劇団Patchの中山義紘、井上拓哉が谷村美月と対談、共演舞台『マインド・リマインド』の稽古前に意外な素顔が明かされる
左から井上拓哉(劇団Patch)、谷村美月、中山義紘(劇団Patch) 撮影=田浦ボン
劇団Patchが、結成8周年を記念してカンテレとコラボレーションする舞台『マインド・リマインド〜I am…〜』。同舞台の動向を追っているSPICEは今回、物語の鍵を握るヒロインに扮する谷村美月と、劇団Patchの中山義紘、井上拓哉の対談の模様を取材。演出家・木村淳から絶大な信頼を寄せられる形で、この作品に迎えられた谷村。劇団Patchのメンバーは、実力派俳優として映画、ドラマに引っ張りだこの彼女のことをどのように捉えているのか。一方の谷村は、劇団Patchとの共演についてどう感じているのか。話を聞いていくと、性格的な部分で意外な共感が生まれるなど、思わぬ話題で話が広がっていった。作品がこれからどのように転がっていくのか、逆に分からなくなるような(褒め言葉!)三者の対談となった。
『マインド・リマインド〜I am…〜』
――劇団Patchのおふたりは、谷村さんとの共演についてどのように受け止めていらっしゃいますか。
井上:「劇団Patchが、谷村さんと組ませていただいて良いの?」という気持ちです。僕らの舞台は男ばかりでやることが多いし、女性の客演さんは久しぶりなので、舞い上がってワチャワチャしすぎないようにしないと!
中山:僕は率直に「あ、映画とかで観たことある人や!」と、いちファンみたいな感覚です。役者として長く活躍されていらっしゃいますし、もっとお姉さんだと思っていたら、僕と年齢が同じなんですよね。谷村さんの芝居に何とか食らいついていきたいです。
――食らいついていくということは、谷村さんがリードする側になるんですか?
中山:そうです。あ、違う違う! 今回は劇団Patchが迎える側なんですよね……。
谷村:でも、舞台は何本かやらせていただいていますが、お稽古を重ねて本番を迎えるという形にまだ慣れていないんです。オープンな性格の方のように自信満々にやれたらいいんですけど、どうしても私は人見知りしちゃう。本番はちゃんと自信を持って舞台に上がるんですけど、稽古場からそれをきっちり見せないといけませんね。
井上:確かに稽古場って不思議な空間だなと僕も思います。フィルターがかかるというか。
中山:僕らはホストとして、そんな谷村さんを解きほぐしたい……と思っているんですけど、いかんせん劇団Patchのみんなも実は人見知り揃いなんです。
谷村:みなさんの様子を見ていたら、それはすごく分かります。何というか、打ってくるパンチが予想をしてない角度から来るんです。人見知りの方特有のパンチと言いますか。だから、「私は誰に向かってどういうパンチを打とうか」と考えています。
井上:でも谷村さんと義くん(中山)って、同じ空気感というかリズムが似ているよね。
谷村:そうなんです。だから安心感があります。中山さんを見ていると、普段の私を見ているかのようなんです。落ち着きというものを通り越している感じがします。
『マインド・リマインド〜I am…〜』
中山:谷村さんの「人見知り特有の予想していない角度からのパンチ」という表現、すごく分かるんです。自分も人見知りするタイプだから。人見知りの人って難しいんですよ。「自分に付いて来いよ」と手を引っ張られても、それはそれで違う。「こっちがそっちに行きたいタイミングで行くから」という。
井上:ややこしい!
