岸田教団&THE明星ロケッツ 岸田の「オタク無分別禁止論」 第一夜 ライトノベルについて
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岸田とネコちゃん
同人音楽サークルにしてロックバンド 岸田教団&THE明星ロケッツ リーダーであり教祖である岸田によるコラム「オタク無分別禁止論」。岸田が語れそうなお題“だけ”投げて、あとは好きに書いてもらうというある意味博打のこの企画。第一回目は「ライトノベルについて」。ラノベ厨と自負する岸田は何を語るのか?
※このコラムのタイトルバナーは「可愛いネコちゃんの写真載せておけばPVがふえるんじゃないですかね」という岸田さんの制作方針により作成されています。
岸田さんがなんか急にコラム的なものを書けといわれてしまい始まったこの企画。第一回目のお題はラノベだそうです。
何やらよくわかりませんがなんかヤベェ事が起きてるなと思ったので真面目に書くことにします。
皆さんどうですか。ラノベ。昨今じゃアニメ化されることも珍しくないし読んでる人も多いでしょう。
岸田さんのきっかけは書店で見かけた『ブギーポップは笑わない』でした。そこから遡り尽くしてその後も現役のまま現在に至ります。
思い出に残るタイトルを並べていくと『ブギーポップは笑わない』は当然として、『スレイヤーズ』『キノの旅』、『無責任艦長タイラー』や『宇宙戦艦ヤマモトヨーコ』、『人類は衰退しました』とか『とある魔術の禁書目録』とか『ゼロの使い魔』とか『ノーゲーム・ノーライフ』とか!
いやラノベもちゃんと繋がってるし時代性があって昔の奴もオモロイんですよ。うん。そして今回のコラムのタイトルにもありますがまずこれを言わせてほしいので言います。
ラノベオタクとアニメオタクと漫画オタクとゲームオタクは違うんですよ!
オタクだからって何でも詳しいと思うなよ!?
俺だってラノベとゲームは詳しいと言い切れるけどアニメと漫画は大して詳しくないんですよ。
確かにアニメはあらゆるものが原作になるので必然的にメディアミックスの名の如く合流してしまいますが、逆に言えばメディアミックスしなければそんなには見ねえよ!俺は原作厨だ!
はい、そういうわけで今回はラノベについて皆様にどういうものなのか今更ながら説明します。
岸田家の「まるちゃん」11歳
まずラノベの定義です。ラノベとは何か?これがまずとっても難しいんです。実際にラノベも含めた小説読みで集まってこの議題で議論すると100%紛糾します。ブギーポップ……まあラノベですよね、はい。スレイヤーズ……はい、ラノベだと思います。
この辺はいいんですがここで誰かが「西尾維新はどうか?」と言い出します。100%の確率です。全員がまず、戯言シリーズの後半はまず間違いなくラノベだよなとは思うんです。内容は。
しかしここで問題がありまして、”いわゆるラノベっぽさ”というのはSFやジュブナイルの流れを多分に汲む為、ヘタにアレはラノベっぽいからラノベ、などと言い出すとそのままあれもこれもラノベということになり、僕は実際の議論の中それがラノベならこれもラノベ理論の果てに”戦闘妖精雪風”もラノベ……?という恐るべきところまで行ってしまいました(勿論絶対にアレはラノベじゃないハードSFだって否定されましたが)
これが何故起きたかというと伊藤計劃の『ハーモニー』はギリラノベと言い出した輩のせいでした。
そこで全員が喧嘩しない方法は唯一つ、”出版されたブランドで分ける”。
つまんねえーーーーーーー!でもこれしかなかった!本当に!
だって『戦闘妖精雪風』までいかないと流石にラノベ要素がないと言えるものにたどり着けなかったんだもの!
あんなハードなゴリッゴリのSFじゃないとダメなのはやばくないですか? これもラノベ、アレもラノベとしていくとどう考えてもラノベと言うには違和感のある作品まで”っぽい要素あるから”からラノベになってしまう!
