名古屋「ナビロフト」が、劇場再開に向けての連続企画『ナビロフト plus』を始動

2020.7.21
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劇場再開に向けての独自イベントを開催する「ナビロフト」

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2020年3月下旬以降、新型コロナウィルスの影響により公演の中止や延期が相次ぎ、4ヶ月近くもの間、公演が行われていない名古屋の小劇場「ナビロフト」。収入が途絶え、運営資金に困窮する中で立ち上げられた「ナビロフト救済基金」(6月に本サイトでも紹介、8月10日まで継続中)には多くの寄付金が寄せられ、劇場存続の危機という第一の難関はひとまず越えたものの、劇場再開以降も継続的に必要となる感染防止対策にかかる諸経費の問題、さらに公演予定(利用団体数)も通常稼働の年間約30公演にはほど遠い現状で先の見通しが立たないなど、運営面での不安は尽きないという。全国各地、どこの劇場も未だ似たような状況であることは想像に難くないが、こうした難局にありつつも劇場「再開」へと少しでも歩を進めるべく、「ナビロフト」では「劇場が動き出すことにより、これからの演劇文化の可能性を模索するきっかけになれば」と、独自企画を7月6日(月)よりスタートさせている。

『ナビロフト plus』と銘打った、4つの催しから成るこの連続企画。去る7月6日(月)にオープニングを飾ったのは、『JAPAN#31 プロジェクト』による劇場のライトアップイベントである。世界中にウイルス感染が拡大する中、ドイツではいち早く文化芸術への支援が発表されたが、文化芸術に携わっていても支援対象とならないケースがあったり先行きに不安を感じる人々も多く、6月22日からドイツ国内で『Night of Light』というライトアップイベントが行われている。これは、「あと100日も待てない。ドイツのエンターテイメントは今、赤信号である」というメッセージを込め、国の支援を求めて各地をライトアップで真っ赤に染めるという企画で、数社から始まったこの活動は4000社以上に及び、世界にも広がっているという。

『JAPAN#31 プロジェクト』「ナビロフト」劇場内ライトアップの様子

『JAPAN#31 プロジェクト』は、この活動に感銘を受けた日本の照明家たちで結成されたプロジェクトだ。4ヶ月以上もの間、自粛生活を余儀なくされている彼らが、「絶対に我々裏方スタッフの仕事を復活させてやる」という思いと、これまでの自粛生活を耐え抜いた全ての人々への感謝を込め、アンバー(部隊照明色#31)のライトアップを各所で行っている。色彩心理的にアンバーのような黄褐色は、「温かい」「豊潤」「穏やか」などのプラス面と、「ストレス」「抑えられた感情」等のマイナス面を兼ね備えた色で、このプロジェクトを見ることによってマイナス感情を少しでもプラス感情へとシフトさせ、元の生活様式に戻れるように…との願いが込められているのだ。前述の7月6日(月)夜、全国一斉で行われることになったこのプロジェクトに、「ナビロフト」も賛同。照明家の福井孝子と成瀬徹の手により劇場がアンバーで彩られ、かおふあによる生演奏などが無観客で行われる様子がツイキャスで生配信された。尚、このライトアップイベントは、今後も7月中の毎週月曜に各地で開催予定だという。

そして『ナビロフト plus』第2弾は、7月19日(日)に行われる、公開図画工作と音楽と踊り『すずめ、うれしめ』だ。名古屋を拠点に活動する画家のヨコヤマ茂未、ダンサーの安藤鮎子、俳優の尾國裕子、謎の音楽家ひでみんが「ナビロフト」の劇場空間を使って「縁起」をテーマにライブペインティングやダンス、演奏などのパフォーマンスを行い、完成した作品は劇場に展示するという(23日のトークライブ、25日の公演でも展示予定)。

『すずめ、うれしめ』イメージ画像

続いて7月23日(木・祝)に行われる第3弾は、『コロナ「渦」からの出航』と題したトークライブを開催。ウイルス感染拡大防止の自粛要請を受け、活動を休止せざるを得なかった演劇関係者たちは、この状況をどう受け止めて休止期間をどのように過ごし、これから演劇をどう「再開」していくのか。第1部では【場所を貸す人】、第2部では【場所を借りる人】のゲストを招き、それぞれの立場から具体的・実践的に考えていく座談会として実施する。

