『ビバラ!オンライン 2020』 オンラインフェスという新たな挑戦がロックシーンに示したものは
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the telephones 撮影=釘野孝宏
例年、GWにさいたまスーパーアリーナで開催されているフェス『VIVA LA ROCK』(以下、ビバラ)。新型コロナウイルスによる感染症拡大防止のから、大勢の人を一箇所に集めるのが難しい今年は、有料
なお、ビバラが配信ライブとして開催されるのはこれが初めてであり、そもそも、現時点で配信での開催に踏み切っているフェスが少ないので、その先駆けにあたるライブとなった。つまり、観客である我々のみならず、フェスを運営するスタッフも、ライブをやるアーティストも、手探りで臨んでいたということ。では、『ビバラ!オンライン 2020』は私たちに何をもたらし、フェスの歴史に何を残したのか。3日間の一部ライブを振り返りながら、考えてみたいと思う。
ビバラといえば、the telephones・石毛輝(Vo/Gt/Syn)が「ビバラロォォォック!!!」と叫ぶあのジングルだ。ということで、開演を待つ間のオープニングトークでは、まずビバラのプロデューサー・鹿野淳氏が石毛ばりのハイトーンで絶叫。それに対し、月刊誌『MUSICA』編集長・有泉智子氏が冷静にツッコミを入れる、という場面から始まった。
ここでは、オンライン開催に踏み切った背景や現場での感染症予防対策について説明。Softbank『5G LAB』の協力の下、後日実施されるVR・FR配信の紹介もあった。また、これまでのビバラ、およびそのファンを念頭に“ビバラノスタルジー”というテーマでタイムテーブルを組んだことが明かされたほか、出演者はカメラの奥にいるみなさんに向けてライブをしているのだと――つまり、3日間のライブは全てみなさんのためにあると繰り返し強調されていたことも書いておきたい。今年は残念ながらたまアリに集合することはできないが、心までバラバラになってしまう必要はない。配信での開催に踏み切った理由の一つはそういうところにある。
なお、『ビバラ!オンライン 2020』ではライブとライブの間の空き時間に、ライブ前後のアーティストを招いてのトークセッションやグッズの紹介、関西在住のキュウソネコカミ・10-FEETとのZoomトークなどが行われた(1・2日目の進行は鹿野氏&有泉氏。3日目の進行は鹿野氏+ダイノジの大地洋輔&大谷ノブ彦)。オープニングトークが終わると、たまアリの屋上で鹿野氏と謎の覆面レスラー(ビバラに出店予定だったラーメン屋の店主であることが後に明らかに)が開会宣言をするVTRに切り替わる。そうして1組目・FAB!!~ Frederic Acostic Band ~(アコースティック編成のフレデリック)のライブへ。
この3日間のタイムテーブルは、STAR STAGEとVIVA! STAGEで交互にライブが行われる方式。アーティストがライブをやっている場所はたまアリではないが、STAR STAGE、VIVA! STAGEという各ステージの名称はこれまでのビバラを踏襲したものであり、巨大人形がつるされたステージに「これこれ!」と言いたくなる。
FAB!!〜Frederic Acoustic Band〜 撮影=古溪一道
石毛が今年用に新たに制作したジングルに合わせて炎が上がる派手な呼び込みで、FAB!!〜Frederic Acoustic Band〜のメンバーが登場。着席し、落ち着いた雰囲気で演奏した彼らは、ジャズ、ラテンやディスコ調など多彩なアレンジを披露。「オドループ」、「リリリピート」などのライブ定番曲はもちろん、「ふしだらフラミンゴ」のようなちょっとレアな曲も演奏した。MCでは、三原健司(Vo/Gt)がこの編成で臨んだ理由について「(生のライブと配信ライブは)全然違うよね。でもそれはめちゃめちゃ良いことやと思うし、別のコンテンツやと思ってる」と言及。
