PON企画『WALK THIS WAY〜12年目でも終わらない青春の歌編〜』インタビュー Hump Back、四星球、フラカンのそれぞれの青春

2026.3.3
インタビュー
音楽

『WALK THIS WAY〜12年目でも終わらない青春の歌編〜』

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PON企画『WALK THIS WAY〜12年目でも終わらない青春の歌編〜』が、2026年3月26日(木)にKT Zepp Yokohamaにて開催される。本記事では、同公演に向けて実施されたオフィシャルインタビューをお届けする。

ーー3月26日に開催される『WALK THIS WAY〜12年目でも終わらない青春の歌編〜』。主催のPONさん、そして出演されるバンドのみなさんとの対談なんですが、まず、このイベントはどんな意志のもとに開催されてきたものなのかをPONさんに語っていただきたいです。

PON:Run-DMCとAerosmithがコラボレーションした“Walk This Way”からイベント名をとっていて。あの曲でロックとヒップホップが融合して人種的にもジャンル的にも革命的な衝撃を与えたように、普段あまり交わることのないジャンルを混ぜたら面白い化学反応が起こるんじゃないかなと考えてスタートさせたのが『WALK THIS WAY』なんです。その上で今回、フラワーカンパニーズと四星球とHump Back、そしてさらば青春の光を誘わせていただいたのは、割と個人的な理由でして。

北島康雄(四星球):個人的な理由?

PON:僕、今年の3月で40歳になるんです。

林萌々子(Hump Back):おお! おめでとうございます!

PON:で、40歳になって一番最初に何を観たいかな?って思った時に、四星球とフラワーカンパニーズとHump Backとさらば青春の光がいいなって思ったんですよね。もちろんただ観たいだけではなくて、そこに意味合いもあるんですよ。ロックバンドとお笑いの対バンは今や珍しいことではなくなりましたけど、日本語詞の表現と言葉の表現が面白い表現者を掛け合わせたいっていう気持ちがあったんです。面白い言語表現、深みのある言語表現をしている方々に出演して欲しかった。

ーー40歳の最初に、日本語独特の面白さを体現している方々を観たかったのはどうしてですか。

PON:そうですねえ……日本語の表現の面白さって、人生と共に増していくところにあると思うんですよ。20代の時に聴いてもよくわからなかった言葉を30代、40代で聴いた時に、『この人はこういうことを歌っていたんだ』って突然理解できることがあるじゃないですか。この前も車を運転している時にフラワーカンパニーズが流れてきて、ちょうど39歳の自分にめちゃくちゃリンクしたんですよ(“この胸の中だけ”の一節、<「しっかりしてくれよ いい年こいて。今年で39だろ?/背中曲がってるぜ、おっっさん!」>)。そういう意味で、自分が40歳を迎えるタイミングだからこそ、年齢を重ねるごとに深みを感じられるバンドをお呼びしたいなと思いました。きっと、フラカンと四星球とHump Backという組み合わせ自体は珍しくないんです。でも、そこにさらば青春の光が加わることで、『表現の深み』というコンセプトがより明確になるんじゃないかなと思ってますね。

ーーそういうPONさんからの出演オファーを、鈴木さんはどんな気持ちで受け取りましたか。

鈴木圭介(フラワーカンパニーズ):率直に嬉しかったですよ。そもそも、僕のところに来た時点で出演が決まってたので(笑)。『このイベント出ます』っていう報告だけが来た。

PON:ははははは。

鈴木:最初にうちのリーダー(グレートマエカワ)に話が来てたのかな。で、リーダーがこのイベントは面白いと感じて、出演を快諾したんだと思います。でね、今PONさんが言ってくれた『年齢とともに深みが増していく』ということに対しては、実は自覚がないんですよ。その時々にやれることをやってきただけで、中身は20代の頃から変わってない。見てくれだけ年老いていってるなぁという感じですかね。

