Shiggy Jr.主催『なんなんスかこれ。Vol.3』 エッジ―でサイケでポップ、新代田FEVERを包んだ音楽の愉しさ
Shiggy Jr.
Shiggy Jr. presents「なんなんスかこれ。Vol.3」 2015.12.17.@新代田FEVER
act:Shiggy Jr. / 髭 / DALLJUB STEP CLUB
Shiggy Jr.が、今一番誘いたいアーティストを迎える自主企画『なんなんスかこれ。』の第3回。11月の『“ワンマン”スかこれ。~全国編 2015~』では、ドラムの諸石の体調不良により一部公演が延期となったが、無事に完全復活を果たし、ワンマンツアーの合間での開催となった。
トップに登場したのはDALLJUB STEP CLUB。ステージ上手の前方にセットを構えてGOTO(Dr)が奔放に叩いて魅せるドラムと、重低音で鳴り響くBENCH.(Ba)のベースが生み出すリズム、電子音や声を即興的にサンプリングして星優太(Fx/Vo)が刺激的でドープな世界観を作り、観客を煽りながら森心言(Vo/Syn)がラップを乗せていく、観る者すべてを踊らせる最先端ベースミュージック!「ただのライブじゃないです、新しいアトラクションだと思ってください!」という彼ら。演奏中は尖った空気を漂わすが、MCでメンバーが喋り出すとかなりフレンドリーな雰囲気だ。ライブハウスをクラブに変え、FEVERを熱狂的に揺らした。
DALLJUB STEP CLUB photo by Sayaka Yuki
続いて登場したのは、ツインドラム擁する6人編成のサイケデリックロックバンド、髭。ステージに現れた瞬間から、須藤寿(Vo&Gu)の独特な存在感に目が惹きつけられる。「テーマ・フロム・ダリア」からライブはスタート。一筋縄ではいかない、セクシーで深みのあるサイケなサウンドに、次々と魅了されていく。柵に乗り上げて客を煽りながら、大人のエロさをふりまく須藤が告白する。「大げさじゃなく、今日みんなに会えてよかった」「もう一歩踏み込めば、俺、みんなに会うために生まれてきたのかも」「みんなも忘れないで俺に会ったこと。俺がみんなを大好きだったってこと。みんなが俺達のことを好きになりかけたってこと!」こんな言葉を投げかけられて、ドキドキしないわけがない!「テキーラ!テキーラ!」で熱く盛り上げ、「*イノセント (What's going on?)*」で締め括った。
髭
そしていよいよトリは、Shiggy Jr.。会場にOPENING SEの「サマータイムラブ」が流れると、歓声と共にリズミカルな手拍子が始まる。それに乗せてメンバーが一人ずつ登場。メンバーとお客さんがハイタッチできるほど、今日はステージと客席が近い。Shiggy Jr.の池田智子(Vo)、原田茂幸(Gu/Syn/Cho)、森夏彦(Bass/Syn)、諸石和馬(Dr)、それにサポートのキーボード&ホーン隊3人が勢揃いすると、もうステージはいっぱいだ。SEの流れを引き継いだ一曲目「サマータイムラブ」から、ポップでポップなサウンドが一気に身も心が躍らせる。「みんなぁー!フィーバー!盛り上がってるかー!」と池田が煽れば、オーディエンスの笑顔が弾けて、辺り一面がShiggy Jr.のカラフルな色に塗り替えられた。2曲目「oh yeah!!」でオーディエンスがタオル回しをする中、いつもよりタイトなドラムの音に、ロックを感じさせるカッティングとハードなギターソロで魅せた。
直後のMCで森が「先輩達のロック魂に触れて、今日はロックで行こうかと」と明かす。さらに明かされたのは『なんなんスかこれ。』という企画タイトルは、サッカー解説者・松木安太郎氏の2011年のアジアカップ・日本対シリア戦での名言に由来するとか(!)。ジャンルに関わらずShiggy Jr.が好きなバンドを呼んで、観る側に思わず「なんなんスかこれ。」と言わせるようなブッキングをしたい、という想いが込められているという。
アコギとエレピのアンサンブルが爽やかな「サンキュー」では、曲の間奏からDALLJUB STEP CLUBの森心言が登場して、ラップでコラボレーション!愛あふれるリリックが楽曲に新たな魅力を吹き込み、大きく盛り上げた。続いては意外にも、アンコールで余韻を残すように歌われることが多かった「keep on raining」。ホーン隊がアッパーに盛り上げるアレンジで、池田が力強く歌い上げると、客席からの歌のレスポンスも力強く響き渡った。
Shiggy Jr.
