宇多田ヒカルの歌にパワーをもらって、Chelmicoを聴いてハイボールで乾杯したら、NIRGILISの音楽のように好きなものを好きなだけ食べまくれ『聴食の楽しみ方Vol.6』
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『聴食の楽しみ方』
近年、エンタメに対する楽しみ方が多様化している。動画サイトでの配信やSNS上でのコラボ企画など様々。SPICE編集部でも一味違った形でエンタメの紹介をできないかと、「音楽」と「食」を組み合わせた連載を始動! 本企画は京阪神のグルメ最新情報を発信し続け、現在も関西のテイクアウトできるお店紹介などを発信するなど、関西のカルチャー好きから信頼を得る京阪神エルマガジン社の月刊誌『Meets』編集部に協力のもと、音楽ライターオススメの音楽とともに、その音楽に合うお店をご紹介! オススメの音楽を聴きながら『Meets』を読み、オススメのお店で(感染防止ガイドラインを守りながら!)外食を楽しもう。
神戸生まれ大阪在住のライター。情報誌やWEBでグルメをメインに、音楽、お笑い、旅など幅広いジャンルのお仕事をしながら気ままに過ごしています。好きな食べものはカレーとうどん。
①過去の自分もこれからの自分も好きになれる曲/宇多田ヒカル「Goodbye Happiness」×ラム料理スタンド
ステイホームやテレワークが定着し、配信動画も見慣れてきた今日この頃。「自分の部屋で歌ってみた」というYouTuber風の設定で一発録りされたこのミュージックビデオは10年前に撮影されたものだが、今見るとより新鮮に感じると同時に、時代の先取り感に驚く。
彼女が「宇多田光」名義で監督に初挑戦した作品でもあり、自ら絵コンテを書き、100%実写で撮影。デビュー曲「Automatic」の椅子に座ってみたり、ヒット曲「traveling」の旗を持って行進してみたりと代表曲をコミカルにセルフパロディする姿がキュートで、親しみやすいファッションもつたないダンスも自然体な表情もミラーボールがまわっている部屋もどれも可愛くて目が離せない。
軽快なリズムとノスタルジックなメロディにのせ、<ありのままで行きていきていけたらいいよね>と歌う。時とともに変化していく自分の内面や環境と向き合って前に進もうとする歌詞は、哀愁がありつつもポジティブな響き。まっさらだった子どもの頃の自分も含め、全てが愛おしく思えてくる。
最後にスケッチブックに書かれた「I love you!」は人間活動のための活動休止前(2010年)にファンに向けられた言葉であり、自分自身に向けた言葉でもある。たくさんの愛が詰まった究極のラブソングといえるこの曲は、そっと背中を押してくれるような不思議なパワーを秘めておりヘビロテ必至だ。
・ラムのラヴソング[大阪・天満]
大ヒット中のラム料理を集めたスタンド。看板のラム串は、炭火の香ばしさとスパイシーな刺激にすっかり魅了されて、ヘビロテする人続出。某アニメからの店名よろしく、食べたらたちまちラムの虜に。
②マッサージにいったあとのような身体の軽さが味わえる作品/chelmico『maze』×焼きそば酒場
家に居るとゴロゴロしてばかり。慢性的な運動不足や肩こりで身体がバッキバキになってきますよね。マッサージに行って身体のコリをほぐしたい……。
そんな時にオススメなのが、RachelとMamikoによるラップユニットchelmicoの音楽。彼女たちの魅力を存分に感じるには、ライブで一緒に歌って踊るのが一番だが、8月26日に発売されたばかりのメジャー3rdアルバム『maze』は、遊び心と最新モードの創作意欲が溢れた傑作で、全編に漂う絶妙な抜け感が身体のコリをほぐしてくれる。
友達が隣で歌ってくれているようなリラックスムードのMamikoの歌声が心地良い「milk」や、アーバンで大人っぽい空気感にハっとさせられる「Disco (Bad dance doesn’t matter)」など、脱力なだけではない天性の音楽センスが爆発。アニメタイアップ曲「Easy Breezy」や、サビなしの攻めたビートがキレッキレの「Limit」などの収録シングルもカラフルな色あいだ。
『maze(まぜ)』というタイトル通りなんでも混ぜ混ぜに、おしゃれにクールにジャンルを飛び越えていく2人。作品ごとに新たな扉を開いていく彼女たちのポップでどこかヘンテコで爽快なサウンドを全身に浴びたら、昼からハイボールをグビーーっといきたくなります。
・焼きそばとハイボール パック[京都・西院]
フライドチキンとハイボール専門店がまさかの焼きそば酒場をオープン。お米と合わせた新味・焼きそばオーバーライスに、黒胡椒、ピリ辛系などアテ仕様なニュータイプも目白押し!焼きそばの新たな扉を開いてくれる。
③好きなものは好き!と言いたくなる音楽/NIRGILIS『チュクリ』×飲食のセレクトショップ
最後は、クラブでオールナイトなんかしちゃってた若かりし頃に出会ったバンド、NIRGILIS。クラブイベントの深い時間をアゲまくるテクノ、ロック、ヒップホップ、DJセットなどなんでもありの彼らのライブを思い出すと、どこか切なさを内包した岩田アッチュのヴォーカルとテキーラの味がリンクする。
ポップ、ロック、エレクトロニカなど多ジャンルをミックスし、さまざまな楽曲をマッシュアップさせるスタイルで独自のポップミュージックを開拓していった彼ら。様々な音楽性を持った約20人ものメンバーが入れ替わり、最終的には、岩田アッチュ(Vo.Key.Programming)、栗原稔(Ba.DJ.Programming)、稲寺佑紀(Dr.VJ.cho.A-VJ)の3人編成となり、2014年に全員脱退という彼ららしい形でその活動に終止符を打った。
2006年にはアニメ『交響詩篇エウレカセブン』OPテーマ曲「sakura」で「アメイジンググレイス」を大胆にマッシュアップし話題となり、ポップ色を強めたことも。その時々で自分たちのやりたい事に忠実に。変幻自在に姿を変えていくその柔軟な音楽性故に、継続が難しかったのかもしれないが、また活動再開してほしいバンドのひとつだ。
ほんのり下ネタでキッチュなMVが笑えるシングル「Love Stick feat. akinyan electro」を収録したラストアルバム『チュクリ』(2014年発売)は、様々なクリエイターとの共作がメインで、バンドという形にとらわれず、好きなことを好きなだけ詰め込んだ自由度が潔い名作。
ステイホームばっかりしてるけど、そろそろソーシャルディスタンスを保ちながら外で呑みたい。好きなものを好きなだけ集めた、ありそうでなかった名物セレクトスタイルの居酒屋でゴキゲンに。「アンケラソ」さんの豚足は個人的にも大好きなのですぐに行きたいです!
・最高ピーポーOSAKA[大阪・南堀江]
食通のオーナーがセレクトした焼き餃子や豚足など大阪の人気店の名物を集めた話題のイマドキ居酒屋。ワインやビックリビジュアルドリンクと共にお客さんの気分はサイコーに。
文=岡田あさみ