中山:引っ込み思案でヒネくれているというか。うちのメンバーのなかでは、(井上)拓哉が一番喋りやすいと思うなあ。
谷村:私の勝手な印象ですけど、井上さんはドラマ『大阪環状線 ひと駅ごとの愛物語』(2016年)で共演したときより、親しみやすくなった気がします。前はもっとトガっていたイメージかも。
井上:確かにそうかも。あのときはめちゃくちゃ緊張していたし。
中山:メンバーの話をするなら、会話に中身は一切ないけど、居心地が抜群に良いのは吉本考志。ただ、本当に何も発展性はないんです。だけど場を明るくするパワーだけはものすごい。
谷村:暗いところは一切ないんですか? 私、実はずっとポジティブでいられる人って逆にちょっと疑っちゃうんです。「何でこんなに明るくいられるんだろう」と不思議になる。
中山:それも、すごく気持ちが分かります。そういう考え方をするタイプって大変ですよね? 人と仲良くなるにも時間がかかる。今日、『ピーコ&兵動のピーチケパーチケ』(カンテレ)の収録で、朝から大丸梅田店の体感型イベント『マーベル・スタジオ/ヒーローたちの世界へ』へロケで行ってきたんです。メンバーの竹下健人、谷村さん、僕と3人で。竹下はマーベル愛が強いから熱く語るんですよ。「『アイアンマン』はこういうことで」とか、「『キャプテン・アメリカ』はこんな感じで」とか。でも僕と谷村さんは、「へー。すごいねー」と妙にリアクションが薄くて(笑)。
谷村:うん、ちょっと申し訳なかったです(笑)。あんなに全力で場を回してくださっていたのに、歳上の私たちが塩対応という。本当にごめんなさいって。
――お話を聞いていると、演出家・木村淳さんが谷村さんと劇団Patchをどうまとめあげていくのか、いろいろ大変そうですね。
(インタビューに同席していた木村が):あ、でも僕も人見知りなので……。
谷村:ハハハ(笑)。だから私、木村さんのことを信用できるんだ。タイプが同じだから。
中山:稽古が始まったら、舞台を作り上げるという共通の話題に向かってみんなで走り出すので、関係性も自然とうまく築き上げられていく気がします。
『マインド・リマインド〜I am…〜』
――先ほど谷村さんから「ポジティブすぎる人は逆に疑ってしまう」という話がありましたね。この舞台の内容はまさに「人を疑う」というお話。今回は人見知りが多くて、疑い深い人も揃っている気がします。
井上:僕も結構、人のことを簡単に信用しないようにはしているかも。劇団Patchのメンバーはみんな表裏がないから、僕も違和感はないですけど。……いや、もしかするとみんな、僕に対してはいろいろ言いたいことがあるかもしれないなあ。
中山:すでに今、疑ってるやん!(笑) 僕は拓哉とは逆で、簡単に人を信じちゃいます。自分の知らないことを言われると、すぐ「そうなんや」と納得しちゃう。
谷村:私は、できるだけ自分のことをオープンにしているつもりですけど、否定されると、その人のことは信用できなくなります。相手としては、良かれと思って言ってくれているはずなんですけど。それだったら、言葉にしてちゃんとそれを伝えてほしいんです。
井上:難しい!
中山:だからあれですね。「これは谷村さんにとって良かれと思って言うんですけど」と前置きしなきゃいけないわけですね。
谷村:そうそう。そうじゃないと、「良かれと思って言ってくれたんだ」と気付くのに2、3日かかってしまうことがあります。
中山:ああ、腑に落ちますね。「分かるなあ」って感じです。でも今日、こうやって共通の考え方が多くて理解し合えているように思えるんですけど、次に会ったときはリセットされて、またゼロに戻っているんですよ、きっと……。
谷村:どうしてそんなことを言うんですか(笑)。
井上:疑いすぎでしょ!
中山:ハハハ(笑)。今はさすがにそんなことはないけど、でも20代のときは自分の殻に閉じこもっていましたね。例えば「あの時、せっかく拓哉がこんなことを言ってくれたのに、うまく返事をしてやれなかったな」と落ち込んだりもしました。
谷村:私は、自分がちゃんと返事ができないことを自覚していたから、「だったら誰かと喋ることをしない方が良いんじゃないか」と、開き直っていた時期がありました。22、23歳くらいのときですけど。聞こえていないふりをしたりして。相手に対して「どういうふうに喋ったら良いかな」と悩んでたんですけど、喋り方が分からないから喋らない、という楽な手段を選んだりしていました。その頃から比べると、自分もちょっとは大人になれたかなと。
井上:義くん(中山)や谷村さんの話を聞いていると、自分はそこまで考えて生きてこなかったなと感じます。ただ、僕もふたりとはまた違う意味でややこしいことが嫌いだから、面倒臭いことは避けるようにしているかも。
『マインド・リマインド〜I am…〜』
――良い意味で個性派というか、クセモノ揃いというか。これはどういう舞台になるのか楽しみ……というより何だか心配です!
中山:確かに! でも谷村さんと共演させていただくことで、舞台としては間違いないものになるはず。劇団Patchとしては全9公演で、それぞれが毎回違う役を演じることになっています。同じストーリーなのに演じる人が変わると終着点が違って見えるという、ワクワクできる舞台にしたいです。
井上:密室劇ということもあるので、お客さんには、その場所を覗いている感覚を味わってほしいですね。自分としては、今もがいているモノをこの舞台でうまく表現できたら良いなと思っています。
谷村:朗読劇という形で、人に疑惑を持たれるキャラクターを演じるのは実際すごく難しいです。劇団Patchのみなさんも、演じるなかで、実際に女性に対して抱いているリアルな感情が出てくる気がするので、私はみなさんのそういう部分を探りつつ、年の離れたメンバーさんには気持ちを転がされないように引き締めて頑張ります。
取材・文=田辺ユウキ 撮影=田浦ボン
公演情報
【作】
【演出】
【出演】
【日程】
【料金】
東京公演: 6800円(全席指定/税込)
【主催・企画・製作】
【に関するお問合せ】
【イベント公式HP】https://www.ktv.jp/event/8patch/
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