MCの話題は、本日のブッキングについて。DALLJUB STEP CLUBは、池田がYouTubeで音源を聞いて気に入り「ライブではどうやって演奏しているんだろう?」と興味を持ったのが始まり。実際に足を運ぶと「普通にライブをしてて。あ、そういうカンジか!」と、そのカッコよさに感動したのだとか。今回の自主企画の開催が決まると「ハイハイハイ!誘いたい人がいます!」とすぐに池田が手を挙げて実現したのだという。髭に関しては、諸石が高校で初めて組んだバンドで最初にコピーしたのが「黒にそめろ」という髭の楽曲だったという。ちなみに森が一番好きな曲「ボニー&クライド」はリハではやっていなかったが、髭は本番のライブで「黒にそめろ」「ボニー&クライド」の2曲を立て続けに演奏。自主企画で、憧れのバンドが好きな曲を演奏するのを観て、感激した二人だったようだ。
楽器をすべてシンセに替えてのエレクトロなパーティーチューン「GHOST PARTY」、メタリックなサウンドが唸るShiggy Jr.流ハードロック・ナンバー「oyasumi」。Shiggy Jr.のバラエティに富んだ魅力を、短い時間の中でもギュッと詰め込んだようなステージだ。最後はディスコティックで華やかなナンバー「LISTEN TO THE MUSIC」で(森の掛け声による“ロックな肩の上げ下げ運動”を挟みつつ)、手拍子やオイオイコールで一体感と楽しさにあふれる盛り上がりとなった。
アンコールでは、Shiggy Jr.結成からこの3年間、いまだかつてライブでやらなかったことは一度も無かったという、代表曲「Saturday night to Sunday Morning」を演奏。ゲストに髭の須藤&佐藤“コテイスイ”康一をステージに呼び入れると、佐藤はミニ拡声器、須藤はバラ一輪を手にして登場。跪いて池田に捧げる仕草を見せるが、次の瞬間にそのバラを池田の口に!途端に観客からドッと歓声が上がる。戸惑いつつも「人生で初めてバラをくわえたよ!今日は初めてだらけですね」と池田。“サタデーナイト&サンデーモーニング”のコール&レスポンスも、圧倒的な存在感を放つゲストと共に会場の隅々まで盛り上げた。エンディングは楽器隊がそれぞれソロを披露し、トランペットはクリスマスソングを織り交ぜ、ドラム、ベース、ギター、キーボードと見せ場をリレーしていく。同時にライブが終わってしまう名残惜しさがグッと湧き上がった。曲が終わり「ありがとう~!」と叫ぶ池田に、須藤がおもむろにハグするハプニング! とっさに「今日はお風呂入れないっ」という池田のリアクションに、会場から須藤に向け“うらやましい”の心の声が一斉に上がったのは言うまでもない。
ジャンルを飛び越え、Shiggy Jr.がカッコいいと思う最先端のサウンド、憧れのバンドとの共演は、常にお客さんを楽しませたいと願う、彼らの想いも伝わってくる自主企画となった。対バンイベントならではの、より熱いパフォーマンスを魅せたメンバーが心から楽しそうだったし、オーディエンスにも笑顔があふれていた。また、Shiggy Jr.を初めて観た人には、女性ボーカルでポップながらも、骨太なサウンドを聴かせる彼らは新たな発見となったはずだ。振替公演となった大阪・福岡ワンマンも間もなく開催。そして2016年、さらにパワーアップが期待されるShiggy Jr.から目が離せそうもない。
文=下村祥子
Shiggy Jr.
【大阪】11月19日(木)の振替公演
2015.12.24 (Thu)
大阪・心斎橋BIGCAT
OPEN 18:00 / START 19:00
【福岡】11月21日(土)の振替公演
2015.12.25 (Fri)
福岡・DRUM Be-1
OPEN 18:30 / START 19:00
詳細はオフィシャルHPまたはオフィシャルtwitterから
オフィシャルHP http://www.shiggyjr.com/
オフィシャルtwitter @ShiggyJr