今年の『RADIO CRAZY presents THE GRAND SLAM』の魅力に迫る、主催・FM802座談会ーーどんな状況でも音楽と共にあり続けたからこそ実現できる4日間
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『FM802 ROCK FESTIVAL RADIO CRAZY presents THE GRAND SLAM』
大阪・南森町のラジオ局「FM802」が、2009年より手掛け累計40万人近くが参戦する年末のロック大忘年会『FM802 RADIO CRAZY』。昨年は、新型コロナウイルス感染拡大の影響による緊急事態宣言により残念ながら開催中止となってしまったが、今年は京セラドーム大阪にて『FM802 ROCK FESTIVAL RADIO CRAZY presents THE GRAND SLAM』と題し、初となる12月25日(土)から28日(火)の4日間開催を実現。この1年間ずっと音楽を止めることなく、新しい生活にあわせた上で最大限楽しめるイベントの形を模索し続けてきた、FM802だからこそ開催できるイベントがいよいよ幕開けとなる。そこで今回は、急遽開催に先駆けて、FM802DJの樋口大喜と板東さえか、そして約10年間『RADIO CRAZY』をつくりあげてきたフィクサーであるFM802・802編成部長・今江元紀プロデューサーに、今の心境や今年ならではの魅力について、話を訊いた。
『FM802 ROCK FESTIVAL RADIO CRAZY presents THE GRAND SLAM』
●初の4日間開催、京セラドームでワンマンライブを観ているかのようなステージに●
ーーいよいよ25日(土)から4日間、『FM802 ROCK FESTIVAL RADIO CRAZY presents THE GRAND SLAM』が開催となります!
板東さえか:初の4日間開催、それに今年の会場は京セラドーム大阪とこれまでとは違った『RADIO CRAZY』になるのでどうなるのかなと、めっちゃドキドキします! 図面ではステージを見ているけど、実際にどんなふうに組まれているのか、会場全体はどんなレイアウトになっているのか……ワクワクしますね。
ーーすでに今江さんは現場入りされているとのことですが、ステージはどんなふうに作られているのですか?
今江元紀:元々は2ステージを左右に作って、順番にライブをしてもらおうと思ってたんですけど、趣向を凝らして今回はワンステージとなっています。大阪で一番大きい場所で開催できるので、まるで京セラドームでワンマンライブを観ているかのような体験をしていただけるはず。ほぼ全てのアーティストが初の京セラドームでのライブになると思うので、その瞬間を目撃していただけるのも醍醐味のひとつ。また日本でも最大級の会場なので十分距離を取った上で、自分の指定席があって観たいアーティストの時だけ前で観れるような仕組みをつくっていたりと、お客さんにとっても優しい会場になっています。安心して来ていただけたらという思いでレイアウトしています。
『FM802 ROCK FESTIVAL RADIO CRAZY presents THE GRAND SLAM』
ーーFM802ならではの豪華なラインナップを、1日で観られるのも醍醐味ですね。
今江:ステージがひとつになった分、1日に出演いただけるアーティスト数が減ってはいますが、会場がパワーアップし、初の4日間開催。FM802主催ならではのアーティストの皆さんに出演いただけていると思います。開局当時からFM802がテーマとしてきた「MEET THE MUSIC ON THE RADIO」の通り、リスナーのみなさんに新しい音楽とラジオで出会っていただきながら、実際のライブでアーティストと出会っていただけるような、バラエティに富んだラジオと音楽を愛するアーティストに集まっていただけたなと。
樋口大喜:特に開幕戦となる初日でいえば、くるり、ウルフルズ、布袋寅泰さんがいて、我々世代のSaucy DogにTHE ORAL CIGARETTES、SUPER BEAVER、ハンブレッダーズ、ヤバイTシャツ屋さんがいる。このメンツが1日の同じステージで観れることが、FM802のカラーなんやろなと思いますね。しかも、『RADIO CRAZY』皆勤賞のOKAMOTO'Sがトップバッターでね。これまでのイベントの歴史も感じられるようなタイムテーブルになっているようにも感じます。
板東:ヤバT、くるり、MY FIRST STORYという流れでライブが観れるなんて、他のフェスじゃありえないですよね!
