長田育恵 × 瀬戸山美咲のタッグで現代に生きる人々の幸福を描く 「現代能楽集シリーズ」第10弾の上演が決定
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(左から)長田育恵 瀬戸山美咲
2020年11月~12月シアタートラムにおいて、現代能楽集Ⅹ『幸福論』 ~ 能「道成寺」「隅田川」より(仮題)の上演が決定した。
「現代能楽集」シリーズは、狂⾔師である世⽥⾕パブリックシアター芸術監督・野村萬斎が、古典の知恵と洗練を現代に還元し、現在の私たちの舞台創造に活かしていきたいと考え、⽣まれたシリーズ。旬のアーティストを招き、総合芸術としての能楽の要素を現代舞台芸術に還元して、新たなパフォーミングアーツを模索する。
記念すべき第10弾となる今回は、近年、演劇賞を⽴て続けに受賞している、気鋭の劇作家/演出家・瀬⼾⼭美咲と、たぐいまれな筆⼒をもつ劇作家・⻑⽥育恵により、今を⽣きる私たちのための現代演劇を創作する。
このたび瀬⼾⼭と⻑⽥からコメントが到着した。
長田育恵コメント
長田育恵
「現代能楽集」シリーズに参加させていただくことになり、とてもワクワクしています。私は能楽で取り上げられる物語について、この世のどこかにあったひっそりとしたものたちが、能楽というからだを得て時を渡ってきたのだと感じられています。それらはすべて、語り継ぐひとがいなければ、見過ごされ、忘れられていた物語群です。それを現代に置き換えることは、現在社会の光が差さない場所にあえて降りていき、そこにある物語をそっと掬うことなのではないかと考えています。これまで書いたことのない題材と向き合うことになりそうです。書き表せる文体を探しながら、果敢に挑んでいきたいと思います。
長田育恵 プロフィール
劇作家/「てがみ座」主宰。1977 年東京生まれ。早稲田大学第一文学部文芸専修卒。09 年劇団「演劇ユニットてがみ座」を旗揚げ、全公演の戯曲、依頼戯曲等を手掛け、心の機微を見つめる繊細な言葉、丹念に織り上げられた構成で、スケールの大きな物語を描きだす筆力が注目されている。15 年、てがみ座『地を渡る舟-1945/アチック・ミューゼアムと記述者たち-』(再演)にて第70 回文化庁芸術祭賞演劇部門新人賞を、16 年にグループる・ばる『蜜柑とユウウツ-茨木のり子異聞-』(演出:マキノノゾミ)にて第19 回鶴屋南北戯曲賞を受賞。18年には青年座『砂塵のニケ』(演出:宮田慶子)、てがみ座『海越えの花たち』(演出:木野花)とPARCO PRODUCE『豊饒の海』(演出:マックス・ウェブスター)により紀伊國屋演劇賞個人賞を受賞した。
瀬戸山美咲コメント
長田育恵さんと私は、ともに世田谷パブリックシアターが行っている若手登竜門であるシアタートラム ネクスト・ジェネレーションの出身です。今回、このような劇場を代表する企画でご一緒できることをとても嬉しく思います。出会ってから9年、常に作品から刺激をもらってきました。そして、日々考えていることや悩みを分かち合いながら、この時代をともに歩んでいく仲間がいる心強さを感じてきました。長田さんの劇作の魅力は、人物に寄り添い感情を細やかかつ熱く描くと同時に、大きな枠組みの中で人間を冷静に見つめる目も存在していることだと思います。そんな長田戯曲をどう演出するか、今から楽しみです。能をもとにした作品に取り組むのも初めての挑戦です。『隅田川』と『道成寺』を通して現代日本に生きる人々の姿を描きます。私たちだからできる、私たちにしかできない作品をつくりたいと思います。
瀬戸山美咲プロフィール
劇作家・演出家。1977 年東京生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。2001 年にミナモザを旗揚げ。15 年、『彼らの敵』(作・演出)で第23 回読売演劇大賞優秀作品賞受賞。劇団の代表作に『エモーショナルレイバー』『みえない雲』『指』『ファミリアー』など。劇団外の最近の作品に『埒もなく汚れなく』(作・演出)、『ジハード-Djihad-』『あの出来事』(ともに演出)などがある。19 年に『夜、ナク、鳥』(演出)、『わたし、と戦争』(作・演出)で第26 回読売演劇大賞優秀演出家賞、20年に『THE NETHER』(上演台本・演出)で第27 回読売演劇大賞優秀演出家賞受賞。『アズミ・ハルコは行方不明』、『リバーズ・エッジ』など映画脚本も手がける。16 年、FMシアター『あいちゃんは幻』で第42 回放送文化基金賞脚本賞受賞。世田谷パブリックシアターのワークショップ、多摩ニュータウン×演劇プロジェクトなどコミュニティの人々との創作にも携わる。
公演情報
『幸福論』 〜能「道成寺」「隅⽥川」より(仮題)