南原清隆と近藤芳正による幻の2人芝居が復活 M&Oplaysプロデュース『あんまと泥棒』の上演が決定
-
ポスト -
シェア - 送る
(左から)南原清隆、近藤芳正
2020年11月27日(金)~29日(日)本多劇場にてM&Oplaysプロデュース『あんまと泥棒』の上演が決定した。
『あんまと泥棒』は、業突く張りな盲目のあんまと、あんまの元に忍び込んだ人のいい泥棒による人情喜劇で、1951年にNHKのラジオドラマとして放送されたのち、故中村勘三郎たっての希望で1966年に舞台化された。
2019年に気鋭の劇作家・演出家の倉持裕が脚色・再構築し、南原清隆、近藤芳正という豪華な顔合わせでありながら、一日限り2回公演として、愛媛県の伝統ある劇場・内子座にて上演された。幻ともいわれる2人芝居が、倉持による脚色・演出、出演に南原と近藤という同じ顔合わせで、2020年秋に演劇の街・下北沢の本多劇場にて復活する。
近藤演じる泥棒稼業に身をやつしているが、実は気のいい泥棒・権太郎と、南原演じるあんまの仕事の裏で高利貸しを営み小金を貯め込んでいるらしい、したたかな秀の市。あんまと泥棒二人の軽妙な会話のやりとりが、日本の伝統的な芸術の歌舞伎や狂言にも通じる空気を生み出し、さらに倉持の笑いのセンスを加味した現代的な演出で、どの時代にも通じる普遍的な喜劇としてよみがえった。
こんな世の中だからこそ、小さいことを笑える、ほのぼのとした、気持ちをほぐす演劇が届けられる。詳細は後日発表となり、ライブ配信も予定しているとのことだ。このたび倉持、南原、近藤からコメントが到着したので紹介しよう。
【脚色・演出 倉持裕コメント】
この座組による『あんまと泥棒』の初演は2019年の3月、劇団☆新感線プロデューサーの細川展裕さんの発案で、愛媛県の内子座にて行われました。江戸が舞台の人情喜劇は、昔ながらの芝居小屋にぴったりで、近所に暮らす人々が誘い合って集まり、気楽に笑って過ごす……そんな風景に、芝居の原点に立ち返る思いがしました。劇場は、現実とは別の空気に浸れる場所です。今、特に東京では、観劇は気楽に出来ることではなくなってしまいましたが、『あんまと泥棒』は、相変わらず現実のわずらわしい事を忘れさせてくれる芝居です。なかなか出口の見えない長い道のりの途中で、ぜひお立ち寄り頂いて、英気を養って頂けたらと思います。
【出演 南原清隆コメント】
南原清隆
ここ10数年、舞台で狂言や落語をする機会はあったのですが、時代劇はなく、ずっとやりたかったので、近藤芳正さんからお声をかけて頂いた時は、とても嬉しかったです。
歌舞伎の演目にもなっているお話で、とにかく人間臭く愛すべきキャラクターのあんまと泥棒の二人。本音と嘘、笑顔と泣き顔、おとぼけと怒り、見えるものと見えないものが織り成すお笑いと人情溢れるお芝居です。
若手の時に立った思い入れのある本多劇場で江戸情緒を味わっていただけたら幸いです。
【出演 近藤芳正コメント】
近藤芳正
企画が始まる前にヴィレッヂの細川さんから、「愛媛の内子座でさぁ~なにかやろうと思ってるんだけど~、こんちゃんどう?」って、かなりゆるく軽く話し掛けられた事を覚えてます。僕はすぐさま、「ナンチャンはどうですか?狂言で、良く芝居小屋でやられてるし、僕のプロデュースの芝居にも出て頂いて接点がありますし~。」と、実はあまり良く考えずに即答しました。
そんな会話が実を結び、内子座でたった一日の2ステージだけという幻のような公演体験をさせて頂きました。なので、どこかでまた演りたいなぁと思ってました。それが東京の芝居小屋 本多劇場で演れることに。
コロナが無ければ 実現しなかった企画です。意気込み満載です。ただ意気込み過ぎると空回りするタイプだということはわかっているので、まぁ適当に、イイ加減で。お客様も、適度にイイ加減で観に来て頂けたら!
夜更け、泥棒・権太郎(近藤)は、あんま・秀の市(南原)の家へ泥棒に押し入る。権太郎は、秀の市が高利貸しの烏金を貯めていると噂を聞きつけ、秀の市に金を出すように迫る。
しかし、秀の市はしらばくれて、利息はもらっているもののほとんど貸し倒ればかりだと言い逃れる。権太郎は金のありかを白状させようとするが、秀の市はとぼけるばかり。
やがて、二人は台所にある焼酎を飲み始め、お互いの身の上話を始める。そのうち、日が昇り始めるので、権太郎が家の中を物色し始めると、位牌が出てくる。すると、秀の市は死んだ女房に仏壇を買ってやりたいが、金が貯まらないと言って涙を流す。これを気の毒に思った権太郎は、盗みを諦め、秀の市に金まで与え出ていく。これに感謝する秀の市だが…。
『あんまと泥棒』【2019年 内子座公演より】
『あんまと泥棒』【2019年 内子座公演より】