スガ シカオ 撮影=古溪一道
19時半に出演したスガ シカオは、サポートのFUYU(Dr)と2人で登場。こちらも珍しい編成だが、弾き語りツアー中に自粛期間に入ったスガは、久々のライブで誰かと鳴らすことによって生まれるグルーヴを味わいたかったからこそ、この編成で出演することに決めたそうだ。実際この編成だと、2人の呼吸がそのまま演奏に乗っかっている感じがあり、特有の生々しさがある。中盤に一人弾き語りで演奏した「Progress」、<“あと一歩だけ、前に 進もう”>というメッセージに勇気をもらった人も少なくなかったのでは。MCでは、サンプリングした拍手の音源を鳴らしながら「嘘だと分かっててもこれがなきゃね~」と笑う場面も。
ネクライトーキー 撮影=釘野孝宏
平日開催のため夕方からのスタートだったこの日、VIVA! STAGEのラストを飾ったのはネクライトーキー。ファンキーな曲かと思いきやミュージカル調になったり、かと思えば複雑なキメを用いた間奏が炸裂したりと、このバンドのヤバさを1曲に凝縮した「ぽんぽこ節」でライブを始める。一筋縄どころか、二筋縄でも三筋縄でもいかなさそうなプログレポップを鳴らす剥き出しのバンドサウンド。アイコニックな歌声を持ち主・もっさ(Vo/Gt)はメンバーのソロ前に「ギター!」と叫ぶ声含め、演奏中はとにかくカッコいいのに、MCになると小声になりフェードアウト気味になるというギャップ。加速に加速を重ねて終わるラストまで非常にスリリングだった。
KEYTALK 撮影=古溪一道
初日のトリはKEYTALK。彼らにとって初の配信ライブだったらしく、ジャーンと鳴らした直後、寺中友将(Vo/Gt)が「爆音最高~!」と笑う。炎が上がるなかでの「MATSURI BAYASHI」からの「Summer Venus」という滑り出しに、「俺たちの夏が来た!」と無条件で高揚させられる。メンバー自身も楽しそうで、「涙が出るほど楽しいね」「分かる」と言葉を交わし合っていた。そしてラストは「MONSTER DANCE」。「ぺーい」のコール&レスポンスも、ボーカル陣が時々立ち位置を交替して唄っているのも、演奏終了後に八木優樹(Dr/Cho)が前に出てきて「ありがとうございましたぁ!」って叫んでから去っていくのもいつものライブと一緒。「KEYTALKならば絶対に盛り上げてくれる」という期待を背負いながら鉄板のライブを見せてくれる4人の逞しさは健在だった。
Novelbright 撮影=釘野孝宏
2日目のトップバッターはNovelbright。本来であれば今年はフェスに出まくり、全国各地を沸かせていたであろう彼らは、爽やかなバンドサウンドを鳴らしてフレッシュな魅力を届ける。バラード曲を躊躇なく取り入れるなど、フィジカルな盛り上がりよりも、自分たちの持ち味を伝えることを重視する選曲から(配信ライブゆえかもしれないが)新世代ならではの肌感が読み取れた。音楽に支えられた経験があるからこそ次は僕らが音楽を届ける立場としてできることをやりたい、と竹中雄大(Vo)が語ったあとのラストは「拝啓、親愛なる君へ」。客席がシンガロングが返ってこなくとも、大きく口を開けて唄うメンバーの姿が印象的だった。
フレンズ 撮影=古溪一道
「やっぱずっと楽しいね、ライブって!」(えみそん/Vo)、(ステージ衣装に)着替えてるだけでちょっと楽しかったもん」(ひろせひろせ/Vo/Key)というやりとりもあったように、フレンズは5ヶ月ぶりのライブだったそう。歌詞をところどころビバラに因んだワードに替えたボーカル陣をはじめ、メンバーみんな幸せそうに演奏しているのが画面越しでも伝わってきた。初日のKEYTALKなど、他のバンドを観たときにも思ったが、『ビバラ!オンライン 2020』は“ライブのできる場をアーティストに提供する”という役割も担っていて、その役割は観客の私たちが想像する以上に大きいようだ。演奏終了後には、画面がなかなか切り替わらず、「終わって~!」と言いながらカメラに手を振り続けるハプニングも。
