先駆け日本で世界初上演を果たす。
出演はV6としての活動はもちろんのこと、サイモン・スティーヴンスの代表作『真夜中に犬に起こった奇妙な事件』では数学に天才的な才能を持つ15歳のアスペルガー症候群の少年を演じきり、その演技が高く評価された森田剛。本作では、過去の出来事から喪失感を抱えて生きながらも、恋人・財産・名誉と望むもの全てを手に入れるために悪魔と[契約]を結び、闇へと堕ちていく二面性を持った主人公の映画監督・フォーチュンを演じる。
フォーチュンが想いを寄せる、若くして結婚しているプロデューサーで、素直でまっすぐな女性・マギーには映画・ドラマで注目を浴びる吉岡里帆、すべてを手に入れたいフォーチュンと契約を交わす悪魔・ルーシーに存在感・実力ともに高く評価される演技派女優・田畑智子、フォーチュンの母親・キャサリンに映像・舞台と多方面で活躍し、唯一無二として演出家からの信頼も厚い根岸季衣、自殺したフォーチュンの父親・ショーンには年齢と共に魅力を増す演技をみせつける鶴見辰吾、そして、市川しんぺー、平田敦子、菅原永二、内田亜希子、皆本麻帆、前原滉、斉藤直樹、津村知与支と個々に強烈な個性溢れる、魅力的なキャストがそろった。
悪魔と契約し、欲望を叶え続けすべてを手に入れた男が、やがて闇へと堕ちていき最期にたどりつく結末に注目したい。
演出のショーン・ホームズ、出演の森田剛、吉岡里帆からのコメントは下記のとおり
◆演出:ショーン・ホームズ コメント
サイモン・スティーヴンスの『FORTUNE』のワールドプレミアを東京で演出できる機会に恵まれたことをとても嬉しく思っています。私にとって日本での最初の演出作品で、森田剛さんをはじめとするこの素晴らしいキャストの皆さまとご一緒できることを本当に楽しみにしています。『FORTUNE』という、一筋縄ではいかないけれどやりがいがあり、驚きに満ちたダイナミックな戯曲にアプローチするにあたり、この日本と英国の創作におけるコラボレーションというのは完璧な組み合わせだと思います。
この作品の核となる物語は、自分の一番深い欲望を叶えるために魂を売る男を描き、その喜びと恐怖を描きます。勝利から破滅へと進んでいくフォーチュンの物語を追いながら、魔法のような変化を見せてつねに驚かせるような作品になることを願っています。ダイナミックなデザインと照明、音、音楽そしてキャストの皆さんの確かな力で、ますます地獄と化していくロンドンの鮮明で忘れがたい姿を描き出せたらと思っています。
剛さんのように、演技の幅とそして深みのある俳優とご一緒できることもとくに嬉しく思っています。この役は、俳優にとって、とてつもないやりがいがあると同時にとてつもないチャレンジです。剛さんと一緒に、フォーチュンの衝撃的で圧倒的な物語を一緒に紡いでいくのを楽しみにしています。観客のみなさんが決して忘れることができないような、そんな物語を。
◆森田剛 コメント
『夜中に犬に起こった奇妙な事件』(2014年)につづいて、サイモン・スティーヴンスの戯曲に挑むことになりました。しかも今回は新作ということで、とても光栄に思います。『夜中に~』は、リアルとファンタジーが入り混じりながら、一人の男がいろいろな人たちと関わっていくことで成長する様子が描かれた物語でしたが、この『FORTUNE』を初めて読んだとき、似た感覚を持ちました。今回も、僕が演じるフォーチュンが人と関わることで物語が動いていくのですが、『夜中に~』と違うのは、何不自由のない成功者が堕ちていく、ということ。『ファウスト』をベースにしているそうですから当然ですが、正直、最初は少し抵抗がありました。それに、サイモンの戯曲は精神的に強く揺さぶられるので、前回とても苦しんだことも思い出し、そこにまた飛び込むことにも勇気が要りました。ただ同時に、幕が開いた瞬間になぜかすべて報われた感覚も経験したので、今はそれをもう一度味わってみたいという気持ちが強くなっています。
先日、演出のショーン・ホームズ、美術のポール・ウィルスから、たくさんのアイデアを伺いました。文化の違いがあるからこそ、新たな感覚を引き出していただけるのではないかと今から期待しています。初めましての方々とのものづくり、とにかく純粋な気持ちで、共演者・スタッフの皆さんと共にこの作品に向き合いたいと思っています。
◆吉岡里帆 コメント
世界的に活躍されているイギリスの劇作家、演出家、美術家のお三方が、この日本で手掛けられる世界初演の舞台。このようにスケールの大きい舞台に立たせていただくこと、とても光栄です。まだ26歳の私を抜擢していただいたことを、素直に嬉しく思います。私が初めてお芝居に触れたのは、小劇場の舞台。それだけに舞台への憧れは強く、だからこそプレッシャーにも感じています。
この戯曲には、演劇でしか伝えられないような大きなテーマが描かれています。読めば読むほど、心も身体も全部この作品に注ぎ込みたいと思いました。このような作品に参加させていただけることは本当に贅沢で、とても幸せです。大きな舞台への出演は今回初めてで知らないことが多く、スポンジ状態の今だからこそ、クリエイターの皆さんや共演者の皆さんとの作品づくりを通じて、新しい価値観を受けられることは、とても幸運なことですし、役者冥利に尽きます。せっかくいただいた貴重な機会、多くを学び、様々なものを吸収して、作品世界を体現し、少しでも多くのお客様に伝えられるよう、努めたいと思います。
映画監督として成功をおさめたが、自分を幼い頃に捨てた父親とその自殺という事象から常に喪失感を抱えて生きているフォーチュン。自分に対して素直に意見をぶつけてくる若きプロデューサーのマギーに好意を抱くが、彼女は幸せな結婚生活を送っていた。欲しいものが手に入らない焦燥、そして逃れられない悲しみから、出会った女ルーシーに誘われるまま、半信半疑である[契約]を交わしてしまう。