THE YELLOW MONKEYの生涯をかけたロックショー『GRATEFUL SPOONFUL』ツアーを振り返る【さいたまスーパーアリーナ Day2】

2019.9.30
レポート
音楽

THE YELLOW MONKEY 撮影=Mikio Ariga

THE YELLOW MONKEY SUPER JAPAN TOUR 2019 -GRATEFUL SPOONFUL-
2019.7.7(日) 埼玉 さいたまスーパーアリーナ

4月27、28日に静岡エコパアリーナから始まった『THE YELLOW MONKEY SUPER JAPAN TOUR 2019“GREATFUL SPOONFUL” 』が、9月21、22日、グランメッセ熊本で遂にファイナルを迎えた。19年ぶりにリリースしたニューアルバム『9999』の楽曲を中心に、公演ごとに用意された全く異なるセットリストは、それぞれ「♠」「♦」「♥」「♣」の記号で分けられた豪華メニュー4コース。あの素晴しいツアーをもう一度。さいたまスーパーアリーナで行われた7月6日(♦)と7日(♥)の2公演の、2日目の模様ををレポートする。

さいたま2日目は日曜日、開演は16時。昨日と同じく「ボナペティ」の軽快なビートが鳴り響いたあと、エマ(Gt:菊地英昭)の神々しいギターの音が聴こえ……ずに、爆走ロックンロール「天道虫」からのド派手な幕開け。真っ赤なライトがぐるぐる回り、スクリーンには紅蓮の炎、大量の火花が飛び散る中で、4人は最初から全力疾走状態。「ALRIGHT」でエマとヒーセ(Ba:廣瀬洋一)が早くも花道へ飛び出し、「今夜はTHE YELLOW MONKEYの第二のバースデーだぜ!」と吉井(Vo)が叫ぶ。「Love Communication」は、サビのほとんどを2万人の歌声に委ね、“もっと来い!”と言わんばかりに煽りまくる。ダークな深みを強調した昨日の「♦」公演とは何もかもが違う、明るくはじける「♥」公演の幕開けだ。

「今夜はTHE YELLOW MONKEYがまた集まったきっかけの日。記念すべき……夕方(笑)。まだ夜じゃない。最高の記念日に、最高のロックンロールを、最高のTHE YELLOW MONKEYと、最後まで堪能してください」

吉井のMCもご機嫌そのもの。「Love Homme」の、ヒーセの重低音ベースは昨日よりも激しく重く、「楽園」のエマのソロも気合満点。エマのギターの音量が昨日よりもはるかにパワフルに聴こえるのは、たぶん気のせいじゃない。「Love Sauce」のソロも、力の入り方が普通じゃない。気持ちもプレイも毎日違う、だからライブ。スクリーンに映る壮麗な星空をバックにした「Stars」の輝き、“こんなに激しい曲だったっけ?”と思うほど、ギラついた熱気ほとばしる「パール」。このペースで走り続けて大丈夫か?と、嬉しい反面心配になるほど、ここまで8曲は全て攻撃的ロックンロール。30年を超えるキャリアを持つバンドが、そんなんできひんやん普通。THE YELLOW MONKEY、半端ない。

そこへ、絶妙のタイミングで挿入されるミドルロックバラード二連発。レーザーとスモークによる幻想的な空間の中で歌われた「Changes Far Away」、そして20年前、解散を前にした時期の混沌と激情とが埋め込まれた「SO YOUNG」。本日絶好調、エマの万感迫るソロが素晴らしい。麝香猫が登場するキュートなアニメ映像からの「Balloon Balloon」は、アニー(Dr:菊地英二)の猪突猛進ドラム、ヒーセの徹頭徹尾ワンコードで攻めるベースが凄い。60’sグループサウンズをTHE YELLOW MONKEY流に再解釈した「追憶のマーメイド」は、いつ聴いても若く懐かしくかっこいい。ソロを弾くエマに寄り添う吉井が愛おしい。明るい開放感がスーパーアリーナを包み込む。

