『風雲!大阪城音泉〜あとの祭り編〜』最終日に、バックドロップシンデレラ、オメでたい頭でなにより、四星球が競演&共演
-
ポスト -
シェア - 送る
『風雲!大阪城音泉〜あとの祭り編〜』 撮影=鈴木洋平
風雲!大阪城音泉〜あとの祭り編〜 2021.8.1(Sun) 大阪城音楽堂
2013年、関西のコンサートプロモーター・清水音泉の10周年を記念し産声を上げたイベント『風雲!大阪城音泉』が、大阪城音楽堂にて7月23日(木・祝)、30日(金)、31日(土)、8月1日(日)の4日間にわたり開催。今回で5回目となる同イベントは日程を拡大し、最終日の8月1日は『あとの祭り編』というサブタイトルを冠して行われることとなった。
MUNA SEA
そのオープニングには、関西ライブシーンの固い結束とユーモアを詰め込んだ、元祖ヴィジュアル系エアーバンド・MUNA SEAが「入浴宣言」として降臨。1週間前のオファー、3時間前の出演発表、1年7か月ぶりのギグ(!?)とは思えぬ、見ごたえある「茶番」で聞こえない笑いの渦を起こし、いよいよ「あとの祭り」は幕を開ける。
バックドロップシンデレラ 撮影=雷
「壱番風呂」のバックドロップシンデレラのステージが始まったのは灼熱の15:30過ぎ。真夏の昼を表すように、豊島”ペリー来航”渉(Gt.Vo)の声も気だるく「およげ!たいやきくん」でスタートを切ると、その後は急加速。「祝え!朝がくるまで」などを立て続けて上昇気流を起こし、エキゾチックなメロディやスピード感、ラップやデスボイスとあの手この手でたきつける。
バックドロップシンデレラ
歓声こそないものの、観客は跳ねて踊って頭を振ってと4人の迫力に反応。当然、夏フェスと言えば! の曲も披露され、途中のMCタイムには盟友2バンドの出演に「理想のフェスです!」と豊島も声高らかだ。
バックドロップシンデレラ
さらに昨日「発明した」という飛沫対策OKな手拍子とステップを伝授して曲に戻れば、全員の動きもそろって一体感も十分。また、でんでけあゆみ(Vo)は「(コロナ禍のライブについて)いろんな意見が飛び交ってますけど、俺はどういう状況でもふざけながらやることやってる奴が一番カッコいいと思ってますんで。まさに今日いるバンドも清水音泉も最たる例だと思っています」と語り終盤へ。
バックドロップシンデレラ
「8月。雨あがり」からスカで南国気分を混ぜつつ、耳を奪うドラミングや専売特許の「台風フォーチュン」で怒涛のスパートをかけ、最後は「月あかりウンザウンザを踊る」「さらば青春のパンク」で全員を無心にしてフィニッシュ。その勢いには大きな拍手が続き、「すごいね!」のつぶやきが漏れ聞こえた。
オメでたい頭でなにより
弐番風呂は、登場と同時に和メロを連発させ、会場は瞬時に沸騰させたオメでたい頭でなにより。一筋縄ではいかない彼らのロックは2ボーカルでトリッキーに展開。鋭さもスケールも重厚感も自在に操って序盤から人々を圧倒する。
オメでたい頭でなにより
17:00も近いのに誰もが汗だくになるが、赤飯(Vo)は「ぬるま湯に浸かってるようなことじゃいけないんですよ。熱いお湯に浸かっていただきましょうか!」と吠えると落差激しい2曲へ。後方のの人を「いじる」一方でヒット曲もアイドルソングもラウドに仕立て、さらにメンバーは並んでオタ芸を打つという離れ業。
オメでたい頭でなにより
しかも続く「ダルマさんは転ばないっ」では全員にカズダンス(90年代に流行したサッカーのゴールパフォーマンス)を踊らせ現在位置を不明にするが、ここからよりアッパーに。高速のギターとラップ、骨太なビートなどで七変化する曲は観客を否応なしに高揚させ、締めの「オメでたい頭でなにより」ではたくさんのダブルピースがアップ&ダウン。
オメでたい頭でなにより
最高潮に達し余熱をたっぷり残して5人はステージを後にした。その際には別れを惜しむように手を振る人が続出。それはライブを通じて5人とファンの心が確かに通じ合った証拠に違いない。
四星球
トリの参番風呂を務めた四星球は期待に違わず、話題のピクトグラムも取り入れた目を引く「仮装」で先制パンチ。まさやん(Gt)もバク宙を成功させて全員を準備万端にすると「妖怪泣き笑い」から曲名どおり泣き笑いの四星球色に会場を染める。
四星球
初の全国ツアーで観客が0人だった思い出話も挟み、「表彰台はこのステージ、金メダルはこのライト。それで十分でございます!」(北島康雄/Vo)と感謝の言葉でグッと詰め寄り段ボール芸も入れつつ前半を駆け抜ける。彼ららしい青さをまとったロックは泣かせ躍らせ笑わせ、聴く側の感情の変化も激しいが、MCとなれば安定のおもしろさ。記事にはできない毒も絶妙だ。
四星球
そして後半戦へは楽し気なメロディが耳に残る新曲で突入し、アカペラパートでは集中も高めて揺さぶりもかける。加えてまたも北島のMCは涙腺を刺激。「歌ってもいいようになるまで歌いますんで。(中略)2019年よりもおもしろいライブをすることをここに誓います!」と宣言し、定番「クラーク博士と僕」で全力疾走へ。走り回るメンバーの熱量は観客に伝播し、続くバラードのギャップは効き目大。語るような歌声は心の奥に届いて曲後にはじわっと拍手も起こる。
四星球
そして迎えたラストは「発明俱楽部」。四星球の哲学も感じるロックは人々の背中を押して拳も天へ。しかも、北島が大好きな『OTODAMA〜音泉魂〜』(清水音泉主催の野外イベント)のことを考えながらライブをしていたと話し始めたかと思えば、ここでネタばらしに。登場時の仮装や途中のネタで使った段ボールが、なんとO・T・O・D・A・M・Aのアルファベットの形になっていたのだ。
四星球
最後に再認識させられる彼らのサービス精神とマジックにも似たち密さに感動を覚えるなか、もちろん会場はアンコール。セレクトされたのは『あとの祭り編』のサブタイトルよろしくパーティ&お祭りチューン。オーラスの「ライブハウス音頭」では全出演者が出そろい、まさに大団円で『風雲!大阪城音泉』は幕を下ろした。
四星球
ちなみに今回は、上記のMUNA SEA の「入浴宣言」と3組のパフォーマンス以外にも見どころがあり、バックドロップシンデレラの呼び込みには赤飯(オメでたい頭でなにより)が、オメでたい頭でなによりの呼び込みにはチアリーダーのコスプレをしたまさやん(四星球)が、そして四星球の呼び込みにはまさやんと同じチアリーダー姿のアサヒキャナコ(バックドロップシンデレラ)がそれぞれ登壇。
バックドロップシンデレラ
和太鼓を叩きエールの交換でイベントを盛り上げた。気心の知れた3組+1組ならではのやり取りはこの日しか見られないお楽しみ。ライブとあわせ、観客たちにままならない日々のストレスを忘れさせたことだろう。
『風雲!大阪城音泉〜あとの祭り編〜』
取材・文=服田昌子 撮影=鈴木洋平、雷