伝統×新たな挑戦に共感 松本幸四郎がブルーマンの魅力を再確認 『ブルーマングループ ワールドツアー IN JAPAN 2022』制作発表会見レポート
1991年、アメリカ・ニューヨークで結成された「ブルーマングループ」。アートと音楽、コメディ、テクノロジーが融合した唯一無二のエンターテインメントで世界中の人々を魅了し、日本においても多くのファンを生み出してきた。20ヶ国以上で上演を重ね、2017年からは伝統の継承と拡大に向けてシルク・ドゥ・ソレイユグループ所属に。ますます勢いを伸ばしている。“ブルーマン”というユニークなキャラクターの生誕30周年となる2022年4月、『ブルーマングループ ワールドツアーIN JAPAN 2022』が仙台からスタートする。開幕に先駆け、アメリカ・ブルーマングループと中継を結び、制作発表記者会見が行われた。
会見には“歌舞伎界のブルーマン”として、ブルーマンの大ファンだという歌舞伎俳優・松本幸四郎が登場。髪に青いメッシュを入れて現れた幸四郎は、ブルーマンの魅力を尋ねられると、「初めて観たのはもう11年前。興奮したし素直に楽しいと思えました。自分が子どもの頃にしていた遊びを思い出して、どこか懐かしさもありましたね。ブルーマンがやっていることって、家でやると怒られそうなんです(笑)。でも子どもの頃に思っていたやりたいことを思い出させてくれる嬉しさや懐かしさがありました」と笑顔。ブルーマンの公演を見て「これこそエンターテイメント」だと感じたということで、自らもブルーマンになってみたいという思いがあったと話す。
中継にはブルーマングループを代表し、ミュージックディレクターであるバイロン・エステップ、The Musicianとして参加するマッケンナ・トルファ、パフォーマーのパトリック・ニュートンの3名が登場。
まずは世界初公開となるドレスリハーサルの映像が届けられた。力強いビートに乗って繰り広げられるパフォーマンスは、リハーサルとは思えない完成度と熱量。映像を見た松本も「今すぐ観たい!」と興奮した様子を見せた。
【ブルーマン】ワールドツアー最新映像が世界初公開に!(Long Version)
続いてトークセッションがスタート。
――日本をツアーのスタート地点に決めた理由と日本公演後の予定を教えてください。
バイロン:日本は、私たちブルーマングループの歴史の中でとても特別で、心に残っている場所です。私たちが初めて日本公演をしたのは2007年。六本木で6年間ほどの長期公演をさせていただき、多くのファンの方、友人に出会うことができました。さらに、その時に歌舞伎や「鼓童」(※太鼓芸能集団 鼓童)とコラボレーションをしました。鼓童はブルーマンに大きな影響を与えてくださり、それもあって六本木での公演は大成功を遂げられました。2019年はツアーという形で、東京・名古屋・大阪で7万人の方にショーをお届けできました。2022年、再び戻って来られるのを大変楽しみにしています! そして、日本ツアーが終わった後は韓国、インド、中東の何ヶ国かを経てヨーロッパを回るため、本当の意味でのワールドツアーとなっています。
バイロン・エステップ
――今回は今までにないパフォーマンスとして、新たな女性のキャラクターが登場します。
マッケンナ:今回のワールドツアーだけに登場するキャラクターが誕生しました。私が演じる“The Musician”は、新たな形でバンドを表すマルチ奏者となっています。ほとんどのシーンでブルーマンの上部に立っていますが、ショーが進むにつれてインタラクティブになり、ブルーマンや観客の皆さんともやりとりします。ブルーマンとの分離がなくなってショーの一部として大きなアクションをする役を担うことができて嬉しいですし、光栄に思います。
マッケンナ・トルファ
――パフォーマーのパトリックさんには、事前に歌舞伎の映像を観ていただきました。ご覧になって、率直な感想をお聞かせください。
パトリック:本当に素晴らしく、大切な芸術の形だと感銘を受けました。ブルーマンとしての親しみも感じます。もちろん私の知識は限られているので、日本に行き、たくさんの歌舞伎に触れたいと思います。そこも今回のツアーの楽しみですね。
――幸四郎さん、歌舞伎に親しみを感じているというコメントがありましたが。
松本:歌舞伎も「どれだけ人を驚かせるか・喜ばせるか・刺激を与えるか」というものとして誕生しています。現在では歴史ができ、芸術として存在していますが、観ている方々に感動していただくことを目指しているのは変わりません。歌舞伎には「傾く(かぶく)」という言葉があります。言ってみればパンクのような。信念のあるワルというようなものが歌舞伎の根本にあると思うんです。生きた演劇やパフォーマンスという意味では、共通するものを感じます。
パトリック・ニュートン