「バンドって面白いね。昨日来てくれた友達が、今はバンドをやめちゃってるんだけど、ライブを見て“またバンドやりたくなった”って。一番嬉しい言葉でした」

吉井の言葉が、いつも以上に親密にストレートに響く。直後、ヒーセのべースにトラブルが発生し、時間を持て余した吉井の「エマ、踊る?」という無茶振りに、思わず「パンケーキ食べたい」のダンスで反応してしまうエマ。「アニー、物まねする?」という振りに、笑って拒否するアニー。今日はなんだかステージ上の空気が優しい。「Titta Titta」での、ローリング・ストーンズばりのエマのソロに、「飛び出し坊や!」「トニー・アイオミ!」など、陽気な掛け声を飛ばす吉井。「LOVE LOVE SHOW」で勢い余って、いや確信犯的に客席に飛び込んでファンを狂喜乱舞させる吉井。タオルをもらったりバラの花をもらったり、その薔薇の花をエマのギターネックに飾ったりする吉井。「♥」公演のコンセプトは、明るく開放的なロックンロール、派手な演出、ロックスターの自由奔放なパフォーマンスにあると見た。そしてデヴィッド・ボウイへのオマージュをたっぷりと盛り込んだ「SUCK OF LIFE」の、今日の決めゼリフは「THE YELLOW MONKEY is your life!」だった。なんという自信、なんというファンへの愛情。

「昔と変わらないところも、変わったところもあるけれど、THE YELLOW MONKEYは、日本にちゃんとあっていいバンドだと思っています。もう解散しませんので(笑)。これからもTHE YELLOW MONKEYをよろしくお願いします」

我々はまだまだ小僧っ子です――。そう言ってから歌った「I don’t Know」の引き締まったグルーヴと洗練された歌の表情に、昨日感じたのが集大成だとすれば、今日感じたのはここが始まりというみずみずしさ。日々変わる感性と演奏、これがTHE YELLOW MONKEYの、生涯をかけたロックショー。

アンコール。1曲目は、エマらしい繊細な歌詞とメロディを持つミドルロックチューン「Horizon」。夜の闇から抜け出した美しい雲がやがて朝の光に包まれる、壮麗な映像と音との見事なコラボレーション。

「あらためて、みんなと一緒に、バラ色の日々を探しに行きましょう」という、完璧な導入からの「バラ色の日々」の、なんという多幸感。「悲しきASIAN BOY」で登場する、ギラギラ輝く電飾と巨大なセットの回転も、昨日とは全く動きが違う。吉井、エマ、ヒーセが寄り添って決めのポーズを作る。「We are No.1 R&R band of asia!」、吉井の声が一層明るく輝いて聴こえる。

「2016年からずっとサポートしてくれているツルちゃん、鶴谷崇。精密な時計のような、THE YELLOW MONKEYのエンジン、アニー、菊地英二。ミックにキースが、ボウイにミック・ロンソンがいたように、吉井和哉には菊地英昭がいる。ポール・スタンレーにジーン・シモンズが、ヴィンス・ニールにニッキー・シックスがいたように、吉井和哉には廣瀬洋一がいる」。吉井のメンバー紹介には愛しかない。そしてヒーセの「今や日本の宝です。オンボーカル、吉井和哉!」という紹介を受け、「おまえたちには吉井和哉がいる!」と叫ぶ吉井。すぐに「おまえって言ってすみません(笑)」と落とす吉井。

