細貝圭、川村海乃、原作プロデューサー、演出家が語る舞台『イケメン王子 美女と野獣の最後の恋 THE STAGE〜Beast Leon〜』ーークリスマスに贈る、新しい「美女と野獣」切ない大人のラブストーリー
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(C)CYBIRD/イケメン王子THE STAGE製作委員会
全世界でのシリーズ累計会員数3000万人を誇る、大人気の女性向け恋愛ゲーム『イケメンシリーズ』。「すべての女性に恋のはじまりのような心うきたつ毎日を」をコンセプトに、数々のヒット作を生み出し、グッズ化、アニメ化、舞台化など複数のメディアミックスも展開している。2020年7月にリリースされた最新作『イケメン王子 美女と野獣の最後の恋』は、事前登録が10万人を突破、爆発的ヒットを記録した。その作品が早くも舞台化! 『イケメン王子 美女と野獣の最後の恋 THE STAGE〜Beast Leon〜』が、12月24日(木)〜27日(日)まで、東京北千住・シアター1010にて上演される。今作は有名な「美女と野獣」を題材にした、全く新しい「美女と野獣の恋物語」。クリスマスにふさわしく、切ない大人のラブストーリーになっている。
時は中世、動乱の最中にある小国が舞台。その国には自ら剣を振るい戦う8人の「野獣」と称される王子がいる。薔薇の花びらが全て散るまでに、8人の王子たちから次代の王を美しい心で見定める、通称「ベル」に選ばれたエマ。王子との交流の中で知る、それぞれの真意と切実な生き様。苛烈な運命の果てにたどり着く、「真実の愛」とはーー。原作プロデューサーにはCYBIRDの神谷佐織、脚本に伊勢直弘、演出に『イケメン革命◆アリスと恋の魔法 THE STAGE Episode 黒のエース フェンリル=ゴッドスピード』や、『イケメンヴァンパイア◆偉人たちと恋の誘惑 THE STAGE ~ Episode.0 ~』など、これまでもイケメンシリーズの舞台演出を手がけてきたSETの大関真、楽曲プロデュースは原作主題歌も担当したDo As Infinityの大渡亮、そして、本作の主役である第4王子・レオン=ドントゥール役に細貝圭、レオン派に対する派閥のリーダー、第2王子・シュヴァリエ=ミシェーレに八神蓮、ゲームのプレイヤーを投影するヒロインのエマ役には川村海乃がキャスティング。ほか、豪華キャスト陣が名を連ねる。
今回は立ち稽古がスタートしたという現場で、原作プロデューサーの神谷佐織、演出の大関真、レオン役の細貝圭、エマ役の川村海乃へのインタビューを敢行。舞台の見どころを訊いた。
左から原作プロデューサー:神谷佐織、川村海乃、細貝圭、演出:大関真、
人生の岐路に悩む女性に活力を与える、切なさと希望が感じられる恋愛作品に
ーー今回はなぜ、題材に「美女と野獣」を選んだのですか?
神谷:イケメンシリーズの次の作品を作るとなった時、どんな人たちにプレイしていただきたいかということを考えていました。女性の中でも結婚や出産、仕事の転機など、人生の岐路に悩まれるのが20代後半から30代かなと思っていて。その悩める女性たちに活力を与えるような作品にしたいという思いがあったんです。であれば、キラキラした女性たちに刺さる恋愛ゲームは、ふわふわした甘いだけの恋ではなく、辛くて苦しくて切ないという過程を経て、最後は希望が感じられる恋愛作品かなと思いました。イメージとして「美女と野獣」も切なさが入り混じるお話で、作品に親和性を感じたので選びました。
ーータイトルの「最後の恋」に意図はあるのでしょうか。
神谷:タイトルはものすごく悩みました。切なさがあってこそのハッピーエンド、というところをどうしてもタイトルから感じさせたくて、いろんなキーワードを組み合わせていきました。恋愛の甘さと切なさにフォーカスしながら、「何が最後なんだろう」と気になってもらえるようなタイトルへの引きを感じて、最終的に決定しました。
ーー8人の王子はどのように誕生したんですか?
