「ペルソナ5 スペシャル・ビッグバンド」とは? エリック・ミヤシロ、Lyn(稲泉りん)にインタビュー
『ペルソナ5 スペシャル・ビッグバンド・コンサート』
累計2000万本以上を売り上げている世界的な人気ゲーム『ペルソナ』シリーズ。その最新作『ペルソナ5』をテーマにしたバンド「ペルソナ5 スペシャル・ビッグバンド」が結成され、話題を呼んでいる。
メンバーはアメリカと日本の精鋭ミュージシャン約30名が結集。さらに『ペルソナ5』の楽曲カバーで今年のグラミー賞にノミネートされたチャーリー・ローゼンが楽曲アレンジを担当。12月に開催される『モントルー・ジャズ・フェスティバル・ジャパン2025』への出演も決定している。
このスペシャルなプロジェクトでリーダー役を務めるのは、トランペット奏者のエリック・ミヤシロ。そして、もう一人のキーパーソンと言えるのが、ボーカリストのLyn(稲泉りん)だ。彼女は、ゲーム『ペルソナ5』のボーカル曲を担当しているシンガーで、今回のプロジェクトに抜擢された。
そんな二人の中心人物に、今回の「ペルソナ5 スペシャル・ビッグバンド」の全貌について、それぞれ話を聞いた。
エリック・ミヤシロ インタビュー
――今回、エリックさんは国内プレイヤーのバンド・リーダーを務めますが、メンバーの選出もエリックさんが担当したのですか?
そうです。このプロジェクトのディレクションと編曲を手がけているチャーリー・ローゼンさんから詳細を伺って、ふさわしいメンバーを集めていきました。今回はアメリカ側から8人のミュージシャンが来てくれて、日本のミュージシャンとの混合チームを結成するということで、とにかく最高で最強のメンバーを集めようと考えました。
――エリックさんは今回、日本側のリーダーという立ち位置ではありますけど、ご自身の出自を考えると、アメリカと日本のちょうど中間的な立ち位置という印象です。
そうですね。簡単にいうと、全体のまとめ役みたいな立場です。僕はアメリカ人だけど日本での生活が長いので、バイリンガルという立場を活かしていろいろとお役に立てる、素晴らしい機会だなと思っています。
――実際に、エリックさんはアメリカのバンドでも長年経験を積んできましたよね。
日本に来る前は、ウディ・ハーマン、メル・ルイス、クインシー・ジョンズ、バディ・リッチ、メイナード・ファーガソン…。
――すべて超一流のビッグバンドですね。
そうした人たちが率いるバンドで修行を積みながら世界中を回っていました。演奏者としてもいろんなことを学んだし、それぞれのバンドのリーダーシップも身をもって体験することができました。
だから今回、自分がどんなリーダーシップを発揮するべきか、バンドメンバーとしてどんな振る舞いをするべきなのか、そこは熟知しているつもりなので、このバンドでも活かせればと思っています。
――ビッグバンドにはそれぞれ特徴があって、バンドリーダーとして気を配る点も変化すると思いますが、今回の『ペルソナ5』の場合はどんなところに重点を置いているのですか?
まず、このプロジェクトの音楽ディレクターであり編曲を務めているチャーリー・ローゼンさん。彼のアレンジが最大のポイントなので、どの楽曲においても気を遣うところです。
それに加えて、原作というか『ペルソナ5』そのものを尊重する気持ちも大切です。『ペルソナ5』の音楽って、本来はビッグバンドではないんです。それをビッグバンドとして提示する上で、やはりそのゲームが持つ雰囲気やメロディを壊さずに、なおかつ魅力的に演奏をしなければならない。
――ゲームそのものに対する敬意も必要なんですね。
もちろん。ちなみに僕は『ペルソナ』の1作目から知っていまして。
――エリックさん、ゲーム好きなんですか?
好きですよ。じつは僕の娘がゲーム好きで、彼女自身もいまデジタルクリエイターとしていろんな作品づくりに携わっています。そんなわけで『ペルソナ』の音楽も家でいつも聞こえているような状況でした。
――ということは、今回の話が来たとき「えっ? あのペルソナ!?」という感じだった?
そうです。だから嬉しかったですよ。
――先ほど話に出たチャーリー・ローゼンさんもかなりのゲーム好きだと思いますが、彼の楽曲アレンジについて、具体的にどんな特徴があると感じましたか?
