ライバル、チームのその先へ～青春輝く、「ミュージカル『スタミュ』スピンオフteam楪＆team漣単独公演『Storytellers』」ゲネプロレポート

「ミュージカル『スタミュ』スピンオフteam楪＆team漣単独公演『Storytellers』」が2020年12月5日（土）、東京・シアター1010にて開幕した。シリーズ7作目となる本作では、テレビアニメ第3期の後に続く物語が繰り広げられた。初日直前に行われたゲネプロの模様をお伝えする。

原作はテレビアニメ『スタミュ』。音楽、芸能分野における名門校・綾薙学園のミュージカル学科を舞台に、高校生たちの青春ストーリーが描かれている。2017年より舞台化され、これまでに6作が上演されてきた。

本作では、team楪の揚羽陸（大見拓土）と蜂矢聡（石田隼）、team漣の北原廉（澁木稜）と南條聖（小波津亜廉）をめぐるストーリーが描かれている。主人公・星谷悠太とは同級生であり、よきライバルとして切磋琢磨し、高め合ってきた間柄。舞台シリーズでは2019年に上演された『-3rdシーズン-』で初登場した面々だ。

これまで寮生活を送ってきたミュージカル学科生たち。2年生の3学期半ば、生徒たちは退寮準備に追われていた。片付けを進める揚羽に持ち前のドジっぷりを存分に発揮する蜂矢、同室の虎石和泉（高本学）と小競り合いをする北原、思い出の品々を持ち込むteam鳳の空閑愁（新里宏太）、退寮準備を取り仕切る南條とキャラクター同士の関係性が生き生きと描かれていく。

2年生が終われば、チーム活動は終了。チームメイト5人が揃ってパフォーマンスするチャンスはもうやって来ない。team楪とteam漣はステージ発表を行った綾薙祭で班が分かれてしまったため、5人揃ったステージ写真が存在しない――綾薙祭公演の写真を見ながらセンチメンタルな空気が漂う中、北原のドライな発言が火種となりチームのムードは良くない方向に。

本作では、team楪の甲本哲也（阿部大地）、蛍灯玲（渡邉駿輝／JBアナザーズ）と蟻坂和臣（江副貴紀）、team漣の中小路春馬（きたつとむ）や東堂創（玉元風海人）、香西遊晴（三原大樹）が登場。彼らから見た『スタミュ』の物語が垣間見られることも、見どころのひとつとなっている。固い絆で結ばれたチームメイトたちのやりとりはもちろん、チームの垣根を超えた交流の様子も新鮮だ。

“スタミュミュ”の醍醐味といえば、華やかでエネルギッシュなミュージカルナンバー。原作ではお馴染みの楽曲が目の前でパフォーマンスされる感動も、本作書き下ろし曲を堪能する瞬間も味わい尽くしてほしい。とめどなく湧き上がってくるような役者たちの熱量が、ぎゅっと凝縮されて客席に放たれ、どこまでも胸が熱くなってしまう。

リーダーの揚羽を中心に一丸となっているteam楪、個々の能力が際立つteam漣。作り上げてきたチームカラーが相反的な2チームは、幾度となくぶつかってきた犬猿の仲だった。2年間を共に過ごしてきた10人が、チーム活動の終わりに何を思うのか。新しく紡がれた青春の1ページを、ぜひ見届けてほしい。

本作はイープラスのライブ配信サービス「Streaming+」にて、初日・千穐楽計５公演がライブ配信される。1週間のアーカイブ配信付きなので、何度でも“スタミュミュ”の世界を楽しんでほしい。

取材・文・撮影＝潮田茗