今江:これまでミュージックシーンを支えてきたアーティストやレジェンドから、今まさにラジオヒットしているアーティストまで、お客さんにいろんな音楽に出会っていただきたい一心でFM802が提案する、手前味噌ですが最高のラインナップになっていると思います。
樋口:個人的には、26日がCreepy Nutsと東京スカパラダイスオーケストラという、今年を象徴する東京オリンピックのセレモニー出演アーティストに、『第63回 日本レコード大賞』で新人賞を受賞したマカロニえんぴつも出演しているのを見ると、「今年はこんな年やったな」と振り返れるような日になってるんじゃないかなと思っていたり。どんな状況でも、やっぱり生活の中には音楽があったよなと思わせてくれるようなラインナップになっていますね。
板東:これはいつもなんですけど、アーティストのステージで「こういう1年だったな」とか気付かされることが本当に多くて、それが4日間だからすごい感情になると思います。
●年に1度、リスナーとアーティストたちが顔を合わせる「親戚の集まり」のような日●
『FM802 ROCK FESTIVAL RADIO CRAZY presents THE GRAND SLAM』
ーーこれまでの『RADIO CRAZY』では、フェスならではいろいろなステージでライブが行われていたので、どうしても時間が重なったりしていたところもあるかと思うのですが、今回はワンステージだからこそ全ライブ観られるのも新たな魅力ですよね。
板東:そう! ステージ間を走らなくていいからね。どうしてもフェスだから最後の一曲で次の目当てのステージに向かう人もいたと思うけど、今回はたっぷり観ていただけますから。それに同じ会場、同じ空間なのでステージバトンがすごいことになるはず。
今江:回遊できることがフェスの面白さのひとつではあると思うんですけど、できない年の面白さもしっかりと伝えたいですね。今年は自席で初めましてのアーティストのライブを、それも京セラドームのスケールで観られることだと思うので、初めて観たアーティストのライブでもいいなと思ったら、ラジオに感想とかリクエストを送ってもらえたら嬉しいですね。その感想をDJや他のリスナーとリアルタイムで共有できるのがラジオの醍醐味なので。是非、全アーティストを堪能してください。
板東:何より各日トリを飾る面々がすごいので、どういう言葉で、どんなストーリーで締めくくるのか楽しみですね。素朴な疑問なんですけど、どうやってトリを決めていったのですか? 本当に難しいことだと思うんですけど、タイムテーブルを見ても、「この人たちしかいない!」と納得させられるアーティストばかりで。
今江:いつも変わらず、その年にしかできない、今年らしい締めを意識して決めていきましたね。
樋口:今江さんは、今年で『RADIO CRAZY』を作るのは何年目になるんでしたっけ?
今江:先輩方に作っていただいたレールの上で、僕がやらせていただくのは2011年からですね。去年が開催できなかったので、今年で10回目。それでいえば、初めて関わった年に当時の[Champagne] やMAN WITH A MISSIONに初出演していただきました。
樋口:約10年を経た今回、([Champagne] 改め)[Alexandros] が27日のトリを務めていますね。
『FM802 ROCK FESTIVAL RADIO CRAZY presents THE GRAND SLAM』
ーーイベントとしての歴史はもちろんのこと、今江さんとアーティストとのドラマも詰まっているのですね。
板東:そう、『RADIO CRAZY』にはドラマしかない! 私は2009年の初回から行っていて個人的なドラマもあったり。
今江:その年は、前職(編集者)でパンフレットと入り口で配ったアーティストのステッカーを作るお仕事をFM802からいただいてました。
板東:持ってますよ!
樋口:今年は、今江さんが作り上げてきた『RADIO CRAZY』の10年を総収するような4日間になるんじゃないかなと個人的に思っていたりします。この先は、どこへ向かってくのでしょう?
今江:僕の中ではFM802というラジオが中心にあって、レディクレは年に1度のリスナーとアーティストとのお顔合わせの場なので、ビジョンを持った戦略的なイベントということではないんですよね。年末年始に、実家に帰ってきてもらうような感じで、1年の取り組みの中での恒例行事のように作ってきたので。
ーーまさに、ロック大忘年会ですね。
今江:なので、こんなふうにしていこうとか特別なイメージはあんまりないんです。あるとするなら、親戚の集まりでも今年はいとこが大学の卒業だからお祝いしようとか、誕生日が近いからこうしようというのがあるみたいに、アーティストにとってアニバーサリーであれば盛り上げたいので一緒に考えたりはします。僕たちは、アーティストのスケジュールや考え方に沿って、アーティストの音楽をより広めるためにメディア主催のイベント作りができればと思っています。
『FM802 ROCK FESTIVAL RADIO CRAZY presents THE GRAND SLAM』
ーー今年は特に、これまで以上にお客さんもアーティストの皆さんも、スタッフの皆さんも開催を心待ちにしていたはずなので、間違いなくかつてないほど特別な年に一度の集まりになりますね。
今江:ここからライブをもう一度観に行こうと、思っている人もたくさんいるはずですからね。僕たちも『RADIO CRAZY』の開催が目的ではなく、ここからも引き続きライブを始められるように、コロナ禍のコンサートやライブでマスクをつけてても安心して楽しめるんだと思っていただけるように。そして、アーティストの皆さんの発表の場がもっと日常に戻ってくるようにという使命感を持って開催します。音楽が不要不急と言われないように、文化を取り戻そうと取り組んでいます。アーティストの皆さんからも続々とセットリストが送られてきていますが、非常に気合の感じるセトリだったり、自分たちでできることを思い思いに考えてきてくれたりしているので、是非、生で体感していただきたいです!
板東:いよいよ、始まりますね!
今江:当日券の販売もありますし、グッズは
取材・文=大西健斗