佐藤竹善(SING LIKE TALKING)、国内屈指のバンド・メンバー17名とともにビッグバンド・ライブを成功
佐藤竹善
SING LIKE TALKINGの佐藤竹善がビッグバンドを携えたソロライブ『Rockin' It Jazz Orchestra ~Live in Tokyo & Osaka~』の大阪公演が、12月28日(土)にオリックス劇場で開催された。
11月に中野サンプラザで行われた東京公演が、類を見ない音楽性の高さで来場者を虜にしたことも記憶に新しいが、大阪公演では、東京公演には不在だった、ライブ・アレンジを担当したエリック・ミヤシロが参加。圧倒的な存在感で国内屈指のバンド・メンバー17名を率いて、東京公演より1曲多い18曲を演奏した。
一曲目のビリー・ジョエル「Tell Her About It」に続き、2019年10月にリリースされた佐藤竹善のソロ作品『Don't Stop Me Now ~Cornerstones EP~』収録のオリジナル曲「Vision」が披露されたのち、「ロックやポップスの、誰もが知っている、皆さんが良く知って親しんで、聴きやすいような曲をあえて選びました。そんな曲たちと、JAZZのビッグバンドのオーセンティックなスタイルとの架け橋のように表現したいと思っています。こういったライブが実現して本当にうれしいです。」と語り、竹善が"ホーンセクションというものを初めて知ったというバンド"シカゴの名曲「If You Leave Me Now」が演奏された。
「ビッグバンドはダンスミュージックですので、聴いてやるぞ!という構えではなくて、踊ってくれても構わないんです。」との呼びかけからは、”いつかビッグバンドのサウンドで演奏したら、きっと楽しくなるのではないかなと思って温めていた曲"であるという「Together」を披露。東京でもゲスト出演したTOKUがフリューゲルホルンを携えて登場すると、JAZZスタンダード「It Don't Mean A Thing」、ニール・セダカ「Laughter In The Rain」のエリック・ミヤシロ アレンジ・バージョンが演奏された。竹善が大学生時代に、ルーツ・ミュージックであるJAZZやソウル、R&B聴くきっかけとなったというブルー・アイド・ソウル/AORコーナーでは、マンハッタン・トランスファー「Twilight Tone」、スティーリー・ダン「FM」、ケニー・ロギンス「Heart To Heart」が演奏され、「FM」に関しては「スティーリー・ダンに出会わなかったら、SING LIKE TALKINGももっとポップな曲が書けたのだろうか? それぐらい僕ははまってしまいまして、どこかでひねくれたことをやりたくてしょうがないそんなバンドになってしまいました(笑)」自らの音楽遍歴を冗談交じりに語った。
東京公演では演奏されなかった唯一のインスト曲、ウェザー・リポートの「Birdland」を披露した後は、ピアノ青柳誠とギター梶原順のみの演奏で、コーラスの浦嶋りんことデュエットしたアーロン・ネヴィル &リンダ・ロンシュタットの「Don’t Know Much」、サックスのセクションと、ドラム北井誉人によるカホーン、コーラスのみでタンゴ、フラメンコのようなアプローチに挑戦したポリスの「Roxanne」、オールド・スタイルのプレイがエリックお墨付きのトランペット二井田ひとみをフィーチャーしたJAZZスタンダード「It's Only A Paper Moon」、トロンボーン・セクションをフィーチャーし中川英二郎のソロが際立った「Lover, Come Back To Me」が披露され、公演はいよいよ終盤に突入。
スティービー・ワンダーの「Do I Do」を、エリック・ミヤシロによるビッグバンド・アレンジ・バージョン、クイーンの「Don't Stop Me Now」で会場の盛り上がりはピークに達し、本編最後にはメンバー紹介ののち、竹善は「90年代に入ってからの曲なのですが、この曲をビッグバンドでどこまで表現できるか挑戦したかった」と語り、ピーボ・ブライソンの「Can You Stop The Rain」が演奏され、ライブ本編は終了した。
スタンディング・オベーションからのアンコールでは、「今回の東京と大阪のライブをやったことで、こういったビッグバンドの形の演奏をやりませんか?というお話しが来ておりまして、来年も何かしらできるんじゃないかなと思っております。」と明かし、2020年にも同様の佐藤竹善のビッグバンド・スタイルのライブが楽しめる可能性を示すと、最後の最後にクイーンの「Crazy Little Thing Called Love」を届けて、公演は無事に終了した。
佐藤竹善の圧倒的な歌唱力と、エリック・ミヤシロ率いる日本屈指のメンバーを集めた"Rockin' it Jazz Orchestra"との共演は、竹善が目指すポップスとオーセンティックなビッグバンド・スタイルとの融合を見事に成功させたといえるであろう。来年また、ライブ盤で、そして再演で、この感動を再び味わえることを楽しみにしたい。