最高に熱い夜だった!昭和レコードTOUR SPECIAL 東京公演をレポート
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11月21日夜、恵比寿LIQUIDROOMにて「昭和レコードTOUR SPECIAL 2015×ZORN"The Downtown" Release Tour」の東京公演が行われた。
今回は毎年の昭和ツアーと異なり『ZORN』のリリースツアーも兼ねているところが注目されていた。メインフロアがオープンする前、物販のブースには長蛇の列が出来上がっており昭和レコードの人気度が伺えた。
イベントは『DJ FUMIRATCH』からはじまった。『DJ FUKU』は日本語ラップのクラシックを中心にレゲエなども織り交ぜながら幅の広いプレイ見せた。また、翌日の11月22日は名古屋の伝説的なラッパーの『TOKONA-X』の命日であることから『DJ RYOW feat.TOKONA-X』の「WHO ARE U ?」をかけ、マイクを持ちながら「知ってるか?」とオーディエンスに問いかけた。その他にも曲ごとにオーディエンスに語りかけ、ヒップホップのリスナーを教育しているかのようなDJプレイであった。マイクを握りオーディエンスを煽るスタイルはDJの枠を超えてアーティストとしての意思を感じさせるものがあった。
ライブ一番手にはいきなり昭和レコードのボス、『般若』が登場。一曲目からフックがキャッチーな「はいしんだ」を披露し、場内のテンションが一段と上がった。中盤では客演として『t-Ace』を呼び「ダレも知らないブルースfeat.般若」を披露した。そこからは『般若』は一度さがり、『t-Ace』のソロライブになり、「上京」に焦点を当てて書かれた「水色」を歌った。最近、話題になっている毎週火曜日深夜にテレ朝で放送されている「フリースタイルダンジョン」というMCバトルの番組にチャレンジャーを迎え撃つモンスターのラスボスとして『般若』は出演している。今回の東京公演は直前に放送された回にて般若以外のモンスター達がチャレンジャーに敗れ、翌週いよいよラスボスである『般若』の登場というタイミングであった。そのためか、MC中にネタばらしを期待しているオーディエンスがいる中で番組の話に触れた。しかし、すでに収録の終わった次回放送分のバトルの結果には触れず、その収録後に作ったばかりの新曲があると言い放ち、新曲「あの頃じゃねえ」を披露した。エモーショナルなトラックに『般若』自身がリアルに感じていることをラップしており、胸が熱くなる一曲であった。また、現在制作中の9枚目にあたるアルバムの次回作は来年の春にリリースするとのアナウンスがあった。
Photo by Nao Nakai
『DJ FUKU』から『般若』といきなり熱量がマックスになったところで『KEN THE 390』がライブ二番手で登場。「ガッデム!!」、「Lego!!」、「Like This Like That」など彼のヒットチューンを披露しながらも、フリースタイルを披露したり、コールアンドレスポンスでオーディエンスと交わったりとテクニカルなライブを披露し盛り上げた。
その後は関西レゲエシーンから『CHEHON』がライブをしたり、WESTAHOLIC RECORDSの『DJ FILLMORE』がプレイしたりと引き続きフロアは高い温度を保っていた。次にステージに現れたのは『SHINGO★西成』であった。バックDJの『DJ FUKU』と抜群のコンビネーションで新喜劇の始まりのテーマ曲を使い、笑いを取りながら登場した。「大阪UP」や「心とフトコロが寒いときほど胸をはれ」などのヒット曲を披露し勢いよく盛り上げたが、MC中は彼らしい熱いメッセージでオーディエンスの心を掴んだ。
ここまで、アーティストが代わる代わる登場してきたが、少しの間が空いた。皆が次の展開を待ち望んでいる中、ついに『ZORN』が登場。MCも早々に危険な雰囲気を醸し出すイントロが流れ始め、今年5月13日に発売したアルバム「The Downtown」から「Reverse」が披露された。ZORNがラップをし始めるとオーディエンスの群衆は思い思いに揺れ始めた。今回の昭和レコードツアーは『ZONE』のアルバム「The Downtown」のリリースツアーも兼ねているので客層がZONEを待ち望んでいた人が多かったように見受けられた。
Photo by Nao Nakai
その後は『JAZEE MINOR』と『SIMI LAB』の『MARIA』が登場して客演曲の「100」通称ワンハネのRemixを披露し会場のボルテージは最高潮に達した。また、MC中には『ZORN』が「MARIAさんお尻何センチでしたっけ?」と問いかけ、ワンハネのヴァースの中では「100cm私のケツ」とラップする『MARIA』が「120(笑)」と応えてオーディエンスの笑いを取る場面もあった。その後もゲストで『NORIKIYO』が登場し、先ほどライブした『KEN THE 390』と三人で共に「Make Some Noise」を披露した。ゲストを交えてのMCは下手というわけではないのだが終始少し気恥ずかしそうな雰囲気でトークをしており、その雰囲気が逆にオーディエンスと『ZORN』との距離を縮め和やかな空気が流れた。その後も『SIMI LAB』の『OMSB』が登場し『NORIKIYO』と三人で「HEY MONEY」を披露したり、『SHINGO★西成』と『般若』が再び登場し新曲を披露したりと終始豪華なライブであった。最後のMCの時は打って変わって自分の活動を振り返り、大きな会場でライブできるようになったことへの喜びや活動を支えてくれる家族や仲間やファンへの感謝を口にした。そして、最後に「My Life」を披露した。「洗濯物干すのもHipHop」という強烈なラインを含んだこの曲は多くの人を感動させた。ライブの後に泣いているお客さんがいたのが印象深い。これが『ZORN』のアーティスト性なのだろう。今後の『ZORN』にはより一層注目していきたい。
文=星 万央
Photo by Nao Nakai
「ありがとう」
般若/ZORN/SHINGO★西成
Brand New Tune
12/23 iTunes Music Storeなどで配信開始