パンダドラゴン×音楽プロデューサー・阿久津健太郎 2組の愛があふれる関係性とこれまでの歩みを最新作「サファリズム DE ね〜しょん!!」を通して紐解く
パンダドラゴン×阿久津健太郎
MeseMoa.の弟分として活動する6人組ボーイズグループ・パンダドラゴンが、2021年9月10日に5thシングル「サファリズム DE ね〜しょん!!」をリリースした。同曲のリリースを記念して、SPICEではパンダドラゴンのこれまでの楽曲を数多く手掛けてきた音楽プロデューサー・阿久津健太郎氏との座談会を実施。
1stシングル「恋してBAILA!」や最新作「サファリズム DE ね〜しょん!!」などの楽曲制作の裏側、そしてパンダドラゴンらしいエピソード(!)も飛び出した、特別インタビューをお届けします。
――1stシングル「恋してBAILA!」から、パンダドラゴンの楽曲の多くを手がけている阿久津さん。もう3年のお付き合いになるのですよね。
阿久津:そうなんですよ。でも、こうして一緒に取材を受けるのは初めてだよね。
ぱっち:はい! 阿久津さんにはいつも大変お世話になっているのですが……本日はあらためてよろしくお願いします!
阿久津:こちらこそ! 振り返ってみると、知人にお誘いいただいてパラゴン(パンダドラゴンの略称)の先輩グループであるMeseMoa.(めせもあ。)のライブを観に行ったときに、初めてみんなに出会って。
なるき:ご挨拶させていただいたこと、憶えています。
ぱっち:僕たちがMeseMoa.さんの全国ツアー『Maze No.9』でオープニングアクトを務めたときですよね。
阿久津:そうそう。たいがくんはまだいなかったと思うけど……。
たいが:そうなんです、僕だけパンダドラゴン加入が決まってまだ日が浅かったので。
阿久津:みんなもパンダドラゴン結成直後で、衣装じゃなくてそれぞれのイメージカラーに名前がプリントされているTシャツを着ていたよね(笑)。
ぱっち:合格してから、まだ3か月くらいのタイミングだったもんね。
なぎ:うん。懐かしい(笑)。
阿久津:そこから、1stシングルの表題曲を僕が担当させてもらうことになって。
ようた:そうだったんですね! 阿久津さんが僕たちに楽曲を提供してくださるようになったきっかけ、今知りました。
パンダドラゴン
――それにしても、スパニッシュテイストの「恋してBAILA!」に始まり、チャイニーズテイストの「VIVA! チャイナ」、アフリカンテイストの「サファリズム DE ね~しょん!!」など、世界各国の音楽要素を大胆に取り入れたシングル表題曲は、どれも鮮烈です。中でも、「恋してBAILA!」はパンダドラゴンのオトナっぽさ、艶っぽさを引き出しているなと思います。
阿久津:ほかにもいくつか提示した中で、この曲が選ばれて。一発目の作品にして、かなり攻めていますよね。でも、最初からみんな「恋してBAILA!」に似合うウエットな歌い方をしてくれていたんですよ。なぎちゃんなんかは、最初はちょっと戸惑っていたけど(笑)。
あづ:最初のシングル表題曲はかわいい感じの曲になるんだろうなって勝手に想像していたら、めちゃめちゃ大人っぽい曲で。
――なぎさん、当時はまだ中学生でしたものね。
なぎ:そうなんですよ。まだ13才だったので、ちょっと低く歌ったらいいのかな?とかあれこれ手探りしながら、当時の自分なりに大人っぽく歌おうと頑張りました。
なるき:うん、よく頑張った! いやぁ、「恋してBAILA!」は本当に意外でした。フレッシュさとかかわいさが全開の楽曲がくるかと思いきや、大人っぽいし、とてもかっこいい楽曲で。リリースしていろいろなところで披露してみれば、ファンの方々に「かっこいい表現に挑む姿が良い」と言っていただけたりもしたし、大きな一歩を踏み出せた作品になりました。
阿久津:「恋してBAILA!」のMVを観て、びっくりしちゃったもん。イメージカラーに名前がプリントされているTシャツを着ていたときとは全然違って、大人っぽい雰囲気をちゃんとまとってるじゃん!って。
