工藤遥主演、舞台『魔法使いの嫁』が開幕 エリアスの頭部は透ける素材を使った仮面で表現

2019.10.6
レポート
舞台
アニメ/ゲーム

画像を全て表示(23件)

2014年の連載スタートと同時に大きな話題となり、アニメ放送もされたヤマザキコレの原作コミック『魔法使いの嫁』の舞台の幕があがった。

今回の舞台の脚本・演出を手掛けたのは、アニメでも脚本を担当していた高羽彩。『まほよめ』を知り、誰よりもその構成を考えていた彼女が描く舞台版『まほよめ』は、工藤遥演じるチセを中心としたそれぞれの登場人物たちから柔らかな風が吹いてくるような、優しく暖かな舞台となっていた。

異形の魔法使いエリアス・エインズワース(神農直隆)と暮らす羽鳥チセ。リンデル(ウィリアム良太ザッキー)から鏡越しに話しかけられ、懐かしい話に花を咲かせていた。「夜の愛し仔(スレイ・ベガ)」としてのチセの昔語りにエアリエルたちも集まってくる――。

エリアス役の神農の低い声は不思議とこの空間に馴染み、心地よさと共にエリアスというキャラクターの存在感を強く感じさせてくれる。また、チセはエリアスの元に来る前は辛い過去により空虚な様子だったが、徐々に「スレイ・ベガ」として誰かを助けようと強い意志を持つようになっていく。

ルツ(小松準弥)は犬型のパペットのときと人型として現れるときがあるが、どちらの状態でも静かにチセに寄り添い彼女を助けている。セリフがないシルキー(広川碧)だが、家を守り、チセを慕う様子がその表情からも感じられる。そして今回のキーパーソンでもあるカルタフィルス/ヨセフ(西井幸人)の悲痛な叫び声は彼の抱える呪いや苦しみが痛いくらいに伝わってくる。

舞台は2部構成となっており、前半はチセを取り巻く環境について、その過去とエリアスの元に来てからの生活と事件についてをチセ、エリアス、ルツ、リンデルらが回想する。休憩を挟んで後半2部はカルタフィルス/ヨセフとの物語が展開される。

ゲネプロ終了後記者会見 「全員野球」で作り上げる舞台

羽鳥チセ役 工藤遥:今ここにいるメンバーだけでなく、たくさんのキャスト・スタッフでこの作品を作り上げております。そんな思いが観に来てくださる方へ届けばいいなと思っております。

エリアス・エンズワース役 神農直隆:昨日の場当たりから怒涛のようにやっております。みな怪我なく、スタッフさんの皆「全員野球」で一丸となって作り上げておりますので、楽日まで良い作品ができるように突き詰めていきたいなと思っております。

ーー演劇版『魔法使いの嫁』という作品にご出演が決まったときの感想を教えてください。

工藤:弟が本作のファンでしたので、出演の旨を伝えたところ「くれぐれも原作の質を落とすような真似はしないように」という厳しめな一言をもらいました。熱烈なファンのみなさまがたくさんいらっしゃるんだなということを感じたので、責任を持って、プレッシャーを感じながらも、一生懸命チセちゃんを演じていければいいなと思っております。

ーー見どころのひとつが、神農さんのご着用するエリアスの頭部かと思います。着用のご感想は?

神農:最初のプロトタイプはゴツめだったのですが、身体とのバランスを考えて何回も何回もスタッフさんが作り変えてくれました。僕の顔に当たらないようなカーブを描いていて、すごく着け心地は良いです。精神的に引きこもっている感じ? コックピットみたいになってて、エリアスの感情が表に出ないのをこの付け心地で助けてもらっている感覚です。メッシュで透けて見えるので、暗転でも危なくないようになってますし。(演じる人間の)表情も透けるように作られていますので有難いなと思っております。

ーー西井さん、ご自身の役との共通点やチセを演じる工藤さんとの共演についてお伺いできないでしょうか。

カルタフィルス/ヨセフ役 西井幸人:ヨセフも自分自身がどういう状況なのか、今どうなっているのかがわからなくなっているというのもですが、僕も自分自身が何なのか時々わからなくなることがあります。稽古はすごくきつかったのですが、それも役を演じる上での責任だったりするのかと思います。千秋楽まで突き詰めて、迷いながら悩みながら演じていきたいと思います。工藤さんとは(ビジュアル撮影で)初めましてだったのですが、何回か会ったことあるのかなというようなフランクな感じでした。稽古初日から親戚の集まりなんじゃないかというような雰囲気でしたので、とてもやりやすかったです。

ーー今回の稽古で大変だったところややりがいを感じたところは。

リンデル役 ウィリアム良太ザッキー:あらかじめ原作やアニメがあり、お客様がキャラクターやストーリー、世界感に確固たるイメージを持っているので、そこに自分たちが近づいていく、そこに入っていくというのがやはり大変でした。でも演出の高羽さんがアニメにも関わっていらっしゃるということで、役作りや演技の支えにもなっていただいて。高羽さんは人柄も良くて、稽古の主版ではピリピリすることも多いんですが、そのタイミングで「他人を思い合って、和やかにいきましょう」と言ってくださいました。なかなかそんなことを言ってくださる演出家さんっていないですよね。そういう方が作った作品ですので、人の心も動かせるのかもしれないなと思います。