マカロニえんぴつ 撮影=釘野孝宏
マカロニえんぴつは、前週に配信リリースされた最新曲「溶けない」をはじめ、比較的新しい曲で固めたセットリストを丁寧に鳴らし届けた。「溶けない」は、数曲分のアイデアを1曲に全部ぶち込んだみたいに多展開の曲。それを乗りこなしては楽しんでみせるバンドの姿を見て、某漫画にある「強いって自由だ」というフレーズを思い浮かべた。その次に演奏された「hope」も、この日のハイライトと言ってよいだろう。この曲で3回登場する<手を繋いでいたい/手を繋いでいたいのだ>というフレーズ、とりわけラスサビでのはっとり(Vo/Gt)の絶唱には、MCで語られた「俺たちはステージをやらないとロックバンドじゃいられない」という想いがぶつけられていた。
大木伸夫 撮影=古溪一道
ビバラ皆勤賞の埼玉県出身バンド・ACIDMANは、今年は大木伸夫(Vo/Gt)単独での出演。自己紹介後、「VIVA LA ROCKの火を灯し続けてくれて、そして僕に声をかけてくれてありがとうございます」と丁寧に挨拶をしてから演奏を始めた。本人曰く、「すみません、こう見えて緊張してるんです、ガクガクなんです」とのことだったが、歌もギターも安定感抜群。終盤に行くにつれて和音が重厚になっていく「FREE STAR」から一気に引き込まれたし、ボサノバテイストの「赤橙」も心地よかった。3曲目には、6月にリリースされた新曲「灰色の街」を披露。曲自体は3年前からあったそうだが、唄われる言葉一つひとつに思いを馳せずにいられなかった。
MONOEYES 撮影=釘野孝宏
「アーカイブ配信なし」というアナウンスが事前にあったMONOEYESは、アコースティック編成での登場。中央を向いて半弧になるという“ライブを見せる”というよりかは“スタジオでメンバー同士音を合わせる”という感じのセッティングで、計5曲、落ち着いたアレンジで演奏した。なかでも、スコット・マーフィー(Ba/Cho)がボーカルをとるバージョンの「My Instant Song」はレアだったように思う。ボトルから直接ワインを飲んでいた細美武士(Vo/Gt)は、このような形での演奏になったことについて「普通のライブはやっぱりお客さんがいないとできないので」「どういう形が一番いいのか、俺たちも模索中です」と説明していた。
赤い公園 撮影=古溪一道
東京スカパラダイスオーケストラ 撮影=釘野孝宏
2018年の出演時に新体制お披露目ライブをやるなど、ビバラとは縁の深い赤い公園は、この2年での成長を見せつけるようなライブだった。2日目トリの東京スカパラダイスオーケストラは、これまで無数のライブを彩ってきた数々の曲を堂々と演奏。いつもならばGAMO(Tenor sax)が「この会場で一番盛り上がってるのはどこだ~!?」と観客を煽る「Paradise Has No Border」は、配信だと「今日ここで一番盛り上がってるカメラはどこだ~!?」に。そして「めくれたオレンジ」では、同日に出演していた田島貴男が登場するサプライズがあった。スカパラが演奏すれば、場は華やぎ、人は笑顔になる。谷中敦(Baritone sax)は「今は肩を組んだりとかできないけど、世界中同じことで悩んでるんだから助け合えるといいよね。音楽を潤滑油にしてもらったら俺らミュージシャンはハッピーだと思うんだ。だから音楽を使ってください、どんどん」と語っていた。
the band apart 撮影=釘野孝宏
teto 撮影=古溪一道
3日目は、the band apart→teto→GEZANという3組からスタート。アンサンブルの精度が高いからこそ、イヤホンで聴くといろいろと発見のあるバンアパ。歪みまくる楽器の音もそれに負けないボーカルも最高なteto。GEZANは、ハードコア×トランス×民族音楽的な音楽性は明らかに異色であり、出演発表時にはSNS上で「ビバラにGEZAN?」という声が飛び交っていたそうだが、彼らの演奏、および「この時期に何かを作るってことは本当にいろいろな意思が入っていて」「俺はあの頃に戻るんじゃなくて、とにかく前に進むことが大事だと思っていて」といったマヒトゥ・ザ・ピーポー(Vo/Gt)の言葉からは、ビバラと共通する意思を読み取ることができた。