神谷:8人の王子が生まれた経緯で言うと、「正義ってなんだろう」というところを深追いできるような作品にしたかったので、思想の違いと王子を掛け合わせてキャラクターを考え、王位継承戦を軸にしていこうと構想していきました。いろんな出自の王子がいて、それぞれに背景があって、誰が王になるのか、本当の正義は何なのか、様々な想いが交錯するように複数人の王子を出したかったのと、今作がイケメンシリーズ8周年作品というところもあって、最終的に8人の王子が誕生しました。
ーーヒロインには、国民の中からベルに選ばれたエマが登場します。エマはプレイヤーを意識した人物ですね。
神谷:『イケメン王子』の主人公で」あるエマは、等身大の20代後半〜30代の女性が共感できる大人の女性として、何かの決断を任された時に自分の意思で動けるような、自立した女性を意識しています。
ーーゲームを舞台化する時に意識されていることはありますか?
大関:今までもいくつか、ゲームや漫画原作を舞台化したことはあるんですけど、やっぱり何よりも大事にしなければいけないのは、原作の世界観だと思うんですね。今回の『イケメン王子』に限って言えば、7月にリリースされたばかりなので、長年やっている原作に比べるとまだまだ浸透度合いは少ないかもしれませんが、ビジュアルや舞台セット、キャラクターの喋り方も含めて、まずは原作の世界観を忠実に表現しています。そこを大前提とした上で、僕が作らせていただく時は、細貝くんや海ちゃん(川村)、それぞれのキャストが演じる意味を常に考えていて。シンプルに見た目や喋り方を模倣するだけだと、このキャストに演じていただく意味がないと思うので、キャストのオリジナリティを舞台上で表現できるのがベストかなと思っています。
ーー大関さんはこれまでもイケメンシリーズの演出を手掛けられていますが、作品によって演出面も変えられますか?
大関:もちろん変えますね。世界観が近いところはあるんですけど、イケメン革命、イケメンヴァンパイア、イケメン王子、3作品を比べてみても、やっぱり違いがあるので、それを舞台上でどう表現していくか、演出に変化をつけるようにはしています。
ーー今回はどの部分に重きを置いていますか?
大関:圧倒的にお芝居ですね。2.5次元の舞台なので、歌、ダンス、アクションといったエンターテイメントは必ず表現します。ただそれ以上にこの作品で表現したいのは、大人の女性の恋愛。最後の恋がどういうことなのか、その部分をお芝居で表現するために、このキャストに集まっていただきました。
細貝:今稽古中で、川村さんとの2人のシーンとかやってるんですけど、僕おっさんですけど、もうキュンキュンしちゃって。結構切ないんですよ。
大関:全然演出いらないね(笑)。
細貝:いやいや、そんなことないでしょう!(笑)。
川村:そんなことない!(笑)。
大関:ハハハ(笑)。2人がお芝居してセリフを言ってるだけで、すごく切なくなるシーンがあるんですよ。まだお互いが近づけない、本当の意味で信頼しあえない、悩んでいる時期。見ててすごく切ないし、このキャストなら原作の良さをお伝えできるんじゃないかなと思ってます。
ーー今のお話を受けてどうですか、川村さん。
川村:原作はほんとに「明日は頑張れるぞ!」という気持ちになれるゲームなので、原作サイドの皆さんの気持ちも含めつつ、皆さんが“良いものを見たな”と帰ってもらえる作品にできたらいいなと思っています。
細貝:僕は36歳なんですけど、タイトルが『イケメン王子』という、めちゃくちゃどストレートなタイトルで、王子、しかも主演。このお話をもらった時、大関さんのどんな悪ふざけかと思いましたよ。
大関:ハハハ(笑)。
細貝:でも台本を読んだり、ゲームをやらせていただく中で、本当に大人向けの恋愛ストーリーで、演劇的にお芝居も重要視される作品になるだろうなという印象はすごく受けました。この先、王子役をやることはそうそうないと思うので、最後の王子だと思って頑張りたいと思います。