俺たちはこれを西尾維新協定と名付けました。
ゲシュタルト崩壊から守るためにどうみてもラノベである西尾維新をラノベではないと定義する事を指します。どうみてもラノベでしかない西尾維新作品ですがここが既に最終防衛ラインなのです。これはもはや文化的国防の話です。あまりにも容易く行われる防衛ライン突破、こんなに心許ない防波堤はないぜ……。
まとめますと、ハヤカワから出たらラノベじゃない。講談社ノベルスもラノベじゃない。電撃文庫と富士見ファンタジア文庫はラノベ!こういう分け方が結局安全なのです。角川スニーカー文庫は?という辺りで全員が黙りましたがラノベだ!ラノベということにしよう!うん!という決着を見ました。
是非皆さんも周囲のラノベオタクとともにやってみてほしいです。絶対にこうなるから。ホントラノベっぽいとか言い出したらギリギリで『陽気なギャングが地球は回す』をラノベに入れてもいいのでは?とか考えるから! 他にも異世界転移するやつがラノベなら『十二国記』はラノベなのでは?とかね!
というわけで岸田さんはラノベレーベルから出たものがラノベである、という結論にします。
つまりですね、もはやラノベっぽいというものは日本カルチャーの奥深くに浸透してしまっているのです。浸透しすぎて”っぽい”だけで分類できないほどにもはやラノベっぽさとは日本サブカルチャーっぽさですらあると思っています。
岸田家の「ルビーちゃん」8歳
ここでラノベの名作とかの話をしてもいいんですが敢えてここから一歩踏み込んで皆様が思う”ラノベっぽさ”ってなんでしょうか。
中世ヨーロッパ風の世界で魔法とか剣とか使ったゲームっぽいファンタジーなんかモロにラノベっぽいと感じるはずです。他にも学生が特殊な能力やらに目覚めて何やらやべえ感じの組織と日常の裏でバトルする話もラノベっぽいと感じるでしょう。こうやって見るとふわついてますよね……。そして具体的にきっとそのルーツになった作品すら思いつくはずです。
異世界に召喚されたら『ゼロの使い魔』っぽいな、とかVRゲームから出られないデスゲームになったら『ソードアート・オンライン』っぽいなとか。
つまりは”それっぽさ”の根っこにはなにもないんです。
それはラノベとしてヒットした作品の要素の集合体であり何でもラノベでもありラノベではない可能性があるのです。
言い換えるとこれはラノベ原作としか思えない作品がドラマとしてゴリゴリに放送され全日本で大ヒットしてしまう……なんてもう今じゃ普通のことなのです。だってその”ぽさ”の話をすると『TRICK』だってラノベにできちゃうもん。
手品師の美少女と怪しめでとんでもキャラの喧嘩が何故か強い科学者が謎を暴くミステリ風ラノベみたいな感じで。いやホントに講談社ノベルスあたりから出てたら違和感皆無ですよ。”すべてがFになる”の隣に置いときましょう。
現在はラノベも様変わりしてきており”小説家になろう”からの書籍化も増えて(というかもはや支配的ですらあるのでは・・・?)旧来の読み手と最近の読み手であーだこーだ言い合う流れもあるんでしょうがそれは大昔にラノベVS非ラノベ読みでさんざんやり尽くした流れです。
どうせ全ては押し流されます。なので素直に面白いものは面白いとキャッキャと喜んで行きたいと思っています。ほんと当時からは考えられない話だなあ・・・。オタクのおじさんとしてはとても感慨深く喜ばしいことです。
オタクのおじさんはもし『無責任艦長タイラー』がなろうで発表されてたら”惑星連合宇宙軍に入って適当に楽して無責任に生きようと思ったのにどうしてこうなった?”みたいなタイトルだったのかな、なんて妄想しながら寝ますね。
では、今晩は此処まで。ここまで読んでいただいてありがとうございました。
文・写真:岸田