僕と同様に、チャーリーさんも『ペルソナ5』の世界を大切にしていると感じました。その上で、ジャズやファンク、リズム&ブルースの要素を絶妙なバランスで入れ込んで、冒険もしている。つまり『ペルソナ5』の魅力をさらに進化させたアレンジです。ジャズファンはもちろん、「ペルソナ」シリーズのファンもすごく喜んでくれると思います。
それからもう一つ、今回のチャーリーさんのアレンジって「プレイヤーをガチガチに束縛しない」という特徴も持っています。そこはやはりジャズミュージシャンで構成されているバンドなので、それぞれの演奏者のアイデンティティとかクリエイティブを入れるスペースが設けられた、バランスの取れたアレンジなんですよね。
――つまり、お客さんも楽しいし、演奏者も楽しめるような設計の楽譜。
そうなんですよ。だから早く音を出したいですね。
――ちなみに、各楽曲を演奏する上で、チャーリー・ローゼンさんから細かな指示はあるのですか?
僕とチャーリーさんの間では、わりと頻繁に打ち合わせを行なっています。たとえば、どのプレイヤーがどんな特徴や強みを持っているのか、みたいな話をしたり。
チャーリーさんとしては「日米のプレイヤーが繋がって一緒に演奏するのだから、演奏者はこの機会を存分に楽しんで欲しい」という思いがあって、そのための環境づくりを僕と一緒に進めてくれている。そんな印象です。
エリック・ミヤシロ
――今回の日本側のバンドメンバーは皆、エリックさんがよく知るプレイヤーたちですが、ボーカリストのLynさんとは初めての共演だそうですね。
そうなんですけど、先ほども話したとおり、以前から『ペルソナ5』でLynさんの歌唱を聴いていたので、僕にとっては初めての気がしないというか、すでに馴染み深い存在なんです。
とは言っても、僕は彼女が日本人だということを知らなくて、ずっと外国のシンガーだと思っていましたけどね(笑)。あの歌い方は “日本人離れ”しているので…驚きました。一緒に演奏するのが本当に楽しみですね。
――今回、エリックさんが率いる “最高のメンバーたち”は、ベテランから若手まで多彩な演奏家たちが結集しています。なかでも若手のメンバーにとって、今回のようなゲーム音楽は特に愛着を持てるテーマだと思いますが、反応はどうですか?
今回のテーマに対しては、世代を問わず前向きですよ。僕と同じおじさん世代のプレイヤーもワクワクしながら臨んでいます。そもそもミュージシャンって、歳を取っても気持ちは若い。悪く言うと、大人げないというか“永遠の思春期” みたいな人ばかりですから(笑)。
でもね、そういうオープンな気持ちがあるから、ステージに立った時に自分に正直になれるんです。年齢を重ねていくと、どんどん頑固になっていくじゃないですか。その頑固さが、音楽にとっていちばんよくないんです。いつもオープンな気持ちでいないと、聴いてくださるお客さんも心を開いてくれないので、そこは大切な部分だと思います。
――ちなみにエリックさんは今回の『ペルソナ』以外にも、ゲーム関連の音楽に関わってきましたよね。そうした作品に携わる際に、心がけていることはありますか?
ゲーム音楽って、目的や機能が明確に与えられているものだと思うんです。たとえば、楽しい場面はより楽しく、怖い場面はさらに怖く、といった具合に、その作品のムードを作り上げるものですよね。そういう意味では映画のサントラとよく似ていると思います。だから演奏者としてしっかり感情を込めなければならないし、逆に自分を出し過ぎてもいけない。そのさじ加減が非常に難しいし、奥深い世界だと思います。
――でもエリックさんほどの技量があれば、アドリブでちょっと遊びたくなることもあるのでは?
