Creepy Nuts、アイナ・ジ・エンド、UVERworldが異種格闘競演 『バズリズム LIVE 2021』DAY1オフィシャルレポート
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Creepy Nuts PHOTO=山内洋枝
11月5日(金)、『バズリズム LIVE 2021』が神奈川県・横浜アリーナで開幕。オフィシャルレポートが到着した。
バズリズムLIVE 2021/DAY1 2021,11,5(Fri)横浜アリーナ
『バズリズム LIVE』は日本テレビ系の音楽番組『バズリズム02』が発信するイベントとして、2015年に初開催。今年は通算7回目で、バズリズム LIVE史上初となる3日間される。初日のDAY1にはCreepy Nuts、アイナ・ジ・エンド、UVERworldの3組が出演。DAY2のダンス・パフォーマンス系、DAY3のバンド系と、開催日によってラインナップのカラーがあるが、DAY1の3組はジャンルが全く違うアーティストで構成され、異種格闘技戦の様相で3組の競演がどんな化学反応を起こすのかが楽しみな一夜だ。入場時の検温、全員のマスクの着用、ライブ中は声を出さず、間隔を空けての座席配置と、充分な新型ウィルス感染予防対策の中で開催された。
18時ちょうどになると、ステージには司会のバカリズムと市來玲奈(日本テレビアナウンサー)が登場。来場の観客に、感染症予防対策をあらためて説明する。さらに、バカリズムは、「声を出せない代わりに、手のひらを激しくぶつけ合う“手鳴らし”ということをやれば、ライブを盛り上げられますよ!」と提案。つまり拍手のことだが、バカリズムならではのボケにオーディエンスも“手鳴らし”で応じる。「今夜はまさに異種格闘技戦というラインナップ!最後まで盛り上がって行きましょう!」を合図に『バズリズム LIVE DAY1』がいよいよスタートした。
Creepy Nuts R-指定 PHOTO=山内洋枝
最初に登場したのは、Creepy Nuts。街頭のSEが流れる中、ステージ中央にR-指定とDJ松永のふたりが現れ、「板の上の魔物」でライブはスタートした。どこか郷愁を感じさせるトラックに乗せR-指定のワードがマシンガンのように火を吹く。広い場内が徐々に暖まり出したと見るや、「声は出せないけど、手鳴らし、飛び跳ねは合法となっています!」と煽り、「合法的トビ方のススメ」になだれ込む。これで会場も一気にヒートアップ。
Creepy Nuts DJ 松永 PHOTO=山内洋枝
中盤のMCでは、自分たちなりのライブの楽しみ方を模索しながら参加するオーディエンスに対し、「お客さんの反応、むちゃくちゃいいです」と絶賛。DJ松永は「今日は、凄いメンツと横並びになりましたよ」と、興奮を隠せない。これを受け、R-指定は「強豪たちと一緒にいても、どんな現場に行っても、俺たちはラップとDJが看板。俺たちが勝てる要素がひとつあるとすると、異論もあるとは思いますが、私たちCreepy Nutsが日本のヒップホップの顔役でございます!」と、「顔役」に続く。
Creepy Nuts PHOTO=山内洋枝
トークでは様々なことを話しながらも、最後は次の曲に繋げ、まるで落語の“枕(マクラ)”のような鮮やか流れをみせる。
後半になると、横浜アリーナはすっかりCreepy Nutsモード一色に。7曲目の「かつて天才だった俺たちへ」で、彼らはギアをひとつ上げた。R-指定は客席に身体を預けるように前傾姿勢で向かって行き、ワードを連続高射砲のように叩き込む。もはやヒップホップ/ラップではなく、ラウド・ロックの様相を呈してきた。松永もギターソロを披露するかのごとく、流麗な指さばきでDJプレイを展開。「今考えている事をアウト・プットできるラップは、懐の広いカルチャーだと思います」と話し、「この先、どんな状況になってもラップはやり続けるという決意を込め、三十路になった自分たちへの節目として書いた曲です!」との言葉から、最後に「のびしろ」を披露して45分のステージを終えた。
アイナ・ジ・エンド PHOTO=山内洋枝
2番手のアイナ・ジ・エンドは、バンドの演奏が始まる中、黒い衣装に身を包み左手に白い薔薇を一輪もってステージ・センターにあらわれる。ファースト・アルバム『THE END』に収められた「ハロ」でライブがスタート。硬質でエッジの効いたノイジーなギター・サウンドに、ハスキーかつキュートなボーカルが乗る。本来なら相反する両者だが、不思議と違和感なく調和を重ね、アイナ・ジ・エンドの両脇には黒いコスチュームのMASHとUFOの二人のダンサーがキレキレのダンスを披露。3人の一糸乱れぬダンス・パフォーマンスは圧倒的で、前世紀初頭のパリやベルリンで見られたようなデカダンスのムードがステージに漂う。「今日は横浜の皆さんと犬になれたらいいなと思ってます」と語った曲「ZOKINGDOG」では、犬の前足を動かす仕種をダンスに取り入れた“”わんわんダンス大会”と称したダンスを披露。オーディエンスにもダンスの参加を促し、ここで客席と彼女が一体化する。
アイナ・ジ・エンド PHOTO=山内洋枝
後半ではダンサーがステージを降り、アイナ・ジ・エンドが歌をしっかりと聴かせていく。7曲目の「家庭教師」では、ステージ中央に置かれたブラック・レザーのソファに寄りかかり、ときおり身体をくねらせながら妖艶に歌い、実にシアトリカル。客席も息を呑んで見守る。
アイナ・ジ・エンド PHOTO=山内洋枝
アイナ・ジ・エンド PHOTO=山内洋枝
