上田堪大、武道の魂が感じられるシンを呼び起こす~ミュージカル『フィスト・オブ・ノーススター 〜北斗の拳〜』ビジュアル撮影レポート
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ミュージカル『フィスト・オブ・ノーススター~北斗の拳~』 シン:上田堪大 (C)武論尊・原哲夫/コアミックス 1983 版権許諾証GS-111
2021年8月半ばのある日、ミュージカル『フィスト・オブ・ノーススター〜北斗の拳〜』でシン役を務める上田堪大のビジュアル撮影が行われた。
全身白に包まれた上田が和やかな表情で撮影スペースにやってきた。まずは肩慣らし。カメラマンの「さ、始めましょう!」の声かけで最初のカットが始まる。
「登場の場面のイメージで」のオーダーに合わせ、腕を組んで堂々正面を向く。顎の上げ下げ、口角への力の入れ加減など緻密な微調整でもっとも“圧”を感じさせる一瞬を探る。動くたびにゆっくりと揺れるマントのドレープも自然な演出ポイント。長身のスラリとした全身のラインが輝くように美しく、キッと見据えた瞳とのバランスで秘めたる狂気がジリジリと滲み出てくるようだ。
上田堪大 ビジュアル撮影の様子 (C)武論尊・原哲夫/コアミックス 1983 版権許諾証GS-111
続けて手の表情を加えてのバリエーション。まだ迷いもあるのだろうか、上田は度々モニターチェックを行い、原作監修の方々にも積極的に話しかけながらビジュアルイメージをすり合わせていた。
完全にスイッチが入ったのは手刀を入れた時。それは、武道の心得のある上田自身の心とシンの魂がひとつに繋がった瞬間だったのかもしれない。そこからシンの流派である「南斗孤鷲拳」の手の型を使ったバリエーションではグッと凄みが増し、「ドンと見下しちゃって!」の声かけにも力強く反応。両腕を広げ肩の高さまで上げる“あのポーズ”では、スタッフ陣から「待ってました!」の歓声も。
シャープなフェイスラインと陰影の強いライティングがベストマッチな横顔や背中越しの表情に寄った「静」のカットはとてもドラマティックで、マントを広げ群衆を制圧するような表情も似合っていた。さらに、一口水を含み、身体を丁寧にほぐしてから挑んだマントごと豪快に蹴り上げるキックシーンのショット、武道家を彷彿させる右手をまっすぐ突き出した威嚇のポーズなど、スタッフ&カメラマンと呼吸を合わせて“一瞬”が求められる劇画チックな場面もひとつひとつ制覇。マントとスーツというスマートな“鎧”にキレと熱をギュッと秘めたシンが、そこに居た。
上田堪大 ビジュアル撮影の様子 (C)武論尊・原哲夫/コアミックス 1983 版権許諾証GS-111
上田堪大 コメント
シンは悪役、敵役という立ち位置にはなるんですが、愛の物語という視点から見ると、本当に「いい男」ですよね。「北斗の拳」に出てくるキャラクターはみんな愛があって、優しさがあって、僕自身も大切にしている「思いやり」を持った人ばかり。もちろんシンもその中の一人。ただ、自分が演じることは思った以上に想像がついていなかったのですが……衣裳とメイクとウィッグをつけていざ撮影に臨んだら、すごく気合いが入りました! 自分も武道をやっていたので「構えて」と言われると自然と集中も高まり、改めて「これから大切に演じていこう」「僕らしいシンを追求していくぞ」という思いを噛み締めています。
原作は出演が決まってから読ませていただいたんですけど……もっと早く出会っていればよかった!! 今もどんどん引き込まれていますし、子どもの頃から読んでいたらきっと自分の武道の鍛錬にも活かせたことがたくさんあっただろうな、とも思いました。自然と内なる漢の魂がフツフツと燃えたぎってくる熱さがいいですよね(笑)。
グランドミュージカルに出演させていただくのはこれが初めて。僕自身はもうとにかく「修行」という心境です。周りにしがみついてでも必死にやるしかないし、「今までやってきたことの中でどこまで闘える?」と、今の自分に自分を問い質してもいる。稽古はおそらく自問自答の日々。でもそこから生まれるモノを信じ、そしてこの作品でシンを演じきった後に見えるであろう自分の新しい景色を想像し──修行、挑戦、飛躍。大切なターニングポイントになる作品になるのは間違いありません。みなさま、どうぞよろしくお願いいたします。
取材・文=横澤由香
公演情報
音楽:フランク・ワイルドホーン
演出:石丸さち子
脚本・作詞:高橋亜子
振付:辻本知彦 顔安(ヤン・アン)
主催:ホリプロ/博報堂DYメディアパートナーズ/染空间 Ranspace/イープラス
主催:梅田芸術劇場
お問合せ:梅田芸術劇場 06-6377-3800 (10:00~18:00)
https://www.umegei.com/schedule/1007/
主催:中京テレビ放送
お問合せ:中京テレビ事業 052-588-4477 (平日11:00~17:00/土日祝休業)
https://cte.jp/hokuto-no-ken/