屋良朝幸、海宝直人らが斉藤和義の楽曲で歌い踊る! 日本発の新作ミュージカル『ロカビリー☆ジャック』が開幕

2019.12.5
レポート
舞台

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2019年12月5日(木)にシアタークリエにて開幕する新作ミュージカル『ロカビリー☆ジャック』。1950年代のアメリカで誕生したロカビリー音楽をテーマに、スターを目指す青年と、彼を取り巻く人々を描いた作品だ。

初日前日の4日(水)、囲み&ゲネプロが行われた。ゲネプロ前に行われた会見には、主演を務める屋良朝幸海宝直人に加え、演出の岸谷五朗、作・作詞・楽曲プロデュースの森雪之丞、音楽を手掛けた斉藤和義の5名が登壇した。

インタビュアーより、豪華な面々が揃っていることについて尋ねられた屋良は、「五朗さん、雪之丞さんは3年半前から一緒にやってますけど、今隣に和義さんがいるっていう現実がちょっとよく分かってない」と緊張をにじませつつ、「和義さんが作ってくれる音楽を歌えるなんて想像もできなかったので嬉しい」と、斉藤による初のミュージカル楽曲を歌えることへの喜びを語ってくれた。

最初はテーマ曲だけの予定だったのでは?との質問に対しては、森が「いえ、たくさん一緒にと思ってました。本当に素晴らしい曲を書いてくれたので。最後は週1曲ぽんぽんと出してくれた」と語り、結果として斉藤による楽曲が9曲ある贅沢な構成になっていることをアピールした。

森雪之丞

また、自身の曲がミュージカルになったことに対する感想を聞かれた斉藤は「不思議でしたね。部屋でちまちま作った曲が、歌って踊って……わー!って」と話し、取材陣から笑いが。さらに、「キャストのみんなは、稽古場に和義さんが来た時にリアクションを気にしてた。わりと無表情だったので(笑)」と言われ、「稽古場が審査員席みたいで、みなさん目の前までくるからどうしていいか分からなくて……(笑)」と、初めてのミュージカルの現場に戸惑ったことを告白。「歌も動きも台詞もすごいので本番が楽しみです」と、大きな期待を寄せていた。

斉藤和義

次に、演出についての質問が出ると、岸谷が「本当に素晴らしい稽古場で1ヶ月半以上過ごして、本当にキュートな新作が出来上がったという感じですね」と自信を見せる。屋良や森とのタッグは久しぶりだが、「雪之丞さんとは毎日飲んでるんですけど(笑)。屋良っちは素晴らしい役者なので、すべてができる、すべてを備えている、勉強してきた実力派なので何の役を渡しても安心ですね」と、強い信頼関係があることを強調。森も「ちょっとこの台詞長いから切ろうか?って話をしてたんだけど、屋良っちが実際台詞を喋ったら良すぎて“ここは残そう”となりましたね」と屋良の演技を絶賛していた。

屋良は「今回は、3年半の間でどう成長したかを二人に見せたくて。(岸谷、森によるタッグ第一弾である)『SONG WRITERS』はすごく僕の中で衝撃的で、いろんなものをいただけたので、今回、それ以上のものをと思って家でも練習してきました」と、本作にかける意気込みを語り、「その中で初めて生まれた感情があって、早くお客さんに見せたい気持ちはあるけど、“稽古が終わってほしくない”と思ったんです。それぐらい稽古場が楽しくて、稽古最終日がちょっと寂しかった」と語る。「五朗さんは作って壊してを繰り返すんですけど、僕が考えてきたことも受け入れてくれて、ディスカッションしてくれる。キャストも毎日笑ってたよね」と話す屋良に海宝も笑顔で頷き、カンパニーの雰囲気の良さが伝わってきた。