ラストチューンは、昨日の1曲目だった「この恋のかけら」だ。エマの艶やかなギターが広いスーパーアリーナに響き渡る。吉井の優しい歌声が幸福な1日を締めくくる。「♥」公演ならではの、愛に溢れた大団円。残念ながら体感できなかったが、「♠」公演にも「♣」公演にも、その日そこにしかない幸福があったはずだ。メンバーが去った後、「ボナペティ-2」をフルコーラス、字幕付きでもう一度。THE YELLOW MONKEYの長いヒストリーに新たなページを刻んだ『GREATFUL SPOONFUL』ツアーの、これは忘れがたい1日の記憶。その記憶だけでしばらくいい夢が見られるような、素晴らしい2019年の思い出と、THE YELLOW MONKEYの栄光の未来へ祝杯を。

取材・文=宮本英夫
撮影=Mikio Ariga

>>【ライブレポート】2019.7.6(土) 埼玉 さいたまスーパーアリーナ

ライブ情報

THE YELLOW MONKEY 30th Anniversary DOME TOUR
2019年12月28日(土) ナゴヤドーム OPEN 15:00 / START 17:00
2020年2月11日(火・祝) 京セラドーム大阪 OPEN 15:00 / START 17:00
2020年4月4日(土) 東京ドーム OPEN 16:00 / START 18:00
2020年4月5日(日) 東京ドーム OPEN 15:00 / START 17:00
 
詳細】
指定席 9,900円(税込)
*6歳以上はが必要(但し、6歳未満でも座席が必要な場合は必要)

 
<OFFICIAL FUN CLUB BELIEVER.二次抽選受付>
受付期間:2019年10月7日(月)12:00〜10月20日(日)23:59
券種:指定席

<OFFICIAL FAN CLUB BELIEVER.会員限定「30th Anniversary Memorial Gift」>
結成30周年を記念して製作されたネーム入り仕様の特別な贈り物をBELIEVER.会員を対象に会場にてお渡しいたします。
※詳細は『DOME TOUR特設サイト』にてご案内しております。

 
オフィシャルサイト: https://theyellowmonkey.jp
DOME TOUR特設サイト:https://theyellowmonkeysuper.jp/feature/30th

リリース情報

『30th Anniversary『9999+1』–GRATEFUL SPOONFUL EDITION–』
(読み:サーティース アニバーサリー フォーナインプラスワン -グレイトフル スプーンフル エディション-)
2019年12月04日(水)発売 WPZL-31703〜4/¥7800(税別)
■Disc1収録予定内容
M1.ボナペティ-OPENING-
M2. この恋のかけら
M3. 天道虫
M4. Love Homme
M5. Stars (9999 Version)
M6. Breaking The Hide
M7. ロザーナ
M8. Changes Far Away
M9. 砂の塔
M10. Balloon Balloon
M11. Horizon
M12. Titta Titta
M13. ALRIGHT
M14. I don't know
M15.ボナペティ-ENDING-
M16.ダレカニ-demo-
M17.eien-demo2015-
 
■Disc2 収録予定内容
「THE YELLOW MONKEY SUPER JAPAN TOUR 2019 -GRATEFUL SPOONFUL-」@宮城・セキスイハイムスーパーアリーナ(2019年8月3日)
M1. この恋のかけら
M2. ロザーナ
M3. 熱帯夜
M4. 砂の塔
M5. Breaking The Hide
M6. 聖なる海とサンシャイン
M7. Tactics
M8. 天国旅行
M9. Changes Far Away
M10. JAM
M11. Balloon Balloon
M12. SPARK
M13. Love Homme
M14. 天道虫
M15. バラ色の日々
M16. 悲しきASIAN BOY
M17. Titta Titta
M18. 太陽が燃えている
M19. SUCK OF LIFE
M20. I don’t know
 
■豪華ブックレット
初日の静岡公演から、全エリアを追いかけたカメラマン/横山マサト氏による200P以上に及ぶ豪華ブックレット
 
先着購入特典:GRATEFUL SPOONFULオリジナルトランプ
※特典には限りがございます。なくなり次第終了となりますので予めご了承ください。
※一部取扱いのない店舗もございます。特典の有無に関するお問い合わせは直接各店舗へご確認下さい。
 
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