関西の売れっ子芸人・兵動大樹&桂吉弥が舞台『丸尾不動産』シリーズ最新作で1年半ぶりに再会、「いよいよ始まるか」と心躍らせる
『丸尾不動産』桂吉弥、兵動大樹 撮影=田浦ボン
関西の売れっ子芸人ふたりが共演する人気舞台シリーズが帰ってくる! 兵動大樹、桂吉弥がダブル主演をつとめる舞台の第3弾『はい!丸尾不動産です。〜本日、家で再会します〜』が9月4日(土)よりABCホール(大阪)、10月3日(日)にアクリエひめじ中ホール(兵庫)で公演開催。今作は、うだつがあがらない不動産営業マン・菅谷(兵動)が、寂れた町でスナックを営む林田(吉弥)と騒動を巻き起こす。もともと2020年に予定されていた同舞台だが、新型コロナの影響で延期に。兵動、吉弥も「待ちに待った」という形だ。しかも共演者には吉本新喜劇の未知やすえ、同じく新喜劇の佐藤太一郎、ミュージシャンの施鐘泰(JONTE)、元たこやきレインボーの堀くるみ、劇団Patchの近藤頌利らが決定。どんな作品になるのか、兵動と吉弥に話を訊いた。
『丸尾不動産』
――おふたりがお会いするのは、2019年12月開催の前作公演の千秋楽以来なんですよね。
兵動:そうなんですよ。千秋楽後の打ち上げで中華料理を食べた日から会ってなくて。もともと『丸尾不動産』シリーズは、「ふたりとも関西で活動しているのに全然、仕事が一緒にならへんやん」というコンセプトで始まったから、「別に1年半会わんでも」という感じで。さっき久しぶりに会ったけど、久々感もないですし。
吉弥:兄やん(兵動)が『人志松本のすべらない話』(フジテレビ系)に出ていたとき、この舞台のLINEグループでみんなが「観てたで!」と報告しあったくらいで。で、(第1回公演出演の)青山郁代さんが作っているスタンプを送りあったりして。あとは「兄やん、えらい痩せはったな」とか。
兵動:逆にある日、テレビをつけたら「あれ? 吉っちゃん(吉弥)、体を絞ってると言うてたはずなのに」と思った。
吉弥:僕はリバウンドしちゃったんですよ……。
兵動:あとさ、グループLINEで「今日、あの人と会ったよ!」とか言ったりしていたけど、一番返信率が悪いのが吉っちゃんなんですよ! 「この関係から抜けたいんかな」とか(笑)。
吉弥:いやいや、そんなことないですよ。勘弁してください(笑)。
『丸尾不動産』
――ふたりで「久しぶりに会おうか」というのもなかったんですか。
吉弥:僕の場合は落語会も中止になったりして、そもそもほかの芸人さんと会う機会が全然なかったんですよね。
兵動:それに僕らもええ歳したおっさんなので、たまにパッとテレビを観て「お、吉っちゃん元気に頑張ってるな」くらいで。たとえばシャワーを浴びているときに、ふと「吉っちゃん、今なにやってるんやろう……」と思うこともないですし、吉っちゃんも家族でテレビを観ているとき「兵動兄やん、どうしてるんやろう」とかもないやろうし。
――ハハハ(笑)。ただ、ここで再会を果たしたということは、いよいよ始まりますね。『丸尾不動産』の新作が!
兵動:今日の取材は『丸尾』の衣装なんですけど、吉っちゃんのシャツを見た瞬間「始まるか、第3弾」と気が引き締まりました。
吉弥:僕は普段、(稽古場がある)カンテレさんに来ることがほとんどないので、ここに足を踏み入れたら「いよいよだな」となります。
兵動:本当は去年、新作をやるはずだったんですけど延期になってね。この状況やから「そら、そうなるやろうな」と。だって、あのときはコロナとの付き合い方もまったく分からんかったから、そもそも稽古がまともにできへんやろうなと思っていました。僕は、この舞台の稽古がすごく楽しみなんです。みんなで集まって、休憩中はお菓子を食べて。だからディスタンスを考えて稽古をするのはちょっと違うし、「延期」という判断はスッと受け入れられました。早く稽古をしたいですね。
吉弥:そうそう、僕も稽古が楽しみで。確かに台詞も多いし、芝居で悩むこともあるし、しんどいことはしんどい。だけど前作だったら、共演の佐藤太一郎さんが「これでイイんすかっ!!!!」と熱く語りだしたり、そういうガチな感じがやっていて楽しいんです。
兵動:稽古期間は「あぁー、今日は稽古の日かぁー」くらいのテンションなんですけど、楽日に「おつかれさまでした、ありがとうございました」と言った瞬間、稽古が懐かしく思えてくるんです。打ち上げのときなんかは、「また稽古したいな」となりますよね。
『丸尾不動産』
――そんななか、今回は吉本新喜劇の未知やすえさんとの共演になります。やすえさんは、吉本主催以外の舞台は今回初めてなんですよね。
吉弥:やすえさんがMBSラジオの松井愛さんの番組に出はったとき、「普段は外部の舞台は出ないけど、兵動さん、吉弥さんが相手やから」と言ってくれたのが嬉しくって。『ちちんぷいぷい』(毎日放送)でも長く共演させていただいて。番組中に僕が「この話題でどんなコメントしたらええんやろう」と考え込んだときも優しくフォローしてくれる方なんです。そういえば僕とやすえさんは阪神タイガースが好きなので甲子園によく試合を観に行くんですけど、阪神電車に乗りながら「やすえさんは視聴率とか気にしたりするんですか?」と聞いたら、「気にしすぎたらあかんねん! 一生懸命やればええねん!」と色々教えてくださって。ほんまに頼りになるんです。
――逆にやすえさんは、「吉弥さんはきっちりしているから頼もしい」とおっしゃっていました。
吉弥:それはきっと、僕が阪神戦のをちゃんと取るからです(笑)。
兵動:まだ台本が仕上がっていないので、やすえさんがどういう動きになるか分からないけど、隙があってもなくても笑いをどんどん出して来はりそうですよね。こっちもそれだったら「やったろうか」となるし、稽古のなかで良い駆け引きをしたいです。僕らが「なにしてんねん」とツッコミができるくらい、ガチッと攻めてきてほしいです。
『丸尾不動産』
――兵動さんはこれまで同様、不動産営業マンの菅谷役ですが、吉弥さんの場合、キャラクター名こそすべて林田ですが、設定は毎回違いますよね。今回はどんな役になりそうですか。
吉弥:身のこなしをシュッとしておかなあかんキャラですね。フットワークを軽くというか。立ち、座りもシュッとやったりするような人。そういう動作のところで専門的なものが要求されそうです。
――そんな『丸尾不動産』ですが、今回は大阪だけではなく姫路でも公演が開催されます。今後もシリーズを重ねるごとに公演地域が増えていきそうですね。
吉弥:同業の落語家もそうやし、テレビ、ラジオの人たちからも「また『丸尾不動産』やるんですね」という声を聞きます。おなじみになってきているところがあって、「ここからやな」と感じるようになりました。いつか47都道府県ツアーとかやりたいですよね。
兵動:僕と吉っちゃんがダブル主演でおもろいことをやっているという認知を、関西圏でもっと深めていきたいですね。二人芝居でも回していけるくらいの実力をつけたい。そして、その大きなパワーがいろんなところに広がっていってほしいですね。
『丸尾不動産』
取材・文=田辺ユウキ 撮影=田浦ボン