南沢奈央、平埜生成、入手杏奈がエンダ・ウォルシュの戯曲に挑む 白井晃が演出を手掛ける舞台『アーリントン』の上演が決定
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(写真上段左より・演出:白井晃、出演・南沢奈央、下段左より平埜生成、入手杏奈)
2020年4月11日(土)~5月3日(日)KAAT神奈川芸術劇場において、舞台『アーリントン』が上演される。2018年春に上演された『バリーターク』に次ぐ、エンダ・ウォルシュによる戯曲で、KAAT神奈川芸術劇場芸術監督・白井晃が演出を手掛け、本公演が日本初演となる。
アイルランド生まれの劇作家・脚本家エンダ・ウォルシュは近年、映画『ONCE ダブリンの街角で』舞台版でのトニー賞ミュージカル脚本賞受賞や、デヴィッド・ボウイの遺作のミュージカル『LAZARUS』の脚本執筆などでもさらにその名を広めた。2018 年3月には、イギリスの作家マックス・ポーターのデビュー作 『Grief is the Thing with Feathers』 の脚本と演出をてがけた同名の舞台を、コンプリシテの制作により、アイルランドのダブリンで初演。翌2019年3月にはイギリスのバービカン・センター、同年4~5月にはニューヨークのセント・アンズ・ウェアハウスで再演 。また、オペラの脚本 ・演出家としても活躍している。
『アーリントン』の舞台は、時も所もわからない、ある待合室のなか。主人公アイーラを演じるのは、昨年5月~6月に上演されたKAATプロデュース『恐るべき子供たち』に続き、白井作品2度目の出演となる南沢奈央、若い男には、長塚圭史演出・ KAATプロデュース『常陸坊海尊』での演技が記憶に新しい平埜生成が白井作品初参加となる。また、ダンサー・振付家の入手杏奈が劇中の重要な役どころで出演する。
いま大きく揺らぐ世界のなかで、エンダ・ウォルシュがあえて描いた、不思議でいとおしいラブ・ストーリー。「人間の魂と、耐える力への頌歌(しょうか)」とエンダが語るこの衝撃作を白井晃がどう描くのか、期待したい。
白井晃 コメント
白井晃
今、私にとってエンダ・ウォルシュほど刺激的な作家はいない。『バリーターク』を上演したのが二年前。その不条理かつ摩訶不思議な世界に魅せられ、彼の作品の虜になった。人間存在の不確かに対する不安と、その恐れに対する優しいまなざし。『アーリントン』の舞台となる密室の中には、世界と今がある。孤立主義、全体主義の風潮が蔓延する中、人々は異質なものを排除しようとする。監視者と被監視者のいる部屋は、まるで現代社会を投影するかのようだ。そんな世界に生まれた小さなラブストーリーに、私は切なくも、この上ない愛おしさを覚える。東京オリンピックを目前に、熱狂のさなかにある日本で、この作品を上演する意味は大きい。
南沢奈央 コメント
まずは、昨年の『恐るべき子供たち』に続き、白井晃さん演出のもと、KAAT 神奈川芸術劇場の大スタジオで作品を作れることが楽しみで仕方ないです。今回は日本初演となるエンダ・ウォルシュの作品に挑戦させていただきますが、また一つも二つもステップアップしなくては完成しないなというプレッシャーも感じています。他の劇場にはない、解放的でありながらも密な空気感の中で、観ていただいた方に鮮烈な衝撃を残せるように、白井さん、共演者、スタッフの皆さんと濃密に作り上げたいと思います!
平埜生成 コメント
『バリーターク』を楽しく観劇していた自分が、エンダ・ウォルシュ作品 × 白井晃演出の第二作目に参加出来るとは思ってもみなかったので、とても驚きました。『アーリントン』 には「a love story」という副題がついています。時間も場所も分からない、不思議だけど可笑しくて、悲惨で息苦しい世界だけど、とても優しい愛の物語です。ラブストーリーとは縁遠い俳優人生を送ってきてしまった僕にとっては試練の道となるかもしれませんが、同時に、大きな転機となる予感もしています。一体どんな景色が広がっているのか、未知なる旅に、今から心が躍っています!
高いビルのなかにある、待合室。
若い女“アイーラ”はそこでずっと、自分の番号が呼ばれるのを待っている。
隣の部屋では“若い男”がモニター越しにアイーラを見ている。
彼はきょうはじめてそこへ仕事にやって来た。
壁をへだてて、ふたりの心が静かにゆれる。
やがてアイーラは自分の運命を知る。
そして彼女の番号がきたとき、男はとほうもない決断をする。
それは…。