2.5次元で体感する“目が離せない”視覚的要素編/ホーム・シアトリカル・ホーム ~自宅カンゲキ 1-2-3[Vol.21]<2.5次元舞台編>
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イラスト:春原弥生
ホーム・シアトリカル・ホーム ~自宅カンゲキ 1-2-3[Vol.21]<2.5次元舞台編>
2.5次元で体感する“目が離せない”視覚的要素編
by 潮田茗
【2】舞台『銀牙 -流れ星 銀-』~絆編~
【3】ミュージカル『Dance with Devils~Fermata~』
演劇はいつだって、心のありかを教えてくれる存在。目に見るもの、聞こえてくる音が作り上げる物語に触れると、世界が広がるような感覚が沸き上がる。ここでご紹介するのは、“2.5次元”と呼ばれる作品。漫画やアニメ、ゲームなど原作の息吹をさらに強く、熱くしてくれる魅力に触れた瞬間が数多くあった。
今回のピックアップテーマは「視覚的要素」。現実では到底ありえないようなファンタジーが、生身の人間によって表現される感動は舞台の醍醐味の一つ。映像、舞台装置や圧倒的な身体能力、構成をもって強烈なインパクトを焼き付けた3作をご紹介する。最後まで目が離せない、圧倒的な表現の世界に出会えますように。
『舞台 PSYCHO-PASS サイコパス Virtue and Vice』
『舞台 PSYCHO-PASS サイコパス Virtue and Vice』 (C)サイコパス製作委員会 (C)舞台「サイコパス」製作委員会
物語の幕が上がる前から、数値の存在を意識に植え付けられる。舞台上、観客の視界いっぱいに規則正しく配列されたアルファベットと番号の文字列。映像技術、プロジェクションマッピングを駆使して効果的に訴えかけられた。
原作の「PSYCHO-PASS サイコパス」は、人々の心理状態や性格的傾向を数値化する“シビュラシステム”が導入された近未来を舞台とするアニメーション作品。スピンオフである本作では公安局刑事課三係を舞台とし、監視官の九泉晴人(鈴木拡樹)ら刑事たちが連続殺人事件の捜査を担当することになる。
高さと奥行きを余すところなく使い切ったセットで多数のカメラを使い、ワンシーンでキャラクターごとに複数のカットがスクリーンに映し出される。キャラクターの表情をアップにした“ヨリ”、画面を分割して複数の場面を映し出す“スプリットスクリーン”など映画的な映像手法を用いたシーンも興味深かった。
舞台『銀牙 -流れ星 銀-』~絆編~
舞台「銀牙 -流れ星 銀-」~絆編~ DVD CM映像
舞台上を駆けていたのは、まぎれもなく“犬(おとこ)”たちだった。二足歩行で生きる人間が考え抜き、鍛え上げたからこそ表現された四足歩行での動き。ゲネプロ時に行われた囲み会見で銀役の佐奈宏紀らキャスト陣、脚本・演出を務めた丸尾丸一郎(劇団鹿殺し)が語る様子からも、獣らしさを追求した稽古の壮絶さは伝わってきた。
1983~87年まで『週刊少年ジャンプ』(集英社)に連載された高橋よしひろの人気漫画『銀牙 –流れ星銀-』が原作。最強の熊犬・リキの息子である秋田犬の銀を主人公に、犬たちの死闘を描いたストーリーとなっている。
極限まで磨き上げられた身体能力はもちろん、敵意むき出しの険しい表情での皺の寄せ方、遠吠えや噛みつき方など、細かな仕草に至るまで迫力に満ちている。荒々しい岩場を模したセットも圧巻。メインキャスト総出で歌い上げる「流れ星 銀」など楽曲パートも豊富だ。
ミュージカル『Dance with Devils~Fermata~』
ミュージカル「Dance with Devils~Fermata(フェルマータ)~」Blu-ray 2018/9/28発売!!
ダークで神秘的な世界観に、すっかり没入した要因はいくつもあった。過去2作でのセットを彷彿とさせる要素や、左右を生かしてより立体的になった空間の使い方も大きい。劇中、幾度となく登場する“運命の輪”なるキーワードを彷彿とさせた歯車モチーフも強烈だった。
本作は、アニメ『Dance with Devils』を原作とし、2016年に上演されたミュージカル『Dance with Devils』、『~D.C.(ダ・カーポ)~』に続く第3弾。謎の魔導書 “禁断のグリモワール”の鍵となる少女・リツカをめぐり、鉤貫レム(神永圭佑)らアクマ達と、リツカの兄・立華リンド(高野洸)を軸にしたストーリーはそのままに、本作ではアニメ劇場版『Dance with Devils-Fortuna-』に登場した新キャラクターや楽曲が盛り込まれた。
登場人物が増えた分、各キャラクターへのアプローチがより厚みを増したことも見応えを与えてくれた。結末が異なる“Calma”と“Elegante”の2パターンのエンディングがあることで、自分の目でじっくり分岐点や相違点を探したり、展開を分析できたりと楽しみ方も増大。セルソフトには両方の本編映像が収録されている。
文=潮田茗
作品情報
公演日程:2019年4月18日~4月30日 東京・日本青年館ホール、5月3日~6日大阪・森ノ宮ピロティホール
演出:本広克行
脚本:深見真
ストーリー監修:Production I.G
キャスト:鈴木拡樹・和田琢磨 ほか
発売元:舞台「サイコパス」製作委員会
販売元:東宝
(C)サイコパス製作委員会
(C)舞台「サイコパス」製作委員会
脚本・演出:丸尾丸一郎(劇団鹿殺し)
原案:岩崎大介(Rejet)
脚本・演出:三浦香
脚本協力:金春智子、中瀬理香、横手美智子、内海照子
(C)グリモワール編纂室/デビミュ製作委員会
(C)グリモワール編纂室/Dance with Devils製作委員会