野村萬斎演出の『子午線の祀り』が21年版として上演決定 成河、河原崎國太郎、吉見一豊、村田雄浩、若村麻由美ら出演

2020.12.25
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舞台

(上段から)野村萬斎、成河、河原崎國太郎(下段左から)吉見一豊、村田雄浩、若村麻由美

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2021年3月19日(金)~30日(火)世田谷パブリックシアターにて、『子午線の祀り』を2021年版として上演することが発表された。

本作は、木下順二が「平家物語」を題材に“天”の視点から人間たちの葛藤を描き、平知盛や源義経をはじめとする源平合戦に関わった登場人物たちを躍動感をもって浮き彫りにし、心理描写も巧みな壮大な歴史絵巻に仕立て上げた戯曲。また日本語の“語り”の美しさと荘厳な響きを引き出す群読という独特な朗誦スタイルを随所に用いて、演劇史に確固たる地位を築いてきた傑作として広く知られてきた。

世田谷パブリックシアター『子午線の祀り』(2017)  撮影=細野晋司

その戯曲を受けて宇野重吉、観世栄夫、木下順二らの演出による初演が1979年に行われた。初演作は、能・狂言、歌舞伎、現代演劇で活躍する俳優、スタッフがジャンルを越えて創り上げ、日本演劇史をひとつの作品で体現する唯一無二の舞台として、高く評価された。

世田谷パブリックシアター『子午線の祀り』(2017)  撮影=細野晋司

世田谷パブリックシアター『子午線の祀り』(2017)  撮影=細野晋司 

その後、幾たびもの上演を経て、野村萬斎の新演出により世田谷パブリックシアターで2017年に上演された。世田谷パブリックシアターの芸術監督として長年にわたり、「人間の営みを俯瞰して眺める狂言的なマクロの視点」と「人間の精神性や情感に迫る能的なミクロの視点」で古典と現代が融合した作品を数多く演出してきた野村萬斎の集大成の一つともいえる2017年版の上演は、宇宙的な視座を持つ作品の深い考察、個人と全ての人間の運命を包み込む宇宙の対比、群読による日本語の美しい響きと身体性を活かしたダイナミックな演出が高く評価され、読売演劇大賞最優秀作品賞をはじめ、数々の演劇賞を受賞した。

そして2021年初頭、コロナ禍の中で再び上演するにあたり、あらゆる試行錯誤を繰り返した結果、2017年版をベースにしながらも、戯曲の芯を捉え直し、演出の濃度を増し、機動力のある舞台を新たに目指すことになったそうだ。

世田谷パブリックシアター『子午線の祀り』(2017)  撮影=細野晋司

世田谷パブリックシアター『子午線の祀り』(2017)  撮影=細野晋司

出演は、新中納言知盛(しんちゅうなごんとももり)役を野村萬斎、九郎判官義経(くろうほうがんよしつね)役を成河、大臣殿宗盛(おおいとのむねもり)役を河原崎國太郎、梶原平三景時(かじわらへいぞうかげとき)役を吉見一豊、阿波民部重能(あわのみんぶしげよし)役を村田雄浩、影身の内侍(かげみのないし)役を若村麻由美が演じる。

2017年版の出演者31名から今回は17名に再編成を行い、群読チームの若手の中から伊勢三郎役への抜擢や、また新たに吉見一豊を迎え、さらに機動力を増した布陣で挑む。

世田谷パブリックシアター『子午線の祀り』(2017)  撮影=細野晋司

今回の2021年版は、2017年には果たせなかった各地での上演も実施される。日程は、2月にKAAT 神奈川芸術劇場で幕を開け、その後、愛知、久留米、兵庫と各地を回り、最後に世田谷パブリックシアターの舞台へ戻ってくるという、その間1か月以上に及ぶ公演となる。

演出の濃度を上げ、ダイナミックかつテンポ感を増した新たな本公演に期待したい。

世田谷パブリックシアター『子午線の祀り』(2017)  撮影=細野晋司

【物語】
歴史上名高い源平の合戦。次第に平家の旗色は悪くなるばかり。兄・平宗盛(河原崎國太郎)に代わり平家軍を指揮する平知盛(野村萬斎)は、一の谷の合戦で、源義経(成河)の奇襲を受け、海へ追い落とされる。以来、武将となって初めて自分に疑いをもちつつ、知盛は舞姫・影身の内侍(若村麻由美)を和平のため京へ遣わそうとする。
平家を支える四国の豪族・阿波民部重能(村田雄浩)は、三種の神器を楯に主戦論を唱え、知盛を立てて新しい日本国の存立を画策しようとする。知盛は平家滅亡を予感しながらも、後白河法皇の過酷な要求を拒絶し、徹底抗戦の道を選ぶのだった。
一方、源義経は、兄頼朝から目付役として遣わされた梶原景時(吉見一豊)と対立しながらも、源氏方の先頭に立って慣れぬ海戦も乗り越えますます勢いづいていく。
そしてついに両軍は壇の浦の決戦の日を迎える――。