そうですね、やっぱりそこはジャズミュージシャンなので。抑えつつも自然に出ていると思います。
――今回、このグループで「モントルー・ジャズ・フェステイバル・ジャパン2025」に出演します。ご存じのとおり、このイベントは世界最大級のジャズフェスティバルとして知られるスイスの「モントルー・ジャズ・フェステイバル」の日本版です。
自分にとってモントルー・ジャズ・フェスティバルにはものすごく思い入れがあるので、今回、初めて“ジャパン” の方にも出演できて本当に嬉しいです。いつ呼んでもらえるのか、うずうずしていましたから(笑)。
――なるほど、スイス本国の「モントルージャズ・フェスティバル」にはすでに出演経験がありますからね。
最初に参加したのは1986年でした。その時はバディ・リッチのバンドメンバーとして出演しました。ちょうどヨーロッパツアーの最中で、その流れでモントルーにも出ることになって。僕らが演奏したのは真夜中の枠で、夕方5時にスイスに着いてバス移動して会場に着いたのが9時で、本番は11時。その公演が終わったらすぐベルギーに飛んで、っていうスケジュールだったので現地の滞在時間はわずか2時間くらいでした。でもお客さんがとにかく熱狂的ですごく楽しかったのをよく憶えています。
あと、2014年もすごく思い出深いです。あのときはブルーノート東京オールスター・ジャズ・オーケストラとして出演しました。モントルーってあまり雨が降らないんだけど、そのときは大雨で、僕たちがステージに上がったときは10人くらいしかお客さんがいない状態。
――お客さんの数よりもバンドメンバーの方が多いという…。
そう、やばい状態だったんですけど、演奏を開始したらどんどん人が集まってきて、最終的には野外会場いっぱいに人があふれて、ぎゅうぎゅう詰めになっていった。それで演奏が終わってもアンコールの声も鳴り止まない状態になって。
その出来事が、僕の中ではすごく大きな、大切なものとして残っていて。今回こうして再び「モントルー」のステージに立てることを本当に嬉しく思います。モントルーって、お客さんも素晴らしいし、出演者も魅力的ですよね。今回もハービー・ハンコックをはじめ、国内外の超一流ミュージシャンに会える。そういう意味でも本当に楽しみですね。
Lyn(稲泉りん)インタビュー
――「ペルソナ5 スペシャル・ビッグバンド」 の前にまず、ゲーム『ペルソナ5』に関することをお聞きしたいのですが、どんな経緯で歌唱を担当することになったのでしょうか。
普通にオファーがあって、そのときは詳細を聞いていなかったので「コマーシャルの曲かな?」くらいの認識で軽く考えていたんです。ところがレコーディング当日に現場に行ってみると、録音ブースにカメラが入っていたり、かなり立派な設備で。その瞬間「あっ、これは大変だ。なんだか大ごとになってる…」と、事の重大さに気づきまして(笑)。
恥ずかしながら私はゲーム界隈のことに疎くて、世界的に人気のあるシリーズだということを、あとで知りました。
――その日のレコーディングは順調に進んだのですか?
はい。歌いにくさもなかったし、歌い方で悩むこともなくて、結構スムーズにできたかと思います。
――それは『ペルソナ5』の曲調がLynさんに向いていた、ということですか? つまりジャズやファンクなどブラックミュージックの要素が強いので、そこがLynさんにフィットしたという。
それはありますね。ただし、普通にジャズやファンクの曲を歌うことと、ゲーム音楽として成立させることには大きな違いがあると思います。つまりゲーム音楽って「ゲーム内での役割」と「音楽的な表現」の絶妙なバランスの上で成り立っていて、その制約の中で、どれだけの熱量や自分なりの表現ができるかが大切なポイントだと思うんです。
『ペルソナ5』で具体的に意識したのは、抑揚を付けすぎないというか、良い意味で “一本調子” であることです。その狭い抑揚の幅の中で、どうしたらマイクに乗り続けられるか、みたいなところは意識的に取り組みました。
あと、作品内の歌は英語詞ですけど、歌い方を日本語のポップスから学んだり、もちろん過去のゲーム音楽からもヒントを探りながら。最初は手探りでしたけど、少しずつ “良い意味の一本調子” をうまく意識できるようになっていきました。
――音楽ライブのステージで歌ったり、自分の歌唱がCDやDVDに収録されるのはLynさんにとって普通のことだと思うんですけど、ゲームやアニメの中に自分の歌が登場する、というのはどんな気分なのでしょうか。
例えばゲームをプレイしている時に自分の歌声が聞こえてくるのは、なんだか気恥ずかしいというか居心地が悪くて、ゲームには集中できないですね(笑)。だからと言って、それ以外のゲームをやり始めると、没頭しすぎて社会生活もままならなくなる恐れがあるのでブレーキをかけています(笑)。
――そんな『ペルソナ5』にちなんだプロジェクト「ペルソナ5 スペシャル・ビッグバンド」でLynさんがボーカルを執り、12月開催の音楽イベント「モントルー・ジャズ・フェスティバル・ジャパン2025」に出演します。ご存じのとおり、このフェスは世界3大ジャズフェスにも数えられるスイスの「モントルー・ジャズ・フェスティバル」の日本版です。
この出演が決まったとき、興奮してすぐ母親に電話しました(笑)。「あたし、モントルー・ジャパンに出るよ!」って。でもそうは言いながら「大丈夫かな…、辞退した方がいいんじゃないかな…」と弱気にもなりましたけど。
――肝が据わっている印象ですが、Lynさんでも弱気になりますか?