ーー中身が20代の頃から変わっていないと言い切れること自体が凄いと思います。林さん、北島さんはどうですか。

:私自身はもうすぐ32歳になるんですけど、そういうタイミングで思うのは……10代、20代のことを歌った曲は世の中に多いじゃないですか。きっと、心や体が動きやすい時期やからそういうテーマの歌が増えていくんやと思うんですね。で、いざ自分が30代になってみて、30代というテーマももっと曲になっていておかしくないと思ったんですよ。10代、20代の時は不安も期待も漠然としているけど、30代になると、悩みもワクワクもはっきりとした輪郭を持ち始めるから。だからこそ、不安や期待に対する逆算が生まれていくというか。それが30代なのかなって最近思ったんですよね。たとえば『自分はこういう性格やから、こういう人と付き合っても上手くいかへんやろうな』みたいなことを先回りして考えるようになるとか。若い頃は『なんで上手くいかへんねやろ、ウワー!』ってなってたけど、今は自分の持っている気持ちの輪郭がわかるようになって。それゆえに楽になってくるのが30代なのかなっていう気がするんです。でも逆に言えば、10代、20代で漠然とした不安に向き合って悩み切らないと、30代で不安の輪郭がわかることもないと思うんですよね。で、フラワーカンパニーズも四星球も私達も、そういう部分から逃げずに音楽をやってきたバンドなんやろうなって感じていて。PONさんが『40代になって最初に観たいバンド達』と言ってくださったのも、不安も期待も持って、その輪郭を理解するような歩み方をしてきたからなんやと思います。

北島:『年齢と音楽』という話で言ったら、フラカンとHump Backはそれを代表する2バンドのような気がしていて。だからPONくんが40代最初にこの対バンイベントを組みたかったと言っていたのもわかるし、そこに四星球を呼んでくれたのも嬉しいですよね。四星球は何回も『WALK THIS WAY』に出させてもらってますけど、正直な話、バンドにとって出演するイベントの優先順位はどうしてもあるんですよ。このイベントとこのイベントが被ったらこっちに出るべきやな、とかね。それで言うと『WALK THIS WAY』は絶対に出るようにしているイベントで、PONくんに誘ってもらったら二つ返事でOKなんですよ。

ーーどうしてですか。

北島:理由は明確にあって、PONくん自身がライヴハウスの外でビラを撒いてくれるんですよね。僕がトークライヴをしていた真冬のロフトプラスワンの外で、トークライヴやのに『四星球が出るイベントです』って言いながらビラを配っているPONくんを見て、このイベントは出続けなければいけないって思ったんです。これが15年前とかならわかりますよ? ビラを配るくらいしか宣伝の方法がなかったから。でも今みたいにSNSで宣伝することが当たり前になってもなお、そうやって手足を使って宣伝してくれているので。やっぱりそういう人は信用できますよね。本番の気合いの入り方も違いますもん。PONくんがこれだけやってくれて、そのビラを受け取った人もここに来てるんやなって思ったら、絶対にいいライヴをしたいですから。なので今回も誘ってもらえて嬉しいですし、この組み合わせの対バンを観たいって言ってくれるのを信用してますね。以前の『WALK THIS WAY』で般若さんと対バンさせてもらった時もめちゃくちゃいい刺激をもらいましたし、異ジャンル混合の対バンイベントだからこそ、次に繋がる刺激をもらえるのが『WALK THIS WAY』やと思ってます。

PON

ーーPONさんにもうひとつ伺いたいんですが、なかなか交わることのないジャンルを混ぜることで、そこに何が生まれるといいなと思って『WALK THIS WAY』を続けてきたんですか。

PON:その都度コンセプトやテーマを設けてきたので、毎回これですっていうのは言葉にするのが難しいんですけど……こと今回の開催にあたっては、サブタイトルにしている『終わらない青春の歌』というテーマが明確にあって。元々はSNSでSTOMPIN’ BIRDのヤッさん(YASU)が言っていた言葉で、それを借ります!って伝えたんですよ。そしたら『HAWAIIAN6の口上を言ってるだけだよ』って言われて(笑)。