GEZAN 撮影=釘野孝宏
日本のロックの名曲を演奏することで、その価値を分かち合い確かめ合うことを目的とした恒例企画・VIVA LA J-ROCK ANTHEMS。今年分の準備も既に進めていたそうだが、今回は演奏は無し。この枠では、バンドメンバー+鹿野が選んだ過去の名演の映像を観ながら、座談会を行った。ざっくりとした概要は以下の通り。
【津野米咲(Gt/Key)選曲】
宮崎朝子(SHISHAMO)とのaiko「カブトムシ」(2017年)
理由:1番は2人きり(宮崎のボーカル+津野のピアノ)という緊張感あるアレンジ。「これからも歌い継がれていくであろうアンセムを演奏するにあたって、私たちにできることって何だろう」という思いを、言葉ではなく、歌のなかで朝子ちゃんと交換しあえた気がした。
【加藤隆志(Gt)選曲】
田島貴男とのORIGINAL LOVE「接吻」~東京スカパラダイスオーケストラ「めくれたオレンジ」(2019年)
理由:アンセムズでスカパラの曲をやれたのがすごく嬉しくて興奮した+接吻という曲にも思い入れがある+亀田さんの見事なマッシュアップによってそんな2曲がくっついた。
(普段ホーンズが吹いているフレーズを加藤が弾くアレンジだったため、楽屋で練習していたらメンバーから「お前何やってんの」と言われた、という裏話も)
【亀田誠治(Ba)選曲】
アイナ・ジ・エンド(BiSH)との椎名林檎「本能」(2018)
理由:僕にとってターニングポイントになった演奏。自分が手掛けた曲をもう1回焼き直すことにずっと抵抗があったが、20年ちかくかけて、今まで開けなかった扉をようやく開くことができた。2019年に東京事変の「キラーチューン」を演奏できたのは2018年があったからこそ。
【鹿野淳選曲】
ヤマサキセイヤ(キュウソネコカミ)とのBUMP OF CHICKEN「天体観測」(2015)
理由:アンセムズがライブで最初に演奏した曲。この曲が鳴った瞬間、「このバンドはすごいことになる」と思った。
【ピエール中野(Dr)選曲】
常田大希&井口理(King Gnu)とのDragon Ash「Fantasista」(2019)
理由:Dragon AshとKing Gnuには共通する魅力を感じるため、“ロックは継承の文化”という観点から自ら提案した。それがバッチリハマった感覚があった。
Dragon Ash 撮影=釘野孝宏
そしてDragon Ash。「直接生で演奏するのがバンドマンで、一番生を実感する瞬間です。こんなクソみてえなことやりてえわけじゃねえけど、ディスプレイの前で(ライブを)観たいわけじゃないかもしれないけど」と前置きしながらも、「でもバンドマンには今これしかなくて。ビバラのスタッフにもこれしかない」と渾身の演奏を叩きつける姿には、ロックバンドとしての生き様が表れていた。締めは「A Hundred Emotions」。<音楽は鳴り止まない>のフレーズがぐっと刺さる。因みにアンセムズでも話題に上がっていた、そしてほとんどのライブで演奏されてきた「Fantasista」はこの日演奏せず。あの曲は顔を突き合わせて鳴らさなければ、という想いがもしかしたらバンド側にあるのかもしれない。
Creepy Nuts 撮影=古溪一道