本番中もブラッシュアップは続けるとのことで、日々進化するだろう本作から目が離せない。

岸谷五朗

岸谷は様々な作品で海宝の芝居を見て、「一緒にものを作りたい」と思っていたということを熱弁。

「斉藤和義の曲が夜中の2時とか3時に上がってくるわけですよ。で、雪之丞さんがすぐ感想をくれっていう(笑)」と暴露を交えつつ、「斉藤和義ですから、一人で歌ってギター弾いて、魅力がものすごい。(童謡の)「ちょうちょう」歌ってても成立するってくらい世界がある。これを稽古場で他の役者が歌ったらまずガッカリするはずなんですよ。斉藤和義が強すぎるから。ところが直人が稽古場で一発目歌った時、泣きました。演技を含めて、海宝なりの歌になってる。只者じゃないなと思いましたね」と、海宝のポテンシャルを讃える。

また、「これを斉藤和義がこう歌ってたんだろうなと想像できたりするんですよね」と、一風変わった楽曲の楽しみ方も教えてくれた。森も「女の子の曲もあるから、女言葉で歌ってたよね」と話し、屋良が「それは聞きたい!」と食いつくと、取材陣からも大きな笑い声が上がっていた。

海宝直人

岸谷からの称賛を受けた海宝は「デモをいただいた時、斉藤さんの世界観がある曲を自分が歌うのが想像できなくて。これをどうやってミュージカルに落とし込んで行こうかと。昆ちゃん(昆夏美)ともちょっと話したんですけど、演劇と音楽のバランスを考えて。どのラインを目指すか、歌唱指導の福井さんと話し合いながら作り上げました。今までのミュージカルとはまた違った楽しみ方ができるんじゃないかと思います」と、斉藤による楽曲だからこそのアプローチをしたことを語る。

「斉藤さんとも話しながら、“ここはミュージカルっていうよりもう少しアーティスティックに”とか“ここはお芝居にした方がいいよね”とか話しました。“ちょっとそれミュージカルっぽいからやめて!”みたいなやりとりもあって。ミュージカルなのに(笑)」と笑顔で話し、新鮮な現場だったと振り返っていた。

同じく楽曲について聞かれた屋良は「(斉藤は)やっぱり男が惚れる歌い方じゃないですか。今まで僕が歌ってきたのとは真逆だし、ロカビリーっていうものにも縁がなかったので、すごく聞きましたね。和義さんの良さを盗みつつ、自分らしく落とし込むためにもがきました」と苦労を語る。

“自分らしさ”ということでダンスについて問われると、「今回もたくさんありますよ!僕の好きなストリートダンスは作中の時代にはないんですけど、そこをあえてクロスオーバーして思いっきり、やらせてもらっています」と、作品の魅力が楽曲だけではないことをアピール。インタビュアーから「見どころが多すぎませんか?」と問われると「見どころしかないです!」と言い切り、自信を見せていた。

最後にファンに向けて「皆さんたくさん期待してらっしゃると思いますが、確実に期待を上回る作品ができたと思っています。楽しんで、一緒に曲を覚えて参加してもいい作品だと思うので、ぜひ劇場に遊びにきてください」というメッセージを寄せてくれた。


続いて、ゲネプロの様子をお届けしよう。

《あらすじ》
1950年代に誕生し、エルヴィス・プレスリーら人気シンガーが牽引し一世を風靡したロカビリー音楽――。
ロカビリーに魅せられた売れない歌手・ジャックは、スターになるために悪魔と契約を交わす。それは“愛”を歌えないジャックにシンガーとしての成功を約束する代わりに、彼の中に“愛”が生まれ大きく育った時、命とともにそれをもらう……という契約だった。 一年後、成功の階段を駆け上がるジャックの前に、一人の女性シンガーが現れ、二人は一瞬で恋に落ちる。悪魔がささやく「こりゃ意外と早く“愛”を味わえそうだ……」。
情熱的な若者たちの愛、友情、青春、予想のつかないどんでん返しの物語に、コミカルでキャッチ―かつ感動的な音楽が絡まる、日本発!世界を席巻する一大エンターテインメントがついに開幕!!
 