この夜のセットリストは、9月と10月にリリースしたEPからの選曲が中心。つまり殆どが新曲だ。「BiSHではCreepy Nutsさんとご一緒させてもらったけど(今日はソロになって) 初めての対バンやな、緊張するな」とつぶやき、「まだ、どこにも出したことがない新曲をもってきました」と、11月24日リリースのセカンド・アルバム『THE ZOMBIE』から「神様」を初披露。広い会場の隅々にまで響き渡るよう、じっくりと歌い上げる。
アイナ・ジ・エンド PHOTO=山内洋枝
アイナ・ジ・エンド PHOTO=山内洋枝
ラスト・ナンバーは、9月にリリースしたEP『BORN SICK』に収められた「ペチカの夜」だ。「学校や職場でしんどい時があったら、どこかに逃げてもイイと思います。そんな時は今日を思い出して、夢の中に一緒に逃げようと思って作りました」と、ギターを弾きながら、語りかけるように歌う。アジテーションを訴える1960年代のフォーク・ロックのような趣きもある楽曲だ。静かに始まった「ペチカの夜」では、中盤から個々の楽器が火を吹き、うねり転げあって激しさを増していく。バンドの放つ重厚なサウンドと彼女のボーカルが三位一体となりラスト・ナンバーを締めた。ステージを降りる際、彼女は客席に向かって深々とお辞儀。さらにバンド・メンバーに向かっても一礼していたのが印象に残る。下手に消える際にも、さらにもう一礼、客席に向かってお辞儀をしてから、ステージを降りていった。アイナ・ジ・エンドの演奏時間45分は、アナログLP両面の収録時間に相当する。LPのA面にあたる前半はふたりのダンサーと共に視覚的に訴えるステージを展開。一方、B面にあたる後半では、前半でみせた先鋭的なバンド・サウンドとは一転して暖かく寄り添うように演奏。アイナ・ジ・エンドの歌声を、じっくりと聴くことが出来た。まさにアナログLP1枚を聴き込んだ、そんな印象を抱かせる見事な構成だった。
UVERworld PHOTO=山内洋枝
DAY1のトリは、2016年・2017年に続き、『バズリズムLIVE』3度目の出場となったUVERworld。スクリーンには最新アルバム『UNSER』発表以降、コロナ禍の中の彼らの映像が流れ、最後に「UVERworld SPECIAL LIVE」と映し出されると「この日は特別なライブだ」と、場内騒然。ボーカルのTAKUYA∞が勢いよく表れ、11月24日にリリースされる最新曲「Avalanche」でUVERworldのステージがスタート。TAKUYA∞は白と黒のマイクを両手に持ち、曲のパート毎にマイクを使い分けながら歌っていく。
UVERworld PHOTO=山内洋枝
のっけからの盛り上がりに観客も声を出して応じたいところ。そこを気遣って2曲めの「stay on」では事前にアプリで集めたファンの声を、サビ・パートで流し、声を出せなくても全員が歌っているような空間を作り上げる。TAKUYA∞の「友だちに来てもらって最高の夜を演出します!」との言葉に誘われ、ステージ上手から青山テルマ、下手からは徳川eq.の愛笑むが登場。曲は9月にリリースされ、ふたりが参加したシングル曲「SOUL」だ。このサプライズに、オーディエンスも大喜び。場内が大騒ぎになれるパーティー・チューンである。青山テルマはステージを降りる際、「真ちゃん、誕生おめでとう!」とドラムの真太郎に声をかける。そう、この日、11月5日は真太郎の誕生日。実は過去2度のバズリズムLIVE出演日はいずれも11月5日で、真太郎生誕祭でもある。物販コーナーでは真太郎プロデュースのグッズも置かれ、通常はステージ後方に置かれるドラムセットも舞台センターの最前線に鎮座。メンバーがドラムを挟んで横一線に並ぶという、珍しいポジションで配されたのも、真太郎生誕祭ならではのこと。
UVERworld PHOTO=山内洋枝
UVERworld PHOTO=山内洋枝
UVERworld PHOTO=山内洋枝
熱過ぎるぐらいに盛り上がる客席に応えるように、バンドは後半になっても、そのテンションを緩めない。「いつものライブが出来ないんだったら、いつも以上を目指すしかないよね。最後はグッドミュージックと言われるよう、あなたたちの心に火をつけるぞ!声は出せなくてもジャンプは俺たち禁止されてない!」と、各席でのジャンプを煽り、「IMPACT」「AFTER LIFE」を連打。彼らのステージはほぼ全編に渡ってスクリーンに歌詞が投影される。もちろんシンガロングしてもいいが、何より超高速で次々に弾き出される歌詞がよくわかる。これは彼らがいかに歌っている世界観を大切にしている証左である。
UVERworld PHOTO=山内洋枝
最後に「この2年間で作った曲です。俺たちにとって、いちばん大切な曲です」と歌ったのは、ライブでのみ披露される未発表の楽曲「EN」。「あの日から突然、何もかもが変わってしまった…」で始まり、今の生きづらい社会の中で「I’m gonna go go/Are you gonna go」と前に行きかつ、生きることを訴えるUVERworldの魂の叫びだ。オーディエンスも騒ぐことを抑え、じっくりと聴き入り、感動と興奮のステージが終わった。もの凄い熱量をはらんだ貫禄のパフォーマンス。『バズリズム LIVE 2021 DAY1』のトリに相応しい、まさに横綱相撲を見せつけてくれた。
UVERworld PHOTO=山内洋枝
UVERworld PHOTO=山内洋枝
UVERworld PHOTO=山内洋枝
ライブの模様は、11月26日(金)深夜に『バズリズム02』(日本テレビ)、12月25日(土)にCS日テレプラスで放送される。