ぱっち:嬉しいです。MeseMoa.さん、*ChocoLate Bomb!!さんという先輩グループがかっこいい表現をされる方たちなので、MV撮影の前にたくさん参考にさせていただいて。フレッシュなグループが挑戦する背伸びしたかっこよさは、あのときならではのものだろうし、あれから3年経った今でも「恋してBAILA!」を歌うたびに、前回よりここをもっとかっこよく歌おう・魅せよう、というチャレンジができていたりもします。
パンダドラゴン
――楽曲をとても大事にしているし、真摯に向き合っているのですね。
阿久津:僕としては、本当にそれが嬉しくて。ファンの方たちにしても、メンバーへの愛はもちろん、楽曲に対しての想いも強いよね。
たいが:そうなんです、アツい方が多いんです。
ぱっち:最新シングルの表題曲「サファリズム DE ね~しょん!!」にしても、情報公開時点で「阿久津さんが作った曲なら間違いない!」って言ってくださっていたもんね。
阿久津:うわぁ、ありがたい。やりがいがあります。
たいが:僕はもともと、音程が合ったら奇跡!っていうくらい歌うことが苦手で、レコーディングのときには阿久津さんからいろいろアドバイスしていただいて。阿久津さんがていねいに優しく導いてくださったおかげで、歌うことへの意識が前向きに変わりました。
あづ:アイドル大好きほかのメンバーと違って、MeseMoa.さんが好きっていうだけでこの世界に飛び込んだ僕は、地声が低いということもあって、一発目にアイドルの王道っぽいかわいい曲がきたらどうしようっていう不安があったんですね。「恋してBAILA!」みたいなかっこいい曲が最初にきてよかったし、その後に「VIVA! チャイナ」でかわいいパンダドラゴンを見せるというギャップも好きです。阿久津さん、ありがとうございます!
ようた:本当に、感謝しています。それまでカラオケくらいしか人前で歌う経験をしてこなかった僕たちにとって、「恋してBAILA!」は、初めてのオリジナル曲。レコーディングしたあと、みんなで一緒に完成した曲を聴いたときの感動は、今も忘れません。
パンダドラゴン
――その後、シングルのほかに『APRIL』、『MARCH』という2枚のアルバムも、一緒に制作してきました。パンダドラゴンならではの強みや成長など、阿久津さんからはどのように見えているのでしょうか。
阿久津:僕としては、パラゴンと一緒に制作をしていて、“青春感”がめちゃくちゃハマるグループだなということを思うんですよね。2021年3月にリリースした2ndアルバム『MARCH』なんかは、まさにその“青春感”が詰まっていると思います。そして、パンダドラゴンは本当に個性豊かなグループ。それが如実に表れているのが、「サファリズム DE ね~しょん!!」なんです。自分の中でなんとなくキャラづけがあって、リアクションキングのたいがちゃんはターザン。なるきくんとなぎちゃんは、チップ&デール。ぱっちくんとようたくんは、『ワンピース』のルフィとゾロのイメージ。ようたくんって、かっこよさがあるじゃない?
ようた:え、そんな……ありがとうございます(照)。
阿久津:だから、「サファリズム DE ね~しょん!!」はパンダドラゴンのかわいさや楽しさがあふれている明るい曲なんだけど、ようたくんにだけは「ずっとかっこよく歌ってね」って言って。
ぱっち:確かに、ようたの歌はかっこいい。
阿久津:あと、あづくんの声は太くて説得力があるから、メッセージ性のあるワードはあづくんに歌ってもらおうかな、とか。みんな見た目はかわいいけど、いい意味で声はかわいくないっていうところもよくて(笑)。でも、なるきくんとか、めちゃくちゃ色っぽいしセクシーだから、「恋してBAILA!」も僕が思っていた以上のものになったし。
ぱっち:「恋してBAILA!」のなるきくんパート、<風に戯れる君の本当に踊り子のよう>とか、色っぽいもんね。
なるき:照れるじゃん(笑)。
阿久津:本当にね、6人それぞれに個性があるし、グループとして音域が広いから、曲を作るのは毎回楽しいですよ。
阿久津健太郎
――メンバーのみなさんとしては、阿久津さんと制作を重ねる中で、気づいたことや変化はありますか?