大関:大人の恋愛といったら細貝圭ですよ。
細貝:なんでだよ!(笑)。
大関:酸いも甘いも知ってますから。どんだけ修羅場くぐってんだよ(笑)。
細貝:やめてください!(笑)。
川村:私、逆に恋愛経験ないんで、助かるな〜(笑)。
「このキャストでやる意味を常に考えている」(大関)
川村海乃、細貝圭
ーーでは、お2人が思うレオンとエマの魅力を教えてください。
細貝:レオンは、男も女もいろんな人が絶対好きになる人間なんですよ。悩みを人に言わず、全てを1人で抱え込んで解決する。常に平等で優しいし、絶対的にリーダーシップがある。でもレオンには明かされていないバックグラウンドがあって。すごく完璧な人間に見えて、内面に抱えている影の部分が見えた瞬間、多分女性はクラッとくると思うんですよね。
ーー弱さを見せられた時は確かに嬉しいですね。
細貝:ギャップですね。
神谷:実はキャラクターそれぞれにキラキラしたイケメンだけではないバックボーンがあって、ギャップが少しずついろんな要素で入っています。レオンは特に背景を感じさせない豪快さや人間のしっかりした部分が出ていて、だからこそ彼の背景を知った時は衝撃だと思うんですよね。芯が見えてきて、よりカッコ良くなるキャラクターだなと私は思っているので、そこを細貝さんに出していただけるのを楽しみにしております。
細貝:それはどうかな!
大関:そこは出してくれよ(笑)。
全員:ハハハ(笑)。
ーー稽古は今どんな感じなんですか?
大関:僕の演出では、僕の方から提示することが少ないんです。もちろんCYBIRDの皆さんと打ち合わせを重ねながら、原作の世界観を台本に落とし込んではいます。ただ先ほど申し上げたように、このキャストでやる意味を僕は非常に考えているつもりなので、まず役者さんに委ねることも必要だと思ってます。立ち稽古がスタートしたところなんですけれども、本読みを何回か重ねて、キャストさんとざっくりしたイメージの共有をさせていただいて、そこからは心情の部分をどう表現するか、それぞれの表現方法に委ねるようにしています。
ーー細貝さんはレオンを演じる上で、何か意識が生まれてきていたりしますか?
細貝:どの瞬間でエマに心を揺さぶられるかというポイントを、自分の中で、今、模索してるところですね。通常時のレオンはほんと豪胆で、その中で心が揺さぶられる瞬間のギャップが絶対的に大事なので、そこを構築していく段階かなと思っております。
ーー川村さんはエマのどんなところが魅力的だと思いますか?
川村:恋愛作品のヒロインとしては、かなり大人だなというのがファーストインプレッションです。エマはプレイヤーさんを投影しているので、ゲームをプレイする皆さんそれぞれにエマの正解があるじゃないですか。今は皆さんが思っているエマ像を大事にしつつ、私としてのエマを探している途中です。可愛いなと思うのは、エマは結構恋愛下手なところ。本が好きで知的なところもあるけど、反応がピュアで可愛らしいんですよね。あと、リオという子犬のように慕ってくれる男の子がいるんですけど、その子の愛情に気づかない鈍感さや、あざとくないあざとさがあって(笑)。台本を読んだり原作ゲームをやらせていただいて、女の子としてのエマの不器用な部分に「わかるわ〜!」と共感してます。恋愛のやり手な年上の良い女とはまた違うところがある。いろんなことが上手すぎないところがすごく魅力ですね。
大関:そういった面で言うと、海ちゃん自身が持ってるものってさ、エマと似てるよね。
川村:恋愛下手だったり、本が好きというところはすごくマッチしていますね。
大関:芯も強いじゃない。
川村:あざっす!(笑)。
全員:ハハハ(笑)。
川村:皆さんの理想がある中で演じますが、結構私コミカルな気持ちが強い人なので、大丈夫かなと思う気持ちもあるんですけど、楽しくやらせていただいております。
恋愛と王位継承戦、2つの壮大なストーリーを楽しんで
細貝圭
ーー好きなシーンはありますか?