「板の上の魔物」から始まるセットリストの時点で気合いの入り様が伝わってきたCreepy Nutsの熱いライブ、そしてリモート演奏に挑戦した10-FEETのZoomトークを経て、3日間のラストを飾るthe telephonesのライブへ。埼玉県北浦和出身の彼らはビバラと堅い絆で結ばれたバンドだ。ミラーボールがまわるなか、ラブ&ピースばりのでっかさで響きわたるラブ&ディスコ。新曲(「Do the DISCO」)のタイトルに久々に「DISCO」というワードが入っているのも感慨深い。石毛はブリッジでギターをプレイしながら「画面越しに同じポーズしようぜ、みんなー!」と無理難題をふっかけ、背中にマジックで「倍返し」と書いた(同じ時間帯にテレビで『半沢直樹』が放送されていたため)岡本 伸明(Syn)は、フェイスシールド着用でフロアにいるスタッフの手に消毒液をプッシュしてまわる。そんなカオスな光景も、「俺たちは全力で音楽やるしかできない」という言葉を体現した演奏も、全部ひっくるめて最高にハッピーな時間だった。「こんな楽しいのはスタッフのみんなのおかげだぜー! ビバラロックを開催したことは決して間違いではない!」という石毛の絶叫により、終了。
the telephones 撮影=釘野孝宏
全てのライブが終了したあとのエンディングトークでは、鹿野氏が「これが絶対的な正解か分からないですけど」と前置きをしつつ、分からないながらにみんなで考えながら現場ではそれぞれがプロフェッショナルな仕事をしていたと語ったうえで、「散文的な想いをみなさん(観客)がキャッチしてくれたおかげで結果的にロックフェスになったんだなと」と手応えを語る。また、このあと健康で安全に過ごしていくことが大事であり、それがライブ業界が前に進むための架橋になるのだ、だからまだビバラロックは終わってないのだ、とも。そして「この3日間で得るものは大きかった。そしてみなさんの声に励まされたビバラロックだったと思います。ありがとうございました」と締め括られた。
想いを持った主催者がいて、それに共鳴するものを持ったアーティストが集まり、バトンを繋ぐようにライブをする。私の思うフェスの定義はこれであり、そういう意味では、『ビバラ!オンライン 2020』はフェスと呼べるものであった。これが正しいのかは分からないけど、それぞれに悩み考え、結果“このやり方でならば”という選択を採ったからこそ、今ステージに立っている。多くのアーティストがMCで言葉にしたその想いは、スタッフ側が抱えていたものと近かったのでは、と想像することができる。
あとは単純に、ステージ間の移動問題(所要時間、導線、混雑)や自分の体力面をほとんど気にせず観られるのが快適だったし、1組30~35分という尺の長さもちょうどよかった(生のライブよりも没入感が薄いため、長すぎると集中力が続かない)。また、途中にも書いたように、ステージに立つ機会をアーティストに提供するという意味でも、『ビバラ!オンライン 2020』の存在は意義のあるものだったと言えるだろう。そしてアーティストの演奏に励まされた人はたくさんいたはずだ。
難しいと感じたのは、場の空気による“フェスっぽさ”の演出だ。例えば、ライブの間のトークコーナー。あれはおそらく、観ている人を退屈させないための工夫だと思うが(そもそもたまアリでの開催時にもトークライブは行っていたため、文脈的にも理解できる)、どちらかと言うとテレビ番組っぽい温度感で、フェスっぽくはなかった。とはいえ、内容的には面白かったし、あの空き時間に何もやらないのも違和感があるので、悩ましいところなのだが。
『ビバラ!オンライン 2020』はフェスだったのか。配信でもフェスはできるのか。その問いに対する答えは、おそらく、観た人によってそれぞれ異なるだろう。いずれにせよ、配信ライブはまだまだ黎明期だし、観客も一緒になって空間を作っていけることがフェスの良いところだ。ライブを観て何かしらの感想を持った人は今からでもいい、ハッシュタグ「#ビバラオンライン」を通じてフェス側に意見を送ることをおすすめしたい。
2021年のビバラがどうなるのかはまだ分からないが、配信終了後、「次回はさいたまスーパーアリーナでお会いしましょう!」と表示されていたように、年内中は有観客開催を目指して進めていくとのこと。そのときには、たまアリで笑い合える状況になっていることを願って、本稿を締めたい。
取材・文=蜂須賀ちなみ 撮影=各写真のクレジット参照