ーー意気込みを一言ずつお願いします。

工藤:舞台『魔法使いの嫁』が始まります。短い期間ではありますが「まほよめ」ファンの皆様、そしてこれをきっかけに「まほよめ」という作品に触れる方、そして幅広い年代の方に愛されていると思うので、これをきっかけに舞台というものに触れる方、様々な方にこの作品を楽しんでいただいて、各々の世界に引き込まれて、素敵な魔法にかかっていただけたら嬉しいです。

神農:毎日みんなでエンジョイって感じですね。

工藤:そんなキャラでしたっけ!?

神農:みんなで楽しめることが一番だと思うので、楽しめるように毎日一生懸命やっていきたいと思います。

西井:「全員野球」でやっております。自分の役以外のところで出ている方もいますし、そういうところも注目していただけたら嬉しいです。みんなで素敵なこのカンパニーで、みなさん暖かいので、その暖かさも伝えられる舞台になればと思います。

ザッキー:今回テーマが「全員野球」ということなので、スタッフの方々やここにいない役者を含めて全員野球でやっています。個人的には満塁ホームラン何本も打てるチームが仕上がったと思いますので、楽しみにしていてほしいです。

ルツ役 小松準弥:(ルツは)とてもインパクトのある姿だったと思います。僕は本来の犬の姿と人型が同居しているという表現をあのような形でやらせていただいております。その中でルツがいたなとどれだけ思っていただけるかが勝負だと思っておりますので、良い兄ちゃんとして、チセを最後まで愛して、寄り添って行きたいと思います。

オベイロン役 結城洋平:ヤマザキコレさんの作った世界を高羽さんが具現化し、その中で僕たちが生きているキャラクターのひとつとしてこの作品が出来ることを本当に幸せに思っています。さっきザッキーさんも仰っていましたが、タフな稽古になってきた中で高羽さんが「つらいのは自分だけじゃない、思いやりを持って接しよう」というダメ出しとも人生句ともとれる言葉を頂きました。それって「まほよめ」のヨセフ編にすごく通ずるものがあるなぁと思います。どういう風に何を思って行動するのかという人の気持ちや妖精の気持ちだったりというところを見ていただければ幸いかなと思います。

シルキー役 広川碧:私の中でシルキーはすごく麗しく慎ましい女性だと思っています。その中でもルツとエリアスとチセを家族だと思い、その家族が住む家を大切にしているシーンがあります。その気持ちをしっかり根本において、表情だけでしっかり表現できるように頑張りたいと思いますので最後までよろしくお願いいたします。

アリス・スウェーン役 佐倉花怜:アリスという役も様々な過去を持っていて、決して明るいものだけではないんですが、この物語の中でチセがたくさんの人に出会って成長していくように、アリスも同じでアリスだからこそ向けられる優しさがあると思っています。高羽さんが「全員野球」という言葉を私たちにくださって、その言葉の元に稽古から駆け抜けてきたなという感覚です。これからみなさんにお届けできるのを本当に楽しみにしております。

ステラ・バークレム役 清水らら:ステラは家族思いですごく元気な女の子です。ステラのパワフルな部分を舞台で表現できればいいなと思っています。みんなの足を引っ張らないように一生懸命頑張ります。

ーー清水さん、初舞台ということですが以前に共演の機会が多かった工藤さんから習ったこと等はありますか?

清水:工藤さんはすごく親切で、私にいつも教えて下さっています。袖から出るタイミングとかも……。

工藤:私なんかよりも大先輩がたくさんいらっしゃいますから、やれていることも少ないですが……。ステラとチセは役としても距離が近いですし、唯一の10代同士ですから仲良くね! 

清水:台詞ちょっと間違えちゃってもフォローしてくださったり。優しくて尊敬しています。


取材・文・撮影:松本裕美
(C)2019 ヤマザキコレ/マッグガーデン・舞台「魔法使いの嫁」製作委員会

公演情報

舞台『魔法使いの嫁』

日程:2019年10月5日(土)~14日(月)
劇場:あうるすぽっと
 
原作:ヤマザキコレ「魔法使いの嫁」(ブレイドコミックス刊)
脚本・演出:高羽彩
 
出演:
工藤遥 神農直隆
西井幸人 小松準弥 広川碧 佐倉花怜 清水らら/結城洋平 ウィリアム良太ザッキー
アンサンブル:五十嵐愛 大上のの 七瀬彰斗
 
:※前売り券完売
(通常)7,000円(税込・全席指定)
(特典付き)10,000円(税込・全席指定)
 
公式Twitter: @mahoyome_stage
 
制作:WIT STUDIO、MMJ
主催:舞台「魔法使いの嫁」製作委員会