 

世田谷パブリックシアター芸術監督 野村萬斎  コメント

子午線の祀り 2021 with コロナバージョン に向けて

1979年の初演より半世紀を過ぎて尚輝く名作。2017年の新演出では、数々の賞を頂きました。何故この作品がこれまで息長く、また時代に合わせたアップデートに耐えて輝き続けるのか。

それは木下順二が、日本の普遍の名作「平家物語」に、世界の普遍の名作「ギリシャ悲劇」「シェイクスピア」を掛け合わせ、宇宙の目線から見つめるというハイブリッドな戯曲(レクイエム)を書き上げたからに他ならない。数百年、数千年の普遍を掛け合わせれば、それは絶対普遍とも言えるのではないか。後は、現在に生きる我々が、いかにアップデートするかにかかっている。

この1年間、世界はコロナウイルスという大きな波に揺れている。しかし我々は、足を波に掬われようとも自分の座標軸をもち、すっくと現在この時に立っていなければならない。この『子午線の祀り』も、早くも大きなアップデートを迫られている。

戯曲を圧縮し、言霊を磨き、舞台美術を変え、役者の身体性をより強固にアグレッシブにして、演出の濃度を上げる。それは再演という括りでは収まらない、新たな旅立ちである。

コロナ禍だからこそ我々は、現在、何処に、何故に、どのように生きているのか? あなたの目前に漂う「生と死」と、歴史の波に漂う源平壇ノ浦合戦の「生と死」が合致してオーバーラップする時、あなたは自分の存在を宇宙の目線から知り、自らをアップデートするのである。そして「満々とひろがりひろがる現在という時空の海面に、あなたはすっくと立っている。」ことを自覚するのである。

戯曲の主人公の一人である平知盛を演じるのは4度目である。「見るべき程のことは見つ」とまさに世の中を俯瞰して千尋の海に沈む知盛の目線は、時空の闇を超えて今を生きるあなたの目線に、影身として寄り添うのである。

公演情報

『子午線の祀り』
 
【日程】2021年3月19日(金)~3月30日(火)
【会場】世田谷パブリックシアター
 
【作】木下順二 
【演出】野村萬斎 
【音楽】武満徹
 
【出演】
野村萬斎  成河  河原崎國太郎  吉見一豊  村田雄浩  若村麻由美
星智也  月崎晴夫  金子あい  時田光洋  松浦海之介
岩崎正寛  浦野真介  神保良介  武田桂  遠山悠介  森永友基
 
料金】一般S席(1階席・2階席) 8,500円 A席(3階) 5,000円
ほか高校生以下、U24など各種割引あり 
※託児サービスあり 
※車椅子スペース取扱あり
 
取扱い】世田谷パブリックシアターセンター 03-5432-1515 (10~19 時)
世田谷パブリックシアターオンラインhttps://setagaya-pt.jp/
 
一般発売】 2021年2月14日(日)
【お問合せ】 世田谷パブリックシアターセンター 03-5432-1515
 
【主催】 公益財団法人せたがや文化財団 【企画制作】 世田谷パブリックシアター
【共同制作】 KAAT 神奈川芸術劇場 【後援】 世田谷区
【協賛】 東邦ホールディングス株式会社/トヨタ自動車株式会社/Bloomberg 【協力】 東急電鉄株式会社
 
■その他のスケジュール
<神奈川公演> 
日程:2021年2月21日(日)~27 日(土) 6回公演(全 14:00 開演)
会場:KAAT 神奈川芸術劇場 ホール
 
<名古屋公演> 
日程:2021年3月3日(水)18:30、4 日(木)12:00
会場:日本特殊陶業市民会館ビレッジホール

 
<久留米公演> 
日程:2021年 3月7日(日)16:00、8日(月)13:00
会場:久留米シティプラザ ザ・グランドホール

 
<兵庫公演> 
日程:2021年3月13日(土)12:00/18:00、14日(日)13:00
会場:兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
 
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