ちぎれる人間!妖美なジョヴォビッチ!血まみれダークなスペクタクル活劇『ヘルボーイ』#野水映画“俺たちスーパーウォッチメン” 第六十九回
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(C)2019 HB PRODUCTIONS, INC.
TVアニメ『デート・ア・ライブ DATE A LIVE』シリーズや、『艦隊これくしょん -艦これ-』への出演で知られる声優・野水伊織。女優・歌手としても活躍中の才人だが、彼女の映画フリークとしての顔をご存じだろうか?『ロンドンゾンビ紀行』から『ムカデ人間』シリーズ、スマッシュヒットした『マッドマックス 怒りのデス・ロード』まで……野水は寝る間を惜しんで映画を鑑賞し、その本数は劇場・DVDあわせて年間200本にのぼるという。この企画は、映画に対する尋常ならざる情熱を持つ野水が、独自の観点で今オススメの作品を語るコーナーである。
かつて、二度実写映画化されているアメコミ『ヘルボーイ』。地獄から召喚され、人間の手で育てられた悪魔・ヘルボーイが、超自然的な存在や自らの運命と戦う、ダークファンタジー作品だ。この度、スタッフやキャストも一新されたリブート版『ヘルボーイ』が登場した!
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古の時代、最強の魔女・ニムエは疫病を放ち人類を滅ぼそうとするが、伝説の剣エクスカリバーを手にしたアーサー王により封印されることとなった。時は流れて現代。封印が解かれたことにより、世界に再びニムエの魔の手が迫っていた。超常現象調査防衛局として活躍する、地球生まれの悪魔の子・ヘルボーイは人々を守るべくニムエに戦いを挑むことに。しかし、ヘルボーイを悪魔の王として迎えようと画策するニムエの罠にはまり、世界を滅ぼすほどの強大なパワーを手に入れてしまう。世界とヘルボーイの運命やいかに。
豪快なバトルシーンに注目
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『ヘルボーイ』は、『シェイプ・オブ・ウォーター』(17)のギレルモ・デル・トロ監督によって、過去二度にわたって実写映画化された。デル・トロ監督の『ヘルボーイ』は、彼の持ち味とも言えるファンタジー成分が強く、独特な造形のクリーチャーたちが印象的だった。デル・トロ監督作品が好きな私としては、正直なところ今回のリブート(再起動)にソワソワしていたのも事実だ。
しかし本作は、コミックの原作者マイク・ミニョーラも「多くの場面が原作そのままに再現されている」と言うほど忠実に作られているという。それぞれのシーンだけではなく、主人公・ヘルボーイのキャラクター性にも、原作のトゲトゲして少し子どもっぽい性格がより反映されているように感じた。
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そして、ヘルボーイのルーツとなる部分は、初めて『ヘルボーイ』に触れる人にも分かりやすく、短い時間ながらも丁寧に掘り下げられている。加えてご機嫌なロックサウンドはヘルボーイの豪快で血気盛んなキャラクターにピッタリ。音楽にノっているうちに、あっという間に引き込まれてしまった。
バトルシーンの豪快さも、テンションを上げるのに一役買っている。R15+(15歳未観覧禁止)というだけあって、血が流れるどころか、爆発する勢いで飛び散りまくる!悪魔たちもバンバン死んでゆくし、魔物の手にかかった人間は股を裂かれ、千切られ、酷い有様だ。ホラー(特にゴア)好きの私は思わずキャッキャと楽しんでしまったのは言わずもがな。新しい切り口で見せてくれる本作は、ダークさマシマシのスペクタクル活劇としてまさに“リブート(再起動)”したといえよう。
魅力的なミラ・ジョヴォヴィッチと仲間たち
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いわゆるラスボスにあたる魔女・ニムエを演じるのは、『バイオ・ハザード』シリーズでお馴染みのミラ・ジョヴォヴィッチ。衣装を翻してバリバリのアクションを見せるイメージの強い彼女だが、本作では落ち着いた雰囲気で、妖美な女性といったイメージで登場する。その美しさがまたなんともハマっていて、個人的には「今までのミラジョヴォで一番好き」と思うほど、見惚れてしまった。
さらに、ニムエが従えるしもべたちも濃いキャラクターばかり。中でも、妖婆バーバ・ヤガが私のイチオシである。鳥の足が生えた可愛い家に住む、グロテスクな見た目の魔女さんだ。クリーチャー好きな私からしたら、バーバ・ヤガのデザインと設定は垂涎もの!ブリッジ姿勢のまま戦ったり、指入りスープを食べていたりと、出てきた瞬間からインパクトも強い。他にも巨人に妖精にと様々な敵キャラが登場するので、皆さんのお気に入りクリーチャーもきっと見つかることだろう。
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そもそも皆さんは、『ヘルボーイ』に出てくるこのワードたちに惹かれやしないか。悪魔、魔女、エクスカリバー、アーサー王、運命……。私のようにいつまでも中二病(ファンタジー世界に憧れ、それを現実に持ち込んでしまう思春期あるある)が治らない人間からすると、ワクワクが止まらないワードばかりだ!そこで活躍するのが正義漢なヒーローではなく悪魔の子というのが、一筋縄ではいかずまた面白い。
私と同じく中二病をこじらせている方に、特におススメする新生『ヘルボーイ』!Don’t miss it!
『ヘルボーイ』は公開中。
作品情報