楠本桃子のゲームコラムvol.114　唯一無二の世界観が魅力！大人向けゲーム3選

今回は対象年齢17歳以上のオトナ向けゲームを3本紹介。どの作品もニンテンドースイッチでダウンロード可能なので、いつでも手軽に遊ぶことができます！

少しビターでオトナも楽しめるゲームは、唯一無二の世界観を持つ作品が多め。眠れない夜に、ベッドの中で楽しんでみてください！

『ドットホラーストーリー』

本作の主人公は、有名法律事務所の会社員である「プライス」。彼の野望は、事務所の共同経営者となり、そして巨万の富を得ること。

ある時、彼は、とあるマンションの住人たちを、家賃滞納や新たな高速道路の建設のため、といったさまざまな理由から、立ち退きを迫るという任務を受ける。優しい老人をはじめ、住民たちを追い詰める中で、次第に大きくなる「罪悪感」によって、彼の精神は病みはじめ、やがて「幻覚」を見るようになる……。

といったストーリーの本作は、まさに「大人向け」という表現が正しい作品。可愛らしいドット絵の雰囲気からは想像もできないようなダークなストーリーと演出が詰め込まれています。

住民達が暮らすマンションを探索し、キーとなるアイテムを拾いながらパズルを行いつつ、物語を進めていきます。パズル自体の難易度は高くないので、行き詰ってしまう、ということは無いでしょう。

プライスだけに見える幻覚と、本当に存在している現実。何が嘘で何が本当かを見極めることがポイント。グロテスクな描写はドットでありながらも直接的なものなので、耐性が無い方はご注意を。

「あなたの人生、お金より大事なものは何ですか？」というキャッチコピーからも、深く考えさせられるストーリーが展開します。人間の倫理観のその先に見えてくる結末とは、いったいどういったものでしょうか……。

総プレイ時間は短めで、サクッとクリアできる作品なので、是非、衝撃的なラストシーンまでたどり着いてください！

『シンキング シティ』

本作はラヴクラフトの世界観がベースとなったオープンワールドが舞台。プレイヤーは私立探偵として街とそこに住む人々の秘密を探っていきます。

捜査方法はひとつだけでなく、どのように操作を進めていくかは全てプレイヤーの判断に任されています。プレイヤーが取る行動によりストーリーやその結末が変化していくため、繰り返しのプレイも可能。街の住人から証言を集めたり、ヒントとなる品を集めたりして、ひとつひとつの謎を解き明かしていく過程がまた面白い作品です。

集めた情報と主人公が持つ「心の目」や「過去視」といったスキルを駆使しつつ物事をパズルのように推論し、ピースが一気にハマる瞬間は快感！どこか仄暗く陰のあるオープンワールドを歩いているだけでも楽しく、時には水中に潜ったり、異形の影と対峙したりと、ゲーム内で行えることは盛りだくさんです。

メインストーリーとは別に、サブクエストも用意されているのでボリュームも十分。陰鬱な雰囲気や異形の者達、不気味な演出に迫りくる狂気といったラヴクラフトの世界観を極限まで濃縮されている本作は、18歳以上対象の年齢制限がかかっています。まさに大人向けの一本と言えるでしょう。

果たしてあなたは正常な精神を保ったまま、物語の真相へとたどり着けるでしょうか……。

『WILL: 素晴らしき世界』

『WILL: 素晴らしき世界』は、プレイヤーが神様となって人間達を助ける、というアドベンチャーパズルゲーム。人間から受け取った手紙の一部を組み替えることで、運命そのものを変化させることができる、という能力を使い、様々な悩みを持った人間を助けることが使命となります。

手紙の文章を並び替えて不幸な出来事を回避する、という全く新しいパズル部分はプレイヤーからも高評価を得ており、ゲーム全体に対して緩急がつく要素となっています。受け取った手紙は同じ手紙でも入れ替えた文章の順番によって結末が変化するため、手紙1通1通にマルチエンドが存在します。

不幸を回避するグッドエンディングはもちろん、さらなる不幸を呼んでしまったり、ギャグテイストな結末になったり、思いもしない方向に突き進んでしまったりと、その結果は様々。自分の手で登場人物の運命を変化させてしまうことがこんなに楽しいとは思いませんでした……！

難易度の選択も可能なのですが、個人的にはインポッシブルでのプレイがオススメです。難易度をノーマルで始めてしまうと、パズル部分でヒントが表示されてしまうため、自分で手紙の内容を入れ替えていく楽しさが半減してしまいます。多彩なキャラクターが登場する本作は群像劇とも呼べるストーリーとなっており、意外な人物同士の運命が交差することも。

本作では「バタフライエフェクト」がひとつのキーワードとなっているため、ほんの小さな行動でも大きな出来事に繋がってしまうかもしれません。人々を幸せにしていくことで、主人公の物語も展開していきます。

本作は是非、最後までプレイしてトゥルーエンディングを見ていただきたい作品。きっと心に何かを感じられるゲームとなるはずです。アドベンチャーゲームが好きな方はもちろん、ゲーム性を求める方にもオススメできる貴重な一本です！