ーー“ETERNAL WISH, TWINKLE STAR”の前にHATANOさんが叫ぶ言葉ですね(笑)。

PON:そう(笑)。そうかあと思いつつ、でも『終わらない青春』っていう言葉がしっくりきたんですよ。この3バンドとさらば青春の光に通底しているのは『面白い大人になりたい』っていうテーマだと思っていて。フラカンはコメディアンになる夢を持っていた少年時代を歌っていたり、Hump Backもまさに<おもろい大人になりたいわ>(“番狂わせ”)という歌詞があったり、四星球は面白さを扉にして人生を歌っていたりして。で、さらば青春の光はライヴが一番面白い芸人さんだと感じているので、もし10代、20代の人が来てくれるのであれば『大人って凄ぇ面白いじゃん』って思って欲しい。それが今回の対バンの組み合わせに込めた気持ちですね。僕個人の話ですけど、19歳くらいでライヴハウスで働き出して、一番最初に仲よくなったのがGOOD4NOTHINGだったんです。その頃のGOOD4NOTHINGは新木場STUDIO COASTでワンマンをやるくらいの規模でしたけど、その後に50代を目前にしてメンバーがふたり抜けてしまって。それでも、あのまま面白いオジサンとしてバンドを続けている姿を見ると、大人になっても面白いことは続けられるんだって実感できるんです。それが僕の根底にある想い、『WALK THIS WAY』で体現したいことなのかなって。そう思いますね。

ーー青春と大人、あるいは青春とは何なのかを模索する姿勢はまさに、それぞれの楽曲から伝わってきます。青春と言ってもキラキラしたものとは限らないし、学校で言えば、教室でワイワイしている界隈の外にも青春はある。居場所がなくて便所に逃げ込んでいるヤツにも青春がある。そういうヤツの青春に用がある歌が多い3バンドのような気がしているんですが、みなさんご自身は、青春という概念をどのように捉えているんでしょうか。

鈴木:人生における青春と言うと、一般的には中学時代とか高校時代になるじゃないですか。で、僕らはフラワーカンパニーズのメンバーと中学・高校時代に出会っているので、青春とされる時期を一緒に過ごしているんですね。だからバンドとしても青春時代があったとするならば、それは中学時代から始まって、一緒に上京してきた24歳から26歳の時期だったんじゃないかなと思います。これはメンバー同士で一致する気がする。先ほど言われた教室の話で言うと、うちはメンバーそれぞれキャラクターがバラバラなんですよ。リーダーは教室でワイワイしているタイプで、ドラムの小西(ミスター小西)もどちらかと言えばワイワイする感じ。ギターの竹安(堅一)はトイレにいるタイプかな(笑)。じゃあ僕自身はどうかと言うと、ワイワイしていた人達のケツにいたんですよ。ワイワイしているように見えて、実はワイワイしていないっていう。そういう異なるタイプの4人が共有できる青春が『バンド』だったのかなと。そしてそのまま具体的な夢を設定することなく続けてきましたし、夢を設定しちゃうと、ゴールテープを切った後に続かなくなるかもしれないっていう気持ちがあって。なるべく先のことを考えず、ただバンドがやりたくて、その場を全力でやるのが続いてきただけ。そう思ってますね。

北島:でもね、バンドマンにとっての青春と言うと<青春ごっこを今も 続けながら旅の途中>(“深夜高速”)というフレーズがデカ過ぎて。この1行がバンドマンの青春をすべて表しちゃってる気がするんですよね。バンドを結成した頃の気持ち、今の気持ち。これが青春だと言い切れなくても、自分が青春だと思えるものに人生懸けてるんやっていう気持ちが全部ここに入っているというか。それに、四星球やPONくんの世代にとっては『青春パンク』と呼ばれたバンド達のムーブメントも大きな影響源だった気がするんです。あのブームがどう作用して今に繋がっているかは上手く言語化できないんですけど、僕らは関西を拠点にしていたので、言ってみればガガガSP一派になるんですよ(笑)。どういうことかと言うと、青春パンクと呼ばれながらも実際は『アンチ青春パンク』の気持ちを持っていたというか。青春という言葉を使わずして、いかに自分の青春を表現できるかっていう姿勢があったんですよね。ガガガSPに限らず、真心ブラザーズの倉持さん(YO-KING)もそういう人やと思いますしね。青春という言葉を出さずに、バンドに懸けているという意味での青春を表現する。そういう部分がガガガSPに受け継がれてるような気がしていて、それがカッコいいと思ってたんですよ。芸人さんで言うところのダウンタウン病みたいに、アンチ青春パンクの姿勢でもって青春を表現するバンドをやるんやっていうのが蔓延してた世代というか。それがつまり、世の中的に言われる青春とは違うところ――キラキラしているイメージとは違う、日陰の青春を歌う方向に繋がっているんじゃないかなと思います。