ぱっち:僕たちはパンダドラゴンとして活動する以前はお仕事として歌ったことがなかったので、正直に言うと、それまでは歌に個性が出るということを知らなかったんですよ。でも、阿久津さんと出会っていろいろと教えていただけたおかげで、自分の声や歌い方にどんな個性があるのかを知れたし、歌の個性が伸びることによってそれぞれのキャラも立ってくるようになったなと思います。
たいが:本当にそれ! あと、この3年でだいぶ阿久津さんと仲よくなれたと思ってます(笑)。
ぱっち:阿久津さん、僕たちのツイートをリツイートしてくれるし(笑)。ライブ配信も観てくれていますよね。
なるき:個人の聖誕祭とかもね。
あづ:そうそう。それに、僕が出演した舞台『赤毛のアン』は、ライブ配信のをわざわざ購入して観ていただいたということを後から知って。
なぎ:なんてありがたい!
なるき:本当だよね。
阿久津:いやいや、ライブもそうだけど、舞台の1枚の重みを知っているからさ。コロナ禍で観客数も制限されているわけだからね、ちゃんと代を支払って観させてもらいたいなっていう。それに、パラゴンって本当に面白いグループだから、自然と追いかけたくなるんだよね(笑)。
あづ:YouTubeでただ雑談しているだけの動画とか……。
ぱっち:ただゲームしているだけの配信とかも……。
阿久津:うん、観てる。
たいが:本当にくだらない内容だから申し訳ない(笑)。
阿久津:いやいや。なぎちゃんなんか、ひとりのゲーム配信だとめっちゃしゃべるよね。
なぎ:みんなと一緒にいるときは誰かがしゃべってくれるっていう安心感みたいなものがあるんですけど、ひとりのときは沈黙の時間を作りたくなくて。ついつい、しゃべっちゃうんです。ただのゲーム配信を阿久津さんに観ていただけているなんて、すごくうれしいです(笑)。
たいが:そうやって僕たちのいろいろな表情を知ってもらっているからこそ、僕たちに似合った楽曲を作ってくださっているんだなとあらためて思います。
パンダドラゴン
――阿久津さんのパンダドラゴン愛、ひしひしと感じます。先ほども触れられていたように、「サファリズム DE ね~しょん!!」にしても、それぞれの個性やグループとしての爆発力が詰まった楽曲になっていて。
ぱっち:そうなんですよ! 「サファリズム DE ね~しょん!!」は、イントロの鳥のさえずりからターザンのような雄叫び、楽しい音が入ってきて、とにかく賑やかでエネルギッシュな曲。しかも、歌詞がいいんですよ。
――確かに、<誰もがオリジナルを生きて 自分らしさを卑下しないで>とか……。
たいが:めっちゃ泣けるんですよ!
ぱっち:<自分らしさを卑下しないで>は、声が太くて説得力があるあづが担当していて。ステージでは、最後に横1列になって<ボクらが目指すべき先は 地平線の向こう>って歌うんですけど、レコーディング、振付、MV撮影、初披露に向けてのリハーサルを経て、歌えば歌うほどにグっときてしまいます。
阿久津:「サファリズム DE ね~しょん!!」が完成するまでには、紆余曲折があったんだけどね。テーマと民族感あふれる衣装の画像が送られてきて、2週間くらい毎日、民族音楽の動画ばっかり観ているうちに、ガチな民族楽器しか鳴っていないような曲のイメージができて、どうしたらいいかわからなくなって(笑)。
――伝統的な民族音楽とJ-POPをどう融合させるのか、難しそうです。
阿久津:そうなんですよ。民族音楽ってコード感が少ないから、メロディがつけにくくて。でも、ぱっちくんから送られてきた、メンバーひとりひとりが動物に扮するキャラクターを描いたイラストを見た瞬間に、ガチ民族な曲調じゃだめだっていう方向転換がすっとできたんです。ぱっちくんに感謝しないと。
ぱっち:いえいえ、そんな(笑)。
たいが:さっき話に出たようなメッセージ性もあるし、パラゴンらしさもあるし。阿久津さんさすが!って思いました。
ようた:本当に。「「VIVA! チャイナ」みたいなわちゃわちゃしたパンダドラゴンが好き」って言ってくださる方が多いんですけど、そのわちゃわちゃ感もあるもんね。歌っていても踊っていても、すごく楽しいです。
なぎ:自然と身体が動いちゃうし、元気をもらえる曲だよね。
なるき:自分たちと応援してくださる方たちで、一緒に楽しめるし。
あづ:うんうん。僕たちだからこそっていう曲になったと思います。
「サファリズム DE ね~しょん!!」MV
――ファンの方たちはもちろん、偶然どこかで曲を耳にしたりMVを目にしたりした方も、グイっと惹きつけてしまう力が「サファリズム DE ね~しょん!!」にはあります。今後も、阿久津さんとパンダドラゴンとで、色鮮やかな化学変化を生んでいくのでしょうね。
阿久津:「サファリズム DE ね~しょん!!」のカップリング曲、胸キュン系の「ダイスキ☆シンドローム」なんかがまさにそうなんですけど、こんな曲を歌ってみたい、というメンバーの要望があればどんどん僕も応えていきたいなと思っています。
ぱっち:そう言っていただけるって、すごくありがたいことだよね。いつか、バッチバチにかっこいい曲とか、お願いしてみたくない?
