Tokimeki Recordsの世界へようこそ 杏里、中森明菜ら80’sヒットチューンをエレクトロ・シティポップにリアレンジ 日常にトキメキを

2021.12.2
レポート
音楽

Tokimeki Records

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Tokimeki Records「トキメキ倶楽部」 2021.11.30 東京キネマ倶楽部

 80’sヒットチューンをエレクトロ・シティポップにリアレンジして人気沸騰中。2019年のデビュー以降、竹内まりや「Plastic Love」など数々のカバーヒットを飛ばしてきたTokimeki Recordsが、キャリア初となるライブを鶯谷の東京キネマ倶楽部で開催した。参加メンバーやボーカリストが曲ごとに変わる、謎多きグループが一体どんなパフォーマンスを見せるのか? シティポップ・リバイバル世代を中心とした熱心なファンが待ち構える中、期待に満ちた幕が上がる。

ひかり

ひかり

 最初に登場するのは、Tokimeki Recordsのメインボーカリストと言っていいだろう「ひかり」。Mime(マイム)のメンバーとしても活躍中の彼女、すらりと細身のシルエット、清楚なロングスカートを身にまとい、中谷美紀「MIND CIRCUS」を伸びやかに歌う姿が実にエレガント。バンドはドラムス、ベース、ギター、キーボード、弦楽四重奏の8名で、想像以上に激しくタイトなディスコ/ファンクビートが体を揺さぶる。ロマンチックな弦カルテットのイントロを経て一十三十一「Weather Report」へ、そして中森明菜「OH NO OH YES!」へ。ベーシスト、ギタリストが笑顔でクラップを求めてフロアを煽る。ひかりはステージを歩きながら、観客のアクションに手を振って応える。その間も、強力なドラムを中心としたファンキーなダンスサウンドは途切れることがない。音源では「オシャレ系」だが、ライブは予想よりも遥かにフィジカルな「アクティブ系」。嬉しい驚きだ。

Hannah Warm

Hannah Warm

 短い暗転を経て、次にステージに上がったのはHannah Warm。シンガーソングライター/トラックメイカー/デザイナーなど多彩な顔を持つ彼女、Tokimeki Recordsでは、包容力あふれる歌声で強靭なグルーヴをさらりと乗りこなす。シンプルなワンピースにボーイッシュなショートカットがよく似合う。曲は具島直子「Candy」から、シャカタク「Night Birds」へ、80'sから派生して90'sJ-POP、そして洋楽フュージョンへと、選曲の妙と曲繋ぎのスムーズさに脱帽だ。「Night Birds」ではピアニストが、そしてギタリストが、気迫のこもった華麗なソロで音楽にさらなるエモーションを注ぎ込む。まるでDJのノンストップMIXのように、ほぼ同じBPMで次々と曲が入れ替わりつつ、ピークタイムが下がらない。声は出せずとも、フロアはすでにダンシングタイムだ。

大和田慧

大和田慧

 三番手のボーカリスト、シンガーソングライターの大和田慧と共にトランペット奏者もステージに上がり、サウンドがさらに派手に華やかになった。大和田はふんわりパーマのボブヘアー、膝上スカート、ロングブーツ、ラメのトップス、今夜の女性たちはみなオシャレで見目麗しい。シャカタク「Invitations」ではミラーボールが初登場、テンポを上げてダンスタイムへ。「Night Birds」に続いてここぞとばかりにソロを弾きまくるピアノ、笑顔でステップを揃えて弾くベースとギター、今この会場内にはハッピーしかない。サーカス「Mr.サマータイム」はぐっとスローでノスタルジック、トランペットのフレーズが実にもの悲しく胸に迫る。ファルセットを駆使して柔らかく、しかし芯の強さを感じる素敵な歌声。Hannah Warmも大和田慧も2曲のみで、もっと聴きたいと思わせて去る、なんてぜいたくな時間だろう。

ひかり

ひかり

 そしてライブを締めくくるのはやはり「ひかり」。パンツルックに合わせた濃いピンクのジャケットが、どことなくクリスマスなムードを醸し出しつつ、Tokimeki Recordsの第一弾曲、竹内まりや「Plastic Love」をしなやかに歌い、「お楽しみいただけていますか?」と、とても丁寧な口調で感謝を述べる。この日のMCはほとんどなかったが、短いながらも気持ちのこもった言葉がいい。さらに、今や日本発シティポップの代表曲になった松原みき「真夜中のドア~stay with me」から、杏里「悲しみがとまらない」へ。ポップな曲調とは裏腹なシリアスな歌詞を、音程を飛び出しそうになりつつ、思い入れたっぷり歌う表情がいい。ギタリストがステージ最前線に飛び出して、熱いギターソロを決める。もう一度言おう、Tokimeki Recordsのライブは想像以上にアクティブでエモーショナルだ。

Tokimeki Records

 アンコールは、ひかりが歌う稲垣潤一「クリスマスキャロルの頃には」から、Hannah Warmと大和田慧を迎え入れて3人で歌うフィナーレチューン、アース・ウィンド・アンド・ファイヤー「セプテンバー」へ。「明日から12月なので12月の曲を」と、歌詞を理解した紹介がいい。3人のマイクリレーは艶やかのひとことで、大和田慧が本編では見せなかった激しいフェイクを繰り出したり、アンコールらしいフリーダムな盛り上がりがうれしい。最後にメンバー紹介をし、再会を願って手を振るメンバーたちへの拍手が鳴りやまない。Tokimeki Recordsの最初のライブ、最高だったよ。この日の観客はみな、その記憶を胸に抱えて家路に着いただろう。

 原曲そのものの良さの再発見、エレクトロ・シティポップ的なリアレンジの面白さ、素晴らしいボーカリスト、80’sを中心とした邦楽と洋楽の音楽的つながり、などなど。Tokimeki Recordsがもたらす喜びは多岐にわたる。12月1日には最新カバー、Suchmos「STAY TUNE feat.ひかり」もリリースされ、さらに時代も広がった。未だに謎多きユニットだが、ライブでもそのパフォーマンスを十分に発揮したことで、さらに可能性は広がった。このライブの模様は、12月6日(月)23:59までアーカイブ視聴可能だ。日常にトキメキの足りない方、Tokimeki Recordsの世界へようこそ。
 

取材・文=宮本 英夫 撮影=chizuru maeda

Tokimeki Records

セットリスト

Tokimeki Records「トキメキ倶楽部」 
01.MIND CIRCUS
02.Weather Report
03.OH NO OH YES!
04.Candy
05.Night Birds
06.Invitations
07.Mr.サマータイム
08.Plastic Love
09.悲しみがとまらない
10.真夜中のドア ひかり
EN1.クリスマスキャロルの頃には
EN2.September

配信情報

Tokimeki Records「トキメキ倶楽部」
11月30日(火) 東京キネマ倶楽部
配信:2,500円
アーカイブ:2021年12月6日(月)23:59まで
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