四星球

ーー僕は四星球を一種のレベルミュージックとして聴かせていただいているんです。学校や社会のあらゆるヒエラルキーに苦しんで来た人達が、生き抜くために「笑う」という武器を掲げる音楽だと思うから。

北島:ああ、日陰の青春からの反動としてコミックバンドをやっているから、そう解釈していただけるのかもしれないですね。自分がいわゆる青春時代をどう過ごしていたかと言うと、さっきの例で言うトイレ側の人への憧れが強かったんですよ。人と簡単には交わらない人こそ、むしろ特別なものを持っているんじゃないかなって。当時から僕は人と喋るのが好きで、人それぞれの面白いところを見つけるのが楽しかったんですよ。その中で、こいつはいつも漫画を読んでるなぁとか、こいつはずっとひとりで音楽聴いてるなぁとか、そういう人のほうがコアなところに潜る力を持っているように見えて。そういうコアさ、深さに対する憧れがある人間でした。で、それが今のバンドのスタイルに繋がってる気がするんですよね。いろんなジャンルの人と一緒にやって、いろんな人のいいところを見つけていく。それが自分達の幅にもなっていく……そうやってジャンルの壁を越えていくための武器が『コミックバンド』だったのかなと思います。23、4歳の頃は特に、『笑いで壁を超えたい』っていうMCをしてました。

ーー<君の好きなロックバンドもきっと/ドリフターズで大人になったはず><それは涙のルーツにも/笑いがあることの立証>(“コミックバンド”)という歌詞が腑に落ちました。音と人を越境させるための共通言語として笑いを求めるっていう。

北島:ひとりで過ごしている人に話しかけたいタイプだったので。そういう人と話したり近づいたりするための一番の方法が笑うことだったんですよね。それが、僕の青春と今に通じている部分なのかなと思います。

ーー林さんにとって、「終わらない青春」とはどんなキーワードですか。

:そうですねえ……鈴木さんと北島さんの話を聞ききながらずっと考えてたんですけど、青春って言葉にするのが難しいものやなって思いました。20代前半の頃は、MCでも『青春』っていう言葉を多く使ってて。“拝啓、少年よ”はMCありきで演奏することが多いんですけど、そこで『お前の青春を歌いに来たぞ!』って言ってたんですよ。今考えると、ようあんなこと言ってたなって思います(笑)。

北島:ははははは。

ーー「ようあんなこと言ってたな」っていうのは、どういう意味合いで?

:あんまり青春の意味もわかってないのに、なんであんなこと言えたんやろ?っていう感じですかね。ただ、よくわからないままだとしても青春というものに引力を感じていたんですよ。じゃあなんで引力を感じていたのかっていう話ですけど、おそらく大きかったのは、チャットモンチーが解散前最後に開催した『こなそんフェス 2018』に出させてもらった時に、『私の中でチャットモンチーは青春のすべてやった。だから次は私が誰かの青春になります』という旨のことを言ったんですよね。それが自分の中で『青春』という言葉の引力を生んだのかもしれない。

ーー青春時代が今に繋がっているのなら、その青春を続けることがまた誰かの青春の光になるはずなんだっていう気持ちが生まれた。

:そういう感じかもしれないです。勝手に責任を感じているところもあったのかもしれないんですけど。私がチャットモンチーにもらった青春を、今度は私が伝えていくんや!っていう。……ただ、誰かのことを代弁してやろうっていう気持ちはゼロなんですよ。あくまで自分にリンクすることしか歌えないから。タイアップの機会をいただくこともあったんですけど、誰かのオーダーに100%沿って曲を作るのは絶対に無理やなって実感して。あくまで自分にリンクすること、自分の経験から言えることしか歌にできない。それはここまで続けてきた上での再発見でした。

Hump Back

ーーここまでの話を聞いて、PONさんはどんなことを思います?