川村:レオンのとある秘密を知った後のシーンで、お芝居色の強い歌のナンバーが入っているのが個人的にすごく好きです。触れたいけど触れられない、じれったさと切なさのあるシーンかなと。詳しくいうとネタバレになりますね(笑)。
細貝:僕はエマとの自然な、他愛もない会話がすごく好きです。好きな本を共有したり、エマのために頑張って本を読んだり。いろんなことを自分で背負いすぎて、でも初めて本当の自分と向き合えた相手がエマなので、その時間は自分も演じながら大切にしたいですね。
大関:もちろん今作は恋愛が中心ではあるんですけど、もう1つ、レオン派とシュヴァリエ派という、いわゆる王子の派閥がありまして。リーダーのレオンとシュヴァリエが、なかなか相容れない考え方をもった王子同士なんですね。でも中盤から終盤にかけて、お互い変化が生まれてきて、レオン派とシュヴァリエ派が手を組んで、国を守っていこうというふうに進んでいく。僕は意外にそこが好きですね。多くを語らない短いシーンだけど、根っこの部分では共通の思いがあるというのが表現できるといいなと思ってます。
神谷:原作のPVの中でも「本」が冒頭に出てくるんですけど、本や物語というモチーフを象徴的に使っているのがレオンの本編なんです。物語が進むにつれて、本の一フレーズ込められたレオンの本当の気持ちが明らかになっていくことの快感を、最初プロットを読んだ時に感じました。エマとレオンの本を通したやり取りに注目していただきたいです。
ーーでは最後に、どんなふうに舞台を楽しんで欲しいと思われますか?
大関:そりゃもう恋していただいて。今回レオンのお話ではありますけど、8人の王子もいますし、それ以外にもいろんなイケメンを取り揃えておりますので、ぜひそこを見て、クリスマスを楽しんでいただければと思います。エンターテイメントとしても見れますし、ラブストーリーともう1つ、国と国の狭間に王子たちが巻き込まれるという2つの壮大なストーリーが同時進行で進んでいくので、楽しみにしていただけたらと思います。
細貝:観るときっとあたたかい気持ちになると思います。僕たちはただ頑張るだけなので、舞台上で皆さんにお会いできるのを楽しみにしております。
川村:多分この作品を観たら、恋してない方は「恋したいな〜」ってなると思うんですよね。大切な方がいらっしゃる方は会いたくなったり、もっと大事にしたいと思ったりする素敵なお話になってると思いますんで、ぜひクリスマスお待ちしております。
神谷:やっぱりゲームだけではできなかったことを舞台ではしていただいていると思っていて。脚本、お芝居されている演者さん、スタッフさんに音楽やアクション、いろんなことを詰め込んでいただいて、すごく華やかな形になりつつあります。クリスマスという華やかな時期に観ることで、自分の気持ちも浸れる感じなのかなと思って、私としても楽しみにしております。今はこんな時期ですが、舞台によって得られるエネルギーで元気をもらえ、ゲームだけでは感じられないワクワク感を感じていただけるんじゃないかと思っております。
大関:あと、エマがハケません! 今回は海ちゃんの体力勝負だね。
川村:引っ込んだと思っても水飲めないぐらいの時間で出てきちゃうんで。ストーリーも「エマ頑張れ」という気持ちになると思うので、いろんな意味で「エマ頑張れ」と思っていただければ活力になります(笑)。
取材・文=ERI KUBOTA