ぱっち以外のメンバー全員:それいい!
阿久津:なぎちゃんにはかわいい歌を歌ってほしくなっちゃうんだけど……1stアルバム『APRIL』に収録の「NA・NA・NA」では、<Break>っていうフレーズでめっちゃ男っぽさを出してくれたしね。
ようた:確かに、あのなぎの<Break>は男らしかった(笑)。
なぎ:ありがと(笑)。
ぱっち:高校生になったなぎは、より男っぽい表現もできそうだよね。「恋してBAILA!」で、当時の僕らなりのオトナっぽさ、かっこよさを引き出していただいた阿久津さんに、成長したパラゴンのかっこよさをまた引き出していただきたいな、という願望があります。
なるき:ワクワクする! 2020年に2周年記念公演を開催したとき、阿久津さんにお願いして、「恋、サクラ前線。」(1stアルバム『APRIL』収録)という曲でこれまでやったことのないハモりに挑戦したんですよ。“パラゴン歌うまくなったな”といつか阿久津さんに認めていただけたら、僕はハモり満載のバラードも歌ってみたいですね。
たいが:いいね、バラード!
阿久津:たいがちゃんがハモりを間違えなければね。
たいが:「桜Ambitious」(2ndアルバム『MARCH』収録)のレコーディングのときの事件ですね!(笑)
パンダドラゴン
――といいますと……?
阿久津:メインの歌メロは無しでハモりのガイドだけを入れたデータを各メンバーに送ったんですけど、たいがちゃんはなぜか後ろに薄く入っているシンセサイザーの音を拾ってしまって(笑)。
あづ:僕とたいがが同じ下ハモのパートを担当したんですけど、<ボン ボン>っていう低音のハモりのはずなのに、僕のあとにブースに入ったたいがが全然違うフレーズを歌い出してね(笑)。
たいが:僕からしたら、自分と同じパートのはずのあづが<ボン ボン>って言ってる!ってすごく驚いちゃって(笑)。
――逆に、よく後ろで薄く流れているシンセサイザーの音を拾えましたね(笑)。
なるき:確かに、逆に難しいですよね(笑)。
たいが:うん、めっちゃ難しかった(笑)。
あづ:よく、メインの<ボン ボン>を無視できたよね(笑)。
阿久津:あれはね、僕もびっくりした(笑)。
ぱっち:たいががハモりを間違えないようになったら、バラードに挑戦させてください(笑)。
ようた:お願いします!(笑)
パンダドラゴン×阿久津健太郎
――さて、10月21日にはパンダドラゴン初のホールワンマンライブ『サン&ムーン「サン」』を、2022年1月からは全国5都市をまわるZeppツアーを開催するわけですが、リーダーのようたさん、この先に向けての想いを言葉にしていただけますか。
ようた:コロナ禍でも止まることなく、配信ライブや生放送を行って、6月から7月にかけては『東広阪ツアー 〜ぱらごんといっしょ〜』も開催して。この先には、初のホールワンマンライブ、Zeppツアーと大きいイベントを用意していただいているわけですけど、支えてくださっているスタッフのみなさん、応援してくださっているファンのみなさんの期待に、しっかり応えていきたいなと思っています。パラゴンは負けず嫌いの集まりでもあるので、絶対にやってやるぞ!という強い気持ちを持ち続けながら、一歩一歩しっかり踏みしめながら進んでいきます。
阿久津:Zeppツアーってひとつのチャレンジだけど、成功したら必ず道がひらけるし、パラゴンならそれができると信じているので。僕も全力でサポートしていきますよ。
メンバー全員:ありがとうございます。よろしくお願いします!
取材・文=杉江優花
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