PON:やっぱり僕自身も、部活でレギュラーを張ってるヤツの歌より、ベンチにいるヤツの歌が好きなんですよ。主役にはなれないけれども、主役になれないヤツにも青春がある。そこにも、人それぞれの頑張りがある。で、青春という言葉の意味合いにおいては、主役になれなかったヤツらの気持ちのほうが強いと思っていて。だからこの3バンドの対バンに『終わらない青春の歌』というサブタイトルをつけたんでしょうし、さらば青春の光にも出て欲しいと思ったんでしょうし。それはここまで話していて気づかされたことです。

ーーいい機会なので伺ってみたいんですが、先ほど北島さんから挙がった<青春ごっこを今も 続けながら旅の途中>というランドマークのような歌詞を、鈴木さん自身はどういう気持ちで書かれたんですか。

鈴木:“深夜高速”を書いたのはもう20年前ですけど、本当にただその時の状況をそのまま書きました。でも、20年経っても状況は何も変わってないんですよ。相変わらずずっとツアーやってるし、ずっと全力で歌ってるし。だから鮮度が変わらないというか。

北島:それは凄い。

鈴木:“深夜高速”をセットリストから外している時期もあったんですけどね。でも今は、歌う気持ちがまた戻ってきているというか。今のほうがいいと言ったら大袈裟だけれども、作った時とは違う切実さをもって歌えている曲ですね。この曲を聴きに来ているお客さんのためにセットリストに入れていた時期もあったんですけど、今はそういうことではなくて、余計なことを考えず歌の中で解放される感覚がある。それが届いていたらいいなと思って歌えている曲ですね」

ーー今のほうがより切実に、かつ素直に“深夜高速”歌えるのはどうしてだと思いますか。

鈴木:やっぱり歳をとってきたことが大きいんじゃないですかね。人生の時間が少なくなってきているから、より一層、バンドを続けるのは奇跡のようなことだと理解できるようになった。きっと“深夜高速”にある意味飽きていた40代の頃は、その辺りが曖昧だったんだと思う。

:歳を重ねた上で感じることと言えば、私はもう、“拝啓、少年よ”みたいな曲は書けないと思っていて」

北島:へえー! なんで?

:凄く若いお客さんに対して自分達が見せられることや歌えることが、少しずつフィットしなくなってきた気がしていて。“拝啓、少年よ”は自分も若い人と同じ目線で書けた曲やと思うので、若い人と同じ気持ちでいられなくなった今は、ああいう曲を書けないと思います。でも私は、若い人のほうを向いて歌っていたい気持ちが強くて。じゃあ何を歌いたいのかと言ったら……Hump Backはメンバー3人が全員出産したんですけど、子供を育てる中で『この子もいつかは私の手から離れるんやな』って考えるんですよ。そこから繋がって、私達のライヴに来てくれている人を見る時に、『この人達も誰かの子供なんやな』っていう視点が生まれてきて。

ーーその気づきは強烈ですね。事実過ぎて。

:たとえば私の子供が20歳になって私達のライヴを観ているとしたら、自分は何を歌ってあげたいかな?っていう考えになってきて。これは直接的に『青春』というテーマを体現するものではないと思うんですけど、結果的に、自分が若い人達に向けて歌いたい理由になってるんですよね。そういう感覚でバンドを続けて、歳を重ねるようになってきました。

北島:年齢によって自分が変わるのか・変わらないのかもありますけど、年齢によって周囲で起きることが変わっていくじゃないですか。たとえば、自分の周りの人間が亡くなっていくなんて昔は考えなかったから。そういう経験が歌に反映されていくことは、間違いなくあって。あと、自分の子供が泣いて帰ってきた時の親の気持ちとか。そんな気持ち、若い時は歌の題材にできるはずもなかった。それもまた、年齢と共に増えていく痛みなんですよね。なので、年齢と共に曲が変わっていくのは自然なことやと思う。それは歌詞に限った話ではなくて、できることが増えれば増えるほど、曲もメロディも変わっていく。その上でどんなライヴをできるのかっていうのが、バンドを続けていく面白さなんやと思います。