続いて、幸四郎から「自分自身、色々な地域で公演をする中で、地域ごとの空気や反応の違いを感じます。ブルーマンは世界中で公演をしていますが、土地ごとに気持ちやパフォーマンスに変化はあるのでしょうか」と質問が出ると、パトリックは「もちろん場所や時間によって観客の反応は違います。そのため、お客様の反応を見てこちらも反応を変える。対話ベースでショーを変えていくので、日によって変化しますね。それがブルーマンのショーの美しく素晴らしい点だと思っています。私たちも毎回新鮮な気持ちでイキイキとショーを続けられていますし、お客さまが何度も足を運んでくださるのも、そう言った理由があるからだと思います」と頷く。
幸四郎が「僕が観に行った時は僕だけのブルーマンがそこにいるってことですよね。違う日に行ったらまた違うブルーマンに出会える。だから何度も観たくなる」と話すと、パトリックは「まさにその通りです!スペシャルでプライベート感のある体験を毎回していただけるショーです」と笑顔を見せた。
さらに幸四郎は「言葉のないノンバーバルのショーですが、すごく人間的な表現が伝わってきます。ブルーマンを演じるというのはどういった感覚・気持ちでしょうか」と質問を投げかける。
パトリックは「素晴らしい質問をありがとうございます。ブルーマンは歴史があり、キャラクターのパーツなども揃っている。それを基本に作り上げていきますが、舞台に立つとそんなことは考えず、キャラクターそのままブルーマンになっています。文化の壁があっても、私たちの伝えたいストーリーが明確にクリアに伝わるので、非言語的なコミュニケーションがこのショーの鍵だと思っています」と語る。
それを受けて幸四郎が「このお話を手がかりに、ブルーマンになれる手段を見つけられるのかなと思っています」と話すと、画面の向こうの3人は笑顔に。MCからの「幸四郎さんがブルーマンに、パトリックさんが歌舞伎をということもあるかもしれませんね」というコメントを受け、パトリックも「光栄です!ワクワクしますね」とコラボレーションに期待を寄せていた。
最後に、歌舞伎ファンに向けたメッセージを尋ねられた幸四郎は「歌舞伎は日本が400年以上前に作った文化の中から生まれたエンターテイメント。歴史ができ、芸術としても伝統芸能としても存在しています。「昔の人がこんなものを作ったよ」と紹介する役目ではないと断言するのは言い過ぎかもしれませんが、僕らが目指すのは役者としてお客さまに感動していただくこと。そのため、今の方々に喜びや驚きをお届けできる演出や演技、踊りを考えています。この在り方はブルーマンとも同じだと思うんです。“ブルーマン”というブランドの中で、伝統を継承しつつ新しいパフォーマンスを生み出していく。毎日進化していくエンターテインメントだと思っています。歌舞伎ファンにもぜひ観ていただき、興奮していただきたいですね」と熱く語る。
さらに、幸四郎に対し「歌舞伎界のブルーマン」認定証が贈られるサプライズも。ノンバーバルのアート・パフォーマンス・エンターテインメントと歌舞伎という違いがありながらも、作品やパフォーマンスへの想いでの共鳴が見られた本会見。30年の歴史と伝統をベースに新たな試みも追加されるワールドツアーへの期待が高まる。
本公演は2022年4月2日(土)、仙台サンプラザホールにて開幕。その後国内ツアーを行い、アジアやヨーロッパでも公演が行われる。
衣装協力=ラルフ ローレン パープル レーベル/ラルフ ローレン(0120-3274-20)
取材・文・撮影(会見)=吉田沙奈
公演情報
日程:2022年4月2日(土)~4月3日(日)
会場:仙台サンプラザホール
主催:仙台放送
公演に関するお問合わせ:仙台放送事業部 022-268-2174(平日11:00〜16:00)
日程:2022年4月6日(水)~5月8日(日)
会場:EXシアター六本木
主催:ブルーマングループワールドツアー 東京公演 製作委員会
アミューズ/読売新聞社/トリックスターエンターテインメント/ぴあ/イープラス/クリエイティブマンプロダクション/ライブエグザム/ローソン
公演に関するお問合わせ:トリックスターエンターテインメント 03-6402-3765(平日10:00〜18:00)
日程:2022年5月11日(水)~5月15日(日)
会場:愛知県芸術劇場大ホール
主催:中京テレビ放送
公演に関するお問合わせ:中京テレビ事業 052-588-4477(平日11:00〜17:00)
日程:2022年5月18日(水)~5月22日(日)
会場:オリックス劇場
主催:BMGWT IN JAPAN 大阪公演 製作委員会
読売テレビ/FM802/FMCOCOLO/キョードーグループ/ぴあ/トリックスターエンターテインメント
公演に関するお問合わせ:キョードーインフォメーション 0570−200−888(11:00〜16:00日祝休)
日程:2022年5月27日(金)~5月29日(日)
会場:福岡サンパレス
主催:BMGWT IN JAPAN 福岡公演 製作委員会
RKB毎日放送/キョードー西日本/ぴあ/トリックスターエンターテインメント