そして連続企画の最後を締めくくる第4弾は、〈星の女子さん〉+「ナビロフト」による仮面劇『ハハチチ』を7月25日(土)に上演。2016年に〈つねプロ〉特別企画による女性限定演劇公演として、「おっぱい」をテーマに渡山博崇が作・演出を手掛けて上演された本作。当初は仮面劇として創作された作品ではないが、「テーマから連想される胸=胸の大きな女性、母乳=母乳を得られなかった子ども…。登場人物の着けている仮面が、何かを隠す為のペルソナでもあり、守る為の(感染予防用の)マスクでもあるように捉えられ、また、古い建物に暮らす教育を受けられていない二人の少女は、このCOVID-19渦中において蔓延り浮き彫りになった虐待にも繋がるように感じ、今この時に上演するのに相応しい作品だと考えました」と、上演理由が企画書に記されている。

『ハハチチ』出演者と作・演出家。前列左から・すぎうらまこ、平手さやか、作・演出の渡山博崇 後列・小熊ヒデジ

これから開催される3つのイベントに於いて「ナビロフト」では、いずれも客席を1m間隔で設置して通常約80席を最大30席までに留めるなど、感染防止対策を充分に講じた上で催しを行うという。また今回のプログラムは、劇場や演劇活動「再開」に向け、観客や参加者等の回復・開拓の試みとして動画配信も予定されている。各イベントとも1日1回限りの開催につき、当日「ナビロフト」へ足を運べない方は動画のご高覧をぜひ。

公演情報

『ナビロフト plus 〜劇場「再開」に向けて〜』

#1◆オープニング企画『JAPAN#31 プロジェクト』(※イベント終了)
■ライトアップ:福井孝子(照明家)、成瀬徹(照明家)
■ミニLIVE:かおふあ
■日時:2020年7月6日(月)20:00~21:00
■開催内容:「ナビロフト」の建物、劇場内を、照明により黄褐色(アンバー)にライトアップ。劇場内では生演奏と歌唱も行い(無観客で実施)、ツイキャスで同時WEB配信も

 
#2◆公開図画工作『すずめ、うれしめ』
■図画工作:ヨコヤマ茂未
■踊り:安藤鮎子
■演奏:ひでみん
■相槌:尾國裕子
■日時:2020年7月19日(日)15:00 ※終演後、劇場プロデューサー・小熊ヒデジによるアフタートークを開催。上演時間約30分+アフタートークで全1時間程度を予定。後日WEB配信も予定
■観客:20名程度
■料金:500円+投げ銭

 
#3◆トークライブ『コロナ「渦」からの出航』
■日時:2020年7月23日(木・祝)14:00 ※後日、WEB配信も予定
■司会:小島祐未子(編集者・ライター)
■アドバイザー:鹿目由紀(劇団あおきりみかん)
■協力:日本劇作家協会東海支部
【第一部・場所を貸す人】1時間程度を予定
■登壇者:籾山勝人(長久手市文化の家 事務局長)、野々村篤寛(天白文化小劇場 館長)、大矢英和(名古屋市演劇練習館アクテノン 館長)、森田太朗(K.Dハポン 代表)、小熊ヒデジ(ナビロフト 劇場プロデューサー)
【第二部・場所を借りる人】1時間程度を予定
■登壇者:斜田章大(廃墟文藝部)、かこまさつぐ(試験管ベビー)、ニノキノコスター(オレンヂスタ)、橋本あきら(在り処) はせひろいち(劇団ジャブジャブサーキット)

■観客:20名程度、第一部・第二部の間に換気休憩あり
■料金:無料・投げ銭

#4◆星の女子さん+ナビロフト/仮面劇『ハハチチ』上演
■作・演出:渡山博崇(星の女子さん)
■出演:平手さやか(星の女子さん)、すぎうらまこ(星の女子さん)、小熊ヒデジ(てんぷくプロ)
■日時:2020年7月25日(土)18:00 ※終演後、鹿目由紀(劇団あおきりみかん)をゲストに招き、アフタートークを開催。上演時間約30分+アフタートークで全1時間程度を予定。後日、WEB配信(有料)も予定
■観客:20名程度
■料金:1,000円+投げ銭
<あらすじ>
生活のゴミが堆積し、散乱したアパートの一室で柱にくくりつけられた女がいる。それを取り囲む人影は、女の目覚めとともに苛烈な要求をはじめる。貧困と暴力の連鎖が女を縛り付け、追い詰める。はたして女の体感する不条理に解放の日は来るのか?

■会場:ナビロフト(名古屋市天白区井口2-902)
■アクセス:名古屋駅から地下鉄東山線「伏見」駅下車、鶴舞線に乗り換え「原」駅下車、1番出口から徒歩8分
■問い合わせ:090-9929-8459(小熊) naviloft1994@gmail.com
■公式サイト:https://naviloft1994.wixsite.com/navi-loft/plus2020