フラワーカンパニーズ

ーー音楽論以上に人生論として、三者三様のお話、面白いです。さらば青春の光との対バンについて、北島さんはどんな楽しみがありますか。

PON:そう、それを僕も訊きたかったんです。四星球は芸人さんとの対バンを多く経験されてますけど、それはどういう刺激があるものなんですか。

北島:たとえばバンドと芸人さんの数が半々か、芸人さんのイベントに誘っていただくものなのか、その形式によって全然空気が違いますね。なので一概には言えないんですけど、さらば青春の光に関して言えば、とにかくフォーマットの多さに強烈な刺激を受けます。漫才にしてもコントにしても、こんなやり方があるんや!って思う。さっき話した壁を超えていく姿勢にも繋がりますけど、四星球は『こんなライヴのやり方もあります』と提示したい気持ちを持っているので、そういう部分でさらば青春の光から学ぶことは多いです。あと、さらば青春の光の凄いところはインディペンデントな体制であることですよね。僕達もマネジメントは自主でやっているので、そこで親近感を覚えます。お笑いのフォーマットだけではなく、動き方としてもどんどん新しいことにトライしていける体制、そこがカッコいいなと思いますし、そういう意味でもご一緒するのが楽しみです。

鈴木:僕も楽しみですね。テレビでしか観たことがないので、生で観るのが楽しみ。現状、何をやるんだろう?っていう感じではありますけど。

PON:さらば青春の光は、基本的にコントをやってもらいます。あとは、着替えながらフリートーク。

鈴木:着替えながらフリートーク?(笑)

PON:その繰り返しを持ち時間内でやってもらう予定になってます(笑)。持ち時間を渡して、その中でネタを何本できるか考えてもらう形。

:ROTTENGRSFFTYがやっている『響都超特急』に出させてもらった時に、私達の前のお笑いステージがさらば青春の光だったんですよ。お笑いの後にライヴをやるのが初めてだったので、どんな感じでライヴを始めたらいいのかを考えるためにもしっかりネタを見たんです。そしたら、真面目な俳優さんやと思ったら実はAV男優やったっていうコントをやられていて。この後にライヴをするんか!って思いました(笑)。

北島:ははははははは!

:なので今回も楽しみです!

ーー(笑)。青春というでっかいテーマでいろんなお話を伺いましたが、青春って、その渦中では気づけないものだとよく言うじゃないですか。だからこそ、大人になるにつれて青春が巨大なロマンになっていく気がするんです。<青春ごっこ>の言葉の通り、掴めるものなのか掴めないものなのかがわからなくても、それでもここに確かに在るんだと感じられるイベントになることを願っています。

鈴木:そう、青春って、振り返った時に見えてくる言葉なんだと思う。

:渦中にいる時にはわからないものですよね、きっと。

鈴木:人によっては、思い出したくもない大嫌いな記憶に直結する言葉かもしれないし。そういう意味でも、人それぞれに形が違うのが青春なんだと思います。自分にとっての<青春ごっこ>はどうかって考えると……今年で57だから、ここからは老いとの闘いなんですけどね(笑)。

北島:そういうことを考えますか。

鈴木:どうしても、体が老いていることに心が気づかないというか。で、そこに気づかないままやってきた人たちが体を壊してるからね。そこは微調整をしなくちゃいけないって思います。青春っていう言葉はどうしても年齢に繋がるものだし、年齢っていうのは時間に結びつく。じゃあその時間が何かって言ったら、最終的に死ぬまでの時間じゃないですか。そして、誰も死からは逃れられないじゃないですか。だから大きなテーマはそれでしかないんですよね。生を歌うことは死を歌うことだし、年齢関係ないとは言ってもどこかで残り時間を気にしてるし……それが自分のテーマなんじゃないかなと思います。

PON:今回初出演していただくフラワーカンパニーズとHump Backにも楽しんでいただきたいですし、何より僕自身が楽しみなイベントです。泣いて笑って、感情を全開にしてもらえたらいいなと思ってます。


取材・文=矢島大地

イベント情報

『WALK THIS WAY〜12年目でも終わらない青春の歌編〜』
日時:2026年3月26日(木) Open 17:30/Start 18:30
会場:KT Zepp Yokohama
出演:Hump Back/四星球/フラワーカンパニーズ/さらば青春の光