だって、この「ペルソナ5 スペシャル・ビッグバンド」のメンバー見てくださいよ。とんでもない精鋭ミュージシャンばかりですよ?
――そうですね。国内トップクラスの演奏家たちが結集しています。
さらにアメリカ勢も大御所ばかり。そう考えると、私なんて赤子も同然なんです。だから逆にいうと “怖いものなし” だな、とも思えます。私がどう振る舞っても、臨機応変に対応してくださる技量と懐の深さをお持ちの方々ですから。だから私は私のまま、体当たりで頑張ろうと思っています。
――それからもう一つ、今回の楽曲をアレンジしたチャーリー・ローゼンさんも、Lynさんにとって特別な存在ですね。
はい。『ペルソナ5』の収録曲カバーで、今年のグラミーにノミネートされましたからね。グラミーで話題になる前から存じ上げていたので、今回のノミネートも固唾を飲んで見守っていました。
彼のアレンジはどんなカバーよりも愛情あふれていて大好きなんです。今回の「ペルソナ5 スペシャル・ビッグバンド」での彼の楽曲アレンジも同様で、私自身がボーカリストとしてどんなアプローチをすべきか、そしてどんなことができるのか。さらには他の演奏メンバーの方々とのキャッチボールにおいても、どんなプレイを心がけるべきか、そこはしっかりと考えなければなりません。
Lyn(稲泉りん)
――ちなみに、今回の日本メンバーのバンドリーダーを務めている、トランペッターのエリック・ミヤシロさんとは初共演とのことですが、エリックさんはLynさんのことをずっと前からご存知だったそうです。彼はゲームが大好きで『ペルソナ5』を通じてLynさんの声を聴いていたので「初共演だけど初めての気がしない」とおっしゃっていました。
怖いですねぇ…、そんな大御所があのゲームの音楽を聴いていたなんて思いもしなかったので、今頃になって焦ってます。
――あと、エリックさんはこうも言っていました。「僕は彼女が日本人だということを知らなくて、ずっと外国のシンガーだと思っていました。あの歌い方は “日本人離れ”しているので驚きましたよ」と。
いやもう本当に恐縮です。嬉しすぎて、また母親に電話しそうです(笑)。
――ところで、Lynさんが歌手になったきっかけは「ある日、ダニー・ハサウェイを聴いて、何かに目覚めた」みたいな記事を読んだことがあるのですが、それはいつ頃の話ですか?
10代の終わりくらいですね。ある日、何となくラジオを聴いていたらダニー・ハサウェイの曲が流れて。その番組はソウルミュージックを詳しく紹介するという内容で、その日はダニー・ハサウェイのライブ音源がそのままオンエアされたんです。
――1972年のアルバム『Live』ですか?
そう、「What's Going On」で始まるやつです。あのアルバムって、お客さんの拍手や歓声もしっかり入っていて、ステージと客席の一体感がすごくよく伝わる録音ですよね。
――お客さんが一緒に歌っちゃう場面もありますね。
そうなんです、彼の音楽やパフォーマンスも素晴らしいと思いましたけど、それよりも、あの会場の時空そのものに感動してしまって。ただ純粋に「そこへ行きたい」と思いました。
だから、そのときは「ミュージシャンになりたい」とか「歌手になりたい」みたいな具体的な夢を描いたわけではなくて、ただただ衝撃を受けたんです。お客さんが一緒にライブを創り上げていくような、あの空間を想像しながら「私もそこに参加したい」という漠然とした思いというか、憧れというか…そんな気持ちですね。
――それでも、やはり自分で歌うことを選択した。
やはり音楽に携わりたいという思いはあって「歌ならできるかな…」くらいの気持ちで始めました。ただしメインでしっかり歌うのではなくて、自分としてはコーラスがすごいしっくりくるな…と感じて。コーラスのキャリアを積んでいきました。
――確かに、Lynさんのキャリアを振り返ると、コーラスでもさまざまなアーティストの作品に参加していますね。しかも、MISIAさんや井上陽水さん、Superflyなど、楽曲の方向性も多彩です。
そこは自分の強みだと思います。音楽はジャンルを問わず好きだし、音楽の現場そのものが私にとって楽しい場所なので、自分の役割がリードシンガーであってもコーラスであっても「はい! 行きます!」というスタンスで(笑)。
――レコーディングでの客演も豊富ですが、ライブでも幅広いアーティストのサポートを務めていて、ソロでのライブ活動にも積極的ですね。