物語はジャック(屋良朝幸)が歌手を志し、ラスベガスへ飛び出すところから始まる。ジャックの歌に惚れ込んだ後輩、トラック運転手のビル(海宝直人)も、マネージャーとして彼についてくることに。

形としてはシンプルな舞台セットながら、映像を巧みに使い、長閑な田舎町やポップで華やかなアメリカの街並みを表現しているのが楽しい。作中で「ロカビリー」という音楽の歴史や有名なシンガーについて説明してくれるため、予備知識がなくても問題なく世界観や時代背景を理解できるだろう。

また、キャラクターはみんな個性豊かで魅力的。主人公のジャックは、弱気でおバカだがピュアで優しく、応援せずにいられない。マネージャーのビルは、一途でまっすぐで少しドジな好青年。二人の掛け合いも見所の一つと言えるだろう。ヒロイン・ルーシー(昆夏美)も、一途にジャックを想う姿が健気だ。可憐な乙女である一方、恋に対して一直線に突き進む猪突猛進な様子が愛らしい。ライバル事務所のサマンサ(平野綾)とテッド(青柳塁斗)も、敵でありながら憎めないキャラクターを好演。悪魔(吉野圭吾)と魔女(岡千絵)は、存在感たっぷりな佇まいで、物語を動かすキーパーソンを演じている。

そして、本作の大きな注目ポイントである楽曲はいずれも耳に残るキャッチーなものばかり。ハードなロックテイストのものからしっとり聴かせるナンバーまで実に多彩だ。高い歌唱力を持つキャストが揃っているだけあって、楽曲が持つポテンシャルが十二分に引き出されていると感じた。楽曲と共に披露されるダンスも、50年代を彷彿とさせるノスタルジックなものからロック、ヒップホップ、タップと様々で飽きがこない。青柳の筋肉美を活かしたアクションもあり、キャスト一人ひとりの魅力を堪能することができるのも嬉しい。

コメディ要素が強い作品だが、実力派揃いのキャスト陣と岸谷の演出により、笑いの中にも、それぞれのキャラクターが抱える悩みや葛藤、迷いが丁寧に描かれているのも印象的だ。恋愛、仕事、家族との関係など、様々なメッセージを受け取ることができるはず。特に二幕の中盤~ラストは、シュールさのあるコミカルなストーリーや演技に笑いながらも、心の底からあたたかい気持ちになることができる。ジャックとルーシーの恋の行方や、個性あふれる登場人物たちの行く末を、ぜひ劇場で確かめてほしい。

また、初日を迎えるにあたり、『ロカビリー☆ジャック クリスマススペシャルウィーク』の開催も発表された。2019年12月19日(木)から25日(水)までの6公演は、通常のカーテンコールに加え、クリスマスver.のスペシャルカーテンコールが行われる。さらに24日(火)・25日(木)の3公演は、非売品の特製マスキングテープのプレゼントも!

公演は12月5日(木)~30日(月)までシアタークリエで行われる他、2020年1月11日(土)・12日(日)に福岡市民会館、1月16日(木)に愛知県の日本特殊陶業市民会館 ビレッジホールにて行われる。

取材・文・撮影=吉田沙奈

公演情報

ミュージカル『ロカビリー☆ジャック』
 
作・作詞・楽曲プロデュース:森雪之丞
作曲:斉藤和義 さかいゆう 福田裕彦
演出:岸谷五朗
 
出演:屋良朝幸、海宝直人、昆夏美、青柳塁斗、岡千絵/平野綾、吉野圭吾 
 
真瀬はるか 中村百花 かちゃ 蛭薙ありさ 田村雄一 上野聖太 宮野怜雄奈 村井成仁 常川藍里
 
<東京公演>
日程:2019年12月5日(木)~30日(月)
会場:シアタークリエ
 
<全国ツアースケジュール>
2020年1月11日(土)・12日(日) 福岡市民会館(福岡)
2020年1月16日(木) 日本特殊陶業市民会館ビレッジホール(愛知)
 
公式サイト:https://www.tohostage.com/rockabilly_jack/
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