伊藤健太郎、主演映画『惡の華』海外映画祭への出品に「共感してもらえる自信はある」
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伊藤健太郎
9月28日(土)、映画『惡の華』の公開記念舞台挨拶が東京・TOHOシネマズ 日比谷にて行われ、伊藤健太郎、玉城ティナ、飯豊まりえ、秋田汐梨、メガホンをとった井口昇監督、原作者の押見修造氏が登壇した。
『惡の華』は『別冊少年マガジン』(講談社)にて連載された、押見修造氏の漫画。ボードレールの詩集『悪の華』に憧れる少年を主人公に、鬱屈とした青春と行き場のない衝動を描く物語。2013年にはTVアニメ化、2016年には舞台化もされた。初の実写映画化となる『惡の華』では、『片腕マシンガール』『覚悟はいいかそこの女子。』などの井口昇監督がメガホンをとり、脚本をアニメ『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』や『心が叫びたがってるんだ。』の岡田麿里氏が手がける。
主人公・春日高男を演じるのは、『デメキン』やドラマ『今日から俺は!!』(日本テレビ系)などの伊藤健太郎。中学2年生時に、憧れの女子の体操着を盗んだところをクラスの問題児・仲村佐和に目撃され、そのことを秘密にする代わりにある“契約”を持ちかけられる役どころを演じる。また、春日に執拗につきまとう仲村佐和役で『わたしにXXしなさい!』の玉城ティナ、春日が片思いするクラスのマドンナ・佐伯奈々子役で、雑誌『ニコラ』でモデルを務める16歳の女優・秋田汐梨が出演。秋田は、数百人以上のオーディションを経てキャスティングが決まったという。さらに、飯豊まりえが、高校時代に春日と交流を深める常磐文を演じている。
イベントに登壇した春日役の伊藤は、「中学生役と聞いて、これは大変な作業になると思った」とオファー時を振り返りつつ、「今までやったことのない役柄だったので、役者としてやっていく上で大きなものになるだろうと感じました」と気合十分。出来栄えについては「僕としてはやるべきことをすべて出し切って、それを素敵に切り取って編集してもらえたので、最高でした」と胸を張った。
仲村役の玉城は「原作でも圧倒的な存在感のある役柄なので、私が演じることによってプラスになる要素があればいいと思った。漫画を参考にしつつ、演じる上ではとらわれ過ぎないように心掛けました」と工夫を明かし、「仲村に出会えてよかった」とシミジミ。押見氏から「僕の中ではもはや“仲村佐和”ではなく“玉城佐和”になっている」と伝えられると、「嬉しくて震える」と恐縮していた。
玉城ティナ
常磐役の飯豊は、「なるべく『惡の華』ファンに違和感なく、邪魔しないように見てほしいと思った」とコメント。玉城演じる仲村とのリンクも意識したことを明かし、「ニャハ!という笑顔にはこだわって、ティナの演じた仲村のニャハ!という笑い方に近づけようと、健太郎君の目の前で何度も練習していました」と語る。
佐伯役の秋田が「玉城さんや伊藤さんのオーラが凄いので、相談も怖れ多くてできないし……」とこぼすと、すかさず伊藤は玉城に向かって「怖いんだよ!」とツッコミ。玉城もこれに「なんで私なんですか!一緒です!」と応戦して、仲の良さをにじませていた。一方の伊藤は、撮影当時15歳の秋田について「女優さんとしてドシッと構えていて、15歳という年齢を感じさせずにとてもやりやすかった」と賞嘆。玉城も「不安要素なんてまったくありませんでした」と絶賛していた。
また渾身のシーンについて聞かれた玉城は「終盤のお祭りに向かう場面は、仲村の弱さと春日の強さが入り混じるシーン。それまでに積み重ねられた関係性があっての場面なので印象的」と挙げた。一方の伊藤は「つまらない回答かもしれないけれど……全部のシーン!」と胸を張りつつ「パンツをかぶってる二宮金次郎像を窓から見ている春日のシーンは結構大事」と明かす。同シーンは、伊藤が自ら井口監督にアプローチしたシーンとのこと。すると、井口監督は「渾身のお芝居!」、押見氏も「漫画でやりたかった春日の文系不良感がバッチリ出ていました。原作者として嬉しい映画。全部わかってもらえたと思った」と太鼓判を押していた。
この日は、押見氏のイラスト入りの色紙がキャスト陣にプレゼントされるサプライズ企画も実施。自らの似顔絵入りの色紙を贈呈された伊藤は「光栄なこと。嬉しい!部屋に飾ります!」、玉城は「宝物にします!」、飯豊は「汚れないようにラップで巻きます!」、秋田は「天井に飾ります!」と、それぞれの言葉で喜びを表現していた。
また、本作が11月13日から20日までポーランドで開催される『ファイブフレイバーズアジアン映画祭』で上映されることも決定。伊藤は、「11月13日……姉貴の誕生日だ」と天然で家族ネタを差し込みつつ、「時代や国、宗教など色々なものが違っても、思春期に抱えることはみんな同じ。この映画を観た海外の方々に共感してもらえる自信はある。反応が楽しみ」と海外展開への期待に胸をふくらませる。
最後に押見氏は「原作にある魂の部分を継承してもらえた。僕自身は、中学時代に観たかった映画です。観たらきっと気持ちが楽になったと思う。自分にとって大切な作品になりました」と断言。8年前から本作の企画を温めていたという井口監督は「映画が完成し、このようにみんなと一緒に舞台に立てているのが嬉しく、胸がいっぱい」と喜びつつ、「孤独な青春時代を送っている人たちの救いになってくれればいい」とアピール。主演の伊藤は「この仕事を始めて8年くらい経ちますが、その頃から温められていた映画に今こうして主人公として立っているのが感慨深い。色々な気持ちが混ざって不思議な気持ちです」と感慨深そうに語り、「誰かの背中を押してくれる作品になりました。沢山の人に観てほしい」とアピールしていた。
『惡の華』は公開中。