やっぱりライブは好きだし、自分はライブミュージシャンだっていう気概もあります。ライブでおこなわれることは毎回違うし、そこにいる共演者や目の前にいるお客さんに対して自分がどう反応して、どんなプレゼンができるか。そこが自分にとって最も興味があるというか、大切にしている部分でもあります。
――まさに先ほど話した、ダニー・ハサウェイのライブパフォーマンスや、聴衆と一緒に空間を作り上げるという話につながりますね。
そうですね。私自身はあらゆるジャンルの音楽で “うた” の現場を楽しめるし、ステージ上の自分がどんな役割であっても、そのライブ空間を作り上げることに喜びを感じます。だから私はリードシンガーであることにこだわらず、むしろ自分のことをコーラスがメインだと認識しているんです。
――でも今回のプロジェクト「ペルソナ5 スペシャル・ビッグバンド」はリードシンガーです。
しかも「モントルー」という大舞台ですからね。モントルー・ジャズ・フェスティバルは長い歴史の中で、ジャズだけでなくロックやソウルのミュージシャンも数々の伝説的な名演を残してきましたよね。そうした憧れのミュージシャンのライブ音源や動画を、これまで何度も観たり聴いたりしてきたので、自分が「モントルー」の名前を冠したフェスに出演できるのは本当に光栄だし、嬉しさと誇らしい持ちでいっぱいです。
――海外勢では、ハービー・ハンコックを筆頭に、ネイト・スミスやマイケル・リーグらも出演が現時点では決定しています。
はい…、他の出演者も錚々たる顔ぶれ。ジャズ界の頂点とも言いえるような面々が並んでいますよね。さっきも言いましたけど、私なんて赤子も同然です。
――そんなフェスに出演する上で、自分が何を担っているか、どんなステージにしたいか、具体的なビジョンがありますか?
ゲームって、その世界にトリップして没入できるものですよね。それと同様に、今回のステージもお客さんと一緒に没入できるような、そんなゾーンに入りこめれば素晴らしいと思っています。それはもう音楽の神様に捧げるレベルの領域かもしれないし、大それた野望ですけど、そこへ到達できたらいいなと思っています。
あと、熱心なジャズファンの中には、「ゲーム音楽でしょ?」っていう、偏見ではないですけど先入観を抱く方もいらっしゃるかもしれません。もしそういうお客さんが聴いていたとしても、蓋を開けてみたら「何なんだこれは! すごいじゃん!」って思ってもらえるような、そんなパフォーマンスを目指そうと思っています。
とにかく題材が何であれ、その音楽や演奏そのものの素晴らしさを発揮したいという気持ちもありますし、題材になっているゲームというコンテンツの魅力を伝えたいという気持ちも強いので。
――かつてはミュージカルや映画などの娯楽が、こうしたビッグバンドと結びついていましたが、時代の流れに応じて「コンピュータゲーム」というエンタメと繋がっていくのは、ごく当たり前で自然なことなのかもしれませんね。
おっしゃるとおりだと思います。そこは今回の中心人物であるチャーリー・ローゼンさんのキャリアと受賞歴が物語っていますよね。ゲームやアニメに限らず、いろんなカルチャーやコンテンツが、音楽を通してミックスされているのは本当に素敵なことだと思います。
チャーリーさんのアレンジメントと、エリックさん率いるビッグバンドが、その世界をさらに膨らませる。今回のステージは、いわゆるゲーム界隈だけでなく、いろんな音楽ファンにアピールできる素晴らしい機会です。その立場にいられるのはシンガーとして本当に幸せなことなので、私にできるベストなパフォーマンスを目指したいですね。
Text by ARBAN編集部 楠元伸哉
公演情報
公演情報
東京公演
2025年12月2日(火) 17:30 開場 / 18:30 開演
2025年12月3日(水) 17:30 開場 / 18:30 開演
2025年12月4日(木) 12:00 開場 / 13:00 開演 <追加公演>
2025年12月4日(木) 17:30 開場 / 18:30 開演
※全公演同内容になります。
会場:新宿文化センター 大ホール
日程:2025年12月5日(金) 17:30 開場 / 18:30 開演
会場:神戸国際会館 こくさいホール
11/8(土)10:00~追加席の販売が決定!
受付席種:全席指定 11,000円(税込) ※注釈付き
受付期間:11/8(土) 10:00~11/10(月)23:59
お申込み:https://eplus.jp/persona5_bb/