井之脇海主演舞台『エレファント・ソング』上演決定 診察室を舞台に繰り広げられる心理スリラー
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寺脇康文、井之脇海
2022年5月にPARCO劇場にて、PARCO PRODUCE 2022『エレファント・ソング』が上演されることが決定した。
本作は、2002年にカナダの作家 ニコラス・ビヨンによって書かれ、モントリオールのインフィニシアターで朗読され、2003年から2010年にかけてモントリオールを中心に舞台を上演。その後、舞台・朗読がオーストラリア、ロンドン、ニューヨーク、韓国など世界でも上演された。また、世界の映画祭で受賞歴のあるカナダの映画監督で俳優のグザヴィエ・ドランがこの本に惚れ込み、2014年には自身が主演を務めて映画化もされている。
突然失踪したローレンス医師の所在を知るために、彼が担当していた患者のマイケルとの対話を試みる病院長・グリーンバーグ。真偽の分からない会話や、象についての意味のない無駄話に拘る患者・マイケルと、彼の言葉に翻弄され続けるグリーンバーグ院長との、診察室で繰り広げられる心理戦。驚くべき結末に向けて、緊張感あふれる会話劇が展開する。
主人公のマイケルを演じるのは、子役としてキャリアをスタートし、近年はドラマ・映画などの話題の映像作品で引く手あまたの活躍を見せる井之脇海。誰よりも愛情を渇望しながら、他人を籠絡しようとする“普通ではない 青年”という難役で、舞台初主演を果たす。マイケルと対峙する精神病院の院長、ドクター・グリーンバーグには、シリアスからコメディーまで柔軟な演技力で存在感を放つ寺脇康文。『恐竜と隣人のポルカ』(08)以来、約14年ぶりのPARCO劇場登場だ。また、劇団天真爛漫、劇団扉座を経て、13年から演劇ユニット「なゆた屋」を主宰するほりすみこが、マイケルが嫌う看護師のミス・ピーターソンに扮し、一筋縄ではいかない緊迫した会話劇を盛り上げる。
宮田慶子(演出)コメント
精神病院の診察室という密室で繰り広げられる、綱渡りの様なやりとりが秀逸な戯曲です。マイケルの紡ぎ出すナイーブな虚実ないまぜの言葉たちが、医師グリーンバーグの感情を揺さぶり翻弄し続けます。愛することを願い、愛されることを願うマイケルの切実な思いに、孤独の深さと人生の不条理さが浮かび上がり、人と人との関係はもっともっと柔らかく温かくあるべきと祈りたくなります。
井之脇海さん、寺脇康文さん、そして看護師役のほりすみこさん、たった三人で組み上げていく濃密な関係性がとても楽しみです。観てくださった方の心の中の柔らかな部分に届けることができたらと思います。
井之脇海コメント
映画版でグザヴィエ・ドランが、「マイケルは僕だ」と出演を熱望したそうですが、僕も今回、戯曲を読んで、直感的に「マイケルを演じるのは僕だ」と強く思いました。
演劇初主演で、不安な点もたくさんありますが、大先輩の寺脇さん、ほりさん、演出の宮田さんの胸をお借りして、僕なりのマイケルを探していきたいです。
どんな舞台になるのか僕自身わくわくしています。ぜひ楽しみにしていてください。
寺脇康文コメント
マイケルとグリーンバーグの、息をのむような、緊迫感ある会話。ポイントポイントで参加してくる、魅力ある、ピーターソンの存在感。とても面白く、一気に読ませていただきました。
しかし、そのあと、ふと我に返り、ゾッとしました。
え? このセリフ量、覚えられるか? ていうか、上手く出来る?この役! いやー!怖い!なと。
でも、一晩寝て、考えなおしました。
断るのは簡単だし、逃げるのも簡単だ。だか、それでいいのか! 挑戦しない人生でいいのか!と。
ここは、やるしかない! キャスト、スタッフ、タッグを組んで、皆さんに楽しんでもらうしかない!
…という訳で、優しい眼で観てくださいね(笑)
あらすじ
精神科医のドクター・ジェームス・ローレンスが失踪した。
病院院長のグリーンバーグは、ローレンスが失踪前最後に診た患者マイケルに事情を聞くためにローレンスの診察室を訪れる。
病院の看護師ピーターソンは言う「マイケルは普通とはちょっと違います。見くびらない方がいいですよ。弄ばれますよ」。
マイケルは初めから普通ではなかった。まるで関係のない「象」についての話から始まり、つかみどころのない話でグリーンバーグを翻弄する。しかし、ローレンスが姿を消した事情は知っているらしく、その真実を教える取引を持ちかけてくる。
条件1、ミス・ピーターソンには、この件に一切介入させないこと。
条件2、自分の患者カルテを読まないこと。
条件3、真実を話したご褒美にチョコレートをくれること。
そうして始まったマイケルとの対話。それはマイケルの仕掛けた巧妙なゲームだった。マイケルはローレンスの失踪の真実を知っているのか。度々脱線する象にまつわる話は何を意味するのか。
ゲームには悲しく衝撃的な結末が用意されていた。